結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2000−35005(T2000−35005/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4167833号商標(以下「本件商標」という。)は、平成7年8月21日に登録出願され、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),乗馬靴」を指定商品として、同10年7月17日に設定登録されたものである。
請求人は、本件商標の登録無効の理由として下記の登録商標を引用している(以下、これらの商標をまとめて「引用商標」という。)。
(a)昭和48年4月26日に登録出願され、別掲(2)に示すとおりの構成よりなり、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」を指定商品として、同52年4月11日に設定登録された登録第1263242号商標
(b)出願日、商標の構成を(a)と同じくし、第22類「はき物、その他本類に属する商品」を指定商品として、同53年1月10日に設定登録された登録第1318710号商標
(c)出願日、商標の構成を(a)と同じくし、第21類「ボタン類、袋物、宝玉、造花、その他本類に属する商品」を指定商品として、同53年1月10日に設定登録された登録第1318709号商標(但し、指定商品については、その後、「模造宝玉及び人造宝玉」について放棄する旨の登録が昭和56年11月9日になされている。)
(d)昭和59年10月8日に登録出願され、商標の構成を(a)と同じくし、第23類「時計、眼鏡、これらの部品および附属品」を指定商品として、同63年8月29日に設定登録された登録第2071356号商標
(e)出願日、商標の構成を(a)と同じくし、第4類「せつけん類(薬剤に属するものを除く)歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類」を指定商品として、同52年7月20日に設定登録された登録第1285553号商標
(f)出願日、商標の構成を(a)と同じくし、第16類「織物、編物、フエルト、その他の布地」を指定商品として、同52年12月2日に設定登録された登録第1314571号商標
(g)昭和53年9月6日に登録出願され、別掲(3)に示すとおりの構成よりなり、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、模造宝玉、造花、化粧用具」を指定商品として、同57年8月27日に設定登録された登録第1531366号商標(但し、指定商品については、その後、「貴金属及び宝玉から成る装身具」について放棄する旨の登録が昭和58年2月14日になされている。)
(h)昭和54年1月29日に登録出願され、商標の構成を(g)と同じくし、第22類「はき物(運動用特殊ぐつを除く)かさ、つえ、これらの部品及び附属品」を指定商品として、同59年11月27日に設定登録された登録第1727592号商標
(i)平成4年8月18日に登録出願され、商標の構成を(g)と同じくし、第18類「皮革,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,愛玩動物用被服類」を指定商品として、同7年12月26日に設定登録された登録第3106543号商標
(j)昭和54年1月29日に登録出願され、商標の構成を(g)と同じくし、第4類「せつけん類(薬剤に属するものを除く)歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類」を指定商品として、同60年9月27日に設定登録された登録第1806610号商標
(k)平成6年8月26日に登録出願され、商標の構成を(g)と同じくし、第24類「織物,メリヤス生地,フェルト及び不織布,オイルクロス,ゴム引防水布,ビニルクロス,ラバークロス,レザークロス,ろ過布,布製身の回り品,ふきん,かや,敷き布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製壁掛け,織物製ブラインド,カーテン,シャワーカーテン,テーブル掛け,どん帳,遺体覆い,経かたびら,黒白幕,紅白幕,布製ラベル,ビリヤードクロス,のぼり及び旗(紙製のものを除く。)」を指定商品として、同9年6月27日に設定登録された登録第3326557号商標
(l)昭和57年10月13日に登録出願され、別掲(4)に示すとおりの構成よりなり、第22類「はき物(運動用特殊ぐつを除く)かさ、つえ、これらの部品及び附属品」を指定商品として、同60年9月27日に設定登録された登録第1811253号商標
(m)出願日、商標の構成を(l)と同じくし、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉およびその模造品、造花、化粧用具」を指定商品として、同62年2月25日に設定登録された登録第1932457号商標(但し、指定商品については、その後、「ボタン類、かばん類、袋物、宝玉(その模造品を除く)、造花、化粧用具」について放棄する旨の登録が平成9年9月5日になされている。)
(n)昭和58年6月3日に登録出願され、別掲(5)に示すとおりの構成よりなり、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)その他本類に属する商品」を指定商品として、同63年6月24日に設定登録された登録第2051383号商標
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第42号証を提出した。
本件商標は、黒塗りのアルファベットの「C」と思しき文字と、その文字を左向きにした白抜きの文字とを左右対称に背中合わせに−部を重ね合わせ、さらに逆V字状の図形を組み合わせてなる図形部分と、その図形の下に、図形部分より小さな文字で書かれた「ANNA CRISTINA」の文字部分とを組み合わせた構成からなる商標であるから、図形部分も、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得る部分であり、また本件商標における要部であると言える。
一方、引用商標は、同じくC字状の文字を左右対称に背中合わせに一部を重ね合わせた図形のみの構成からなる商標である。
両商標を比較してみると、本件商標の要部である図形部分と引用商標の異なる点は、逆V字状図形と組み合わさっている点のみであり、あとは引用商標とほぼ同一の構成及び態様からなる図形ということができる。
してみれば、両者を全体として観察した場合、共に「背中合わせにしたC字状の図形」の印象を与えるものであり、本件商標は、著名な「シャネルマーク」とその構成及び態様が極めて酷似する図形であるといえるものである。
そして、本件商標と引用商標は、共に「被服」等の同一の指定商品又はその需要者・取引者を同一にするファッションに関係する商品をその指定商品とするものである。
したがって、本件商標は、著名な「シャネルマーク」を容易に連想させるものであるから、本件商標がその指定商品に使用された場合、これに接する取引者・需要者は、トータル・ファッション・メーカーとして著名な請求人の業務に係る商品、又は、そのシリーズ商品であるかの如く認識し、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるといえる。
なお、本件商標とほぼ同一の商標に対して請求人が申し立てた、甲第30号証ないし甲第37号証の登録異議申立事件においては、いずれも、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあると認められており、更に、登録第4327158号商標に対して申し立てた登録異議の申立てにおいても、シャネルマークの著名性が認められ、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものと判断されている。
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第11号証を提出した。
(1)本件商標は、「ANNA CRISTINA」の文字が主体であり、その上に「A」と「C」の2つが組み合わされたマークを加えたものに過ぎない。被請求人は、乙第2号証ないし乙第4号証の異議、審判決定を得ており、同決定は、本件審理においても考慮されるべきである。
また、被請求人の調査によれば、アルファベットの「C」の文字を使ったモノグラム商標は、各分類にわたって多数の登録商標が存在している。これらの商標のいずれも「シャネルマーク」と混同されるおそれのないことは明らかである(乙第5号証)。
(2)被請求人は、1989年(平成元年)より、イタリア国フェレンツェ市で活躍する「ANNA E CRISTINA COSTI」社とライセンス契約を行い、その社名、所有ブランド名「ANNA CRISTINA」及び所有マーク(本件商標)をもって、日本の各種ファッション・メーカーと共同で商品展開を行う目的で、本件商標を登録したものである。
乙第6号証として、上記ライセンス契約を示す同社が被請求人に宛てた同ブランドの「ライセンス委任状」を提出する。又、乙第7号証として、上記ライセンス契約及び本件商標を含む登録商標をもとに、ライセンス展開を行っていることを示す資料として、同ブランドの商品写真、企画書、宣伝用チラシ等を提出する。
本件商標のマークは、「ANNA E CRISTINA COSTI」社の頭文字「A.C.C.」を組み合わせたものであり、同社が以前より使用しているもので、「シャネルマーク」とは関連のない独自のマークとして著名である。乙第8号証ないし乙第11号証として、同社が各種ファッション雑誌に掲載している宣伝広告、イタリア・フェレンツェにある同社の事務所及び工場の写真、同社の洋服の商品のイメージ写真等を提出する。
請求人の提出に係る甲号各証によれば、請求人は、請求人の創業者であるデザイナー「Gabrielle coco CHANEL」により創設され、香水等の化粧品の他、高級婦人服、ハンドバッグ、ベルト、靴、時計、アクセサリー等の宝飾品等のデザイン・企画並びにこれらの商品の製造販売を業とするトータル・ファッション・メーカーであり、請求人の使用に係る引用商標は、「シャネルマーク」と称され、上記各商品について永年にわたり使用され、本件商標の出願前には、既に、我が国における取引者・需要者の間においても、請求人の業務に係る商品を表示するものとして、極めて高い知名度を有していたものであることを認めることができる。
しかして、本件商標は、別掲(1)に示したとおりの構成からなるところ、それ自体でも独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものと認められる図形部分は、黒塗りのアルファベットの「C」と思しき文字と、その文字を左向きにした白抜きの文字とを左右対称にして、その−部を重ね合わせるように背中合わせにし、さらにその交差部分に逆V字状の図形を組み合わせた構成からなるものである。
他方、引用商標は、別掲(2)ないし(5)に示したとおり、C字状の文字を左右対称にして、その−部を重ね合わせるように背中合わせにした構成の図形を要部とするものである。
そうとすれば、本件商標と引用商標とは、C字状の文字を左右対称にして、その−部を重ね合わせるように背中合わせにした構成において共通しているものである。そして、本件商標の図形部分には引用商標にはない逆V字状の図形が付加されているとはいえ、上部右側のC字状部分が黒塗りに強調されていることから、「C」字状の文字を組み合わせたものとの印象が強く記憶に残り、同じく「C」字状の文字を組み合わせた引用商標が上記のとおり、著名な商標であるため、本件商標に接する取引者・需要者は、引用商標の著名性に引きづられ、該共通部分に着目して取引にあたる場合も決して少なくないものとみるのが相当である。
また、本件商標の指定商品は、引用商標が使用されている「被服、靴類」ばかりでなく、需要者・取引者を同じくするファッションに関係する商品を多く含むものであるから、引用商標が使用されている商品と互いに密接な関連性を有するものである。
これらの点について、被請求人は、本件商標は文字部分が主体であること、被請求人は乙第2号証ないし同第4号証の異議決定及び審決を得ていること、アルファベットの「C」の文字を使ったモノグラム商標は各分類にわたって多数登録されていること、そして、本件商標のマークは、被請求人とライセンス契約を結んでいる「ANNA E CRISTINA COSTI」社の頭文字「A.C.C.」を組み合わせたものであり、同社が以前より使用しているもので「シャネルマーク」とは関連のない独自のマークとして著名であることを挙げて反論している。
しかしながら、本件商標の図形部分は、全体の構成の大半を占めるものであるから、該図形部分も、独立して看者の注意を惹き、それ自体で自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものとみるのが相当である。そして、乙第2号証ないし同第4号証の異議決定及び審決例があるとしても、それらの案件で争われた商標は、本件商標と同一の構成からなる商標についてのものではないうえ、同様の商標について結論を反対にする異議決定及び審決例の方が多く存在しており(甲第30号証ないし同第34号証、同第36号証、同第37号証)、しかも、本件商標は、それらの案件で争われた商標よりも「一部を重ね合わせるようにして背中合わせにしたC字状の図形」部分が顕著に認識される構成のものである。
また、被請求人が挙げているアルファベットの「C」の文字を使ったモノグラム商標の例は、本件商標とはその構成を明らかに異にするものであって、本件の参考とするに適切なものということはできない。
更に、被請求人の提出に係る乙第8号証ないし同第11号証によれば、「ANNA E CRISTINA COSTI」社の使用に係る商標は、本件商標と略同一と認められるものも一部にはあるが、多くのものは、本件商標とはその構成を異にするものであり、これらの乙号証を総合しても、本件商標が著名になっていたものと認めることはできない。
してみれば、本件商標は、著名な引用商標と構成を共通にする「一部を重ね合わせるようにして背中合わせにしたC字状の図形」を含むものであるから、被請求人が本件商標をその指定商品について使用するときは、これに接する取引者・需要者は、該図形部分より、請求人の著名な引用商標を連想、想起し、該商品が請求人又は同人と組織的若しくは経済的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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