Trademark Appeal Case
著名商標と普通語結合の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成5年審判第9466号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別紙に示すとおり、「ポロクラシック」の片仮名文字及び「POLO CLASSIC」の欧文字をそれぞれ上下二段に表してなり、第22類「履物、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成3年7月1日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
本願について、原査定が示した拒絶の理由は、『この商標登録出願に係る商標は、米国のPOLO BY RALPH LAURENから使用契約を得て、西武百貨店がアパレル関係の商品につき使用し、また、(株)リーガルコーポレーションが紳士靴等つき使用して広く知られている商標「Po1o」(ポロ)と酷似する「POLO」、「ポロ」の文字を構成中に有してなるから、これをその指定商品について使用した場合、恰も前記の者又はその関係者業務に係る商品であるかの如く、出所の混同を生じさせるおそれがある。したがって、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。』とするものである。
3 当審の判断
(1)本願商標の構成について
本願商標は、その構成別紙に示すとおり、「ポロクラシック」、「POLO CLASSIC」の各文字よりなるところ、書された文字の全体からは、特定の意味合いをもって親しまれた熟語的文字とはいい難く、むしろ、かかる構成からは、「POLO」(「ポロ」)と「CLASSIC」(「クラシック」)の二語の結合よりなるもの、すなわち、「ポロ競技」(競技者が馬に乗り打球槌を使って球を打ち合う競技)及び「古典、典雅」の意味合いをもって共に世上親しまれている平易な英語又は外来語というべきこれら両語の結合よりなるものと容易に認識し理解されるといえるものである。そして、本願商標は靴等のはき物をその指定商品とするものであること前記のとおりである。
(2)「POLO」商標の著名性について
株式会社講談社昭和53年7月20日発行の「男の一流品大図鑑」及びサンケイマーケテイング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」によれば、以下の事実が認められる。
ラルフ・ローレン(Ralph Lauren)は、1967年ネクタイメーカーのボー・ボランメル社にデザイナーとして人社、幅広ネクタイをデザインし、圧倒的に若者に支持され、世界に広まった。翌1968年独立、社名を「ポロ・ファッションズ」(現在の「ザ ポロ/ローレン カンパニーリミテッド パートナーシップ」の前身,以下、「ポロ社」という。)とし、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出、服飾業界の名誉ある賞、「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、数々の賞を受賞。アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。
我が国において、ラルフ・ローレンの名前は、服飾業界等において広く知られるようになり、そのデザインに係る商品には「POLO」の文字を単独で、或いは同文字に「by RALPH LAUREN」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形を組み合わせた商標が用いられ(以下、これら使用に係る商標を一括して「ポロ商標」という。)、これらの商標は「ポロ」又は「ポロプレーヤー」の呼称(略称)をもって呼び交わされていることが認められる。
そして、株式会社洋品界昭和55年4月発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」「ポロ/POLO」の項及びボイス情報株式会社昭和59年9月発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付日経流通新聞の記事によれば、我が国においては、西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。
因みに、ラルフ・ローレン又はポロ社とわが国靴業界との関係についてみると、有限会社ぜんしん発行「1986年版/SHOES&BAGブランド名鑑」の「ポロ(POLO)」の項によれば、・・・(品種)紳士革靴、(商品特徴)ニューヨークの最高デザイナーであるラルフローレンのトータルファッションを表現し最高級の素材を使用・・・と解説され、同じく、「ラルフローレン(Ralph Lauren)」の項によれば、・・・(品種)婦人革靴、(商品特徴)同上・・・と解説され、また同じく、「日本製靴株式会社」の項によれば、・・・[海外提携ブランド]ポロ、ラルフローレン・・・なる解説が認められる。
また、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、株式会社スタイル社1971年7月発行「dansen男子専科」前出「男の一流品大図鑑」、株式会社講談社昭和54年5月発行「世界の一流品大図鑑’79年版」、株式会社チャネラー昭和54年発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和55年11月発行)、「世界の一流品大図鑑’80年版」(昭和55年6月発行)、婦人画報社昭和55年12月発行「MENS CLUB 1980,12」、「世界の一流品大図鑑’81年版昭和56年6月発行)、前出「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、株式会社講談社昭和60年5月発行「流行ブランド図鑑」等のいわゆる外国ブランド品を集録した各出版物において、「POLO」、「Po10」、「ポロ」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフローレン(アメリカ)」等の商標の下に掲載・紹介されていることが認められる。
なお、ラルフローレン又はポロ社に係る「POLO」、「Po1o」、「ポロ」又は「ポロプレーヤーの図形」商標について、上記認定とほぼ同様に認定した東京高等裁判所判決(平成2年(行ヶ)183号、平成3年7月11日判決言渡)及び東京地方裁判所判決(平成8年特(わ)1519号、平成9年3月24日判決言渡)がある。
以上、認定の事実を総合し、かつ、上記判決の趣旨も併せ考慮するに、「ポロ商標」は、わが国においては遅くとも昭和50年代の半ばから同年代後半頃には、ラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして、衣料品その他、靴、かばん類等のいわゆるファッション関連の商品分野の取引者、需要者の間において広く認識されていたものと認められ、その状態は現在もなお継続しているというのが相当である。そして、ほかに、この認定を覆すに足りる証拠は見出せない。
(3)商品の出所の混同可能性について
本願商標が共に既成語と認められる「POLO」(ポロ)と「CLASSIC」(クラシック)の二語の結合よりなるものであって、常に一体不可分のものとしてのみ把握されるというべき特段の事情を有しないものであることは、前記(1)において認定したとおりである。そして、ポロ商標が本願商標の出願以前において既に、靴、かばん類等のいわゆるファッション関連の商品分野の取引者、需要者間において広く認識せられたものであることは、前記(2)において認定したとおりである。
しかして、本願商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、前記事情よりして、構成中冒頭の「POLO」及び「ポロ」の文字部分に着目し、これより、米国の著名なデザイナーであるラルフ・ローレンないしはポロ社に係る商品を表示するものとして広く知られるポロ商標を連想、想起し、同人又は同人の事業と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるといわなければならない。
請求人は、審判請求書の請求理由において、先審査例等(甲第1号証乃至甲第3号証)を挙げて本願商標は一連のものであって分離観察すべきでなく、また、その調査したところによれば、「POLO」又は「ポロ」自体の著名性も明らかでないから、本願商標は他人の業務に係る商品と混同しない旨述べているが、先審査例は商標の具体的構成等において本願商標とは事案を異にするものであり、また、「POLO」又は「ポロ」(商標)の著名性については前記認定判断を相当とするものであるから、請求人の主張は採用の限りでない。
(4)結語
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものといわざるを得ないから、同趣旨をもって本願を拒絶した原査定は妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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