結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2000−30709(T2000−30709/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第2368002号商標(以下「本件商標」という。)は、「MAMA PAIPAI」の欧文字と「ママ パイパイ」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなり、平成1年5月15日に登録出願、第1類「医療補助品」を指定商品として、同3年12月25日に設定登録されたものである。
請求人は、本件商標の指定商品中「ガーゼ,脱脂綿,ほう帯,三角きん,眼帯,耳帯,衛生マスク,ばんそうこう,月経帯,指サック,氷のう,氷まくら,氷のう釣り,すいのみ,ほ乳用具,魔法ほ乳器,医療用油脂,オブラート,カプセル,ほう帯液,ピンセット,綿棒,乳首,手術用キャットガット,スポイト,デンタルフロス」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると主張し、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べ証拠方法として、甲第1号証ないし同第8号証(枝番を含む。)を提出した。
1.本件商標は、その指定商品中「ガーゼ,脱脂綿,ほう帯,三角きん,眼帯,耳帯,衛生マスク,ばんそうこう,月経帯,指サック,氷のう,氷まくら,氷のう釣り,すいのみ,ほ乳用具,魔法ほ乳器,医療用油脂,オブラート,カプセル,ほう帯液,ピンセット,綿棒,乳首,手術用キャットガット,スポイト,デンタルフロス」について継続して3年以上日本国内において使用した事実がないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2.被請求人は、その答弁書で乙第1号証ないし乙第10号証までの証拠を提出して本件商標の使用を主張しているが、以下の通り、これらの証拠には多くの矛盾があり、各主張の内容にも以下に述べるように不自然な点が目立つと言わねばならない。
従って、いずれの証拠によっても、本件商標の使用が裏付けられるものではなく、商標法第50条第1項の取消を免れるものではない。
(1)答弁書第2頁の「7.理由」の(2)という項目を設けておきながら記載内容が欠落している。このため、答弁書の体をなしておらず、十分に答弁書の内容を検討することができない。
(2)被請求人は、ほ乳用具について本件商標を使用していることを立証する目的で会社案内(乙第2号証)を提出している。すなわち、会社案内は、会社案内の納品書(乙第2号証の2)に示されるように1998年4月7日に納品され、この会社案内に商標「MAMA/PAlPAl」が付されたほ乳瓶が掲載されているため、被請求人は1998年当時から本件商標を使用していたと主張する。
しかし、被請求人が別に提出するパンフレット(乙第3号証)、及び当該パンフレットの納品書(乙第3号証の2)に示されるように、平成12年3月3日に納品されたパンフレットには、“新ブランド「ママパイパイ」誕生 !”と記載されている。そうすると、被請求人は、「ママパイパイ」という商標を1998年(平成10年)から使用しだしたのか、或いは2000年(平成12年)に使用しだしたのか不明であり、パンフレットの文言を会社案内と対比すると使用開始時期に矛盾が存在する。
(3)被請求人は、パンフレット(乙第3号証)を作成した平成12年3月3日以前に商品が既に存在していたと主張する。しかし、平成12年4月20日付けの株式会社創芸が作成した企画書(乙第9号証)を見てみると、株式会社創芸は顧客である被請求人の商品が既に存在するにも拘らず、係る商品を用いずに企画書を作成している。そのようなことは営業上極めて不自然で、むしろ通常は考えることのできない行為であるといえる。なお、企画書(乙第9号証)に掲載されているほ乳用具は、添付の甲第1号証及び甲第2号証に示されるように、全て被請求人以外の会社が取り扱う製品と一致している。
(4)パンフレット(乙第3号証)は、当事者を同一にする他の不使用取消審判事件(審判番号2000−30711)においても提出されている。ところでこの他の事件の平成12年10月6日付け答弁書(第5頁13行目から19行目)(甲第3号証)では、「このパンフレットのカラー面の左下部には、本件商標を印刷したラベルを、哺乳びんと野菜洗い兼用の洗剤、同食器洗い兼用の洗剤を収容したびんを貼付したカラー写真が掲載されているが、このようにびんに本件商標のラベルを貼付する行為は、そのびんが商品の包装に相当するから商標法2条第3項第1号で規定する「商品の包装に標章を付する行為」に該当する。したがって、このカラー写真自体によっても本件商標が(中略)2000年3月にすでに使用されていることを証明している。」と主張している。
しかし、かかる「哺乳びんと野菜洗い兼用の洗剤、同食器洗い兼用の洗剤を収容したびん」は明らかに“実物の洗剤”を撮影したものではなく、パンフレットのイラストとして印刷されたものに過ぎない。そうすると、これと同じパンフレットである本件審判の乙第3号証も同様の理由により、その証拠としての成立性に疑問があるといわざるを得ない。
なお、当該パンフレットに掲載されているほ乳びんに商標が付されていることをもって商標の使用であると主張している(本審判に対する答弁書第4頁14行目から19行目)。しかし、上述したようにパンフレットの成立性に疑問がある以上、当該商標を付したほ乳びんをパンフレット(乙第3号証)作成のためだけに用意し、実際にはかかるほ乳びんを販売するなどの行為が行われていないのではないかと推認される。
(5)被請求人は、上記パンフレット(乙第3号証)を平成12年3月3日に入手していたにもかかわらず、その約3ヶ月後から行われたとする西松屋チェーン等に対するプレゼンテーションに(乙第4号証乃至乙第5号証の3)、折角作成したこのパンフレットを使用していない点も不自然である。
(6)被請求人は各「打ち合わせ議事録」(乙第4号証ないし乙第5号証の4)を用いてプレゼンテーションが議事録の内容通りに行われたことを立証しようとしている。
かかる各「打ち合わせ議事録」の中の、「ピップトウキョウ株式会社」及び「ピップフジモト株式会社」に対するもの(乙第5号証の2、乙第5号証の3)をみると、当該議事録には、「資料 別紙に添付」と記載されているにも拘らず、その資料は添付されていない。
また、「イトーヨーカ堂」に対してなされたプレゼンテーションについての議事録(乙5号証)を見ると、当該プレゼンテーションが開かれるよりも前に行われた「西松屋チェーン」「赤ちゃん本舗」に対するプレゼンテーションで配られているポスター(乙第4号証の3)が配布された様子は窺えない。
さらに、各議事録において、プレゼンテーションをなした相手方企業の担当者から承認印を受けてはいるが、打ち合わせ日時と当該承認印の日付が離れすぎていることを考えると、各相手方企業の担当者は内容を完全に確認して押印若しくは署名をしているとは思われない。
以上のことを考え合わせると、これらの議事録をもって証明しようとしている内容は十分には立証されていないものと考える。
(7)被請求人は、山口薬局(千葉県流山市江戸川台西2の144)に哺乳瓶を納品したことを証明するために、納品書(乙第6号証)とその対の関係にある受領書(乙第6号証の2)を提出している。しかし、この納品書等に記載された「ママパイパイ瓶」は、果たして何の商品であるのか不明であり、あまりにも証拠として不十分である。
さらに、納品書等(乙第6号証等)では2000年7月2日の商品納品に対する支払いが審判請求日以降の「12月末」となっているが、たとえ委託販売であったとしても、なぜ納品から約6ヶ月もの期間を置いて支払日を定めたのか疑問を持たざるを得ない。このことについては、例えば、架空の納品書を作成したため、経理処理上の問題で審判請求書の副本送達日より後に支払日を設定せざるを得なかったのではないかと思われても仕方がない。
(8)打合せ議事録(乙4号証等)では、流通経路を確保するためにプレゼンテーションを行っているのに、“その約1ヶ月後に”かかる経路を “無視し”て、“直接山口薬局に”ママパイパイ瓶なるものを3種類”各10個のみ”を販売している。このようなことは、営業上不自然であり、むしろ通常は考えることのできない行為であるといえ、当該販売行為自体にも疑問を持たざるを得ない。
3.さらに、そもそも答弁書における被請求人の主張は、以下の通り、商標法上の使用に該当しない。
(1)被請求人は会社案内(乙第2号証)に登録商標を使用しているため、本件商標を使用したと主張するが、会社案内は会社自体を宣伝する媒体であり、商標法第2条第3項第7号で規定されている「商品に関する」広告・取引書類には該たらないので、法上の使用に該当しない。
(2)被請求人はパンフレット(乙第3号証)を作成頒布したとして、本件商標を使用したと主張するが、該パンフレットを頒布した事実が全く証明されていないため、パンフレットを作成したのみでは、商標法第2条第3項第7号に該当しないことは明らかであり、法上の使用に該当しない。
(3)被請求人は(株)富士銀行雷門支店にプレゼンテーションをしたとして(乙第5号証の4等)、本件商標を使用したと主張するが、(株)富士銀行雷門支店は金融業を営むものであるところ、単に融資を受けるために会社自体の宣伝をしたにすぎず、法上の使用(商標法第2条第3項第7号)に該当しない。
(4)その他、宣伝広告会社からいくつか提案書を受けているが(乙第7号証ないし乙第10号証)、かかる提案書の存在は、商標の使用の準備に該当することを推認させ得るとしても、明らかに法上の使用を規定する商標法第2条第3項各号に該当するものではない。
(5)さらに、被請求人は、会社案内(乙第2号証)を筆頭に、答弁書に添付した各証拠で使用されている商標は、本件商標登録「MAMA PAlPAl/ママ パイパイ」と社会通念上同一であると主張するが、到底社会通念上同一の商標であるとは考えることができない。
本件商標の表示態様は、上段に英文字「MAMA PAlPAl」を、下段に片仮名「ママ パイパイ」を、各々ゴシック書体で横一連に書してなる態様からなっているものである。すなわち、本件商標は、「ママパイパイ」全6音という比較的短い称呼であるから、「MAMA/ママ」と「PAlPAL/パイパイ」とを分離分断する特別な事情がなく、唯一「ママパイパイ」の称呼を自然に生じるものである。
ここで、御庁においても、本件商標からは、唯一「ママパイパイ」のみの称呼を生ずるものと判断したと考えられる例があるので、以下に示す。
商標「MAMA」は、添付の甲第4号証の1及び甲第4号証の2に示されるように、昭和24年5月2日に旧々商品区分第16類に属する商品「乳首等」を指定して、御庁に出願され、昭和25年9月20日に登録されている(登録番号391782号)。
また、商標「ママ」は、添付の甲第5号証の1及び甲第5号証の2に示されるように、昭和31年7月9日に旧々商品区分第16類に属する商品「乳首等」を指定して、御庁に出願され、昭和32年8月31日に登録されている(登録番号507097号)。
これらの商標は英文字「MAMA」或いは片仮名「ママ」からなる商標であり、両者共に「ママ」の称呼が生じることは明らかである。そして、係る先願先登録の商標が存在するにもかかわらず本件商標が並存して登録されたのは、御庁において、本件商標の称呼は「ママパイパイ」のみであると判断したからに相違ない。
これに対し、会社案内(乙第2号証)などの各証拠に記載されている商標の表示態様は、ローマ字を装飾した「mama」と「paipai」を上段と下段に分けた表示態様からなるため、かかる表示態様からは、「ママ」という称呼と、「パイパイ」という2つの称呼が発生するのが自然である。
そうであるならば、上述のように本件商標から生じる唯一の称呼「ママパイパイ」と、ほ乳びんと共に記載されている商標から生じる称呼「ママ」或いは、「パイパイ」とを比較すると、両商標の称呼は2音又は4音が相違するため非類似の商標であると思われ、ましてや同一の称呼が発生しないため、社会通念上同一の商標ではないことは明らかである。
さらに、本件商標は上述のように、上段にローマ字「MAMA PAlPAl」と下段に片仮名「ママ パイパイ」を、各々ゴシック書体で横一連に書してなる態様からなっているものである。これに対して、被請求人が使用したと主張する証拠に記載されている商標の表示態様は、ローマ字を装飾した「mama」と「paipai」を上段と下段に分けた表示態様からなる。すると、本件商標と答弁書に添付した各証拠に記載されている商標は、外観上も大きく異なり、社会通念上同一の商標であるとは言えないと思われる。
したがって、被請求人が答弁書において使用したと主張する証拠に挙げられている商標は、本件商標と外観・称呼が相違するため、社会通念上同一の商標ではなく、商標法50条第1項の規定により、本件商標登録の取消しを免れないものと思われる。
4.予備的主張
このように、請求人が、本件商標が使用されていないと確信するのは、以下の事情による。
被請求人と請求人は過去35年の長きにわたる付き合いがある。すなわち、添付の購買契約書(甲第6号証)の下、請求人が自己の商標を付して販売する製品の製造を被請求人に委託し、被請求人はこれを供給するという関係が存在する。このため、請求人は該契約の下に、添付の納品書など(甲第6号証の2ないし甲第6号証の7)に示されるように、被請求人に対して本審判請求前3年間乳首等を注文し、被請求人もこれを納入している。
また、この契約書(甲第6号証)の23条では「被請求人は、請求人による製造委託品と同一または類似する製品を第三者に販売する場合は、予め請求人に申し出てその承諾を得るものとする。」と規定するところ、類似品の販売について、請求人側は被請求人側から承諾を求められたことはない。
したがって、このような契約があるにもかかわらず、被請求人が答弁書において主張するように、本件商標を使用していたのならば、契約に反することになる。このような両者の関係からすれば,道義上、請求人に隠れて細々と使用せざるを得ないはずである。このため、被請求人主張による本件商標の使用は、上述したように、様々な矛盾や不自然な証拠となって表れていると考える。そうすると、被請求人が主張する本件商標の使用とは、法が予定するように、健全な商慣習の下に自己が販売する商品に通常使用される場合と異なり、むしろ、不使用取消審判を免れるための名目的な使用に該当すると言わざるを得ない。
5.以上検討したように、そもそも答弁書に添付された各証拠には、多くの矛盾点が存在する。したがって、このような証拠に基づいて、本件商標の使用があったとは認められない。
一方、当事者間には購買基本契約が存在することから、本来被請求人は本件商標を使用することはできず、仮に契約違反で使用して形式的に本件商標の使用をしたとしても法が本来保護対象とする健全な使用により発生する業務上の信用が化体することはないので、このような使用は不使用取消審判を免れるための名目的な使用に過ぎない。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第10号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)本件商標は以下に述べる通り、審判請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標権者により、審判請求に係る商品について実際かつ具体的に使用されているので、請求人の上記主張は当たらない。
(2)被請求人である本件商標権者は、乙第2号証に示すように、1998年4月に会社案内のパンフレット「KOSHIN」を作成頒布した。このパンフレットには、その第4頁中段において、本件商標と、ほ乳びんが本件商標権者の業務に係るベビー製品の一部として紹介され、第6頁右下部には哺乳用乳首が記載されている。なお、第4頁中段でほ乳びんと共に記載されている商標は本件商標「MAMA PAlPAl」の書体のみに若干変更を加えたものであって、社会通念上同一と認められるものであるから、商標法第50条第1項かっこ書きにより本件商標と認められるものである。
また、この会社案内のパンフレットは乙第2号証の2の納品書に示すようにソニックス株式会社(〒146−0091 東京都大田区鵜の木3−12−13)により1000部作成され、1998年4月7日に被請求人に納品されている。
(3)本件商標権者は乙第3号証に示すように、2000年3月に本件商標を付したほ乳びん,乳首,哺乳びんと野菜洗い兼用の洗剤,哺乳びんと食器洗い兼用の洗剤,哺乳びん用洗浄ブラシ,哺乳びん用消毒バサミ,手動および自動の搾乳器の販売促進用のパンフレットを作成頒布して、これら商品の広告宣伝を行なっている。
また、このパンフレットのカラー面のほぼ中央には本件商標をびん自体に付し、かつ乳首を取り付けた状態のほ乳びんのカラー写真が掲載されているが、このようにほ乳びん自体に本件商標を刻印や印刷等により直接付する行為は商標法第2条第3項第1号で規定する「商品に標章を付する行為」に該当する。したがって、このカラー写真自体によっても本件商標が少なくともほ乳びんについて、2000年の3月に既に使用されていることを証明している。
このパンフレットは乙第3号証の2の納品書に示すように株式会社アクシス(〒141−0031 東京都品川区西五反田1一17一6)により1000部作成されて本商標権者へ平成12年(2 000年)3月3日に納品されている。
(4)そして、本件商標権者は、本件審判請求日(平成12年6月19日)よりも前から顧客へのプレゼンテーションを通して本件商標の宣伝広告を実施している。すなわち、本件商標権者は乙第4号証の「打合せ議事録」に示すように、平成12年5月30日午後1時から西松屋チェーン(〒671−0218 姫路市節東町圧266−1)本部2階商談室において、本件商標である「MAMA PAlPAl」「ママパイバイ」を、乳首、哺乳ビン、搾乳機、哺乳ビン用洗剤、野菜洗剤、哺乳ビン消毒バサミ、哺乳ビンブラシについて、女優の酒井法子をイメージキャラクターとしたポスター等を使用して販売促進のためのプレゼンテーション、すなわち、宣伝広告を行なった。
なお、この乙第4号証は、上記プレゼンテーションの実施の事実を、プレゼンテーションを受けた株式会社西松屋チェーンの担当者により証明して頂くために本商標権者により平成12年9月12日に作成されたものであり、このプレゼンテーション実施の事実は本証下欄の承認欄に署名された株式会社西松屋チエーンの初田雅也氏(第二商品部11部門担当バイヤー)により証明されている。
これとほぼ同様のプレゼンテーションは乙第4号証の2の「打合せ議事録」に示すように翌日の5月31日の午後1時から赤ちゃん本舗(〒541−0053大阪市中央区本町2一3−4)の7階商談室において、製販第3事業本部育児用品事業部リーダーの星野起生氏と、同第1事業本部チーフの岡田泰啓氏に対しても行なわれた。そのプレゼンテーションの実行事実は上記星野氏による承認欄の署名により証明されている。
なお、乙第4号証の3は上記2ケ所のプレゼンテーションで使用されたポスターの試作品のコピーであり、このポスター中のキャプションの逆文字よりなる隠し文字はまだキャプションが決定していないが、そのキャプションのレイアウトを決めるためにのみ記載されている。しかし、この乙第4号証の3には本件商標と、本件商標を付し、かつ乳首を取り付けているほ乳びんが記載されている。
(5)本商標権者は乙第5号証の「株式会社イトーヨーカ堂に対してのコーシン株式会社ベビー用品オリジナルブランド『ママパイパイ』の商品説明について」に示すように、平成12年6月9日(金)に午前10時30分より株式会社イトーヨーカ堂(東京都港区芝公園4丁目1番4号)の衣料事業部 子供衣料部の商談コーナーにおいて、当該子供衣料部のベビー担当チーフデイストリビューターの諏訪氏と子供ショップ担当バイヤーの大池氏に対して上記プレゼンテ一ションとほほ同様の下記のフレゼンテーションを実施した。
すなわち、このプレゼンテーションは本件商標である『ママパイパイ』を付した乳首、哺乳びん、搾乳器、哺乳びん洗剤(無添加石鹸タイプ・コンパクトタイプ)哺乳びん消費ハサミ、哺乳びん洗浄ブラシの商品説明と、タレント酒井法子を起用したTVCM・雑誌広告などの宣伝計画を説明し、全国に170店舗を誇る流通業界No.1の株式会社イトーヨーカ堂に『ママパイパイ』の商品群を取り扱ってもらうために行なった。
なお、この乙第5号証は上記プレゼンテーションが確かに上記方法で実施されたという事実とその実施内容をこのプレゼンテーションに出席された株式会社イトーヨーカ堂の担当者により証明して頂くために商標権者により平成12年9月19日に作成されたものであり、このプレゼンテーションの実施事実とその内容は本証承認欄に著名された大池克寿氏により証明されている。
さらに、これとほぼ同様のプレゼンテーションは乙第5号証の2に示すようにピップトウキョウ株式会社(東京都千代田区内神田3丁目3−7)と、乙第5号証の3で示すようにピップフジモト株式会社(大阪市中央区農人橋2丁目1番36号)の各担当者に対しても実施され、その実施の事実と内容については承認欄に署名されたMD・物流事業部マネ一ジャーの小島氏と、MD部長の二瓶康裕氏とにより、それぞれ証明されている。
さらにまた、ほほ同様のプレゼンテーションは乙第5号証の4の確認書に示すように株式会社富士銀行雷門支店の本名喜久造支店長、田崎課長および水谷代理の諸氏に対しても実施され、その実施の事実とその内容については本名喜久造支店長による確認書への記名捺印により証明されている。
なお、乙第5号証の5は上記乙第5号証の4で示すプレゼンテーションの実施の際に、その出席者に配布された資料であり、本証には、本件商標と、この本件商標が付される商品である乳首、哺乳乳びン(120ml,200ml,240ml)、洗浄ブラシ、ビンハサミ、搾乳器、哺乳ビン用洗剤等が記載されている。
(6)本商標権者は乙第6号証の納品書(控)に示すように2000年(平成12年)7月2日に、本件商標である 「ママパイパイ」を付した哺乳瓶を山口薬局(干薬県流山市江戸川台西2の144)に委託販売した。また、この納品書(控)と一対をなす乙第6号証の2の物品受領書はその哺乳瓶が同日(7月2日)に山口薬局により受領されたことを証明している。
しかも、これら納品書(控)と物品受領書には本件商標の「ママパイパイ」が記載されているが、これは商標法第2条第3項第7号の「取付書類に標章を付して頒布する行為」に該当し、商標の使用行為に該当する。
(7)以上のように本商標権者は本件商標を審判請求に係る商品の一部について実際かつ具体的に使用しているのみならず、さらに、次の乙第7号証ないし乙第10号証に示すように本件商標権者は本件審判請求日(平成12年6月19日)よりも前から本件商標を上記審判請求に係る商品の一部について大々的に使用するための具体的な使用計画と準備を行なっており、これは商標法第50条第3項で規定する「正当な理由」に該当する。
すなわち、乙第7号証の「ママパイパイブランドベビー用品導入に向けて」は本商標権者が今後本件商標である「ママパイパイ」,「MAMA PAlPAI」を付した乳首や哺乳瓶等ベビー用品を販売して行くために必要な広告戦略等についての提案等を電通ヤング・アンド・ルビカム株式会社(〒104一8477 東京都中央区八重洲2−7一12 京橋K−1ビル)がまとめた企画書であり、その企画書の提出日は2000年2月29日である。
同様の企画書として乙第8号証の「ママパイパイ 広告表現プランのご提案」は2000年5月9日に上記電通ヤング・アンド・ルビカム株式会社から本件商標権者に提出されたものである。
また、乙第9号証の「新ブランドの市場導入展開のご提案」は平成12年(2000年)4月20日に株式会社創芸(東京都中央区京橋3丁目2番11号 第百生命京橋ビル)から本件商標権者に同様に企画書として提出されたものであり、本件商標である「ママパイパイ」としての認知度を高める方法等が提案されている。
同じく乙第10号証の「MAMA PAlPAlテレビCF クリエイティブ・プランのご提案」も平成12年(2000年)5月23日に上記株式会社創芸から本件商標権者に提出された企画書であり、今後本件商標を使用して行く準備を行なっている。
1.本件商標は前記のとおりの構成よりなるところ、被請求人提出の乙第2号証ないし同第10号証によれば、次の事実が認められる。
(1)被請求人は、会社案内パンフレット(乙第1号証)において、ベビー製品の哺乳用乳首分野の商品を取り扱っていることが認められる。
同パンフレットは、1998年4月に発行されたものであることが認められる。
また、同パンフレットに掲載されたベビー製品は、「MAMA」、「PAIPAI」の欧文字を特殊な書体をもって二段に書された標章をもって取り扱われていることが認められる。
(2)被請求人は、「乳首、哺乳びん」等の商品について、2000年秋に新シリーズ商品の発売を予定していることが認められる(乙第3号証)。
同号証によれば、これら商品に「MAMA」「PAIPAI」の特殊書体による欧文字を二段に書した標章、および、「ママパイパイ」の片仮名文字よりなる標章を使用予定であることが認められる。
(3)被請求人提出の乙第4号証ないし同第10号証によれば、被請求人は、商品「乳首、哺乳びん」等について、販売のためのキャンペーンを展開し、且つ、その広告のための準備を積極的に行っていた事実が認められる。
2.これらの事実を総合勘案すれば、被請求人は、1998年発行の会社案内に掲載されているベビー製品に使用する標章は、「MAMA」「PAIPAI」の欧文字を特殊な書体をもって二段に書してなるものであり、これら欧文字は、たとえ二段に書されてなるものであるとしても、それぞれの文字は同一の書体よりなるものであって、全体として一体のものとして把握されるとみるのが相当である。そうとすれば、乙第2号証において用いられている標章は、これより「ママパイパイ」の称呼のみを生ずるものであって、本件商標とは、社会通念上同一の範囲をでないものである。
また、被請求人は、会社案内パンフレットに掲載されたベビー製品について、本件商標を用い、新たな販売展開をすべく準備を行っているとみるべきである。
請求人は、被請求人提出の証拠について疑義ある旨主張しているが、主張するのみで、確たる証拠の提出が認められない。また、請求人、被請求人間における契約がある旨の主張をしているが、該契約をもって、本件商標の不使用の理由とすることはできない。
してみると、本件商標は、被請求人により、その請求に係る商品に含まれる「乳首、哺乳びん」について、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用されていたものと認め得るものであるから、結局、本件商標の登録は、その取消請求に係る商品について、商標法第50条の規定によりこれを取り消すべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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