Trademark Appeal Case
活性フェロキサイドの記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2000−4250(T2000−4250/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「活性フェロキサイド」の文字(標準文字)を書してなり、第1類「化学品」を指定商品として、平成10年8月28日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、“物質のある機能が活発であること”等を意味する『活性』の文字と“酸化鉄”を意味する英語である“ferrous oxide”の読みと認識される『フェロキサイド』の文字を『活性フェロキサイド』と普通に用いられる方法で書してなるものであり、これは燃焼促進機能が活発な特殊な酸化鉄を表すものとして普通に使用されていると認められる。よって、本願商標をその指定商品に使用するときは『活性の酸化鉄』であることを認識させるにとどまり、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、「活性フェロキサイド」の文字を書してなるところ、近年、ダイオキシン等による環境汚染が重大な社会問題となっており、その対応策の一つとして、燃焼促進作用があり、ダイオキシンの発生を抑制する効果がある「活性フェロキサイド」と称される特殊酸化鉄が注目を集め、これを添加したゴミ袋等の製品が盛んに開発されている実情がある。このことは、各種新聞記事(「G―Searchデータベースサービス(株式会社ジー・サーチ)」による。)をみると、例えば、2000年11月14日の日刊工業新聞(35頁)には、「グリーン21(8)大倉工業―環境に負荷をかけない新製品を提供」の見出しの下に「95年に開発し香川県産業技術振興財団が選定する芦原科学大賞を受賞している、エコロジカルプラスチックフィルムは、ゴミ袋(商品名=かんきょうくん)やレジ袋(同=ネオスター)が主用途。特殊酸化鉄(活性フェロキサイド)を配合しているのが特徴で、完全燃焼を促進し、ダイオキシン発生の誘因となる未燃粒子状炭素の生成を抑制する。」と、2000年2月25日の北國・富山新聞(朝刊)には、「騒音基準で地域指定、小松市環境審」の見出しの下に「審議会の席上、ごみ有料化実施計画に伴い、市側が活性フェロキサイド入りのポリエチレン袋の導入を検討していると説明した。委員が他の地域で炭酸カルシウムのごみ袋を採用している事例を指摘したが、市側は活性フェロキサイド入りのごみ袋がより環境に優しく、コスト的にも軽減できるとした。」と、2000年1月13日の日本経済新聞(地方経済面)には、「芦原科学賞大賞に大倉工業の田中氏。」の見出しの下に「田中氏が開発したのは特殊酸化鉄(活性フェロキサイド)を配合したポリオレフィン系樹脂フィルムでゴミ袋やレジ袋などに使う。焼却時に完全燃焼を促してダイオキシンの発生を抑制できるほか、重金属の溶出防止にも有効という。」と、1999年7月5日の毎日新聞(地方版/岡山)には、「ダイオキシンの発生抑制へ新ゴミ袋を採用――牛窓町 /岡山」の見出しの下に「ダイオキシンは300度で最も多く発生すると言われる。新しい袋は混合されている活性フェロキサイド(酸化鉄)が燃焼温度を短時間で上昇させるため、ダイオキシンを発生させるごみが混じっていても、抑制する効果があるという。」と、1999年7月1日の化学工業日報(2頁)には、「大倉工業、環境対応の台所用水切り袋を開発、活性酸化鉄配合」の見出しの下に「大倉工業は、一般消費者向け環境対応製品を新たに開発、販売を開始した。新発売したのは、家庭用台所向けの三角コーナー用水切り袋『エコスマイルエース』や排水口用水切り袋『エコスマイルネット』など数種類で、焼却時に燃焼促進剤として効果のある活性フェロキサイド(酸化鉄)を配合したポリエチレン(PE)フィルムをベース素材に開発した。」と、1999年6月23日の日本経済新聞(地方経済面)には、「 酒井化学工業、環境配慮の3包装材―生分解性素材など使う。」の見出しの下に「ダイオキシン抑制型は、ごみの燃焼時に出るダイオキシンを抑える活性フェロキサイドという物質を添加した。低燃焼カロリー型は炭酸カルシウムを配合したごみ袋などに使われる素材と同質のもの。二種類とも価格を従来の一割増に抑えた。生分解性型は土壌や海に廃棄すると微生物の働きで水と二酸化炭素に分解する。」と、1999年4月21日の化学工業日報(3頁)には、「宇部興産、PEフィルム気泡緩衝材新製品を開発、燃焼促進剤を配合」の見出しの下に「宇部興産が市場投入したのは、大倉工業の特殊な酸化鉄(活性フェロキサイド)を添加したPEフィルムを使い、封筒緩衝材や産業用包装資材として新たに製品化したもの。宇部興産では、新製品を環境対応型製品と位置付け、今後広範な用途展開を進めていく。」と、1999年1月26日の化学工業日報(3頁)には、「川上産業、環境対応製品をラインアップ、緩衝包装用気泡シート」の見出しの下に「とくにオレンジプチに含有した活性フェロキサイドは、燃焼速度・温度をともに高める燃焼促進機能により、他のごみと一緒に焼却した際にダイオキシンや窒素酸化物の発生を低減する。さらにホワイトプチとともに焼却すると、活性フェロキサイドと炭酸カルシウムおよび燃焼ガス中の塩化水素が反応して塩化カルシウムとなり、塩化水素を減少させる機能も持つ。」と、1998年11月28日の日本経済新聞(地方経済面)には、「うちわのニーズ、骨部分に新素材―焼却時ダイオキシン抑制。」の見出しの下に「新しい団扇骨の素材は、焼却時の環境影響が少ないとされるポリプロピレンに活性フェロキサイドと呼ばれる物質を一〇%配合したもの。ダイオキシンなどの有害物質は主に不完全燃焼により生成されるが、活性フェロキサイドは加熱すると活性的酸素イオンを生じ、周囲の物質の燃焼を促進する。塩ビ樹脂を一〇%配合したポリエチレンでの燃焼実験では、活性フェロキサイドの添加で、添加しない場合に比べダイオキシン類生成が約九〇%抑制できた。一酸化炭素の発生も減らせるという。」と、1998年10月24日の毎日新聞(地方版/兵庫 21頁)には、「有害物質抑制、新ごみ袋 来月から自治会配布――姫路市 /播磨・姫路」の見出しの下に「香川県のフィルム加工メーカーが開発。有害物質は不完全燃焼が原因で発生することから、新しいごみ袋の素材は、従来のポリエチレンに燃焼促進作用のある『活性フェロキサイド』を配合した。完全燃焼しやすくなり、流動床式焼却炉を使用した場合、ダイオキシン生成を6分の1〜7分の1に抑制するという。また、焼却後の残灰量も低減される。」と、1998年2月17日の日本経済新聞(地方経済面)には、「 西鉄ストア、来月導入、ダイオキシン抑制のレジ袋。」の見出しの下に「西鉄ストア(福岡市、〜社長)は三月から、ダイオキシン抑制効果のあるレジ袋を導入する。素材のポリエチレンに燃焼促進作用のある活性フェロキサイドを配合することで、ダイオキシンの発生を抑制する。同社によれば、こういった試みは九州の食品スーパーでは初めて。」と、1995年8月16日の日経産業新聞には、「低公害型の袋素材、つかめ消費者の心―NOx発生量、従来の3分の1。」の見出しの下に「酸化鉄のなかでも酸素分子を多く含む特殊な活性フェロキサイドを使用しているため、樹脂フィルムが完全燃焼しやすく、ダイオキシンの生成も抑えられる。また燃焼時の熱(セ氏八百度)によって、活性フェロキサイドは廃棄物に含まれる亜鉛や鉛などの重金属と反応して、磁石に似た性質を持つ物質になる。これは水に溶けにくいので、残灰を埋め立てた後の重金属の溶出防止にも有効という。」と記載されていることからも、十分に裏付けられるところである。
そして、本願商標は「化学品」を指定商品としているが、商標法施行規則の別表によれば、その中に「酸化鉄」が含まれていること明らかである。
そうとすると、本願商標は、燃焼促進作用があり、近年、ダイオキシンの発生を抑制する効果が着目され、ゴミ袋等に添加されている特殊な酸化鉄を表す「活性フェロキサイド」の文字を普通に表してなるものであるから、これを、その指定商品中、「酸化鉄」に使用するときは、取引者、需要者をして、その商品の上述の如き品質を理解するにとどまり、また、前記商品以外の商品に使用するときは、恰も、それが上述の種類の酸化鉄であるかの如く、商品の品質について誤認を生じるおそれがあるものと認める。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であり、取り消すことができない。
なお、請求人は、本願商標について、「物質のある機能が活発であること」等を意味する「活性」の文字と特定の観念を生じさせない造語である「フェロキサイド」なる文字を結合させたものである旨などを述べたうえで、本願商標が登録されるべきであると主張しているが、「活性フェロキサイド」の文字が燃焼促進作用がある特殊な酸化鉄を表すものとして普通に使用されていること上述のとおりであるから、その主張を採用できない。
よって、結論のとおり審決する。
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