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Trademark Appeal Case

著名人名と出所混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2000−19479(T2000−19479/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、「VALENTINO POLLINI」と「ヴァレンティノ ポリーニ」の文字を二段に横書きしてなり、第24類「織物、メリヤス生地、フェルト及び不織布、布製身の回り品、織物製テーブルナプキン、ふきん、かや、敷布、布団、布団カバー、布団側、まくらカバー、毛布、織物製壁掛け、織物製ブラインド、カーテン、テーブル掛け、どん帳、シャワーカーテン」を指定商品として、平成11年10月14日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、その構成中に、イタリアのデザイナー『Valentino Garavani』がデザインした婦人・紳士服等に使用して著名な商標である『VALENTINO』の文字を有してなるから、これをその指定商品に使用するときには、上記者又はその者と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断

1 証拠調べの結果について

当審において、「Valentino Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」に関して、商標法第56条第1項において準用する特許法第150条第1項の規定により、職権で証拠調べを行ったところ、その結果、次の事実が認められる。

なお、当該事実については、同第5項の規定により、平成13年11月21日付けをもって、その結果を請求人に通知し、相当の期間を指定した上で意見を申し立てる機会を与えたが、指定した期間内に意見の申立がなかったものである。

(1)「世界の一流品大図鑑ライフカタログVOL.1」(昭和51年6月5日株式会社講談社発行)において、「ヴァレンティノ・ガラバーニ」が、「イタリアファッション界の旗手と呼ばれ、女性を最高に美しく見せるデザイナーとして高く評価されている。」こと、及びその経歴等を紹介する内容とともに「ブラウス、セーター、ネクタイ」の商品の写真が掲載されていること。

(2)「EUROPE一流ブランドの本(講談社MOOK第2巻)」(昭和52年12月1日株式会社講談社発行)において、「ヴァレンティノ ガラバーニ」の所有する店舗の紹介と簡単な経歴が「婦人服」の商品と共に掲載されていること。

(3)「服飾辞典」(昭和54年3月5日第1刷文化出版局発行)の、ヴァレンチィーノ ガラヴァーニ[Valentino Garabani、1932〜]の項に、「イタリア北部の都市(ヴォゲラ)に生まれる。17才でリセオ(中学)を中退、パリに行く。スチリストになるため、パリのサンジカ(パリ高級衣装店組合の学校)で技術を身につける。1951年、ジャン・デッセ(オート・クチュール)のもとで5年間アシスタントとして仕事をする。その後2年間、ギ・ラローシュのアシスタントをし、1958年独立、ヴァレンティーノ・クチュールの名でローマに店を開いた。このころ、イタリアのモードは世界的に有名になりつつあった。彼の最初の仕事は、フィレンツェのピッティ宮殿でのコレクションである。このコレクションは、〈白だけの服〉という珍しい演出であったが、その美しさはジャーナリストの間で評判となり、「ニューズ・ウィーク」「ライフ」「タイム」「ウィメンズ・ウェア・デイリー」各誌紙で取材、モードのオスカー賞を獲得した。1967年、ヴァレンティーノの名は世界に知れわたった。1972年には紳士物も始め、その他アクセサリー、バッグ、宝石類、香水、化粧品、家具、布地、インテリアと、その仕事の幅はたいへん広いが、すべてヴァレンティーノ独特のセンスを保っているのはみごとである。ヴァレンティ−ノの洋服に対する考えは、まず個性が第一で、彼のコレクションからは、デテールでなくそのエスプリをくみ取ってもらうことに重きをおく。ローマの高級住宅地、アッピア・アンティカに母親とたくさんの犬と暮らしている。仕事でパリとローマを行き来するが、世界中を旅行するなど忙しい日々である。物をつくる人は誰でも波があって、いつも傑作が続くとはかぎらないが、ヴァレンティーノは現在、ローマのオート・クチュール界で最も好調なデザイナーといえる。以前から東洋風なエキゾティシズムが好きで、時によってトルコ風、アラブ風の特色がみられるが、最近はキモノのセクシーさを1950年代のハリウッドの雰囲気に表現、あやしく美しいヴァレンティーノの世界をつくり出している。」との紹介記事が掲載されていること。

(4)「朝日新聞」(昭和57年11月20日夕刊第3頁)において、世界の服をリードする3人のうちの1人として「バレンチノ」の紹介記事が掲載されていること。

(5)「男の一流品大図鑑’85年版」(昭和59年12月1日株式会社講談社発行)において、「VALENTINO GARAVANI」「ヴァレンティノ・ガラヴァーニ」の文字と共に、「スーツ、ブルゾン、シャツ、ネクタイ、ベルト及びバッグ」の商品が掲載されていること。

(6)雑誌「non‐no」1989年 No23号(平成元年12月5日株式会社集英社発行)及び「marie claire」(1996年2月1日中央公論社発行)において、「ヴァレンティノ ガラバーニ」が単に「ヴァレンティノ」と略称され、商品「婦人服」等と共に掲載されていること。

(7)「英和商品名辞典」(1990年株式会社研究社発行)[Valentino Garavani]の項において、「イタリア Romaのデザイナー Valentino Garavani(1932−)のデザインした婦人・紳士物の衣料品・毛皮・革製バッグ・革小物・ベルト・ネクタイ・アクセサリー・婦人靴・香水・ライター・インテリア用品など。Roma,Firenze,Milanoなどにあるその店の名称はValentino(vは小文字でかくこともある)。・・・ 」との記事及びデザイナーとしての紹介記事が掲載されていること。

(8)「世界の一流品大図鑑’93年版」(平成5年5月20日株式会社講談社発行)において、「VALENTINO」ブランドの香水が掲載されていること。

(9)「岩波=ケンブリッジ世界人名辞典」(1997年11月21日株式会社岩波書店発行)の[ガラヴァーニ]の項において「ヴァレンティノ Garavani,Valentino通称ヴァレンティノ Valentino(伊 1933−)服飾デザイナー・・・・」との紹介記事が掲載されていること。

同じく、[ヴァレンティノ Valentino]の項において、「ガラヴァーニ、ヴァレンティノ」を見よとの表示があること。

2 「Valentino Garavani」及び「Valentino」などの商標の著名性について

以上の事実によれば、ヴァレンティノ・ガラヴァーニは、世界のトップデザイナーとして本願商標の登録出願時、既に我が国において著名であったものと認められる。

同氏の名前は「Valentino Garavani」「ヴァレンティノ・ガラバーニ」とフルネームで表示され、このフルネームをもって紹介されることが多いが、同時に新聞、雑誌の記事や見出し中には、単に「Valentino」「ヴァレンティノ」と略して採り上げられており、ファッションに関して「Valentino」「ヴァレンティノ」といえば同氏を指すものと広く認識されるに至っているというべきである。そして、同氏がデザインした婦人服、紳士服、アクセサリー、バッグ、インテリア用品等のファッション関連の商品は、「Valentino Garavani」「ヴァレンティノ・ガラヴァーニ」「Valentino」「ヴァレンティノ」の商標(以下、これらの商標を合わせて「引用商標」という。)をもって我が国の取引者、需要者の間に広く知られていたというべきであり、このことは本願商標の登録出願時のみならず、現在においても同様であるといい得るところである。

3 商品の出所の混同について

本願商標は、その構成中に「VALENTINO」「ヴァレンティノ」の文字を有するものであり、前記認定したとおり「VALENTINO」「ヴァレンティノ」は周知なものであるから、本願商標において「VALENTINO」「ヴァレンティノ」の文字は重要な意味を持つ言葉と認識される。そして、本願商標の指定商品は、引用商標が使用されている被服等と同様、その素材や色柄、デザインが重視される商品であって、デザイナーの関与が十分予想されるものである。

そうすると、本願商標を、請求人(出願人、以下同じ)がその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者をして、周知商標である引用商標を連想させ、本願商標が付された商品が引用商標の一種ないし兄弟ブランド、ファミリーブランドであるなどと誤解し、恰も上記デザイナーである「Valentino Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」又は、同人と組織的・経済的に何らかの関係にある者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきある。

4 請求人の主張について

(1)請求人は、本願商標はイタリア在住のデザイナー「Valentino Pollini」がデザインした商品を日本で販売するために本人の承諾を得て出願されたものであり、欧米人の氏名として把握されるものであって、人名を表すものとして理解されるものである以上、常に、不可分一体の構成からなるものと認識されるものであると主張する。

しかし、請求人のいう「Valentino Pollini」氏が我が国において広く知られている等の特段の事情があれば格別、本件においてそのような事情はなく、証拠もないから、その採択事情をもって本願商標の不可分性の根拠とすることはできない。

(2)請求人は、需要者は「ヴァレンティノ」を含む商標が市場において多く存在している事実を熟知していて、それぞれ別個のものとして購買しており、著名商標「ヴァレンティノ・ガラヴァーニ」と混同が生じている事実は見受けられない旨主張する。

しかし、市場において「ヴァレンティノ」を含む商標の存在が多いからといって、それが常に出所について混同を生ずるおそれもなく取引に資されていることを意味するわけではないし、混同を惹起させるかどうかは対象とする商標毎に個別具体的に判断すべきことであって、本件事案とは直接関係するものではなく、本件における混同可能性を否定する根拠とはならない。

(3)請求人は、過去の審査例、審判例を挙げ、それら判断例に照らしても、本願商標は登録されるべきものであると主張する。

しかし、「VALENTINO」の文字を含む商標が他に存在するとしても、それらの商標と本願商標とは、その構成が相違するし、たとえ同一であったとしても、登録適格の判断時点が異なるものであり、事案を異にするものである。さらにそれらの商標が引用商標と明確に区別されていると認めるに足りる証拠はなく、むしろ、上記認定のとおり、引用商標と何らかの関連性のあるものと誤解している可能性も否定できないというべきである。

そうしてみると、請求人の主張は根拠のないものであって、いずれも採用できない。

5 結び

以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、同様の理由により拒絶した原査定は、取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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