Trademark Appeal Case
「POLO」商標の著名性と混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年審判第4450号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1.本願商標
この商標登録出願に係る商標(以下、「本願商標」という。)は、「The Polo Cup Challenge」の文字を書してなり、旧第23類「時計、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成3年4月9日に登録出願されたものである。
2.原査定の拒絶の理由及び当審においてした証拠調べ結果の通知
(1)原査定の拒絶の理由
原審において登録異議の申立があった結果、原査定は本願商標を商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶したものである。
(2)当審においてした証拠調べ結果の通知
当審において、職権による証拠調べを行った結果、本願商標の商標法第4条第1項第15号該当の判断資料とした事実について、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して通知した証拠調べ結果の内容は、要旨次のとおりである。
<証拠調べ結果の要旨>
(ア)「男の一流品大図鑑」(昭和53年7月20日株式会社講談社発行)
(イ)「舶来ブランド事典 ’84 ザ・ブランド」(昭和58年9月28日サンケイマーケティング発行)
(ウ)「月刊『アパレルファッション店』別冊、1980年版『海外ファッション・ブランド総覧』」(昭和55年4月15日株式会社洋品界発行)
(エ)「別冊チャネラーファッション・ブランド年鑑 ’80年版」(昭和53年9月20日株式会社チャネラー発行)
(オ)「男の一流品大図鑑 ’81年版」(昭和55年11月20日株式会社講談社発行)
(カ)「世界の一流品大図鑑 ’80年版」(昭和55年11月15日第2刷株式会社講談社発行)
(キ)「世界の一流品大図鑑 ’81年版」(昭和56年6月20日第2刷株式会社講談社発行)
(ク)「FASHION SHOPPING BIBLE’85 流行ブランド図鑑」(昭和60年5月25日株式会社講談社発行)
以上(ア)ないし(ク)の資料は、ラルフ・ローレンに係る「POLO」「ポロ」商標についての周知性に関する証拠資料であり、以下の内容が記載されている。
そして、上記資料(ア)及び(イ)によればアメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは、1967年ネクタイメーカーのボー・ボランメル社にデザイナーとして入社、幅広ネクタイをデザインし、圧倒的に若者に支持され、翌1968年に「ポロ・ファッションズ」(以下「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。この間、アメリカのファッション界ではもっとも権威のある「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞したのをはじめ、数々の賞を受賞した。1974年の映画「華麗なるギャツビー」で主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことから、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。その頃からその名前は我が国服飾業界等において広く知られるようになり、そのデザインに係る商品には「Polo」の文字とともに「by RALPH LAUREN」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形の各商標が用いられ、これらの商標は「ポロ」と略称されていることが認められる。
上記資料(ウ)及び(エ)によれば、我が国においては、西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等、同53年から婦人服の輸入、販売を開始したことが認められる。
資料(ア)、(イ)及び(オ)ないし(ク)によれば、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフ・ローレン(アメリカ)」等の商標の下に紹介されていることが認められる。
3.当審の判断
商標法第4条第1項第15号においていう出所の混同を生ずるおそれの有無を判断するに当たっては、商標自体と当該他人の標章等の著名の程度、当該商品分野における需要者一般の注意力の程度、その他、商品の関係などの具体的な取引の実情に照らし、そのおそれの有無を総合的に判断すべきものと解される。以下、本件について検討する。
(1)「ポロ商標」の著名性について
当審において行った証拠調べ結果によれば、以下の点が認められる。
ア.アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは、1967年ボー・ボランメル社(証拠調べ結果の通知で示した(ク)では、ボーブランメル社となっている。)にデザイナーとして入社し、幅広ネクタイをデザインして注目され、翌1968年にポロ・ファッションズ社(現在の「ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ」の前身会社。以下「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出し、アメリカのファッション界では最も権威のある「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞したのをはじめ、数々の賞を受賞した。1974年には映画「華麗なるギャツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことから、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。そして、その頃からその名前は、我が国の服飾業界においても広く知られるようになったこと。
イ.ポロ社に係る紳士靴、婦人服、サングラス、眼鏡フレーム等について、「POLO」、「ポロ」、「polo」、「ポロ/ラルフ・ローレン」(以下、「ポロ商標」という。)等の商標が海外ファッション・ブランド、別冊チャネラーのファッション・ブランド年鑑等の雑誌に紹介されていること。
ウ.原審において登録異議申立人が甲第2号証、甲第4号証として提出した証拠、すなわち、1989(平成元年)年5月19日付けの朝日新聞・夕刊の「ポロ」の偽大量販売記事等によれば、その当時、すでにポロ商標の顧客吸引力(グッドウィル)に便乗した偽物商品が流出した状況があり、当時のポロ商標の著名事情を窺うことができること。
エ.東京高等裁判所において争われた平成11年(行ケ)第250号、平成11年(行ケ)第251号、平成11年(行ケ)第252号、平成11年(行ケ)290号、平成12年(行ケ)第92号、平成12年(行ケ)第453号、平成13年(行ケ)第90号ほか、一連のポロ商標関連事件において、いずれもポロ商標の著名事情が考慮された結果が当該判決において示されており、特に平成11年(行ケ)第250号にあっては、本件と同種事案といえること。
以上のア.ないしエ.によれば、ポロ商標は、ラルフ・ローレンのデザインに係る各商品、すなわち、被服類、眼鏡等をはじめとするファッション関連の各商品を表示するものとして、或いは、同人またはその関連会社であるポロ社の取扱いに係る商品を表示するものとして、本願商標の登録出願(平成3年)前においてすでに需要者間に広く認識せられた、いわゆる著名商標と認められる。
(2)出所混同のおそれについて
ア.本願商標の構成
本願商標は、「The Polo Cup Challenge」の文字からなり、請求人も認めているとおり、該構成文字は「The」「Polo」「Cup」「Challenge」の4個の英単語から成るものであるところ、これら文字より生ずる称呼「ザポロカップチャレンジ」は、極めて冗長に亘るばかりでなく、全体として一体不可分の熟語的文字とは認識し得ないものであり、かつ、それら文字は全19文字の欧文字綴りからなることよりして、視覚上または意味上において、これらを常に一体のものとしてみなければならないような特段の事情は見出せない。
そして、本願商標は、その構成中に前記(1)で認定したポロ商標の基幹部分とも言うべき「Polo」の文字を有してなるものである。
イ.本願商標の指定商品の性格
本願商標の指定商品は、旧第23類「時計,その他本類に属する商品」とするものであって「時計,眼鏡,これらの部品および附属品」を実質的内容とするものであるところ、これらは人が身に付け携帯するという点でファッション性の高い商品であって、しかもポロ商標が現に使用されている商品「サングラス、眼鏡フレーム」(前出証拠調べ結果の通知中(ウ)、(オ)、(カ)及び(キ)の項を参照)を含むものであるから、ポロ商標に係る前記ファッション関連商品とは、その需要者層の範囲を共通にする場合が多いというべきである。
ウ.以上の各点及び上記(1)で述べたポロ商標の著名事情からすると、本願商標は、これをその指定商品について使用した場合、これに接する需要者、取引者は、その構成中の「Polo」の文字部分に注意を引かれ強く印象づけられるとともにポロ商標またはそのデザイナーブランド名を容易に連想・想起し、ラルフ・ローレンまたはその関連会社あるいはそれら者と組織的・経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
(3)請求人の主張について
(ア)請求人は、ポロ競技が我が国においてサッカー等と同様に広く知られている競技であり、本願商標からポロの文字部分をことさら抽出することはなく、また、ラルフ・ローレンまたはポロ社のポロ商標と取引者・需要者が混同するおそれはない旨述べているが、たとえ各種辞典等に「ポロ」(Polo)の語がポロ競技の意を表すものとして記載されているとしても、そのことをもって直ちに該語が我が国において広く知られているものとはいい難く、むしろ我が国のスポーツ事情よりして、一般に馴染みの薄い競技とみるのが相当である。
そして、前示したとおり本願商標が全体として特定の意味合いの熟語的文字とは認識されないこと、また、ポロ商標の著名性が眼鏡等にも及んでいること等を考慮すると、需要者は、本願商標より容易にラルフ・ローレンまたはポロ社のポロ商標を連想・想起すると見るのが相当である。したがって、この点を述べる請求人の主張は採用することができない。
(イ)請求人は、ポロの語がポロシャツの略称(普通名称)であるから、被服等のファッション関連商品については自他商品の識別機能を果たし得ないものであり、しかも本願商標の指定商品である「時計、眼鏡」については、「POLO」、「polo」等の文字を含む多数の商標が既に登録され、或いは、実際の商取引において使用されているから、ザ ポロ/ローレン カンパニー或いはこれと何等かの関係ある者の業務に係る商品であると認識することはない旨述べているが、「Polo」の文字が、本願商標の指定商品の分野において特定の商品の普通名称であるとする合理的理由はなく、また、過去に「POLO」、「polo」等の文字を含む多数の商標が登録されているからといって、需要者がそれらをラルフ・ローレンのデザインに係る被服、眼鏡等をはじめとするラルフ・ローレンまたはポロ社の商品を表示するポロ商標と明確に区別し、かつ、ラルフ・ローレンまたはポロ社と無関係のものとして認識している事実を裏付ける証拠は見当たらない。すなわち、「POLO」「Polo」「ポロ」の語を含む結合商標について、需要者は、ラルフ・ローレンのデザインに係る商品を示すもの、あるいは著名な「ポロ」(「POLO」ないし「Polo」)ブランドないしその兄弟ブランドであるかの如く誤認、混同している可能性を否定すべき根拠は見出せないから、この点を述べる請求人の主張は採用できない。
(ウ)請求人は、ポロ商標がラルフ・ローレンまたはポロ社においても単独に使用されず、「RALPH LAUREN」「ラルフ・ローレン」等の文字とともに使用されてきた旨述べているが、たとえ、そのような場合があるとしても、それが付された商品は、ブランド名として「ポロ」(「POLO」ないし「Polo」)と呼ばれ、いずれも紳士服、婦人服、眼鏡等のファッション関連商品についてラルフ・ローレンのデザインに係る商品の商標ないしそのブランド名として需要者間に認識せられたものであることは前出証拠調べ結果の内容に照らし相当というべきであって、本件において、この事実を前提として判断すべきことは当然であるから、この請求人の主張は採用することができない。また、この点は、最高裁判所においても、平成12年(行ヒ)第172号の判決において同様に判断されているところである。
(エ)このほか述べる請求人の主張は、いずれも前記認定を覆すに足りない。
(4)結論
以上のとおり、本願商標は、これをその指定商品に使用した場合、取引者・需要者は、他人の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきであるから、同旨の理由をもって本願を商標法第4条第1項第15号に該当するものとして拒絶した原査定は妥当であって、取り消す限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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