結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2001−35205(T2001−35205/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4217382号商標(以下「本件商標」という。)は、黒く塗りつぶした正方形の中に「朝日ファイナンスサービス」の文字を白抜きにしてなり、平成9年4月1日に登録出願、第36類「資金の貸付け及び手形の割引,金銭債権の取得及び譲渡,前払式証票の発行,ガス料金又は電気料金の徴収の代行,株式市況に関する情報の提供,生命保険契約の締結の媒介,損害保険契約の締結の代理,建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供,骨董品の評価,美術品の評価,宝玉の評価,企業の信用に関する調査,慈善のための募金」を指定役務として、同10年12月4日に設定登録されたものである。
第2.請求人の引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第3016215号商
標(以下「引用商標1」という。)は、「あさひ」の平仮名文字を横書きしてなり、特例出願として、平成4年9月29日に登録出願、第36類「預金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引および公金等収納事務,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,金融先物取引の受託,債券の募集の受託,外国為替取引,信用状に関する業務,国債証券等の売買,国債証券等に係わる有価証券指数等先物取引,国債証券等に係わる有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引,国債証券等の売買・国債証券等に係わる有価証券指数等先物取引・国債証券等に係わる有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次又は代理,有価証券市場における国債証券等の売買取引・国債証券等に係わる有価証券指数等先物取引及び国債証券等に係わる有価証券オプション取引の委託の媒介・取次または代理,外国有価証券市場における国債証券等の売買取引及び外国市場証券先物取引の委託の媒介・取次又は代理,国債証券等の募集又は売出しの取扱い」を指定役務として、同6年12月22日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。同じく、登録第4143791号商標(以下「引用商標2」という。)は、「あさひ」の平仮名文字を横書きしてなり、平成4年9月30日に登録出願、第36類「金銭・有価証券・金銭債権・動産・土地もしくはその定著物又は地上権もしくは土地の賃借権の信託の引受け,債権回収の代行,クレジットカード利用者に代わってする支払代金の精算,株式市況に関する情報の提供,抵当証券の売買,有価証券に係る投資顧問契約に基づく助言,財産の取得・管理・処分又は貸借の代理事務,財産の整理又は清算の代理事務,債権の取立の代理事務,債務の履行の代理事務」を指定役務として、同10年5月8日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。同じく、登録第3016229号商標(以下「引用商標3」という。)は、「あさひの『マネー特急便』」の文字を横書きしてなり、特例出願として、平成4年9月29日に登録出願、第36類「預金の受け入れ,内国為替取引」を指定役務として、同6年12月22日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。同じく、登録第3016230号商標(以下「引用商標4」という。)は、「あさひの給与振込自動計算サ−ビス」と『給太郎』の文字を二段に横書きしてなり、特例出願として、平成4年9月29日に登録出願、第36類「預金の受入れ,内国為替取引,公金等収納事務」を指定役務として、同6年12月22日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。同じく、登録第4028734号商標(以下「引用商標5」という。)は、「あさひリテール口座」の文字を横書きしてなり、平成4年11月19日に登録出願、第36類「預金の受入れ,資金の貸付け,ガス・電気・水道・電話料金の支払いの取次,内国為替取引」を指定役務として、同9年7月18日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。同じく、登録第3060757号商標(以下「引用商標6」という。)は、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、平成4年9月28日に登録出願、第36類「生命保険の引受け」を指定役務として、同7年7月31日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。同じく、登録第3302211号商標(以下「引用商標7」という。)は、「朝日」の漢字を横書きしてなり、平成4年9月28日に登録出願、第36類「建物の売買,土地の売買,建物の貸借の媒介」を指定役務として、同9年5月9日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。同じく、登録第4048657号商標(以下「引用商標8」という。)は、別掲(2)に示すとおりの構成よりなり、平成4年9月29日に登録出願、第36類「紙幣・硬貨計算機の貸与,現金支払機・現金自動預け払い機の貸与,科学技術の研究のための助成金の給付,建物又は土地の情報の提供,骨董品の評価,美術品の評価,宝玉の評価,企業の信用に関する調査」を指定役務として、同9年8月29日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
第3.請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録は、これを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」と申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第46号証を提出した。
1.商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標は、「朝日ファイナンスサービス」の文字よりなるところ、その構成中の「ファイナンスサービス」の文字の部分は、金融サービス、財務サービスの意味合いで、金融、証券、保険等の分野においてサービスの質、内容を表示するものとして広く一般に使用されているばかりでなく、子会社、関連会社の業務内容を表すためにその商号中に多く用いられているものであるから、「ファイナンスサービス」の文字部分は、自他役務識別標識としての機能を有しないものである。
甲第10号証及び同第11号証には、「さくらファイナンスサービス(株)」、「(株)三井ファイナンスサービス」、「三井海上ファイナンスサービス(株)」、「同和火災ファイナンスサービス(株)」等の社名があり、会社の提供する役務に係る業務の内容、質を表示するために、「ファイナンスサービス」の文字が普通、一般に使用されているものである。
また、甲第12号証にも、「ファイナンスサ−ビス」の記述例が多数あり、「ファイナンスサービス」の文字が、金融証券保険等の分野におけるサービスの質、内容を表示するものとして広く一般に使用されている事実が認められる。
これらの例から見ても、「朝日ファイナンスサービス」の文字よりなる本件商標は、これに接する者をして使用される指定役務との関係において、「ファイナンスサービス」の文字の部分は役務の質、内容を表示するものと容易に理解、認識されるものである。
そうとすれば、本件商標の構成中「ファイナンスサービス」の文字の部分は、自他役務識別標識としての機能を有しないものである。
したがって、本件商標において、自他役務識別標識としての機能を果たすのは「朝日」の文字の部分にあり、これより「アサヒ」の称呼、「朝日」の観念を生じるものである。
また、本件商標は、黒地に「朝日ファイナンスサービス」の文字を白抜きで表示したものであって、白地に文字を書したものと同様に、構成上もまとまりよく一体的に表示されているとはいい難いものである。
そして、本件商標は、漢字「朝日」と英語に由来する片仮名文字「ファイナンスサービス」の文字よりなるものであって、「朝日」と「ファイナンスサービス」の文字との間には、これらを常に一体のものとしてみなければならない観念的な一体性があるとは理解し得ないものであり、これより生じる称呼も11音という冗長なものであることから、語頭部にあって看者の注意を強く惹く「朝日」の文字の部分を捉え、これより生じる称呼をもって取引に資することも決して少なくないというのが相当である。
そうとすれば、本件商標は、「朝日」の文字の部分より、「アサヒ」の称呼、「朝日」の観念を生じるものである。
(2)他方、引用商標1ないし引用商標8は、それぞれの構成文字に相応して、「アサヒ」の称呼、「朝日」の観念の生じること明らかである。
(3)そうしてみると、本件商標と引用商標1ないし引用商標8とは、「アサヒ」の称呼、「朝日」の観念を共通にする互いに類似の商標というべきものである。
(4)この点に関する請求人の主張については、商標審査基準において「九、第4条第1項第11号 4.結合商標の類否は、その結合の強弱の程度を考慮し、例えば、次のように判断するものとする。(1)形容詞的文字(商品の品質、原材料等を表示する文字、又は役務の提供の場所、質等を表示する文字)を有する結合商標は、原則として、それが付加結合されていない商標と類似する」と定められていること、及び請求人の出願に係る「あさひプーリングシステム」の文字よりなり、第36類の役務を指定役務とする商願平10−33942号の商標について、上述の審査基準に則り、本件商標を引用商標として、商標法第4条第1項第11号に該当するとの拒絶理由通知が発せられ、かつ平成13年4月6日付けで拒絶査定(甲第13号証)がなされていることから見ても、請求人の主張は極めて妥当なものと誰もが首肯し得るところである。
(5)そして、本件商標の指定役務は、引用商標1ないし引用商標8の指定役務と同一又は類似の役務を包含すること明らかである。
(6)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
2.商標法第4条第1項第15号について
(1)請求人は、協和銀行と埼玉銀行が合併し、協和埼玉銀行の商号で営業してきたものであるが、平成4年9月に商号を「株式会社あさひ銀行」に変更し、以来その商号をもって銀行の業務を行っているものである。
この銀行業務を遂行するため、全国に展開する本支店、出張所、代理店、店舗外現金自動設備等の店舗数も平成8年3月期には912と極めて多い店舗数となっているものである。(甲第14号証)
そして、その商号において、他の銀行と区別をするための主要部となる文字が「あさひ」であることから、「あさひ」の文字と金融商品の内容を表す文字等とを結合した「あさひリテールロ座」等の「あさひ」の文字を主要部とする商標を付した金融商品を数多く提供しているものである。
また、顧客に対し総合金融機能を提供するための子会社、銀行業務に付随する業務を営む関連会社,銀行業務の代行をする子会社を多く設立し、それらの会社の商号も請求人の子会社、関連会社であることを明示するため、そのほとんどが「あさひ」の文字を主要部とする商号となっているものである。(甲第14号証)
(2)請求人は、請求人の営む業務を普及、説明するため、銀行法第21条に基づくディスクロージャー誌を毎年大量に発行、配布し、公衆の縦覧に供しているものである。(甲第14号証)
そして、銀行の宣伝、広告と顧客の便宜のため、商号の略称を用いた「あさひ/店舗一覧」を大量に作成し、配布しているものである。(甲第15号証)
また、「あさひ」の文字と個別金融商品毎の役務の内容,質を表示する語とを結合した商標を付した金融商品毎のパンフレット、申込書も大量に作成、配布し、宣伝、広告を盛大にしてきたところである。(甲第16号証乃至甲第36号証)
また、請求人は、ラジオ、テレビ、新聞、雑誌等のマスメディアを通じて請求人の営む業務及び個別の金融商品を固定の顧客のみならず一般の需要者にも普及を図るべく、全国的に盛大に宣伝、広告を行ってきたものである。(甲第37号証ないし甲第42号証)
これらの宣伝、広告のための費用は、毎年30億円余にものぼる極めて膨大な額に達しているものである。(甲第43号証)
上述した請求人の営業努力、宣伝、広告の結果、請求人の商号と商号の略称である「あさひ銀行」、「あさひ銀」、「あさひ」及び個別の金融商品ごとに付された「あさひ」の文字と金融商品の内容を表す文字等とを結合した「あさひリテールロ座」等の「あさひ」の文字を主要部とする商標は、請求人の業務に係る役務を表示するものとして、本件商標の出願前には広く一般に知れ渡っているものである。
(3)請求人の業務に係る役務中、特に普通預金「あさひリテールロ座」、住宅融資「あさひ住宅ローン」は、請求人の積極的な営業努力、広告、宣伝の努力のみならず、提供するサービスの内容が需用者のニーズに合ったことから、その利用者も都市銀行中で群を抜いて多く、本件商標の出願前の平成9年3月末現在で、あさひリテール口座(普通預金)は5、036千口、あさひ住宅ローン(住宅融資)は252千口もの多くに達していることからすれば、一般に広く知られ、親しまれ、利用されているということができるものである。(甲第44号証)
請求人の営業努力、広告、宣伝の努力が功を奏し、営業実績も順調に推移した結果、店舗数、従業員数、普通預金の残高、住宅融資の残高も都市銀行中比較的上位にランクされる程になっているものである。(甲第45号証)
(4)そして、請求人の提供する個別の金融商品は,評判が良く、利用者も多いことから業界の注目を浴び、金融専門誌にも度々取り上げられ、その名は益々高まっているものである。(甲第46号証)
(5)このように、請求人の名称(商号)、商号の略称である「あさひ銀行」、「あさひ銀」、「あさひ」及び個別の金融商品に使用されている「あさひ」の商標若しくは「あさひ」と他の文字とを結合した商標は、本件商標の出願前には広く一般に知られ、親しまれて、利用されていたものであり、「あさひ」といえば請求人若しくは請求人の業務に係る役務を指称するほどに著名となっていたものである。
(6)そこで本件商標を見るに、請求人の略称又は個別の金融商品に使用されている「あさひ」と同一の称呼、観念を生じる「朝日」の文字と、英語に由来し、金融に係る役務の質、内容を表示するものとして一般に使用されている「ファイナンスサービス」の片仮名文字よりなるものであって、上述したとおり、請求人の所有に係る引用商標1ないし引用商標5と類似の商標であり、請求人の業務に係る個別の金融商品に使用されている「あさひ」と役務の内容を表示する文字とを結合した商標と同様の構成態様となっているものである。
しかも、その指定役務は金融の分野及び金融と非常に密接な関係(近年の規制緩和により、その関係がより深まっている)にある証券、保険、不動産等に係るものであることからすれば、これをその指定役務について使用するときは、該役務が恰も請求人の業務に係るものであるかの如く混同を生じるおそれが充分にあるといわざるを得ないものである。
(7)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
第4.被請求人の答弁
被請求人は、何ら答弁していない。
第5.当審の判断
1.商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、黒く塗りつぶした正方形の中に「朝日ファイナンスサービス」の文字を白抜きにしてなるところ、構成の各文字は、外観上まとまりよく一体に構成されており、これより生ずると認められる「アサヒファイナンスサービス」の称呼も淀みなく、一気一連に称呼し得るものであり、殊更、構成中の「朝日」の文字部分を独立して称呼しなければならない特段の事由も見当たらないものである。
そうとすれば、本件商標は、「朝日ファイナンスサービス」の文字部分に相応して「アサヒファイナンスサービス」の一連の称呼のみを生ずるものとみるのが相当である。
これに対し、引用商標は、「アサヒ」の称呼をそれぞれ生ずるものとみるのが相当である。
そこで、本件商標より生ずる「アサヒファイナンスサービス」の称呼と引用商標より生ずる「アサヒ」の称呼とを比較するに、両称呼は、後半部分において、「ファイナンスサービス」の有無という顕著な差異を有するものであるから、称呼上明らかに聴別し得るものである。
また、両商標は、前記のとおりの構成よりなるから、外観において互いに区別し得る差異を有するものであり、さらに、本件商標は、特定の観念を生じさせない造語よりなるものと認められるから、観念上比較すべくもないも
のである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標と認められる。
なお、請求人は、「『ファイナンスサ−ビス』の文字部分は、金融サ−ビス、財務サ−ビスの意味合いで、金融、証券、保険等の分野においてサ−ビスの質、内容を表示するものとして広く一般に使用されているばかりでなく、子会社、関連会社の業務内容を表すためにその商号中に多く用いられているものであるから、自他役務識別標識としての機能を有しないものである。」旨主張しているところ、本件商標はその構成中の「朝日」の文字部分も、我が国一般社会において広く知られており、かつ少なからぬ営業者によって営業表示そのもの或いはその一部として使用されているものであって、「朝日」と営業内容「ファイナンスサ−ビス」が相俟って、独自の識別力を生ずるから、両者は不可分一体のものとして判断されるべきである。
2.商標法第4条第1項第15号について
前記したとおり、本件商標と引用商標とは、商標において、類似しない別異のものであるから、本件商標をその指定役務に使用しても、引用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その役務が申立人又は同人と何らかの関係のある者の業務に係るものであるかの如く、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものといわざるを得ないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項により、その登録を無効とすべきではない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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