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Trademark Appeal Case

「士」付商標の誤認性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成8年審判第9499号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、第35類「経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,財務書類の作成又は監査若しくは証明」を指定役務とし、平成5年9月27日に登録出願されたものである。

2 原査定の理由

原査定において、『本願商標は、「危険管理士」の文字を黒塗り横長長方形内に白抜きで表してなるものであるが、一般に「○○士」は国等が行う試験に合格した者が取得できる資格を表すものとして使用されているものである。してみれば、これを一私人たる出願人が自己の商標として指定役務について使用した場合、該役務があたかも前記資格の一種を有する者の役務であるかの如く、需要者に誤認され商取引の秩序をみだすおそれがあるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。』と認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

本願商標は、別掲に表示したとおりの構成よりなるところ、「危険管理士」の文字についてみるに、「危険管理」の語は、現代用語の基礎知識(1999年 自由国民社発行)によれば、「狭義には、リスクを保険でヘッジ(回避)するという意味で用いられるが、実際には広義に用いられており、営業活動にともなう各種のリスクを最小のコストでくいとめる管理活動のこと。保険の対象となるのは外部環境リスクで、主に天災やカントリーリスクによるものである。」と記載されている。

しかして、角川最新漢和辞典(昭和50年12月20日初版発行)、広辞苑(第5版 1998年11月11日発行)によれば、末尾に「士」の付された語の通常の意味は、「一定の資格や特別の職業をもつ人」、「一定の資格を持った者」、「一定の職業、または資格のある人」などといったものであり、その用語例として、「弁護士」、「栄養士」、「学士」、「代議士」等が挙げられていることが認められる。

ここにいう一定の資格に何が含まれるかについては、格別の制限が付されていないから、形式的には、国家資格(法令に根拠を有するもの)、民間資格(それ以外のもの)のいずれをも含み得ることになる。

しかし、末尾に「士」の付された名称の中で、一般国民にとって接する機会が多く、また、一般国民にとって知られている度合いの大きいものの多くは、上記「弁護士」、「栄養士」、「学士」をはじめ、税理士、建築士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、司法書士、行政書士など国家資格に係るものであり、その状態が古くから続いてきていることは、当庁において顕著である。

また、末尾に「士」の付された名称のうち、国家資格に係るものは、国家が公共の福祉その他政策上の目的のために国民の職業選択の自由を制限してでも一定の能力を有すると判定された者に限って一定の地位ないし権限を付与する必要があると認めて法令をもってそのように定めたものであり、そのために、国家資格に伴う地位ないし権限は、必然的に対世的かつ排他的なものとなる。これに対して、民間資格は、上記のような必要に基づくものでも、法令に根拠を有するものでもなく、したがって、また、対世的かつ排他的な地位ないし権限の付与を伴うものでもない。

このように、国家資格と民間資格とでは、一般国民に対して現実に果たしている役割の重要性において比較にならない相異がある。

これらの事情の下で一般国民は、末尾に「士」の付された名称に接した場合、一定の国家資格を付与された者を表していると理解することが多いのは当然のことである。

してみれば、本願商標は、上記した営業活動にともなう各種のリスクを最小のコストでくいとめる管理の意味を有する「危険管理」という語の末尾に「士」を付した場合、正しい資格名称及びその内容を具体的に認識していない一般の国民にとって、本願商標をその指定役務に使用するときは、該役務が取引者、需要者に国家資格を得た者の取り扱いに係る役務であるかのような印象をいだかせるものであり、国民の信頼を害し、社会公共の利益に反するものである。

なお、請求人(出願人)は、甲第4号証の1ないし甲第4号証の9(商標公報)を提出し、『「情報管理士」等「○○士」からなる商標は、登録されている。』旨主張するが、仮に、その中に他の登録例との関係において矛盾するもの等が存在するとしても、具体的事案の判断においては、過去の公告例等の一部の判断に拘束されることなく検討されるべきものであるから、前記請求人の主張は採用の限りでない

したがって、本願商標を商標法第4条第1項第7号に該当する、として拒絶した原査定は、妥当であって取り消す理由はない。

よって、結論のとおり審決する。

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