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Trademark Appeal Case

指定商品と使用の範囲

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2000−31149(T2000−31149/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第2038972号商標の指定商品中「織物(テープ、リボン、および畳べり地を除く)、編物」については、その登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第2038972号商標(以下「本件商標」という。)は、「JAPANESQUE」及び「ジャパネスク」の文字を2段に書してなり、昭和55年10月16日に登録出願、第16類「織物、編物、フエルト、その他の布地」を指定商品として同63年4月26日に設定登録がされ、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。

(1)請求理由

請求人が調査したところ、本件商標が、過去3年間に日本国内で、商標権者、専用使用権者または通常使用権者によって、その指定商品中「織物(「テープ」「リボン」および「畳べり地」を除く。)、編物」について使用された事実を発見することはできなかった。

よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、織物(「テープ」「リボン」および「畳パリ地」を除く。)、編物」について取り消されるべきものである。

(2)答弁に対する弁駁

(イ)「織物」であると共に「テーブル掛け」(屋内装置品用布製品)にも使える商品との主張について

先ず、請求人は、本取消審判請求事件とは別に被請求人の有する登録第1635687号商標(第20類)についても商標登録取消審判(取消2000−31148号)を請求しているが、当該取消審判事件の答弁書で商品「テーブル掛け」の使用事実を証する証拠として提出された「商品の写真」及び「売上伝票のコピー」と同一というべきものが、本請求事件の答弁において提出されていることに驚きを禁じ得ない。

売上伝票における「都古布 別注テーブルセンター」の「都古布」の表示部分を以って「織物」と主張されているものと推察する。この「都古布」の表示は、最終製品たる「テーブルセンター」自体の“原材料・品質”を表示したにすぎないものであるにも拘わらず、半製品たる「織物」でもある、という矛盾した主張がなされている。

このような論理が許されれば、例えば「絹 別注スカーフ」や「ポリエステル 別注ズボン」もまた「織物」であり、「木綿 別注鞍」もまた「織物」ということになる。

そして、被請求人がその根拠としているのは、乙第3号証に示された二−ス協定の一般的注釈の(b)における「完成品が複数の用途を有する複合物(例えば、ラジオ付き時計)である場合には、各機能又は各用途に対応するいずれの類にも分類することができる。」という規定であり、これを以って、「商品の(複数の用途を有する複合物)のダブル所属が認められている」と主張されている。

しかるに、その「ニース協定の一般的注釈の(b)」は、乙第3号証に記載の如く「(1)ある商品を類別表又はアルファベット順の一覧表に従って分類することができない場合には、次の(a)から(f)までの基準を適用して分類する。」という前提のあることには何ら言及されていない。「アルファベット順の一覧表」のリストを見れば、「テーブル掛け」即ち「Table cloths 〔not of paper〕 テーブルクロス」が第24類に分類されている(甲第1号証) 。

しかも、請求人が理解できないのは、何故唐突に「ニース協定」の規定が引用されたのかという点である。本件商標の出願日は昭和55年10月16日であるが、我が国で国会承認の後「ニース協定」に加入したのは、その出願日より9年3ヶ月も後の平成2年2月20日のことであり、この協定に基づく国際分類が施行されたのは平成4年4月1日ではなかったでしょうか。

即ち、被請求人による、「織物」であると共に「デーブル掛け」(屋内装置品用布製品)にも使える商品との主張には、全く根拠を見出し得るものではなく、従って、提出された乙第1号証ないし同第3号証の各証拠は、本件商標が「織物」について使用された事実を示す証拠たり得ないものである。

(ロ)被許諾人について

被請求人は「株式会社電通恒産」に通常使用権の許諾を与えたことになっているが、それが書面によるものであるとした場合その書面の提出もなく、また、口頭によるものであるとした場合も証明書等の提出はなされていない。

まして、答弁書及び証拠書類において「株式会社電通恒産」の住所等さえ明らかにされておらず、被請求人は、使用許諾事実の存在自体の証明をなし得ていないものと言える。

また、被許諾人が「株式会社電通恒産」であり同社によって使用されているとの主張であるにも拘わらず、その証拠として提出された売上伝票の宛名は「株式会社電通恒国産サービス」と記載されている。しかも、売上伝票の宛名たる「株式会社電通恒産サービス」についても、その住所の特定できるものさえない。

さらに、「株式会社電通恒産サービス」を宛名とする売上伝票を、「株式会社電通恒産」の使用事実の証拠として主張する限りは、「株式会社電通恒産サービス」と「株式会社電通恒産」とが少なくとも実質的に同一法人である旨の立証がなされるべきところであるが、その同一性の立証もなされてはいない。即ち、被請求人の提出した答弁書及び証拠書類は、使用許諾事実の存在と、何処の何人によって本件商標が使用されたがについて何ら証明してはいない。

(ハ)売上伝票(乙第2号証)について

被請求人によって示された使用(取引)事実は、乙第2号証の売上伝票記載の平成11年12月3日になされた僅か1回のみにすぎない。そうすると、僅か1回のみの使用にすぎないだけに、その使用事実の証拠は、合理的かつ疑う余地のないものでなければならない。

しかるに、提出された「売上伝票」は、手書きされたものであり、「ふろしき,和袋小物」をはじめ「祝儀用品」等幅広い商品を取り扱われている「株式会社ヤタ二」にあって、販売当時コンピュータ会計を末導入であったとは考えにくいところである。そして売上に伴う「請求書(控)」の写しの提出さえなされておらず、担当者(伝票作成者)の処理印も押されていない。

また売上の相手方たる「株式会社電通恒産サービス」(「株式会社電通恒産」)側保管の「納品書」及び「請求書」も提出されていない。

1回のみの取引であっても、上記した如くその事実を合理的・客観的に立証し得る証拠に事欠くものではないが、被請求人によって提出されたのは、僅かに1回の取引を示した手書きの売上伝票のみにすぎない。

即ち、「都古布 別注テーブルセンター」の取引事実の証拠として提出されたものは、白紙伝票1枚あれば本日でも作成可能と言えるにすぎないものであり、この売上伝票を以って当該取引が本件審判請求予告登録前3年内になされたことを立証したとは到底言い得るものではない。

(ニ)商品の写真(乙第1号証)について

先ず、この写真の撮影日が本件審判請求の予告登録(平成12年10月20日)より後の平成12年12月16日であるという点において、写真中のテーブル掛けが予告登録前3年内に存在したとの事実に疑義があり、これを証するものは提出されていない。ましてや、写真に示されたテーブル掛けが該態様で上記3年内に販売されたという事実が証明されている筈もない。

次に、乙第1号証と同第2号証との関係を考察するに、両証拠は何の脈絡もなく提出されているにすぎず、「商品の写真」中のテーブル掛けが、売上伝票の品名欄に括弧書きされた「ジャパネスク」と同一である旨の証明もなされていない。

また、「商品の写真」のどこを探しても、「製造者」或いは「販売者」の表示を発見することはできず.該商品が、被請求、被許諾人或いは株式会社ヤタニの商品であるとする何らの証拠も見出すことはできず、「品名」「品質(組成表示)」「サイズ」「取扱い表示」さえ明らかにされていない商品である。

このような漠然たる商品であり証拠写真であるからこそ、「織物」であると共に「テーブル掛け」(屋内装置品用布製品)にも使える商品の如き答弁がなされる訳である。

そして、写真中の「japanesque」の文字の使用部分については、拡大写真も添付されておらず、また該文字部分の周辺と地模様とは異なっており、ラベルやシール等が貼られた形跡が見られる。

もちろん、ラベルやシール貼付も商標使用の一方法であるから、そのような方法によるものであれば、その「ラベル」「シール」が提出されるべきである。それが印刷業者によって作成されたものであるなら、「納品書」「請求書」「領収書」も提出は可能であるところ、それらの添付もない。

即ち、「商品の写真」は単なる写真にすぎないものであり、本件商標の使用事実を裏付ける証拠としての価値は皆無と言わざるを得ない。

(ホ)本件商標の使用者について

前記の如く、本件商標の使用事実の立証については、かなりの無理があり矛盾に満ちており、さらに重大な矛盾が含まれている。

被請求人によれば、通常使用権の使用許諾を受けたのが「株式会社電通恒産」であり、その「株式会社電通恒産」によって本件商標の使用がなされた旨明記されており、その取引事実の唯一の証拠として売上伝票が提出されている。宛名が「株式会社電通恒産サービス」という点の問題は上記のとおりであるが、この点を差し置いてもなお問題が残る。

この取引においては、販売者が「株式会社ヤタニ」であり、購入者が「株式会社電通恒産サービス」であることは明らかである。ここにおいて、(百歩譲って)伝票上の「ジャパネスク」を商標の使用とすれば、その使用者は「株式会社ヤタ二」というよりほかはない。

もちろん、取引市場では「OEM」による商品供給という販売方法もある。しかし、売上伝票における取引がそのような「OEM」取引に該当するものであるならば、相応の証拠が示されなければならない。

即ち、「株式会社ヤタ二」によって販売された26個の「都古布 別注テーブルセンター」が、「株式会社電通恒産サービス」を経由して「株式会社電通恒産」の「japanesque」ブランドとして、第三者へ販売された証拠が不可欠ということである。しかるに、そのような証拠は一切提出されておらず、「OEM」取引である旨の説明さえなされていない。

従って、仮に売上伝票が商標の使用事実を示すものであっても、これが「株式会社電通恒産」による使用事実を示すものと言い得ない。

上記のとおり、被請求人によって提出された乙第1号証ないし同第3号証の全証拠を検証するに、これらを以って、その主張するところの被許諾人たる「株式会社電通恒産」が、本件商標を「継続して3年以上日本国内において“織物”について使用した」との立証がなされたとは到底認められるものではない。

3 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は、請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び弁駁に対する答弁を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第5号証を提出した。

(1)答弁

本件商標に関し、被請求人から通常使用権の許諾を受けた「株式会社電通恒産」により、請求に係る指定商品「織物」であると共に「テーブル掛け」(屋内装置品用布製品)にも使える商品に登録商標「Japanesque」を乙号証に示す写真の通り、平成11年12月3日(売上伝票)当時には使用されており、本件審判請求前3年以内の使用であり、商標法第50条に定める取消の要件を充足せず、本件審判は成り立たないものである。

なお、ニース協定の一般的注釈の(b)には、「完成品が複数の用途を有する複合物(例えば、ラジオ付き時計)である場合には、各機能又は各用途に対応するいずれの類にも分類することができる。」と規定され、商品の(複数の用途を有する複合物)のダブル所属を認めており、これに該当するものと確信する(乙第3号証)。

以上の事実を示す証拠として、平成11年12月3日(売上伝票)当時使用の商品と同じ「商品の写真」(平成12年12月16日/代理人撮影)と「売上伝票」(株式会社ヤタニより株式会社電通恒産宛)を各乙号証として提出しており参照されたい。

(2)弁駁に対する答弁

(イ)ニース協定について

ある使用商品が、2種の商品の区分に属することについては東京高裁の判例の是認するところである(昭和60年5月14日東京高裁 昭和57年(行ケ)第67号)。

ニース協定の例は、商品の所属の解釈の一例を示したもので、この解釈の妥当性を指摘したものである。

(ロ)商標の使用者について

商標の使用者は、「株式会社電通恒産サービス」とすべきところを「株式会社電通恒産」とした答弁書の誤記である。

証拠として提出した乙第2号証の表示のとおりであり、「株式会社電通恒産サービス」と訂正する。

(ハ)商標の使用について

通常使用権の法的性格は、権利者より商標権侵害として攻撃を受けることのない抗弁的性格の法的利益と解される。

したがって、権利者がその使用を是認するであろう者の使用行為の黙認は「黙示の許諾行為」があったと解釈することができるものである。通常「親会社」が関連会社に商標の使用を是認する場合、個別に商標の使用許諾書を発行するようなことをしないのが一般である。むしろ、親会社が商標を所有する場合、その子会社・関連会社は、親会社の権利の笠の下で使用するのが一般であり、「黙示の許諾行為」があったと解すべきである。

そうであるとすると、「株式会社電通恒産サービス」は、権利者であり親会社の「株式会社電通」よりの「黙示の許諾行為」により商標の使用をしていたのである。

「株式会社電通」の場合、局レベルでの指導がなされており、当時は、局の指導により、不使用対策・更新対策(法改正を知らず)の為に積極的に「ジャパネスク」「JAPANESQUE」の商標の使用を推奨していたのである。

(ニ)伝票について

請求人は伝票関係のかなりの書類を提出すべきことを述べているが、商標法第50条の不使用取消の審判における証明の為の証拠としては十分である。

(ホ)商品写真について

請求人は予告登録前から3年前の間に撮影された写真を求めているが、通常は無理な話である。審判請求後で答弁書提出の期限前に当時取引されていた商品と同じ商品の写真を撮影し提出するのが一般である。

また全ての商品に「製造者」等が明記されているわけではなくそのような表示の有無は関係のないことである。

4 当審の判断

(1)被請求人が本件商標の使用について提出した乙各号証によれば、以下の事実を認めることができる。

乙第1号証は、「JAPANESQUE」の文字を化粧箱の蓋面に表し、その化粧箱中に「模様をあしらった布製品」を収納した状態が示された写真とその拡大の写真2葉、同布上の草花及び雲の模様を描出してなる面を表側にして木製の長机上に広げた写真1葉、及び同布の裏地、即ち表側から折り返し縫代をとり、そこに白色の裏地をつけた縫製加工状態がみえる側を木製の長机上に広げた写真1葉である。

乙第2号証は、売上伝票の控えと認められところ、その表示項目として「売上伝票控え」、同伝票発行日の「平成11年12月3日」(ゴム印の日付もある)、発行者である「株式会社ヤタニ」の商号及び同社の本店、支店の「住所・電話番号」、宛先の「株式会社電通恒産サービス様」、得意先コード番号「732756」、品番コード「2123999」、品名欄には「(ジャパネスク)都古布 別注テーブルセンター(化粧箱入り)」、数量「26」、同じく「(ジャパネスク)都古布 別注テーブルセンター 知恵袋セット(化粧箱入り)」、数量「5」、他に決裁欄(決裁印はない)単価、金額、消費税、総合計金額が記載され、そして「株式会社ヤタニ」、「その住所電話番号」及びその他の印刷された項目事項以外は、その項目内容が手書きされているものである。

乙第5号証は、「株式会社電通恒産サービス」のウェヴサイトホームである。

(2)まず、使用に係る商品についてみると、商品写真に示されている商品は、最終製品と看取される加工状態、織物の販売に際して浅底の化粧箱が使用されていること及び売上伝票控え中の「別注テーブルセンター(化粧箱入り)の記載に徴し、「テーブル掛け」とみるのが相当である。

被請求人は、これを「織物」であると共に「テーブル掛け」(屋内装置品用布製品)にも使えるとしているところ、同一の物品でも目的、用途により別異な商品として扱われることはあり得るとしても、売上伝票控え中の「都古布」の表示をもって直ちに「織物」として販売されたとも認定し難いものである。

次に、売上伝票控えについてみると、該伝票は、「株式会社ヤタニ」から「株式会社電通恒産サービス」宛に発行された売上伝票控えであると認められる。

しかして、該伝票控えは、その表示全体からすると「株式会社ヤタニ」が本件商標に関する商品を「株式会社電通恒産サービス」に販売した取引書類と理解され、「株式会社ヤタニ」によって本件商標が使用されたことを示すものとみるべきである。そして被請求人は、この点に関する請求人の指摘に対しても、単に本件商標の使用証明として十分と述べるのみで、これを覆す反論及び証左も示していない。

以上のことからすると、商品写真及び売上伝票控えからは、それに表示された商品が「織物」であること、及び被請求人のいう黙示の許諾者で本件商標に関する通常使用権者であるとする「株式会社電通恒産サービス」と件外「株式会社ヤタニ」との間で本件商標に係る商品がどのように関係し、販売したか不明であって、結局、化粧箱表面上の「JAPANESQUE」の文字と売上伝票控え中の「ジャパネスク」の文字が欧文字と片仮名文字の差であって称呼が一致するが、そのこと限りをもってしては、本件商標が通常使用権者であるとする「株式会社電通恒産サービス」が如何なる取引で使用したか明らかなものとはいえない。

してみれば、本件商標は、審判請求の登録前3年以内に、社会通念上同一と認められる商標を、その指定商品中の請求にかかる商品の「織物(「テープ」「リボン」および「畳べり地」を除く。)、編物」について使用しているものと認めることができない。

(3)したがって、本件商標は、その指定商品中、結論掲記の指定商品についての登録を商標法第50条の規定により取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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