Trademark Appeal Case
「士」の資格誤認
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成9年審判第2796号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「特許診断士会」の文字を横書きしてなり、第42類「工業所有権に関する手続の事務,工業所有権に関する調査,商品の企画,商品の発明」を指定役務として、平成5年6月30日に登録出願されたものであるが、その後、指定役務については、平成9年2月17日付けの手続補正書をもって、「工業所有権に関する調査,商品の企画,商品の発明」と補正されたものである。
2 原査定の理由
原査定において、『本願商標は、「特許診断士会」の文字よりなるところ、商標中の「士」の文字は、「一定の資格、役割をもった者」を意味するものであり、世上一般には「学士」「弁護士」「博士」などのように国家資格を有する者を表すものとして認識されていることからずれば、これより特許(広義には工業所有権)権等の内容判断(例えば特許権等の取得可能性の判断)を行う公的資格者の機関と理解せしめるとみるのが相当であり、これをその指定役務について使用した場合、世人を欺くものとなり、商取引の秩序を害ずるおそれれがある商標といわざるを得ない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。』と認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、「特許診断士会」の文字よりなるところ、これは「特許診断士」の文字に団体の名称を表すものとして広く使用されている「会」の文字を結合させてなる商標と認められるものである。
しかして、その構成中前半部の「特許診断」文字よりは、特許(広義には工業所有権)権等に関する内容(例えば特許権等の取得可能性)をしらべて判断することを認識、理解させることは原審説示のとおりである。
さらに、角川最新漢和辞典(昭和50年12月20日初版発行)、広辞苑(第5版 1998年11月11日発行)によれば、語の末尾に「士」の付された語の通常の意味は、「一定の資格や特別の職業をもつ人」、「一定の資格を持った者」、「一定の職業、または資格のある人」などといったものであり、その用語例として、「弁護士」、「栄養士」、「学士」、「代議士」等が挙げられていることが認められる。
ここにいう一定の資格に何が含まれるかについては、格別の制限が付されていないから、形式的には、国家資格 (法令に根拠を有するもの)、民間資格(それ以外のもの)のいずれをも含み得ることになる。
しかし、末尾に「士」の付された名称の中で、一般国民にとって接する機会が多く、また、一般国民にとって知られている度合いの大きいものの多くは、上記「弁護士」、「栄養士」、「学士」をはじめ、税理士、建築士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、司法書士、行政書士など国家資格に係るものであり、しかも、その状態が古くから続いてきていることは、当庁において顕著である。
また、末尾に「士」の付された名称のうち、国家資格に係るものは、国家が公共の福祉その他政策上の目的のために国民の職業選択の自由を制限してでも一定の能力を有すると判定された者に限って一定の地位ないし権限を付与する必要があると認めて法令をもってそのように定めたものであり、そのために、国家資格に伴う地位ないし権限は、必然的に対世的かつ排他的なものとなる。これに対して、民間資格は、上記のような必要に基づくものでも、法令に根拠を有するものでもなく、したがって、また、対世的かつ排他的な地位ないし権限の付与を伴うものでもない。
このように、国家資格と民間資格とでは、一般国民に対して現実に果たしている役割の重要性において比較にならない相異がある。
これらの事情の下で一般国民は、末尾に「士」の付された名称に接した場合、一定の国家資格を付与された者を表していると理解することが多いのは当然のことである。
してみれば、本願商標は、正しい資格名称及びその内容を具体的に認識していない一般の国民にとって、本願商標をその指定役務に使用するときは、「特許診断士」を会員とする団体を認識、想起させるものというのが相当であり、該役務が取引者、需要者に国家資格を得た者の取り扱いに係る団体の役務であるかのような印象をいだかせるものであって、国民の信頼を害し、社会公共の利益に反するものである。
なお、請求人(出願人)は、商標公報48通を提出し、「過去の登録例よりしても登録されるべきである。」旨主張するが、仮に、その中に他の登録例との関係において矛盾するもの等が存在するとしても、具体的事案の判断においては、過去の公告例等の一部の判断に拘束されることなく検討されるべきものであるから、前記請求人の主張は採用の限りでない
したがって、本願商標を商標法第4条第1項第7号に該当する、として拒絶した原査定は、妥当であって取り消す理由はない。
よって、結論のとおり審決する。
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