sokuhyo

Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2001−35197(T2001−35197/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4344417号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4344417号商標(以下、「本件商標」という。)は、後掲のとおりの構成よりなり、平成10年8月28日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同11年12月17日に設定登録されたものである。

第2 請求人の引用商標

請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第434141号の1商標は、「プラス」の片仮名文字を縦書きしてなり、昭和26年11月28日に登録出願、第1類「化学品、薬剤及び医療補助品」を指定商品として、同28年10月31日に設定登録、その後、同51年12月8日、同58年11月28日及び平成5年10月28日の三回にわたり商標権存続期間の更新登録がされたものであるが、商標権の分割移転があった結果、現在では、第1類「化学品、薬剤及び医療補助品、但し、化学品を除く」を指定商品とするものである。同じく、登録第2098289号商標は、「PLUS」の欧文字を横書きしてなり、昭和60年7月18日に登録出願、第1類「薬剤」を指定商品として、同63年11月30日に設定登録(以下、これらを一括して「引用商標」という。)、その後、平成10年11月24日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。

第3 請求人の主張

1 請求の趣旨

結論同旨の審決を求める。

2 請求の理由

請求人は、証拠方法として、甲第1号証ないし同第17号証(枝番号を含む。)を提出し、その理由を以下のとおり述べた。

本件商標は、「新V.ロートプラス」と表示してなるものであるが、「新」「V.」「ロート」「プラス」の文字は、それぞれ大きさ、間隔等が異なるものであり、特に「プラス」の文字部分は、他の文字部分に比べて小さな文字よりなるものであるから、外観上容易に分離されうるものである。また、本件商標を観念上よりみた場合も、「新V.ロートプラス」が全体として一つの意味を生じる熟語を形成するものでもなく、これが常に一連に称呼・観念されるという特別の事情は見当たらない。むしろ、本件商標を構成する文字の「新」は商品の品質を、「V.」は商品の品番、型式等を表すものと理解され、「ロート」は出願人商号の著名な略称よりなるものであるから、これらの文字部分と「プラス」の文字部分とは観念上も分離され、「プラス」の文字部分が個別の商品商標と理解されるものである。更に、称呼上も、「シンブイロートプラス」と長音を含め10音と冗長なため、簡易迅速を尊ぶ取引業界においては略称されることが十分に考えられるものである。

本件商標中の「ロート」は、医薬品、特に「目薬」について、我が国において周知・著名となっている被請求人の代表的出所標識である。日本医薬品集には、該「ロート」印の目薬が11品目掲載(甲第4号証)されており、本件商標中の「プラス」は「ロート」印の品目中の一つ「プラス」印の商品を指称するものとして機能している。したがって、本件商標が単に「プラス」と略称されて取引にあたる場合も決して少なくない。

過去の判断例として「トクホンラブ」(甲第5号証)、「健康科学/ヤクルト」(甲第6号証)、更に、商標の構成中の「プラス」「PLUS」が分離され、類似すると判断された例(甲第7号証乃至同第10号証)を示す。 本件商標がこれと異なった判断をされなければならない理由がないから、本件商標からは、「プラス」の称呼を生じること明らかである。

なお、本件商標中「プラス」の文字部分は、その指定商品との関係においても十分識別力を有するものであることは、異議決定でも説示されている(甲第11号証)。

また、「プラス」は、訴訟事件において、「『プラス』の語は、『加える』『付加する』『付加したもの』といった観念を有し、商品の種類・内容等とは本来直接関係のない語であって、被告標章において自他商品識別機能を有する要部は、『プラス』にあるものというべきである」と判示されている(甲第17号証)。現に、「プラス」「PLUS」の文字よりなる商標は、各種の商品について商標登録されている(甲第12号証)。加えて、本件商標の指定商品「薬剤」関係の業界においても、大手医薬品メーカーは、「プラス」「PLUS」の商標の識別性について争うことなく、使用許諾契約に基づいて使用しているものである(甲第13号証及び同第14号証)。

また、請求人は、商標「プラス」「PLUS」は、請求人所有に係る登録商標であり、これらに類似する商標を無断で使用すべきでない旨の謹告・広告を定期的に紙上に載せている(甲第15号証及び同第16号証)。

請求人と被請求人は、「プラス」の使用許諾に関する契約を締結しており、甲第13号証及び同第14号証から明らかなとおり、本件商標を使用している「目薬」が使用許諾契約の下で使用している商品であって、いわゆる「プラス」ブランドであることを示す新聞広告も行っている。このような状況下において、本件商標の登録が維持されるとすれば、これはむしろ当業界の取引秩序を乱すおそれがあることは明白であるから、本件商標は商標法制定の趣旨からも当然、その登録を無効にされるべきものである。

本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似のものである。

以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、同法第46条第1項第1号により無効にすべきものである。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、答弁しない。

第5 当審の判断

本件商標は、後掲のとおり、細線の矩形輪郭内に「新」の漢字を表したものを左端に配し、この右側に大きな「V」の欧文字(ぽつ「.」を帯有してなる。)を顕著に表し、これに続く「ロート」の片仮名文字を中ぐらいにして、さらに、その右にやや小さい「プラス」の片仮名文字を配し、全体として、「新V.ロートプラス」の文字よりなるものであるところ、これが常に一体のものとして把握されなければならない特段の事情は見出し得ない。

そして、本件商標を構成する文字の「新」は商品の品質を、「V.」は商品の品番、型式等を表す簡単、かつ、ありふれたものと理解され、「ロート」は出願人商号の著名な略称よりなるものであるから、これらの文字部分と「プラス」の文字部分とは、観念上も分離され得るものであるばかりでなく、その構成からも、「プラス」の文字が他の文字に比して小さく表されてなるところから、外観上容易に分離されうるものというべきである。

また、「プラス」は、「加える」「付加する」「付加したもの」といった意味を有し、商品の種類、内容等とは、直接関係のない語であって、それ自体十分に自他商品識別機能を果たし得るものであるから、本件商標にあっては、「新V.ロート」或いは「V.ロート」シリーズの一つ「プラス」印の商品を示すものと看取され、個別の商品商標と理解されるものであると認められる。

してみれば、本件商標よりは、全体より生ずる「シンブイロートプラス」の称呼のほか、該「プラス」の文字に照応する、単に「プラス」の称呼をも生ずるものというを相当とする。

他方、引用商標は、それぞれの構成に照らして、「プラス」の称呼を生ずるものであること明らかである。

そうとすれば、本件商標と引用商標とは、同一の「プラス」の称呼を生ずるものであり、その称呼において、かれこれ相紛れるおそれのある類似する商標である。

また、本件商標が「薬剤」を指定商品とするものであるのに対し、引用商標は、その指定商品中に「薬剤」を含むか又は「薬剤」を指定商品とするものであるから、本件、引用の両商標は、同一又は類似する商品を指定商品とするものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。