Trademark Appeal Case
Kマークの著名性帰属
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年異議第90469号 |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | other |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4069920号商標(以下、「本件商標」という。)は、商標の構成を別紙に示すものとして、平成6年6月7日登録出願、指定商品を第25類「洋服、コート、セーター類、ワイシャツ類、寝巻き類、下着、水泳着、水泳帽、和服、エプロン、えり巻き、靴下、ゲートル、毛皮製ストール、ショール、スカーフ、足袋、足袋カバー、手袋、布製幼児用おしめ、ネクタイ、ネッカチーフ、マフラー、耳覆い、ずきん、すげがさ、ナイトキャップ、ヘルメット、帽子、ガーター、靴下止め、ズボンつり、バンド、ベルト、靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く)、げた、草履類、運動用特殊衣服、運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」として、同9年10月17日に設定の登録がされ、その後、本件商標に係る商標権は、同11年1月21日付をもって権利の抹消の登録がされているものである。
2 登録異議の申立理由
本件登録異議の申立人(以下、「申立人」という。)は、異議申立の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証乃至甲第17号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本件商標は、その全体を観察すれば、アルファベット「K」の文字を普通に用いられる域を脱しない方法で表してなるものであるから、極めて簡単でかつありふれた標章のみからものである。よって、本件商標は商標法第3条第1項第5号に該当する。
(2)本件商標に係る「K」と全く同一の商標が申立人である「株式会社キタムラ」の業務に係る商品「かばん類、袋物等」に使用している商標であることは業界及び顧客の間に広く知られるところであるから、本件商標を商標権者がその指定商品について使用するときは、申立人の業務に係る商品の如く混同を生ずるおそれがある。よって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 本件商標の取消理由
本件商標の登録を商標法第43条の3第2項の規定に基づき取り消すべきものとして、商標権者に対して通知した取消理由は、要旨次のとおりである。
<取消理由通知>
本件商標は、欧文字の「K」を図案化したと思しき図形よりなるものであるところ、申立人「株式会社キタムラ」の提出に係る甲各号証によれば、申立人の使用に係る欧文字の「K」を図案化したと思しき図形よりなる商標は、申立人の業務に係る商品「かばん類、袋物」等の商標として本件商標の商標登録出願前から取引者・需要者の間において広く知られていたものであることが認められる。
そうとすれば、本件商標は、申立人の使用に係る商標と同一又は類似の構成よりなるものであり、しかも「かばん類、袋物」等と本件商標に係る「洋服、コート」等の指定商品とは、いずれもトータルファッションの観点から密接な関連を有する商品であるから、商標権者が本件商標をその指定商品について使川するときは、これに接する取引者・需要者は、申立人又は申立人と何等かの関連を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものといわざるを得ない。
4 商標権者の意見
上記3の取消理由通知に対して、商標権者は、その意見を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証乃至乙第13号証を提出した。
(1)取消理由は、欧文字「K」を図案化したと思しき図形よりなる商標(以下、「Kマーク」という。)は専ら申立人業務により著名性を獲得し得た旨認定しているが、「Kマーク」は申立人単独の使用によるものでなく、「株式会社キタムライースト等を含めたグループ全体で醸成してきたというべきものであるから、事実誤認がある。
この点は、申立人・商標権者間における営業譲渡契約書(乙第1号証)及び同契約書の契約条項を巡って争われた裁判事件(乙第2号証)の判決等により、商標権者又はその関連 会社(「株式会社キタムラ・ケイツウ」)が実体として申立人会社に係る事業の一部又は分身であることが明らかであって、株式 会社キタムラ・ケイツウも「かばん類、袋物」について、「Kマーク」を大々的に使用してきたのであるから(乙第3号証乃至乙第10号証)、商標権者も著名商標「Kマーク」の所有者の一員というべきである。
(2)前記営業譲渡契約書及び地裁判決に示されるように、商標権者又は株式会社キタムラ・ケイツウは「Tシャツ,トレーナー」について、「Kマーク」の使用を認められているから、商標権者又は株式会社キタムラ・ケイツウが「洋服、コート」等の商品について商標登録を受けたとしても、何ら前記営業譲渡契約に背理するものでなく、むしろ、これにより、「Kマーク」の使用確保及び第三者の使用禁止を図る措置として望ましく、本件商標の登録も前記営業譲渡契約の予測範囲内のものといえる。また、申立人が仮に本件商標の使用を希望した場合は、前記営業譲渡契約の存在により、申立人の「洋服、コート等の商品についての使用が制限されることはない。
この点、申立人が株式会社キタムラ・ケイツウとの間において、「Tシャツ,トレーナー」について「Kマーク」の使用をすでに容認しているにも拘わらず、本件異議申立において出所の混同のおそれを主張することは前記営業譲渡契約書の内容に照らし法の正義に反する。そして、商標権者を含む同グループの者が「Kマーク」の著名性を稀釈化したり、業務上の信用を毀損するといった行為を引き起こすとは考え難く、仮に、そうした事態が生じた場合は、前記営業譲渡契約により内部的に処理すれば足りるから、商標権者又は株式会社キタムラ・ケイツウは、申立人グループの一員というべきであって、商標法第4条第1項第15号においていう「他人」に該当する者ではない。
よって、本件商標について、商品の出所を混同させる旨認定した取消理由は妥当でない。
(3)「かばん類、袋物」等の商品と本件商標に係る「洋服、コート」等の商品とは、生産者、販売者、取扱い系統、材料及び用途等関連性を有しない非類似商品であり、かつ、申立人事業の営業形態、企業規模からみて、取引者・需要者が多角経営下に係る商品の如く認識する可能性は高いとはいえない。よって、「トータルファッション」なる概念をもって一義的に商品間の関連性を認定した取消理由は妥当でない。
(4)以上の理由により、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものとはいえないから、これを理由に本件商標の登録を取り消す旨認定した取消理由の判断は誤りがある。
5 当審の判断
本件商標は、その構成別紙に示すとおり、恰もローマ文字の「K」の字形様に特異に表現された図形商標と認められる。
そして、本件商標についてした先の取消理由は妥当なものであって、その認定の誤りを述べる商標権者の意見は、以下の理由により、いずれも採用することができない。
(1)商標権者は、申立人に係る欧文字の「K」を図案化したと思しき図形よりなる商標(以下、「Kマーク」という。)の著名性は、申立人単独の使用による結果ではなく、商標権者又はその関連会社(「株式会社キタムラ・ケイツウ」)等を含めたグループ全体で醸成してきたものである旨述べているが、この点、仮に商標権者の述べるとおりであるとすれば、Kマークに係る権利の主体、客体とも当該グループの帰属とするのが最も至当なものというべきであって、商標権の持つ独占排他性その他の効力よりみて、当該事業グループの一員であることをもって、直ちに商標権者による本件商標の商標登録の正当性は認められず、したがって、その主張は採用の限りでない。
また、商標権者は、申立人との間の営業譲渡契約書及び関連裁判事件(横浜地方裁判所平成6年(ワ)437号,平成10年5月27日判決言渡)により、商標権者又はその関連会社(「株式会社キタムラ・ケイツウ」)は、Tシャツ,トレーナーについてKマークの使用を認められているとして、衣料品等の商品分野に係る商標登録の正当性を述べているが、前記同様の理由により、一部の衣料品についての使用実績をもって、直ちに本件商標の商標登録を正当化する根拠とすることはできない。
さらに、商標権者は、本件商標に係る権利主体を本件商標権者としても申立人との間の前記営業譲渡契約書により当事者間において処理可能である旨述べているが、もとより、商標権は全国単一の権利であって、権利の発生、変更その他権利の消長は専ら当該商標登録原簿への登録をもって第三者対抗要件とされているように、別個独立の権利体系として成り立っているものであるから、私人間の私的契約により直ちにその権利内容が変更又は左右されるものではなく、したがって、前記営業譲渡契約書等の存在をもって、Kマークの商標権者による権利取得の正当性を認めることはできない。
その他、この点に関して述べる商標権者の意見は、採用の限りでない。
(2)商標権者は、かばん類、袋物等の商品と本件商標に係る洋服、コート等の商品とは別個のものであるから、取引者・需要者が申立人の多角経営下に係る商品の如く認識する可能性はない旨述べているが、これら商品は、いずれも日常的に身に着け或いは携行するという点において、需要者層を共通にする場合が多く、また、共にファッション用品として販売店舗を同じくする場合も決して少なくないから、これらの事情よりみて、かばん類、袋物等と洋服、コート等の商品とは、いずれもトータルファッションの観点から密接な関連を有するとした先の取消理由の認定に誤りはなく、したがって、この点を述べる商標権者の意見は採用できない。
(3)結語
以上のとおり、商標権者の意見は、いずれも採用することができない。したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものであって、その登録は同法条の規定に違反してされたものといわざるを得ない。
なお、本件商標に係る商標権は、平成11年1月21日付をもって権利の抹消の登録がされているものであるが、付与後異議申立制度の趣旨(異議申立があったときは特許庁が自ら登録処分の適否を審理し、瑕疵ある場合はその是正を図ることにある。)に鑑み、本件の審理は登録時の査定の適否を判断することにあるから、その後発生した本件商標に係る商標権の権利抹消の事由に関わりなく、本件審理を行うべき法律上の利益が存するものと認め、審理した。
よって、結論のとおり決定する。
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