Trademark Appeal Case
役務の質表示と識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2000−6394(T2000−6394/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1.本願商標
この出願に係る商標(以下、「本願商標」という。)は、「変位低減型深層混合処理工法」の文字(標準文字)からなり、第37類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として平成10年3月10日に登録出願され、その後、指定役務については、当審において提出した平成11年12月24日付けの手続補正書により、第37類「深層混合処理工法による工事」とする補正がされたものである。
2.原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、地盤改良工法の一つである『変位低減型深層混合処理工法』の文字を普通に用いられる方法で表してなるところ、これを本願指定役務中『同工法による工事』に使用しても、1999年3月31日付け建設通信新聞『技術/経営』欄に『変位低減型深層混合処理工法』として『周辺地盤への変位を大幅に低減できる』旨、説明されていることより、『周辺地盤への変位を低減できる深層混合処理工法』という地盤改良工法の一つを容易に理解させるので単に役務の質を表すにすぎず、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがある。よって、本願は、商標法第3条第1項第3号及び商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨、認定判断して、本願を拒絶したものである。
3.当審の判断
本願商標は、上記のとおり「変位低減型深層混合処理工法」の文字よりなるところ、構成中後半の「深層混合処理工法」の文字部分は、請求人(出願人)提出の資料(第4版 土木工学ハンドブック等)からも分かるとおり地盤改良工事に関係する分野においては、その一工法を表示するものである。
また、構成前半部の「変位低減型」の文字部分は、「変位」の語が「物体がその位置を変えること。また、その変化の大きさと向きを表す量。」を意味し、「低減」の語が「へること。へらすこと。」を意味することから、「変位を小さくしたタイプ」の意味合いを容易に理解し得るところ、(1)請求人提出の資料第14号証のセメント系深層混合処理工法の説明において、CDM工法の設計の頁に「変位量の設計」とする記載があること、(2)「地盤改良工法便覧」(編者 日本材料学会土質安定材料委員会 発行者 藤吉敏生 発行所 日刊工業新聞社 1991年7月31発行)の第6章(地盤改良と計測)47頁の表7.8における深層混合処理工法には、「地盤変位」の欄に○が付されていること、(3)「地盤改良効果の予測と実際」(編集 地盤工学会地盤改良効果の予測と実際編集委員会 発行 社団法人地盤工学会 平成12年2月15日発行)258頁の「(3)施工中の変位について」には、「深層混合処理工法は、・・・・・施工中の変位制御技術・施工法の開発研究が期待される」という記載がされていること、(4)「地盤工学ハンドブック」(編集 地盤工学会地盤工学ハンドブック編集委員会 発行 社団法人地盤工学会会長木村孟 平成11年3月20日発行)の687頁には「(3)地盤改良に伴う変位」の項目があり、また同688頁には「鉛直方向の変位が大きい」及び「深層混合処理工法では、・・・・・水平方向に対しては大きな抵抗力を示すが、・・・・」との記載があること、(5)「月刊土木技術資料平成11年8月号」(編集 建設省土木研究所 発行者 財団法人土木研究センター富永正照)の「『陸上工事における深層混合処理工法設計・施工マニュアル』刊行される」の頁の6頁ないし7頁には、「変位」という語が使用されていること、(6)「月刊土木技術資料平成12年7月号」(編集 建設省土木研究所 発行者 財団法人土木研究センター富永正照)の9頁において、「深層混合処理工法の合理的な設計法に関する研究」という題の下、「深層混合処理工法が、側方変位の抑止、水平変位抑止等を図る施工例が増加している。」旨の記載があること等が見出せる。
以上の点よりして、土木工事又は地盤改良工事の工法分野においては、「深層混合処理工法」は、地盤改良工法の一工法であり、かつ「変位低減型」の用語は、この種工法と密接に関わる施工技法として、共に容易に理解されるところと認められる。
そうすると、本願商標をその指定役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、前記事情よりしてその質・内容、すなわち地盤改良工法の一種である深層混合処理工法を用いて行う工事の意味合いを理解するに止まり、自他役務の識別標識とは認識し得ないものと判断するというのが相当である。
してみれば、本願商標を商標法第3条第1項第3号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことができない。
請求人(出願人)は、本願商標「変位低減型深層混合処理工法」が請求人(出願人)の特許に基づく工法であり、請求人(出願人)及びその許諾者によってしか使われない旨主張するとともに、それが、請求人(出願人)の使用に係る商標として広く認識されていることから、商標法第3条第2項に該当すると主張しているが、本願商標については、土木工事又は地盤改良工事に関連する工法分野の取引事情に照らし、前記認定を相当とすべきであって、本願商標が特定の者の業務に係わる工法、工事を指称するものとして需要者間に広く認識されたものとはいい難く、その証拠も見出せない。したがって、本願商標が商標法第3条第2項の適合要件を満たすに足りるものとは、到底判断することができないから、その主張は採用することができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。