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Trademark Appeal Case

著名商号の類否判断

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第35019号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第3305902号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第3305902号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、平成5年2月12日に登録出願され、第42類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ」を指定役務として、同9年5月16日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べるとともに、証拠方法として甲第1ないし第37号証(枝番を含む。)を提出している。

1.本件商標が商標法第4条第1項第8号に該当するとの理由について

(1)請求人は、昭和12年1月9日の創立総会において「株式会社第一ホテル」の名称をもって承認され、同12年2月3日に宿屋(旅館)の営業許可を得、同13年4月27日にホテル営業の許可を得て、同13年4月29日に「第一ホテル」の名称で営業を開始して以来、同じ商号、ホテル名をもって今日まで70年の長きに亘って業務を継続しているものである。(甲第2及び第3号証)

(2)請求人は、営業開始以来、会社案内、ホテルのパンフレット、ホテル内のレストラン及び宴会場のパンフレット、各種イベント・セールのパンフレット等の各種印刷物を大量に作成し、これを顧客、国内外の旅行会社等に配布してホテル及びその関連施設の利用拡大、宣伝・広告に努めてるとともに、国内外の新聞、雑誌、電飾看板等のメディアを使って、ホテル及びその関連施設若しくは各種イベント・セール等の宣伝・広告をし、請求人、ホテル及び関連施設の普及、利用拡大に努めてきたところである。(甲第4ないし第12号証)

(3)請求人は、我が国の一流と言われる本格ホテルの団体である財団法人日本ホテル協会の会員となっているものであり、同協会は、昭和30年より毎月発行される時刻表に請求人を含む会員の一覧表を掲載して広告している。(甲第13号証)

(4)請求人のホテルは、新橋駅、霞ヶ関の官庁街、銀座に近いという良い立地条件に恵まれた本格ホテルと言うこともあって、全国各地の多くの人に利用され、知られているところから、その人事、経営活動等が各種新聞、雑誌に多く取り上げられている。(甲第15号証)

(5)請求人の長年に亘る営業、広告・宣伝の努力及び請求人ホテルの立地条件により、ホテルの売り上げも極めて大きなものであり、本件商標の出願前の5年間で見ても、141億円から160億円もの巨額に達している。(甲第16号証)

また、請求人のホテルは、その質が良く営業成績も高いことから、業界誌のランク付けで、常に上位にランクされている。(甲第17号証)

(6)請求人の長年に亘る努力、営業実績、社会的な評価により、「第一ホテル」、「DAI−ICHI HOTEL」は、請求人のホテルの名称若しくは商号の略称として、日本全国はもとより世界的にも広く知られるに至っているものである。

また、請求人は、本件商標の出願前に「第一ホテル東京」「銀座第一ホテル」等を開業し、盛大に営業して大いに営業成績上げているものであるが、これらのホテルの名称には、何れも請求人のホテルの名称若しくは商号の略称と同一の「第一ホテル」「DAI−ICHI HOTEL」の文字を用い、これに地名若しくは地理的名称を付しているものである。(甲第4号証)

そして、これらのホテルは請求人の業務に係る若しくは関連するものとして当業界及び需要者間に広く知られているものである。

(7)本件商標は、甲第1号証に示すとおり、縦長矩形と「H」と「1」とを組み合わせて表したかの如く図案化した図形とを組み合わせた図形を描き、その図形の左横の下方に「MIYAKO」の文字を書し、これらの図形と文字の下に「DAIICHI HOTEL」の文字を書してなるところ、「DAIICHI HOTEL」の文字部分は、請求人の略称とほぼ同一の文字よりなるものであり、かつ、請求人の名称と同一の「ダイイチホテル」の読みを生じるものである。

そうしてみると、本件商標は、他人たる請求人の著名な略称を含むと言うべきものであり、かつ、請求人の承諾を得ていないものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当するものである。

2.商標法第4条第1項第11号について

(1)請求人は、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとの主張の根拠として、別掲に示す登録第3235466号商標(以下「引用商標A」という。)及び登録第3235467号商標(以下「引用商標B」という。)を引用する。

(2)本件商標は、別掲に示すとおりの構成よりなるところ、その上部に描かれた図形と「MIYAKO」「DAIICHI HOTEL」の文字との間には、これらを常に不離一体のものとしてみなければならない特段の事情があるとは言えないものである。

そうしてみると、本件商標の構成中、文字の部分も独立して自他役務識別標識としての機能を果たし得るものである。

しかして、本件商標の構成文字中の「MIYAKO」の文字の部分は、被請求人の住所から見て、沖縄県の宮古島の略称の「宮古」をローマ字で表記した地理的表示と容易に理解、認識し得るものである。

そうとすれば、「MIYAKO」の文字の部分は、役務の提供の場所を表示するにすぎず、自他役務識別標識としての機能を果たさないものである。

また、「MIYAKO」の文字とその下に書された「DAIICHI HOTEL」の文字とは分離して書されていることからすれば、これらの文字を常に一体のものとして把握しなければならない特段の事情があるとは理解し得ないものであるから、下段に独立して大きく書された「DAIICHI HOTEL」の文字の部分は、独立して自他役務識別標識としての機能を果たし得るものである。

そうしてみると、本件商標の構成文字中自他役務識別標識としての機能を果たすのは、その下に書された「DAIICHI HOTEL」の文字の部分にあり、これより「ダイイチホテル」の称呼、「第一ホテル」の観念を生じるものである。

これに対して、引用商標Aは、構成文字に相応して「ダイイチホテル」の称呼、「第一ホテル」の観念を生じるものであり、引用商標Bは、構成文字に相応して「ダイイチホテルズ」の称呼、「第一ホテル」の観念を生じるものである。

そこで、本件商標より生じる「ダイイチホテル」の称呼、「第一ホテル」の観念と引用A商標より生じる「ダイイチホテル」の称呼、「第一ホテル」の観念、及び引用商標Bより生じる「ダイイチホテルズ」の称呼、「第一ホテル」の観念とを比較すると、本件商標より生じる称呼、観念と引用商標Aより生じる称呼、観念とは同一である。

また、本件商標より生じる称呼と引用商標Bより生じる称呼とは、語尾において明瞭に発音、聴取されるとは言い難い「ズ」の音の有無に差異を有するに過ぎないものであるから、それぞれを一連に称呼するときは、互いに相紛らわしい称呼上類似の商標であり、それぞれより生じる観念は同一のものである。

そうしてみると、本件商標と引用商標A及びBとは称呼、観念上同一又は類似の商標というべきものである。

本件商標と引用商標の類否に関する請求人の主張に関しては、地名若しくは地理的表示と「DAI−ICHI HOTEL」を結合した登録第3235460号の商標等がいずれも引用A商標及び引用商標Bと類似する商標と判断され、連合商標として登録が認められていたことからすれば、請求人の主張は妥当なものである。(甲第20ないし第24号証)

また、請求人が本件外の「大宮第一ホテル」を使用している者に対して、登録第3235466号の商標権〔引用商標A〕に基づき不正競争行為差し止め等請求の訴訟〔東京地方裁判所・平成9年(ワ)第6984号〕及び不正競争行為差止の仮処分の申請〔東京地方裁判所・平成9年(ヨ)第22055号〕をしたところ、請求人(原告)の主張が認められ、平成9年7月30日に仮処分の決定がなされたことから見ても請求人の主張は極めて妥当なものと誰もが首肯し得るところである。〔この訴訟及び仮処分申請事件は、被告(債務者)が原告(債権者)の主張を認め裁判上の和解が成立している。〕(甲第25及び第26号証)

次に、本件商標の指定役務中の宿泊施設の提供は、引用商標A及びBの指定役務に包含されているものであるから、この役務に関しては指定役務が同一のものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

3.商標法第4条第1項第15号について

請求人は、「第一ホテル」の名称で営業を開始して以来、同じ商号、ホテル名をもって今日まで70年の長きに亘って営業を継続し、多大な営業努力をした結果、上述した通り、請求人の名称の略称「第一ホテル」及びホテル名(商標)「第一ホテル」「DAI−ICHI HOTEL」は、我が国のみならず海外においても周知、著名となっている。

また、請求人は、本件商標の出願前より請求人の商号の主要部、ホテル名と同じ「第一ホテル」の文字に地名若しくは地理的名称を付けた「第一ホテル東京」「銀座第一ホテル」等を順次開業し、これらのホテルも大いに成績を上げた結果、これらのホテルは、請求人の業務に係るものとして、当業者間においては勿論のこと需要者間にも広く知られるに至っている。

本件商標は、別掲に示すとおり、図形と「MIYAKO」「DAIICHI HOTEL」の文字よりなるものであって、請求人の著名な商号の略称の英文表記「DAI−ICHI HOTEL」とほぼ同一の「DAIICHI HOTEL」の文字を含むものであること、その構成文字中の「MIYAKO」の文字の部分は、被請求人の所在地である沖縄県の宮古島に由来する地理的表示にすぎず、自他役務識別標識としての機能を果たすのは「DAIICHI HOTEL」の文字の部分にあり、請求人の引用する著名な登録商標と類似するものであること、その構成中の文字の部分は、請求人の業務に係るホテルとして当業者、需要者間に広く知られている「第一ホテル東京」「銀座第一ホテル」等の地名若しくは地理的名称と「第一ホテル」の文字とを結合させたホテル名と同様に地理的名称である「MIYAKO」と「DAIICHI HOTEL」との結合であり、請求人の著名な商標とほぼ同じ「DAIICHI HOTEL」の文字を有する商標であること、及び本件商標の指定役務は、請求人の業務に係り、引用商標の指定役務中の「宿泊施設の提供」と同一の役務若しくはこれと密接な関連を有する「宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ」を指定役務とするものであることからすれば、本件商標をその指定役務について使用するときは、該役務が恰も請求人の業務に係るものであるかの如く誤認を生じさせるおそれがあるといわざるを得ない。

この点に関する請求人の主張については、第42類の宿泊施設の提供及びその関連業務を指定役務とした出願で、図形と「日南第一ホテル」「NICHINAN DAI−ICHI HOTEL」の文字よりなる商願平4一123516号商標、「新潟第一ホテル」の文字よりなる商願平4一164099号商標等の何れもが、出願商標をその指定役務について使用するときは、請求人の業務に係るものであるかの如く誤認を生じさせるおそれがあると認定され、拒絶されていることからしても、請求人の主張は妥当なものである。(甲第27ないし第36号証)

さらに、前述した訴訟及び仮処分申請事件において、仮処分の決定の出た後に被告(債務者)は「原告(債権者)の『第一ホテル』なる表示が原告商号の著名な表示であり、原告の営業表示として我が国において著名である」とする主張を全面的に認め、被告の商号「大宮第一ホテル」及び営業に係る建物等の「大宮第一ホテル」の表示(標章)使用を停止し、以後これを使用しないとする裁判上の和解が成立したこと、及び請求人が大阪に進出する際のホテル名に関する「大阪第一ホテル」事件における不正競争防止法上の請求権不存在確認訴訟の判決要旨から見ても、請求人の主張は極めて妥当なものである。(甲第25及び第26号証、第37号証)

以上述べたとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第11号及び同第15号の規定に該当するにも拘わらず、これらの規定に違反して登録されたものであるから、その登録は、商標法第46条第1項に基づき無効とされるべきものである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第3号証を提出している。

1.商標法第4条第1項第8号について

(1)請求人の「第一ホテル」は、宣伝・公告により広く知られ非常に著名であるが、被請求人は、沖縄県の離島で営業をしてきたものであり、請求人の「第一ホテル」の知名度を利用する目的で出願したものでなく、島内で一番目のホテルとして、また、創業者であり被請求人の父親である「神里恵一」氏の「一」を取って命名されたもので、開業当初からの発展に伴い、第2、第3のホテルを建設する構想でした。

実際に、ガソリンスタンドも経営しており、宮古第一給油所、宮古第二給油所、宮古第三給油所の商号で経営されている。(乙第1及び第2号証)

(2)請求人は、本件商標が単に縦長矩形と「H」と「1」とを組合わせて図案化したものであるとしているが、本件商標を見ると明らかなように、縦長矩形とひらがなの「み」と数字の「1」とを組合わせて図案化したものである。

すなわち、宮古の「み」と第一の「1」とを一体化して図案化したものであり、「MIYAKO」と「DAIICHI HOTEL」を分離して使用することは考えられない。

また、著名な略称「DAI−ICHI HOTEL」と本件商標の文字部分「MIYAKO DAIICHI HOTEL」とは、類似していますが、同一部分は「HOTEL」の文字部分のみであり、本件商標に著名な略号「DAI−ICHI HOTEL」は含まれていない。(乙第3号証)

(3)上記で示したように、本件商標は、宮古の「み」と第一の「1」を一体化して図案化したものであり、読みとしても、「ミヤコダイイチホテル」となり、「ミヤコ」と「ダイイチホテル」を分離して使用することはなく、したがって、請求人の名称と同一の読みとはならないこと明らかである。

2.商標法第4条第1項第11号について

請求人は、本件商標について、図形と文字とが独立した自他識別機能を果すものと指摘しているが、これは、図形が単に「H」と「1」との組合わせによる図案化と決め付けている点に問題があり、本件商標を見れば、ひらがなの「み」と数字の「1」との組合わせにより図案化されたものであることは明らかであって、図形と文字とを一体的に使用するために図案化されたものであることは明らかであるから、「H」と「1」から生じる「第一ホテル」の観念とはならず、「み」と「1」から生じる「宮古第一ホテル」の観念が生じるものである。

また、請求人が指摘する「MIYAKO」は、沖縄県の宮古島から表記したものであることは事実であり、さらに「DAIICHI」も順番を表す「第一番目」から表記したものである。すなわち、この文字部分に自他識別機能を持たせる目的でつけられたものではなく、あくまで図形に特徴を持たせて自他識別機能を有するようにしたものであり、文字は、この図形の読みとしてデザイン的に付加されたものであって、読みは「ミヤコダイイチホテル」となり、「ミヤコ」と「ダイイチホテル」を分離して使用することはなく、引用商標の「ダイイチホテル」の読みとは異なる。

3.商標法第4条第1項第15号について

(1)請求人は、本件商標おける文字部分「MIYAKO DAIICHI HOTEL」の部分について、特に「DAIICHI HOTEL」の部分がほぼ同一であることを理由として述べているが、請求人の「第一ホテル」は、商号の使用の仕方としては、「第一ホテル」または「DAI−ICHI HOTEL」という文字のみによる表示をして、公告・宣伝している。(甲第5号証の1)

すなわち、請求人が示すように、各地の地名を「第−ホテル」の前に付けた、例えば「東京第一ホテル」などのように使用しており、本件商標のように、図形がメインで文字を下に読みとして付けたような表示の仕方はまったくない。(甲第6号証)

したがって、本件商標を見た時に、「第一ホテル」の観念を生じることはなく、請求人の業務と混合するおそれはないものである。

(2)請求人は、「日南第一ホテル」などを例として拒絶されたものを列挙しているが、いずれも、「第一ホテル」や「DAI−ICHI HOTEL」がまったく同一の文字構成でそれらの商標に含まれているものであり、明らかに混同のおそれがあるものである。しかしながら、本件商標は、商標図形の構成や色彩からも明らかなように、図形が中心の商標であり、文宇部分は、自他役務識別機能を持たず、読みとしてデザイン的に付加されたものである。(甲第27ないし第36号証)

したがって、請求人の業務と混同するおそれはないものである。

以上述べた通り、本件商標は、商標法第4条1項第8号、同第11号、同第15号の規定には該当しないものと確信する。

第4 当審の判断

1.請求人の提出に係る甲各号証を総合すると、次の事実が認められる。

(1)請求人は、営業開始以来、会社案内、ホテルのパンフレット、ホテル内のレストラン及び宴会場のパンフレット、各種イベント・セールのパンフレット等の各種印刷物を大量に作成し、これを顧客、国内外の旅行会社等に配布してホテル及びその関連施設の利用拡大、宣伝・広告に努めるとともに、国内外の新聞、雑誌、電飾看板等のメディアを使って、ホテル及びその関連施設若しくは各種イベント・セール等の宣伝・広告をし、請求人、ホテル及び関連施設の普及、利用拡大に努めてきたこと。

(2)請求人の人事、経営活動等が、各種新聞、雑誌に多く取り上げられていること。

(3)請求人の長年に亘る営業、広告・宣伝の努力及び請求人ホテルの立地条件により、ホテルの売り上げも極めて大きく、本件商標の出願前の5年間で見ても、141億円から160億円もの巨額に達しており、請求人のホテルは、その質が良く営業成績も高いことから、業界誌のランク付けで常に上位にランク(1981.9現在)されていること。

(4)請求人の長年に亘る努力、営業実績等により、「第一ホテル」、「DAI−ICHI HOTEL」は、請求人のホテルの名称若しくは商号の略称及びその英語表記として、国内はもとより国外においても広く知られるに至っていること。

(5)請求人は、本件商標の出願前に「第一ホテル東京」「銀座第一ホテル」等数多くのホテルを開業しているが、これらのホテルの名称には、何れも請求人のホテルの名称若しくは商号の略称及びその英語表記と同一の「第一ホテル」「DAI−ICHI HOTEL」の文字を用い、これに地名若しくは地理的名称を付しており、これらのホテルは、請求人の業務に係る若しくは関連するものとして当業界及び需要者間に広く知られていること。

(6)請求人が本件外の「大宮第一ホテル」を使用している者に対して、登録第3235466号の商標権〔引用商標A〕に基づき不正競争行為差し止め等請求の訴訟〔東京地方裁判所・平成9年(ワ)第6984号〕及び不正競争行為差止の仮処分の申請〔東京地方裁判所・平成9年(ヨ)第22055号〕をしたこと。

2.本件商標は、別掲に示したとおり、紺色の数字「1」を内側に有する水色縦長矩形を右側に配し、左上部を起点とする紺色の帯状の線をやや上方向へ線書きし、左下部で楕円形を描くようにやや左下方向へ曲線で線書きし、さらには前記数字の「1」を内側に有する水色縦長矩形と交差するように右方向へ曲線で線書きをして、その線書きの右延長線内に赤色の三角形を配してなる図形と、その下部に二段に書した「MIYAKO」「DAIICHI HOTEL」の紺色のローマ文字とを組合わせてなる構成であるところ、その構成からして文字部分と図形部分とは、視覚上分離して認識されるばかりでなく、意味上においても両者を常に一体のものとして把握すべき格別の理由もないといえるから、それぞれが独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものというべきである。

そして、当該文字部分は、沖縄県の宮古島の略称の「宮古」をはじめとして、「都」、「みやこ」、「ミヤコ」等の字音に対応し、それぞれの文字に相応した意味合いを認識させ、「ミヤコ」の称呼を生ずる「MIYAKO」の文字を上段に、また、下段に「ダイイチホテル」(第一ホテル)の称呼及び観念を生ずる「DAIICHI HOTEL」の文字を左先頭位置が揃うように配してなる構成からして、それぞれの文字は、視覚上分離して認識されるばかりでなく、意味上においても両者を常に一体のものとして把握すべき格別の理由もないといえるから、それぞれが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものというべきである。

3.以上によれば、「第一ホテル」の文字とともに、「DAI−ICHI HOTEL」の文字は、本件商標の登録時はもとより出願時までに、「第一ホテル」の英文表記として、我が国において広く認識されていたと認められ、かつ、地名若しくは地理的名称と前記文字とを用いた関連ホテルが存在し、当業界及び需要者間に広く知られていることを考え併せると、前記欧文字表記よりハイフンを省略したにすぎない「DAIICHI HOTEL」の文字をその構成中に有する本件商標が、その指定役務「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ」に使用された場合には、これに接する取引者・需要者は、その構成中の「DAIICHI HOTEL」の文字に着目し、これより「第一ホテル」を想起し、その役務が「第一ホテル」と何らかの関係を有する者の提供に係るものであるかのように、提供役務の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと判断するのが相当である。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。

4.してみれば、本件商標は、請求人のその余の主張について判断するまでもなく、前記条項に違反して登録されたものであるから、その登録は、同法第46条第1項の規定により無効とすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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