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Trademark Appeal Case

「ハイ」の識別力と称呼類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2001−35226(T2001−35226/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4385638号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4385638号商標(以下「本件商標」という。)は、標準文字により「ハイパント」の文字を横書きしてなり、平成11年6月3日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同12年5月26日に登録されたものである。

2 引用商標

請求人が引用する登録第第3253250号商標は、「Panto」の文字を横書きしてなり、平成6年5月17日に登録出願、第5類「薬剤,包帯」を指定商品として、同9年1月31日に登録されたものであり、同じく登録第3253251号商標は「パント」の文字を横書きしてなり、平成6年5月17日に登録出願、第5類「薬剤,包帯」を指定商品として、同9年1月31日に登録されたものである。

3 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第8号証(枝番号を含む。)を提出している。

(1)請求人は、本件商標と商標が類似し、指定商品も抵触する先出願、先登録の登録第3253250号商標及び登録第3253251号商標(以下「引用商標という」)を所有している。

したがって、本件商標の存在は、請求人にとって不利益となることは明らかであるから、請求人は、本件審判を請求することにつき利害関係を有するものである。

(2)商標の類似について

本件商標は、「ハイパント」の片仮名文字を書してなるものであるから、その構成文字に相応して「ハイパント」の称呼が生じること明らかである。

これに対して、前記した引用商標は、いずれもその構成文字に相応して、「パント」の称呼が生じること明らかである。

そこで、本件商標より生じる「ハイパント」と引用商標より生じる「パント」を比較するに、本件商標中の「ハイ」の部分は英語の「High」又は「hi」に通じる「高い、高価な、高級な、高速の、高性能の」等の意味を表す「ハイ」の表音であり、商品表示の高級感を表すのに、この種業界において近年特に頻繁に使用されるところであるから、本件商標の自他商品識別標識とする部分は、「パント」にあるとするのが相当である。

ところで、本件商標中の「パント」が親しまれた観念を有するものではなく、いわば造語に等しい語であってみれば、「ハイ」の結合性が少なく、より一層「パント」印の高級品、又は、1ランク上の商品であると観念し、本件商標は、語頭の「ハイ」の部分を省略して「パント」をもって取引されるところである。

そうとすれば、本件商標と引用商標とは「パント」の称呼を共通にし、彼此聞き誤るおそれれがある類似の商標というべきである。

また、両者の指定商品も互いに抵触するものである。

なお、特許庁の審判事例においても、商標中「ハイ」(High又はhi)の部分を前記のように商品の品質表示と認め類似と認定されている事例が多数見受けられるところであり、これらの審決例からも上記主張は是認されるものと確信する。

更にまた、この種業界においては、甲第4号証の1ないし10において示す如く、商品の改良または商品イメージを新鮮にし、一層の高級感を印象づけるため、原商標の語頭に「ハイ」の文字を冠して使用する事例も通常数多く見受けられるところである。

(3)本件商標の著名性について

本件商標を使用の薬剤は、甲第4号証ないし甲第8号証において示すごとく、昭和49年8月9日に製造承認され、昭和50年2月4日から販売を開始し、現在も継続使用中である。ちなみに近年の実績を列挙すると、昭和63年度に売上高を金25百万円とし、平成元年度金21百万円、平成2年度金20百万円、平成3年度金18百万円、平成4年度金18百万円、平成5年度金17百万円、平成6年度金19百万円、平成7年度金25百万円、平成8年度金27百万円、平成9年度金31百万円、平成10年度金31百万円、平成11年度金28百万円及び平成12年度金28百万円と常時高収益を維持し、その実績を積み重ね現在に至っているところである。

また、甲第6号証ないし甲第8号証において示すごとく、パント錠パッケージ(300錠)の製造実績平成11年7月より13年3月までの30,029個の証明書とパッケージ及び能書見本を添付し立証する。

このように、長年使用している商標であり、その結果需要者間に良く知られるに至った商標である。

殊に本件商標に係る商品は、「栄養剤、滋養強壮剤」として一般需要者に親しまれている大衆商品であってみれば、なお一層需要者が「パント」に注目し「ハイ」の部分が品質を表すものと認識するところである。

そうとすれば、本件商標をその指定商品に使用するときは、あたかも、引用商標を取り扱う請求人の新商品(改良品)かあるいは姉妹品であるがごとく認識し、商品の出所の混同を生じるおそれが十分にあるものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及同第15号の規定に違反して登録されたものというべきであるから、この登録は、商標法第43条の2第1項(「商標法第46条第1項」とすべきところ、誤記したものと認める。)の規定により無効とされるべきである。

4 被請求人は、何ら答弁をしない。

5 当審の判断

本件商標は、「ハイパント」の文字よりなるところ、甲第4号証によれば、薬品業界においては、商品の高級感を表すため、あるいは上級位の商品であることを暗に示すために「高級な」の意味を有する語である「ハイ」を商標の先頭部分に付加して商標として採択使用する場合が少なからずあるものと認められる。

また、甲第5号証ないし甲第8号証によれば、請求人は、引用商標と実質的に同一といえる「パント錠」また「PANTO」の文字よりなる商標を長年にわたり大衆薬に使用してきた事実が認められる。

そして、以上の事実を総合すれば、本件商標をその指定商品である「薬剤」に使用するときは、本件商標の「パント」の文字部分が主要な識別標識部分として需要者に認識される場合が少なくないとみるのが相当であるから、本件商標は、この文字部分に相応する単なる「パント」の称呼をも生ずる商標というべきである。

一方、引用商標は、その構成文字からして、いずれも「パント」と称呼されることは明らかである。

そうすると、本件商標は、引用商標と同一の「パント」の称呼を生ずる類似する商標といわざるを得ない。

また、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品に含まれる商品である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。

よって、結論のとおり審決する。

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