Trademark Appeal Case
王冠図案の類否判断
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2001−90489(T2001−90489/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4463354号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成12年5月25日に登録出願され、別掲(1)に表示したとおりの構成よりなり、第14類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成13年3月30日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下、「申立人」という。)が本件商標の登録異議申立ての理由に引用する商標は、別掲(2)に表示したとおりの構成よりなり、第23類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和50年11月19日に登録出願、同58年5月26日に設定登録された登録第1586180号商標(以下、「引用A商標」という。)、及び、別掲(3)に表示したとおりの構成よりなり、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和34年6月8日に登録出願、同35年12月15日に設定登録されている登録第562472号商標(以下、「引用B商標」という。)である。
3 異議申立の理由
本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するにもかかわらず違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきである旨を主張し、その理由を要旨次のように述べている。
本件商標は、放射状に描かれその先端に小球を有する5本の尖塔と、当該尖塔最左部及び最右部の下部近傍に先端窄みの突起部を有する一対の尖塔及び前記5本の尖塔中央部の垂直対称方向に先端窄みの突起部を有する尖塔を黒色で彩色する図形と図形内に白抜きで欧文字「EUROX」を書してなるものである。
これに対して、引用A商標は、放射状に描かれその先端に小球を有し黒色に彩色された5本の尖塔と当該尖塔下部に白抜きの楕円形状を書してなるものである。引用B商標は、放射状に描かれその先端に小球を有し黒色に彩色された5本の尖塔と、当該尖塔下部に白抜きの楕円形状からなる図形と欧文字「ROLEX」を上下二段に書してなるものである。
そこで、まず本件商標と引用A商標を比較するに、本件商標及び引用A商標には、共に特徴的部分である「放射状に描かれその先端に小球を有する5本の尖塔」を構成要素とするものである。
ところで、簡易迅速を旨とする取引の実情のもとでは、それぞれの商標を常に冷静かつ厳密に分析し、その商標を構成する図形や綴り字、あるいはその商標の有する観念等を正確に把握して取引に当たるとは限らず、特に、本件・引用商標の両者の指定商品である「時計」について商標を使用する場合には、時計(特に腕時計)という商品の性質上、当該商標は狭いスペースの文字盤上に小さく付されるのが一般的であることから、真に購買しようとする商品「時計」について、その使用に係る商標の図形や綴り字、あるいは観念等を正確に把握して取引に当たる場合のあることは否定しないものの、一方で、通常の注意力をもってしても、その図形や綴り字等を見誤り、あるいは観念を誤解して取引に当たる場合のあることも決して少なくない。
従って、商標の形態の特徴的部分を共通にする本件商標と引用A商標とは、外観について商品の取引者及び一般の需要者をして視覚を通じてその出所の混同を生じせしめる程の近似性を有している。また、本件商標及び引用A商標に描かれている「放射状に描かれその先端に小球を有する5本の尖塔」は、「王冠」頭部を抽象化した図案であることは明らかである。そして、本件商標の「5本の尖塔最左部及び最右部の下部近傍にある先端窄みの突起部を有する一対の尖塔」は、「王冠」の正面視の左右に尖った部分を抽象化し、「5本の尖塔中央部の垂直対称方向に先端窄みの突起部を有する尖塔」は、「王冠」の正面視の中央部の尖った部分を抽象化したことも明らかである。引用A商標の「5本の尖塔と、当該尖塔下部の白抜き楕円形状」は、王冠を被る部分の抽象画であることも明らかである。
従って、本件商標と引用A商標からは、共に思考を通じて「王冠」の観念を生じさせるため商品の出所の混同を生じさせ得る。
次に、本件商標と引用B商標を比較する。引用B商標は、「放射状に描かれその先端に小球を有し黒色に彩色された5本の尖塔と、当該尖塔下部に白抜きの楕円形状からなる図形と欧文字「ROLEX」を上下二段に書してなり、上段と下段は大きさも異なり、上下の間に相当の空間を空けていることから、上段と下段の部分は、それぞれが商標の要部となり得る。本件商標との類否をみるに、引用B商標の上段は、引用A商標と相似形であるので、引用B商標は引用A商標と同様の外観及び観念を生ずる。
従って、本件商標と引用B商標とは、外観及び観念の点で類似することは明らかである。
また、称呼についても出所の混同を生じる。本件商標の図形内には白抜きで欧文字「EUROX」が分離可能に表されているので、本件商標からは当該文字に対応して「ユーロックス」の称呼も生じ得る。これに対して、引用B商標からは、欧文字「ROLEX」に対応して「ローレックス」の称呼も生じ得る。
そこで、両称呼を対比すると共に4音で構成されておりこの中の2音「ク」、「ス」を共通にしている。相違する「ユー」と「ロー」は、その母音を共に口を窄めて発音する点で共通にしており、また「レ」と「口」は同行音であり発音上の親近性が強い。このため「ユーロックス」と「ローレックス」の称呼は、迅速な取引が要求される取引においてはその発音の点で商品取引者及び一般需要者をしてその出所を誤認混同することは明らかである。
以上の通り、本件商標と引用A、B商標は、外観、観念及び称呼において類似する商標であり、かつ異議申立にかかる指定商品は引用A、B商標の指定商品に含まれ両商品が互いに抵触することは明らかである。
以上、本件商標は引用A、B商標との関係において商標法第4条第1項第11号に該当する暇庇ある登録である。
したがって、本件商標は、商標法第43条の2第1号に該当し取り消されるべきである。
4 当審の判断
本件商標は、別掲(1)に表示したとおり「EUROX」の欧文字と黒色の放射状模様を描いた図形との結合商標よりなるものである。そして、該黒色の放射状模様中、上方に伸びた放射状模様(突起部)の5本の先端に玉状の模様を描いた図形部分からは、特定の事物を直ちに想起し得る程度に具象的に表現されたものとは言い難いものであるから、これよりは、特定の称呼・観念を生ぜしめない一種の幾何的図形として認識し把握されるというべきである。そうとすれば、本件商標に接する取引者・需要者は、この商標全体を捉え、又は構成中の中央部に顕著に表されている「EUROX」の文字部分を捉え、これより生ずる「ユーロックス」の称呼をもって取引にあたるものというのが相当である。
したがって、本件商標よりは「ユーロックス」の称呼のみを生ずる商標と認められるものである。
他方、引用A商標は、別掲(2)に表示したとおり「王冠」を表した図形とも看取されるものであるから、これよりは「オウカン」(王冠)の称呼・観念を生じさせるものというのが相当である。同じく、引用B商標は、別掲(3)に表示したとおり、王冠を表した図形の下に「ROLEX」の欧文字を配してなるものであるから、これよりは「オウカン」(王冠)の称呼・観念及び「ロレックス」及び「ローレックス」の称呼を生ずるものである。
そして、本件商標より生ずる「ユーロックス」の称呼と、引用A、B商標より生ずる「オウカン」の称呼とは明らかに相違し、また、「ユーロックス」の称呼と引用B商標「ロレックス」及び「ローレックス」の称呼とは、称呼を識別する上で最も重要な要素となる語頭部が前者は「ユーロ」、後者は「ロレ」及び「ローレ」と全く異なるものであるから、称呼上聞き誤るおそれはないものといえる。
さらに、本件商標と引用A、B商標の「王冠」を表した図形部分とは、対比観察上はもとより、離隔的観察においても互いに紛れるおそはないものであるから、外観上において区別し得る差異を有するものであり、また、観念上においても類似のものということはできない。
してみれば、本件商標と引用A、B商標とは、称呼、観念及び外観のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標とみるのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものとはいえない。
よって、商標法第43条の3第4項の規定に基づき結論のとおり決定する。
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