Trademark Appeal Case
著名商標の要部抽出と混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成7年審判第6806号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「PALM SPRINGS POLO CLUB」の欧文字と「パームスプリングスポロクラブ」の片仮名文字とを上下二段に横書きした構成よりなり、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,げた,草履類,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」を指定商品とし、平成4年7年24日に商標登録出願されたものである。
2 原審における査定の理由
この商標登録出願に係る商標は、その構成中に「POLO」、「ポロ」の各文字を有してなるところ、「POLO」(ポロ)の文字よりなる標章は、件外米国の著名なデザイナー「Ralph Lauren」(ラルフローレン)がその取扱いに係る被服等の商品について使用し、需要者間に広く認識せられた商標と認められる。しかして、本願商標をその指定商品について使用した場合、需要者は前記事情よりして、その商品が前記デザイナー或いは同人と営業上何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を起こすおそれが少なからずあるとみるのが相当である。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 請求人の主張
本願商標は、一連かつ一体に表示されており、全体として一定の団体等を表現したクラブ名称の一つを想起させるものであって、他に「POLO」、「ポロ」の文字のみを抽出して称呼、観念しなければならない格別の事情が存するとはいえないものである。例えその構成中に審査官が著名商標であると認定した「POLO」、「ポロ」の文字を有しているものであるとしても、本願商標にあっては独立しては機能しないものと言い得うるから商品の出所について混同を生じさせるおそれはない。よって、本願商標は商標法第4条第1項第15号の規定に該当するものではない。
4 当審の判断
(1)「POLO」「ポロ」の著名性について
「男の一流品大図鑑」(昭和53年7月20日株式会社講談社発行)、及び、「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」(同58年9月28日サンケイ マーケティング発行)によれば、以下の事実が認められる。
ラルフ・ローレンは、1967年ネクタイメーカーのボー・ボランメル社にデザイナーとして入社、幅広ネクタイをデザインし、圧倒的に若者に支持され、世界に広がった。翌1968年独立し、社名を「ポロ・ファッションズ」(以下、「ポロ社」という。)とし、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服のデザインにも進出した。服飾業界の名誉ある賞、「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞したのをはじめ、数々の賞を受賞した。1974年の映画「華麗なるギャッツビー」で主演したロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことから、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。
その頃から、我が国においても、ラルフ・ローレンの名前は服飾業界等において広く知られるようになり、そのデザインに係る商品には「POLO」の文字とともに「by RALPH LAUREN」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形の各商標が用いられ、これらの商標は「ポロ」と略称されている。
そして、「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」(昭和55年3月株式会社洋品界発行)、及び、「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」(同59年9月ボイス情報株式会社発行)の「ポロ」あるいは「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項の記述、及び、同63年10月29日付日経流通新聞の記事によれば、我が国においては、西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。
また、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、「dansen男子専科」(1971年7月株式会社スタイル社発行)、前出「男の一流品大図鑑」、「世界の一流品大図鑑’79年版」(昭和54年5月株式会社講談社発行)、別冊チャネラー 「ファッション・ブランド年鑑’80年版」(同54年9月株式会社チャネラー発行)、「男の一流品大図鑑’81年版」(同55年11月株式会社講談社発行)、「世界の一流品大図鑑’80年版」(同55年5月株式会社講談社発行)、「MEN’S CLUB 1980,12」(同55年12月婦人画報社発行)、「世界の一流品大図鑑’81年版」(同56年5月株式会社講談社発行)、前出「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、「流行ブランド図鑑」(同60年5月株式会社講談社発行)に、眼鏡については、前出「世界の一流品大図鑑’80年版」、「世界の一流品大図鑑’81年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」に、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフ・ローレン(アメリカ)」等の商標の下に紹介されていることが認められる。
他に、これを覆すに足りる証拠はない。
なお、ラルフ・ローレンの「POLO」、「ポロ」、「Polo」の商標について、上記認定事実とほぼ同様の事実を認定した東京高等裁判所の判決(平成2年(行ケ)183号、平成3年7月11日判決言渡)がある。
以上の事実を総合すれば、引用商標は、我が国においては、遅くても昭和55年頃までにはラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして引用商標が取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていたものと認められ、その状態は現在においても継続しているというのが相当である。
(2)本願商標は、前記構成から成るものであるところ、全体として既成の観念を示すものとして一般に広く認識されているものとも言い難いものである。
この点について、請求人は、「本願商標は、全体として一定の団体等を表現したクラブ名称の一つを想起させるものであ。」旨主張しているが、本願商標が係る意味合いを有するものとして一般に知られているものとは認められないし、請求人も何らその証左を示すところがないから、請求人のこの主張は採用することができない。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用する場合には、前記実情からして、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「POLO」、「ポロ」の文字に注目し、前記周知になっているラルフ・ローレンに係る引用商標を連想、想起し、ラルフ・ローレン、若しくは、ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ、又は、これらと組織的・経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのようにその商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。
(3)したがって、本願商標を商標法第4条第1項第15号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当なものであって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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