Trademark Appeal Case
著名商標への付加文字の類否判断
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2000−90797(T2000−90797/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4379913号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成11年6月23日に登録出願され、「E・F・I・L・A」と「エフィラ」の文字を二段に併記してなり、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同12年4月28日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立て〔申立番号01〕の理由
本件商標は、昭和52年11月7日に登録出願され、「フィラ」と「FILA」の文字を二段に併記してなり、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、同58年5月26日に設定登録されている登録第1587837号商標、同じく昭和54年8月28日に登録出願され、別記(1)に示す構成よりなり、第24類「おもちゃ、人形、娯楽用具、運動具、釣り具、楽器、演奏補助品、蓄音機(電気蓄音機を除く)、レコード、これらの部品及び附属品」を指定商品として、同58年6月30日に設定登録されている登録第1597967号商標、同じく昭和54年8月28日に登録出願され、別記(2)に示す構成よりなり、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉およびその模造品、造花、化粧用具」を指定商品として、同60年3月25日に設定登録されている登録第1756792号商標及び昭和63年11月30日に登録出願され、別記(3)に示す構成よりなり、第22類「はき物(運動用特殊ぐつを除く)かさ、つえ、これらの部品及び附属品」を指定商品として、平成5年1月29日に設定登録されている登録第2498593号商標(以下、これらを一括して「引用商標」という。)を含む、登録異議申立人(以下、「申立人」という。)の所有する30件の登録商標と類似するものであり、かつ、両者の指定商品は抵触するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
また、引用商標は、申立人の商標として、取引者・需要者の間に広く認識されている商標であるから、本件商標をその指定商品に使用するときは、申立人若しくは申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如くその出所について混同を生ずるおそれがあるので、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
さらに、本件商標は、申立人の名称の著名な略称である「FILA(フィラ)」の文字に、単に「E」又は「エ」の文字を附加したに過ぎないものであるから、商標法第4条第1項第8号に該当する。
したがって、本件商標の登録は取り消されるべきである。
3 登録異議の申立て〔申立番号02〕の理由
本件商標は、前記2に示す引用商標と類似するものであり、かつ、両者の指定商品は抵触するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
また、引用商標は、イタリア在の「フィラ スポーツ ソチエタ ペル アチオーネ」(以下、「フィラ社」という。)の商標として、取引者・需要者の間に広く認識されている商標であるから、本件商標をその指定商品に使用するときは、フィラ社若しくは同社と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如くその出所について混同を生ずるおそれがあるので、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
したがって、本件商標の登録は取り消されるべきである。
4 本件商標に対する取消理由の要点
本件登録異議の申立て〔申立番号01〕における甲第31号証ないし同第41号証及び同〔申立番号02〕における甲第7号証ないし同第17号証によれば、引用商標は、申立人「フィラ社」若しくは「鐘紡株式会社」の業務に係る商品「眼鏡、ベルト、スポーツウエア、スポーツシューズ」等に使用する商標として、「フィラ」と称呼され、本件商標の登録出願時前には需要者の間に広く認識され、著名になっていたものと認められる。
しかして、本件商標は、「E・F・I・L・A」「エフィラ」の文字よりなるものであるところ、黒点を有する「E・F・I・L・A」が格別の意味合い有するとも認められないから、これよりは「EFILA」の文字よりなるものとして把握、認識されるというべきである。また、本件商標は、これを構成する文字は、全体として特定の意味合いを有するものとして一般に知られ親しまれているとは認められないものである。
してみれば、本件商標は、その構成中に「スポーツウエア、スポーツシューズ」等について使用され「フィラ」と称呼される著名な商標「FILA」を有するものといえるから、これに接する者は本件商標をして著名な商標「FILA(フィラ)」に「E」及び「エ」を付加したものと認識し、把握する場合も決して少なくないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、これをその指定商品に使用する場合、引用商標を連想、想起し、該商品が申立人又は申立人と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。
よって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してなされたものである。
5 商標権者の意見
(1)本件商標は、商標「FILA」「フィラ」やフィラ社の社名から採ったものではなく、本件指定商品の原料である「糸」の一種である「長繊維」の英語「FILAMENT(フィラメント)」(乙第1号証)の前半部の「FILA」「フィラ」と、この糸の開発記号「E」を付加して、「EFILA」「エフィラ」と名付けたもので、出願人が案出した造語商標である。
(2)本件商標は、英文字、片仮名文字ともに、同じ書体、同じ大きさの一体不可分の簡潔で短い態様で構成されていることから、殊更「FILA」「フィラ」の部分を取り出さなければならない特別の事情はないと考える。
引用商標や申立人の名称が著名であったとしても、著名であればあるほど、消費者、当業者に認識されているのは、あくまでも「FILA」及び「フィラ」であり.本件商標のようにその先頭に「E」及び「エ」が付加された商標に接しても、消費者、当業者は、著名商標「FILA」や「フィラ」が付された商品と混同することはありえない。
更に、著名商標「FILA」は、独特の図形化された態様であるから、これと本件商標とを混同することは尚更考えられない。
(3)以上のことは、「FILA」に他の文字が付加された商標が、あらゆる商品区分に多数、フィラ社以外の者に登録され使用されていることからしても明らかである。
6 当審の判断
本件商標は、前記構成のとおりであるところ、上段の「E・F・I・L・A」の文字は、各欧文字間に「・」(中黒)が配されてはいるが、全体として「EFILA」の文字よりなると容易に看取されるものであり、下段の「エフィラ」の文字は、該「EFILA」の読みを片仮名文字で表したということができる。また、本件商標を構成する「E・F・I・L・A」「エフィラ」の文字は、何ら特定の意味合いを把握できない造語よりなると認められるものである。
一方、引用商標は、本件登録異議の申立て〔申立番号01〕及び同〔申立番号02〕における各甲号証を総合すれば、フィラ社及び鐘紡株式会社が「スポーツウェア、スポーツシューズ、眼鏡、ベルト」等の商品に使用する商標として、本件商標の登録出願時には、既に取引者・需要者の間に広く認識され、著名になっていた事実を認め得るものである。
そして、前記の如く引用商標が著名であること、本件商標は全体として特定の意味合いを把握できず、欧文字部分の各文字間に「・」(中黒)を配してはいるが冒頭の「E」の文字を除けば、著名な引用商標「FILA」と同一綴り字であること、及び引用商標が付される商品「スポーツウェア、スポーツシューズ、眼鏡、ベルト」等と本件商標の指定商品は、共にファッション関連の商品であって、同一又は高い関連性がある商品であること等を併せ考慮すれば、本件商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者・需要者は、その構成中の「E(エ)」の文字を「F・I・L・A(フィラ)」の語頭に飾りが付されているにすぎないものである等と誤認して、その結果、著名な引用商標を連想、想起し、それがフィラ社及び鐘紡株式会社又は同人と何らかの関係がある者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものと判断するのが相当である。
なお、商標権者は、意見書において「本件商標は、フィラ社の社名から採ったものではなく、本件指定商品の原料である『糸』の一種である『長繊維』の英語『FILAMENT(フィラメント)』の前半部の『FILA(フィラ)』と、この糸の開発記号『E』を付加して、『EFILA(エフィラ)』と名付けたもので、出願人が案出した造語商標である。」旨主張しているが、たとえ本件商標の採択の意図が商標権者主張のとおりであるとしても、それによって前記の認定、判断が左右されるものではない。
さらに、商標権者は、「FILA」に他の文字が付加された商標の登録例を多数挙げているが、いずれも本件商標とは事案を異にするものであるから、これに基づく主張は採用の限りでない。
してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものとして、その登録を取り消すべきものとした先の取消理由(上記4)は妥当なものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、商標第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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