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Trademark Appeal Case

商標不使用取消の証拠評価

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第31101号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第1141756号商標(以下「本件商標」という。)は、「川越城」の文字を横書きしてなり、昭和47年9月19日に登録出願、第30類「菓子、パン」を指定商品として、同50年8月7日に設定登録されたものであるが、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張の要旨

請求人は、「本件商標の登録は、取り消す、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由および、被請求人の答弁に対する弁駁を要旨つぎのように述べている。なお、被請求人は、使用説明の証拠として甲第1号証ないし同第7号証を提出しており、請求人も甲号証として弁駁をおこなっているが、被請求人提出の証拠はそれぞれ乙第1号証ないし同第7号証と認められるので、以下、請求人提出の証拠を甲号証、被請求人提出の証拠を乙号証として取り扱う。

(1)本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者または通常使用権者のいずれによっても請求に係る商品についての登録商標の使用をしていないものであるから、商標法第50条の規定によりその登録は取り消されるべきである。

(2)(ア)乙第1号証の包装袋の裏側のラベルには賞味期限0.7.16.と記され、原材料として「膨張剤、バター、砂糖、玉子、小麦粉、生クリーム、手亡飴」と記されている。このように防腐剤が含まれていないから、この菓子の賞味期間はせいぜい1カ月間であって菓子の製造日は本年6月16日ころであると推定される。

一方、乙第2号証の写真は乙第1号証の包装袋に入れた菓子を本年6月14日に撮影したものであることが分かる。したがって乙第2号証に撮影の菓子は製造直後に箱詰めされて撮影されたものであると推定される。

であるから、これら乙第1号証および乙第2号証は、本件登録商標の使用が本件審判請求の仮登録が行われた平成11年9月8日後の日におけるものであることを証明している。

(イ)乙第1号証は「汎用的なデザインの包装袋に貼付して使用するかたちをとっている」と説明しているが、このような汎用的デザインの包装袋にラベルを貼付して菓子を販売することは著しく不自然である。通常、ラベル貼付で販売するのは季節限定商品とか旬の果実等の生ものから作った菓子を販売するとき、その新鮮さを強調するためにラベル表示して貼付するという場合である。

乙第1号証のラベルの「川越城」の文字は水溶性インキで市販のラベル上に表示したものであってごく簡易に作成されている。これを例えば乙第3号証、乙第4号証および乙第5号証各々の「1販売量が少ない時期の商標表示用ラベル」と比較すれば一目瞭然ラベル品質的に劣等である。また乙第3号証、乙第4号証および乙第5号証各々には一貫して「銘菓処 千菱」が表示されるのに対して乙第1号証のラベルに限ってその表示が欠けている。

乙第6号証はこの乙第1号証のラベルを製造したとされる有限会社神山包装材料の納品書写しであるが、そこには乙第1号証のラベルを1万枚単価5円で作成納品したとされている。しかしこのラベルは上記の通りの品物であるから市場相場として到底単価5円もの代物ではない。

(ウ)乙第2号証に撮影の商品例は「化粧箱への詰め合わせ」とのことだが、化粧箱の蓋は本体の下に敷かれて「化粧箱」であることが明らかにされていない。詰め合わせは本来、関連商品がまとめられるものであって、異質の商品を挿入するようなことは行わない。乙第2号証の写真を検討すると、乙第3号証および乙第4号証の包装袋の菓子に、乙第1号証の包装袋の菓子がまとめられているが、乙第3号証および乙第4号証の包装袋の菓子は「越谷」の文字が表示され共通するのに対して乙第1号証の菓子は「埼玉銘菓」を共通するにすぎない。川越も越谷も埼玉県内にあるとはいえ、歴史的あるいは地理的に何らか共通する点が全くない。例えば史実的に縁が深いとか、交通路を共通にしているとかなどの共通要素がない。それなのに一緒にまとめて販売するのは著しく不自然である。

(エ)乙第7号証は、株式会社ニイサカから銘菓処千菱ヴァリエ店へ「川越城」菓子を納品したことを証明する証拠とのことであるが、矛盾している。納品書を観ると納品者は「銘菓処千菱、千菱工場」となっていて納品先は「ヴァリエ店」である。また納品書ナンバーがブランクとなっているし単価および合計額の記載も省略されている。

(オ)商標権者(本件審判の披講求人)「安田邦雄」本人および使用権者らが本件商標を使用している、と主張されている。しかし使用権者が誰なのか明確でない。

提出された乙第1号証から乙第7号証までを検討すると、使用権者は「ヴァリエ店」らしいことが分かるが、このヴァリエ店とは何者なのか明らかでない。

(カ)以上の通りであるから、本件商標は商標法第50条第1項の規定により「菓子、パン」について取消されるべきである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると主張し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1ないし同第7号証を提出している。

(1)使用の態様

商品「菓子」について、乙第1号証に示すとおりの態様からなり、包装した状態でのバラ売り又は乙第2号証にみられるような化粧箱への詰め合わせ等による販売を行っている。

ラベルとか包装は、通常この種和菓子の販売において、販売量の多寡に応じて適宜に対応する形式としているもので、詰め合わせの写真でみられるように種類によって体裁は不揃いとなっている。

(2)使用時期

被請求人は、少なくとも、本件審判請求前から使用し、現在使用中である。

乙第1号証に示す「川越城」のラベルの納品書の例の写し(乙第6号証)を提出する。汎用的なデザインの包装袋に貼付して使用するかたちをとっているため、一回の印刷分を比較的長期に亘って使用することになることがある。

通常使用権者に当たる株式会社ニイサカのグループ店での直販であって、刊行物への公告等を行うほどの業態ではない。

(3)使用場所

銘菓処 千菱 ヴァリエ店 埼玉県越谷市南越谷1−11−4 新越谷駅ビル1F

4 当審の判断

被請求人提出の乙号各証によれば、以下の事実が認められる。

乙第1号証及び乙第2号証によれば、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が、通常使用権者である株式会社ニイサカが製造する菓子に使用されている。

乙第6号証によれば、通常使用権者である株式会社ニイサカは、本件審判請求の登録前3年以内に、上記商品に使用すべくラベルを発注し、納品を受けていたものと認められる。

請求人は、前記2のとおり本件商標が不使用である理由を述べ、本件商標よりなるラベルを商品菓子に貼付することの不自然性、商品販売するための詰め合わせの不自然性、使用者の不明確性等を指摘しているが、商品「菓子」等において、少量販売されるにすぎない場合においては、ラベルを貼付して使用すること、また、複数種類の商品を需要者の要望により詰め合わせ販売することは一般に行われているものとみるのが相当である。さらに、甲第7号証は、株式会社ニイサカグループ内での商品の納品書と認められるものであり、金額の記載が省略されていることをもって、該納品書が矛盾しているとの請求人の主張は採用することはできない。

そうとすれば、本件商標は、被請求人の通常使用権者により本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標を指定商品中の「菓子」について使用していたことを認めることができる。

なお、請求人は、乙第6号証の正当性について証人尋問申請をする用意がある旨付言しているが、本件については上記のとおり判断されることから、証人の尋問は行う必要はないものと判断する。

よって、結論のとおり審決する。

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