結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2000−35615(T2000−35615/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
第1.本件商標
本件登録第4383345号商標(以下「本件商標」という。)は、平成11年6月30日に登録出願され、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり
、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),乗馬靴」を指定商品として、平成12年5月19日に設定登録されたものである。
第2.請求人の引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する商標は、別掲(2)に示すとおりの構成よりなり、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、昭和54年9月25日に登録出願され、昭和63年8月29日に設定登録された登録第2072497号商標、同じく別掲(2)に示すとおりの構成よりなり、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝石およびその模造品、造花、化粧用具」を指定商品として、昭和54年9月25日に登録出願され、昭和58年1月28日に設定登録された登録第1560711号商標、同じく別掲(2)に示すとおりの構成よりなり、第22類「はき物、かさ、つえ、これらの部品及び付属品」を指定商品として、昭和54年9月25日に登録出願され、昭和58年11月25日に設定登録された登録第1635912号商標(以下まとめて「引用商標」という。)である。
第3.請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第57号証(枝番を含む)を提出している。
(1)無効理由
本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同法第4条第1項第15号及び同法第4条第1項第19号に該当するものであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録は無効とされるべきものである。
(2)商標法第4条第1項第11号に該当する理由
本件商標と引用商標を比較するに、本件商標と引用商標は、これを子細にみれば、それぞれを構成する線の太さに若干の差異があり、また、横長楕円形様の図形が右横の部分に−本の短い横線を交差させたものであるか否かの差異があるとしても、両者の横長楕円形様の図形の形状が同様の形状であるばかりでなく、横長楕円形様の図形内中央に配した「V」字形の図形は酷似したものであって、幾何的図形中、最も看者の注意をひく部分であり、もともと、両者はその構成の軌を一にするものであるから、両者を時と処を異にして観察するときは、その外観が極めて相紛らわしいものである。
したがって、本件商標は引用商標と外観上、類似する商標であり、また、本件商標の指定商品が引用商標の指定商品に抵触するものであることは明らかであるので、結局、本件商標の登録は商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものであるから、無効とされるべきものである。
(3)商標法第4条第1項第15号に該当する理由
引用商標は、紳士服、婦人服、ネクタイ等の衣料品、装身具、バッグ類に使用された結果、極めて著名なものとなっているものであり(甲第21号証ないし同第57号証)、本件商標の指定商品は引用商標の指定商品以外の商品をも含んでいることが明らかである。
しかして、本件商標と引用商標が互いに類似する商標であることは上記のとおりであるから、本件商標は、これを被請求人がその指定商品中、引用商標の指定商品以外の商品に使用した場合、その商品も恰も請求人の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標の登録は商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、無効とされるべきである。
(4)商標法第4条第1項第19号に該当する理由
引用商標は、その指定商品中の商品、紳士服、婦人服、ネクタイ等の衣料品、さらにはともにファッション関係の商品である装身具、バッグなどに使用され、イタリアの著名なファッションデザイナーであるヴァレンティノ・ガラヴァニに係る商品であることを表示するものとして、需要者、取引者間に広く認識され、極めて著名なものとなっていることが、甲第21号証によっても明らかなところである。
しかして、本件商標が引用商標に類似する商標であることは上述のとおりであるが、元来、本件商標の構成は引用商標の構成を軌範とするものであることが明らかである。
してみれば、被請求人が本件商標をその指定商品に使用しようとして採択したことは他人の商標の著名性を自己の利益に利用しようとしたもので、いわゆるフリーライドであって、不正な目的によるものといわざるをえない。
したがって、本件商標の登録は商標法第4条第1項第19号に違反してなされたものであるから、無効とされるべきものである。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に該当するにもかかわらず登録されたものであるから、同法第46条の規定により無効とされるべきものである。
第4.被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第12号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
請求人は、引用商標と本件商標は、横長楕円形様の形状が同様であり、両者はその構成の軌を一にすると主張している。
しかし、引用商標の形状は楕円というよりも寧ろ四角形に近いものであり、略四角形状といった方が的確である。
また、本件商標の楕円形状の右側には、引用商標に存しない短い横線も配されており、両者はその外観上の印象からして明らかに相違している。
さらに、白黒刷りの商標公報では分かり難くなっているが、本件商標には色彩が附されており、実際の使用態様も中央部の「V」文字と楕円形状の色彩は異なっている。
よって、これらの点を総合的に勘案すれば、本件商標に接した取引者及び一般需要者が、その外観上の印象の差異によって両者を識別することは容易なことと解されるため、本件商標は明らかに引用商標と外観上非類似の商標である。
上記の被請求人の考察が正当であることを証する為に、乙第1ないし8号証(書誌検索データ)を提出する。
即ち、本件請求の理由からすれば、上記乙第1ないし8号証の各商標もまた引用商標と構成の軌を一にするため、外観が極めて紛らわしいものと解さざるを得なくなるが、実際には、いずれも審査で登録され、市場において使用されているという事実が存している。
よって、これらの事情からすれば、取引者及び一般需要者はこれら「V」文字を含む図形(モノグラム)商標を既に多く見慣れていると解される為、看者にとっては本件商標と引用商標の外観上の差異を識別し得るのは容易なことと解するのが自然である。
従って、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(2)商標法第4条第1項第15号・同第19号について
請求人は、引用商標は「衣料品、装身具、バッグ類」について極めて著名になっている為、本件商標をこれら以外の商品に使用した場合にも、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある旨主張している。
そこで、被請求人は、反証として乙第9ないし12号証(書誌検索データ)を提出する。
一見して明らかな通り、上記乙第9ないし12号証の各商標も又、略楕円形状・略円形状と「V」文字を組み合わせた図形を含むものであり、「貴金属製品」「織物」といったファッション関連といっても差し支えのない商品を指定商品とする商標である。
即ち、仮に、請求人が主張する如く、楕円形状等と「V」文字を含む商標を「被服,かばん類」等以外の商品に使用した場合に出所混同が生ずるとするならば、上記乙第9ないし12号証商標なども当然に拒絶されてしかるべきものとなる。
にも拘わらず、前記乙第1ないし8号証の各商標と同様、これらの商標も又審査で登録され、実際に市場において使用されている(使用されていた)という事実からすれば、これらの商標と同様の構成を有する本件商標をいかなる指定商品に使用しても、商品の出所混同は生じないと解するのが自然である。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
なお、請求人は、本件商標が商標法第4条第1項第19号に該当すると主張するが、前記した通り、本件商標と引用商標の外観上の印象は顕著に異なるものであり、両者が明らかに非類似の商標である以上、いわゆるフリーライドの問題は生じ得ないと解される。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当するものでない。
(3)上記各理由により、審判請求人の主張が不当なものであり、本件商標が商標法第4条第1項第11号、第15号、第19号に該当しないことは明らかである。
従って、本件商標は、商標法第46条第1項の無効理由を有しないものであるから、答弁の趣旨通りの審決を求めるものである。
第5.当審の判断
請求人より提出された甲第23号証ないし甲第57号証(枝番を含む)によれば、引用商標は、「世界の一流品大図鑑(1983年版)」「男の一流品大図鑑(1985年版)」をはじめ、各種雑誌、新聞又はカタログ等に請求人の取り扱うヴァレンティノ・ガラヴァーニのデザインに係る商品(婦人服、紳士服、ベルト、婦人靴、ネクタイ)を表示する商標として、長年に亘り広告宣伝された結果、取引者・需要者の間に広く認識され、著名なものとなっていたことが認められる。
そこで、本件商標と引用商標の類否について検討するに、両商標の構成はそれぞれ別掲(1)及び(2)に示すとおりであるところ、両者を子細に観察した場合には、本件商標には色彩が施されており、引用商標には色彩は施されていない。両者の楕円が本件商標は丸みを帯びているのに対し、引用商標はやや角張っている。そして、本件商標の楕円右側には横棒があるが、引用商標にはそれがない等の違いがみられるものの、両商標は、いずれも看者の印象に残る中央に左斜線を太く表した「V」字状の図形を描き、その右上端から左上端を結ぶ曲線で該「V」字状の図形を囲むように楕円を描いてなるという点において、構成の軌を同じくするといえるものであるから、時と所を異にして本件商標に接した場合には、看者をして著名な引用商標を想起させるものといわなければならない。
してみれば、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者・需要者は、その商品が請求人の取り扱うヴァレンティノ・ガラヴァーニのデザインに係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、他の請求人の主張について判断するまでもなく、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものというべきであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。