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Trademark Appeal Case

不使用取消:承認申請の正当性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2000−30368(T2000−30368/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第2244397号商標(以下「本件商標」という。)は、「アービア」の文字を書してなり、昭和63年3月14日登録出願、第4類「せっけん類(薬剤に属するものを除く)歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類」を指定商品として、平成2年7月30日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、「本件商標は、その指定商品中の『せっけん類(薬剤に属するものを除く)、化粧品(薬剤に属するものを除く)』についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。

(1)請求の理由

本件商標は、商標権者により継続して3年以上、日本国内において、商品「せっけん類(薬剤に属するものを除く)、化粧品(薬剤に属するものを除く)」について何ら使用されていない。また、本件商標の商標権には専用使用権は設定されていない、加えて通常使用権も登録されていないことから、本件商標権の通常使用権者も存在しないことが推認し得る。

したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取消されるべきである。

(2)答弁に対する弁駁

(ア)被請求人は、登録商標を使用していないことについて正当な理由が存すると述べるとともに、その理由として販売名「アービアローションKAL」で医薬部外品の製造承認申請を行っていると述べ、その旨の証明書を提出している。

しかしながら、該証明書のみによっては、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが指定商品について、本件商標の不使用であることの正当な理由とはなり得ない。

(イ)被請求人は、販売名「アービアローシヨンKAL」を発売する予定があったことは明確であると述べているが、予定があったことについての具体的証拠が提出されていないばかりか、いつ、発売する予定があったのかについては一切述べるところがない。

そもそも、本件商標が使用されていなかったことの正当な理由は、本件審判請求の登録前3年以内に存することが必要である。いいかえると、本件審判請求の登録前3年以内に本件商標を使用する意志があったにも拘らず、何等かの理由で使用できなくなり、その理由が正当であることが必要なのである。

ところが、被請求人は、販売名「アービアローシヨンKAL」を発売する計画があったと述べてはいるが、販売する予定についての具体的証拠の提出はなく、また、いつ発売するのかについても述べるところはない。

そのため、仮に販売名「アービアローシヨンKAL」を発売する計画があったとしても、単に薬事法による製造承認後ということになるから、本件審判請求の登録前3年以内における本件商標についての使用の意志があるわけではなく、本件商標について、本件審判請求の登録前3年以内の不使用についての正当な理由とはなり得ない。

(ウ)被請求人は、敢えて証拠を提出するまでもなく、医薬部外品の製造及び販売を業務の一つとする会社法人である。

被請求人は、当然乍ら医薬部外品について、本件商標を使用しようとする以上、薬事法の規制を受けることは承知し、又は当然に知っていなければならない事項である。

そうすると、被請求人は、薬事法上の医薬部外品の製造承認までに申請からどのくらいの月日を要するかは熟知していた筈である。

ところが、被請求人は、「アービアローシヨンKAL」についての医薬部外品の製造承認申請を行ったのは、平成11年11月5日(受付は平成11年11月10日)である。この日付は本件審判請求日の平成12年3月30日のわずか4ケ月程前である。

通常、薬事法による製造承認までに申請からこの期間以上を要することは特別に例外的なことではないのである。

したがって、「アービアローシヨンKAL」について、医薬部外品の製造承認がないままこの期間中に、本件商標を使用することは不可能な状態であり、被請求人はこのことも十分承知しているのである。

いいかえると、被請求人は、「アービアローシヨンKAL」にいての医薬部外品の製造承認申請から、本件審判請求の登録前までの間にもともと本件商標を使用する意志がなかったとになるから、該商品についての医薬部外品製造承認申請中であるとしても、この間の本件商標の不使用に正当な理由は存在しないのである。

医薬部外品について製造承認申請中であることが、登録商標の不使用の正当な理由になるのは、商標権者等が、本件審判請求の登録前までに登録商標の使用を予定して相当期間前に遅滞なく承認申請をしたにも拘らず、被請求人の責に帰すべからざる事情によって承認を得られるまでに予想外の長期間を要したなどの特別な事情がある場合でなければならないのである。

したがって、被請求人は、本件登標については、非常に長い間、不使用の期間が続いた後に、本件審判請求の登録前3年以内に使用することができる状況にないことを明らかに知っている状況の中で、薬事法による「アービアローシヨンKAL」についての医薬部外品製造承認申請を行っているのであるから、本件商標についてのこの間の本件商標の不使用であるとの理由については、正当なものとはいえないのである。

この理は、甲第1号証として提出する東京高等裁判所昭和55年(行ケ)第329号判決によっても認められている。

(エ)被請求人は、「本件商標は登録ののち、本件商標を付した販売名『アービアクリームL』として商品販売のため、平成3年12月27日付で医薬部外品の製造承認を厚生省へ申請し、平成4年8月6日付で承認されたものである。」と述べているが、本件商標が、過去に使用されたのか、現在使用しているのかは不明である。承認を受けることだけが目的の申請は何の意味もない。

請求人には、被請求人のこの主張は、何を言おうとしているのか全く理解できない。

(オ)叙上のとおりであるから、本件商標は、その指定商品中「せっけん類(薬剤に属するものを除く。)化粧品(薬剤に属するものを除く。)」については、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていないことについての正当な理由は存在しない。

よって、本件商標の指定商品中「せっけん類(薬剤に属するものを除く。)化粧品(薬剤に属するものを除く。)」については、その登録の取り消しを免れないものである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、「医薬部外品証明書交付申請書(写し)」及び「医薬部外品製造承認申請中であることの証明書」を提出した。

(1)請求人の謂うところによれば、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により指定商品についての登録を取り消されるべきであるとのことである。

しかしながら、被請求人は本件商標について請求人による取消審判請求の意思を知る以前から登録商標についての明確な使用計画があり、商標法第50条第2項但し書きにいう「登録商標を使用していないことについての正当な理由」に該当することにより本件商標は取り消されることはないと信ずるものであり、以下答弁する。

(イ)本件商標は、設定登録の後、本件商標を付した販売名「アービアクリームL」として商品販売のため、平成3年12月27日付で医薬部外品の製造承認を厚生省へ申請し、平成4年8月6日付で承認されたものである。

(ロ)さらに現在、上記(イ)のシリーズ品として商品販売を計画し、販売名「アービアローションKAL」で医薬部外品の製造承認申請を行なっている。添付資料は、その事実を証明するため、現在厚生省に証明書の発行を求めている書類の写しである。証明書については、原本が届き次第追って提出するがこの証明により被請求人が使用を前提とした計画があったことは明確である。

(ハ)次に、被請求人が請求人による取消審判請求の意思を知った日付と上記(ロ)に示した製造承認申請書の受付年月日が異なることから、被請求人が商標不使用を免れるため作為的に申請したものではなく、商標法第50条第1項に該当しないことも明白である。

すなわち、本件商標を含む販売名の製造承認申請日いわゆる提出日は、平成11年11月5日(受付日は11月10日)であり、審判請求日は平成12年3月30日であるから商標法第50条第3項の本文に該当しない。

(ニ)以上に述べたとおり、被請求人は使用の計画をもって本件商標を更新したものであるため商標法第50条第1項の規定により登録を取り消されることはない。

(2)上申書

本件商標を付した販売名「アービアローションKAL」について厚生省への製造承認の申請中であることの証明書を受領しましたので、ここにその書類を添えて提出します。

4 当審の判断

本件商標の不使用についての「正当な理由」の有無を判断するに、商標法第50条第2項に規定する「正当な理由」とは、登録商標の使用をしようとしていた商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が自己の責務に帰することができない事由によって使用することができなかった場合、例えば、大規模な災害、法令による禁止権の公権力の発動(製造、販売の規制)等をさすものであり、そして、その事由が審判請求の登録前3年の間に存在することが立証されることを要すると解すべきである。

しかして、被請求人の提出に係る「医薬部外品証明書交付申請書(写し)」によれば、同人は平成11年11月5日(受付日は平成11年11月10日)に厚生省宛に本件商標を使用する医薬品部外品(販売名:アービアローションKAL)の製造承認(許可)申請をしたが、平成12年7月5日現在、なお申請の医薬品部外品については製造承認申請中であることを厚生省医薬安全局審査課長の厚薬第1693号の「医薬部外品製造承認申請中であることの証明書」により確認することができた。

しかして、本件商標の取り消し請求に係る指定商品中の「化粧品(薬剤に属するものを除く)」は、薬事法に基づく許可に係る商品であって、厚生大臣の承認がなければその製造することができないものであり、商標権者の意思によって左右される性質のものでないことから、被請求人は、本件商標の使用意思を持ちながら、審判の登録前(平成12年5月10)にその使用を開始し得なかったものとせざるを得ない。

してみれば、被請求人は、本件商標の取り消し請求に係る指定商品中の「化粧品(薬剤に属するものを除く)」について審判の登録前3年以内に本件商標を使用しなかったことについて正当な理由があることを明らかにしているものといわなければならない。

なお、請求人は、本件商標を使用しなかったことについて正当な理由を有しないとして種々主張しているが、本件については上記のとおり判断されるものであるから、請求人の主張は採用できない。

したがって、本件商標の登録は、その取り消し請求に係る指定商品の「せっけん類(薬剤に属するものを除く)、化粧品(薬剤に属するものを除く)」について商標法第50条の規定により取り消すことができない。

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