Trademark Appeal Case
結合商標の要部抽出と混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第18531号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「ELDORADO POLO CLUB」の欧文字を横書きしてなり、第18類「原革,原皮,なめし皮,毛皮,革ひも,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,愛玩動物用被服類」を指定商品として、平成6年8月15日に登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由
原審において、商標登録異議の申立てがあった結果、原査定が本願を拒絶した理由は、「登録異議申立人の提出に係る甲各号証により、申立人(ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ)は、世界的に有名なデザイナー「ラルフ・ローレン」によって主宰されるアパレルその他各種の生活関連用品のメーカーであって、そのデザインに係る『紳士服、ネクタイ、眼鏡』等について、商標『POLO』、『ポロ』を使用した結果、本願商標登録出願時には、既に取引者、需要者間において、極めて広く認識されていたものであることが認められる。本願商標は、これが全体として特定の意味合いを有するものとは認められず、常に不可分一体の構成よりなるものと認識把握しなければならない格別の理由もなく、構成中の『POLO』の文字部分は、申立人が商品『紳士服、ネクタイ、眼鏡』等に使用して極めて広く認識されている『POLO』と同一であるから、引用商標を含んでなるものであり、又、トータルファッションが盛んな昨今、本願の指定商品についても、服飾デザイナー等がデザインする場合がむしろ多いことからして、本願商標をその指定商品に使用するときは、該商品が、恰も申立人或いは申立人と何等かの関係ある者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」とするものである。
第3 証拠調べ通知
当審において、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服等について使用される「Polo」、「POLO」、「ポロ」の文字よりなる標章、「by RALPH LAUREN」の文字よりなる標章、「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形よりなる標章及びこれらを組み合わせた標章(以下、これらを一括して「POLO商標」」という。)が各種記事、新聞等に紹介されている事実について、平成13年9月6日付で請求人(出願人)に対して通知した「証拠調べ通知書」は、要旨次のとおりである。
1 雑誌・新聞関係
(1)株式会社講談社(昭和53年7月20日)発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケティング(昭和58年9月28日)発行「舶来ブランド事典『’84ザ・ブランド』」の記載によれば、アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは、1967年に幅広ネクタイをデザインして注目され、翌1968年にポロ・ファッションズ社(以下「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、シャツ、セーター、靴、かばんなどのデザインをはじめ、紳士物全般に拡大し、1971年には婦人服の分野にも進出した。1970年と1973年には、アメリカのファッション界では最も権威のある「コティ賞」を受賞し、1974年に、映画「華麗なるギャッツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことからアメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。
ラルフ・ローレンのデザインに係る一群の商品には、横長四角形中に記載された「Polo」の文字、「by RALPH LAUREN」の文字、及び「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形を組み合わせた標章(以下「ラルフ・ローレン標章」という。)が使用され、これらは単に「ポロ」と略称されて紹介されていた。
(2)株式会社洋品界(昭和55年4月15日)発行「月刊『アパレルファッション店』別冊、1980年版『海外ファッション・ブランド総覧』」、株式会社アパレルファッション(昭和57年1月10日)発行「月刊アパレルファッション2月号別冊 海外ファッション・ブランド総覧」の「ポロ/POLO」の項、及び昭和63年10月29日付日経流通新聞の記事によれば、我が国においては、西武百貨店が昭和51年にポロ社から「Polo」の文字よりなる標章をはじめ、ラルフ・ローレン標章などの使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等の、同53年から婦人服の輸入、販売をしたことが認められる。
(3)前出「男の一流品大図鑑」(書証1)、「舶来ブランド事典『’84ザ・ブランド』」(書証2)をはじめ、株式会社講談社(昭和55年1月20日)発行「男の一流品大図鑑’81」、同社(昭和55年11月15日)発行「世界の一流品大図鑑’80年版」、同社(昭和56年6月20日)発行「世界の一流品大図鑑’81年版」、株式会社チャネラー(昭和53年9月20日)発行「別冊チャネラー ファッション・ブランド年鑑’80年版」、株式会社講談社(昭和60年5月25日)発行「FASHION SHOPPING BIBLE’85流行ブランド図鑑」によれば、ラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士用品について、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフ・ローレン(アメリカ)」等の表題のもとに紹介されていることが認めらる。
(4)ラルフ・ローレンのデザインに係る被服等について使用される標章を模倣した、偽物ブランド商品が市場に出回っている事実も少なくない。例えば、1989年5月19日付朝日新聞には、「昨年二月ごろから、米国の『ザ・ローレン・カンパニー』社の・・・『Polo』の商標と、乗馬の人がポロ競技をしているマークをつけたポロシャツを・・・売っていた疑い。」なる記事が掲載された。また、1992年9月23日付読売新聞(東京版、朝刊)、1993年10月13日付読売新聞(大阪版、朝刊)、1999年9月9日付日本経済新聞等にも同様の記事が掲載され、昭和63年には既に、我が国において「Polo」ないし「POLO」の文字、馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形などを使用した偽物ブランド商品が出回っていた事実が存在していた。
2 判決関係
判決においても、「我が国において、遅くとも昭和59年までには既に、引用標章(Polo)がラルフ・ローレンのデザインに係る被服等及び眼鏡製品を表す標章であるとの認識が広く需要者及び取引関係者の間に確立していたものということができる。」旨認定している(東京高等裁判所 平成2年(行ケ)第183号 平成3年7月11日判決言渡)。
そのほか、東京地方裁判所 平成8年特(わ)第1519号(平成9年3月24日判決言渡)、東京高等裁判所 平成11年(行ケ)第250号、同第251号、同第252号、同第267号、同第290号(以上平成11年12月16日判決言渡)、平成11年(行ケ)第268号、同第289号(以上平成11年12月21日判決言渡)、平成12年(行ケ)第5号(平成12年9月28日判決言渡)、平成12年(行ケ)第453号(平成13年4月19日判決言渡)、最高裁判所 平成12年(行ヒ)第172号(平成13年7月6日判決言渡)等々、ラルフ・ローレンの「Polo」、「POLO」、「ポロ」標章の著名性を認定した一連の判決が存在する。
第4 当審の判断
1 「POLO」商標の著名性について
請求人(出願人)に示した、上記のラルフ・ローレンのデザインに係る被服等について使用される「POLO商標」についてした証拠調べ、(1)ないし(4)の事実及び2の判決を併せ考慮すると、該商標は我が国においては、遅くとも本願商標の出願の時までにはラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして、被服類をはじめとするいわゆるファッション関連の商品分野の取引者、需要者の間において広く認識され、かつ著名となっていたものであり、その状態は現在においてもなお継続しているものと認めることができる。
なお、前記の「証拠調べ通知書」に対し、相当の期間を指定して応答する機会を与えたが、請求人からは何らの意見、応答もない。
2 商品の出所の混同について
本願商標は、「ELDORADO POLO CLUB」の文字を書してなるところ、該構成中の「ELDORADO」、「POLO」及び「CLUB」の各文字はそれぞれ既成の意味を有する語であって、これらの語を結合してなるものであることは明らかであるとしても、全体として不可分一体の既成の観念を示すもの、或いは、現存する団体名を指称するものとして我が国世人一般に認識されているものとは認め難いものである。
さらに、本願商標の構成中には、前記1において、その著名性を認定した「POLO商標」の基幹商標ともいうべき「POLO」の文字を有してなるものであるから、これに接する取引者、需要者は、前記事情よりして、「POLO」の文字部分に着目し、該文字部分をもって強く印象づけられると同時に、ラルフ・ローレンに係る事業と関連付けて把握する場合が少なからずあるとみるのが相当である。
そして、本願商標の指定商品には、「かばん類、袋物、携帯用化粧道具入れ、傘」等が含まれ、これらの商品と「POLO商標」が使用されている被服類とは、共にファッションに関連した商品であって、統一ブランドの下にファッションをまとめようとする昨今にあっては少なからぬ関係を有するものといえる。
してみると、本願商標をその指定商品に使用した場合、米国の著名なデザイナーであるラルフ・ローレンに係る商品を表示するものとして広く知られている「POLO商標」を連想・想起し、同人又は同人の事業と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならないものであり、その混同を生ずるおそれは、本願出願時から現在においても継続しているものと認められる。
3 請求人の主張について
請求人は、本願商標は、アメリカに実在するポロクラブを表すものであり、また、「POLO」はスポーツ名に過ぎないこと等を指摘するとともに、各種資料を提出し、商品の出所の混同を生ずるおそれはない旨主張している。そしてさらに請求人の主張と同趣旨の判断を示しているとして、東京高等裁判所平成11年(行ケ)第253号の判決(平成12年1月27日判決言渡)を提出しているが、本願商標が全体として不可分一体の既成の観念を示すものとして一般に広く認識されているとはいい難い一方で、ラルフ・ローレンの「POLO商標」が我が国で周知著名となっていること上記認定のとおりであり、さらに、請求人提出の判決を破棄した最高裁判所平成12年(行ヒ)第172号を初めとした上記「第3の2」に記載の判決や、その後に言い渡しのあった東京高等裁判所平成12年(行ケ)第279号、同第278号、同第277号、同第276号、同平成13年(行ケ)第15号(以上平成13年8月9日言渡)の判決等においても、一貫して出所の混同を生ずるおそれがあることを認めていることを踏まえるならば、請求人の主張はいずれも採用できない。
4 結び
以上のとおり、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものといわざるを得ないから、その理由をもって本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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