Trademark Appeal Case
著名商標の略称の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年異議第90032号 |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4188251号商標(以下、「本件商標」という。)は、商標の構成を後掲に示すとおり、モノグラム風図形と「LUIGI VALENTINO」の欧文字とし、指定商品を第24類「布製身の回り品,ふきん,敷き布,布団,布団カバー,布団側,毛布,まくらカバー」として、平成8年12月10日に登録出願、平成10年9月18日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由
本件登録異議申立人(以下、「申立人」という。)は、異議申立ての理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第62号証を提出した。
(1)本件商標は、「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)の著名な略称を含む商標であり、その承諾を得ずに登録出願されているものであるから、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものである。
(2)本件商標と商標登録第852071号(「VALENTINO」)及び商標登録第1415314号(「VALENTINO GARAVANI」)とは、称呼上、類似する商標であり、また、両者の指定商品は抵触するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(3)申立人の引用する「VALENTINO GARAVANI」、「VALENTINO」は、商品「婦人服、紳士服、ネクタイ、バンド、バッグ類」等に使用され、本件商標の登録出願の日前より著名であることは明らかであるから、本件商標を商標権者がその指定商品に使用した場合、その出所について混同を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
3 本件商標に対する取消理由の通知登録異議の申立があった結果、商標権者に対して示した本件商標の取消理由(平成13年11月20日付取消理由通知書)は、要旨次のとおりである。
<取消理由>
(1)「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)は、1932年イタリア国ボグヘラで誕生、17才の時パリに行き、パリ洋裁学院でデザインの勉強を開始し、その後フランスの有名デザイナー「ジーン・デシス、ギ・ラ・ロシュ」の助手として働き、1959年ローマで自分のファッションハウスを開設した。1967年にはデザイナーとして最も栄誉ある賞といわれる「ファッションオスカー(Fashion Oscar)」を受賞し、ライフ誌、ニューヨークタイムズ誌、ニューズウィーク誌など著名な新聞、雑誌に同氏の作品が掲載された。以来、同氏は、イタリア・ファッションの第1人者としての地位を確立し、フランスのサンローランなどと並んで広く知られる国際的デザイナーの一人と認められる。
(2)わが国において、「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)の名称(氏名)または標章(以下、「申立人商標」という。)は、前記1967年(昭和42年)のファッションオスカー受賞を契機に知られるようになり、同時にその製作・発表に係る作品群、すなわち、その取扱いに係る婦人服その他の衣料品、かばん類、はき物類ほかファッション関連各商品を表彰するいわゆるデザイナーズキャラクターブランドとして、ファッション関連雑誌、新聞等により屡々日本国内にも紹介されてきたことが認められる。また、この間、日本及び極東地区総代理店として昭和49年に設立された「株式会社ヴァレンティノヴティックジャパン」の事業展開と相俟っていわゆるヴァレンティノ(VALENTINO)製品の輸入、販売及びその広告・宣伝活動が活発に行われてきた状況を窺うのに十分である。
これら事情よりして、前記デザイナーの氏名ないしその作品群またはそれら取扱いに係る商品を表示する申立人商標は、わが国において、少なくとも昭和50年代前半においてすでにわが国の需要者一般に広く認識せられるに至ったいわゆる著名商標と認め得るものである。
(3)前記デザイナー名称または申立人商標は、一方において、前出新聞、雑誌の記事や見出し中において、単に「VALENTINO」または「ヴァレンティノ」の省略形または略称(以下、「略記商標」という。)をもって取り扱われている事実があり、ファッション関連分野において「VALENTINO」(ヴァレンティノ)といえば前記デザイナーに係る商品を表示するものとして、申立人商標と同様に需要者間に広く認識せられるに至ったものと認められる。
すなわち、当審において調査するに、申立人商標はわが国において、「VALENTINO」、「ヴァレンチノ」または「ヴァレンティーノ」の略記(略称)をもって取り扱われていることが田中千代著同文書院1981年発行「服飾辞典」、山田政美著株式会社研究社1990年発行「英和商品辞典」、金子雄司ほか著岩波書店1997年発行「世界人名辞典」の当該各項の記載に徴して認め得るところであり、このほか、女性雑誌等においても、たとえば、「marie claire」(マリ・クレール)1996年2月号、「non−no」(ノンノ)1989年12月号における当該記事の見出し表示等よりして、その状況が十分に窺われる。
(4)前述わが国への進出時期と前後する昭和43年頃から同49年にかけて、申立人会社は、「VALENTINO GARAVANI」または「VALENTINO」商標のわが国における使用権確保と他人による使用を排除すべく、被服、布製身回品、寝具類、はき物、装身具類、かばん類、宝玉類、喫煙用具その他いわゆるファッション関連各商品分野において商標登録出願を行い(爾後、商標登録済み。)、その後も引き続き関連商標について商標登録し権利確保を図ってきた状況が認められる。
以上、(1)ないし(4)の各点よりして、略記商標は、申立人商標と同様に、国際的デザイナーの一人に数えられる前記デザイナーまたは申立人会社に係る婦人服、紳士服等の衣料品、かばん類、宝玉その他装身具類、はき物類及び喫煙用具等の各商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時(平成8年)はもとよりそれ以前においてすでにわが国の需要者間において広く認識せられたいわゆる著名商標と認め得るものであって、その状況は本件商標の登録査定時である同10年9月18日の時日においてもなお同様であったものと認められる。
ところで、本件商標はその構成後掲のとおりのものであって、下段の文字部分はそれ自体独立して自他商品の識別標識として機能し得るものと認められる。そして、同文字部分は、視覚上左側の「LUIGI」と右側の「VALENTINO」とに分離して看取し得るばかりでなく、意味上においてこれら文字を常に一体のものとして把握しなければならないような特段の事情は見出せない。また、全14文字中9文字と視覚印象に占める割合も大きい部分というべき「VALENTINO」の文字部分は前記認定の略記商標と同一の文字綴りであり、かつ、その指定商品は申立人商標または略記商標の使用に係るハンカチ等の布製見回り品その他関連各商品を含むものと認められる。
そうすると、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する需要者は、前記各事情よりして、略記商標または申立人商標を容易に想起するとともに、その商品があたかも上記デザイナーまたは申立人会社ないしはその関連会社の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を来すおそれが少なからずあったとみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものといわざるを得ない。
4 当審の判断
本件商標についてした先の取消理由の通知(前記3)は妥当であって、その登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものといわざるを得ない。そして、商標権者は、この取消理由の通知に対して、所定の期間を経過するも、何ら意見を述べていない。
してみれば、本件商標の登録は、商標法第43条の3第2項により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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