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Trademark Appeal Case

称呼・観念の類似性と要部

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第35129号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第3224036号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第3224036号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成4年10月7日に登録出願、第29類「食肉,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物(「かつお節・寒天・削り節・とろろ昆布・干しのり・干しひじき・干しわかめ・焼きのり」を除く。),かつお節,寒天,削り節,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのり,豆,加工野菜及び加工果実,卵,加工卵,乳製品,食用油脂,カレー・シチュー又はスープのもと,なめ物,お茶漬けのり,ふりかけ,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,食用たんぱく」を指定商品として、平成8年11月29日に設定登録されたものである。

第2 請求人の引用商標

請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録第2535436号商標(以下「引用商標」という。)は、「トーベ・ヤンソンのムーミン」の文字を横書きしてなり、平成2年2月27日に登録出願、第32類「食肉、卵、食用水産物、野菜、果実、加工食料品(他の類に属するものを除く)」を指定商品として、平成5年5月31日に設定登録されたものである。

第3 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証を提出している。

(1)商標法第4条第1項第7号について

本件商標の構成中の中段に表されている多数のキャラクターは、いずれもトーベ ヤンソン氏の著作に係るものである(甲第3号証)。これらは「ムーミントロール」をはじめとする「ムーミン物語」のキャラクターを描いたものであり、これらのキャラクターは画家でもある同氏が1944年頃に制作したものである(甲第4号証)。その後、これらのキャラクターは、漫画、絵本、挿し絵、演劇、映画、テレビドラマ及びオペラなどに数多く使用され、今日までにムーミン童話は30以上の言語に翻訳され、ムーミン童話の研究文献も世界で100点以上発表されるなど世界的に著名なキャラクターとなっている(甲第4号証)。また、我が国においても、「ムーミン物語」に関する多数の書籍が出版されており(甲第5号証)、さらに、これらのキャラクターを使用したテレビアニメーション「ムーミン」がフジテレビ系列で昭和44年から昭和47年頃に、また「楽しいムーミン一家」がテレビ東京系列で平成2年頃に放映されている(甲第4号証)。これらの事実に鑑みれば、これらのキャラクターの我が国における認知度が極めて高いことは明らかである。

また、上述のとおり、本件商標の構成中には、これらのキャラクターの漫画のみならず、その主人公の名称及び略称も表されていることから、それらのキャラクターがトーベ ヤンソン氏の著作物に起因するものであることは疑う余地が無い。

そうとすれば、このように世界的に著名な著作物を著作者に無断で使用し、これを自己の商標として採択し、登録を受けるといういわば他人の著作物を瓢窃するような行為は、国際信義上好ましくない行為であって、公の秩序を害するおそれがあると解すべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するにもかかわらず、過誤により登録されたものである。

(2)商標法第4条第1項第11号について

引用商標は、「トーべ・ヤンソン」の片仮名文字、「の」の平仮名文字及び「ムーミン」の片仮名文字を一段に左横書きにしてなるものであるが、この商標の構成中「トーべ・ヤンソン」の片仮名文字は、その後に続く片仮名文字の表すところの世界的に著名なキャラクター「ムーミン トロール」の原作者の氏名を表示するものであり、その略称である「ムーミン」は我が国において著名なものである。したがって、引用商標の要部は「ムーミン」の片仮名文字部分であり、「ムーミン」の観念及び称呼が生じるものである。

他方、本件商標は、上述のとおり上段に「ムーミン」の片仮名文字を左横書きし、中段に同氏の著作に係る「ムーミン物語」のキャラクターを表すものであり、さらに下段には、「ムーミン」の正式名称である「MOOMIN TROLLET」及びその音訳である「ムーミン トロール」を左横書きしてなるものであるところ、これらはいずれも「ムーミン」を指標するものであり、また我が国における「ムーミン」キャラクターの著名性に鑑みれば、本件商標が「ムーミン」として観念及び称呼されること明らかであるから、本件商標の要部もまた「ムーミン」であると思料する。

したがって、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念を共通にする類似の商標というべきである。

そして、本件商標に係る指定商品中の第29類「食肉,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物(「かつお節・寒天・削り節・とろろ昆布・干しのり・干しひじき・干しわかめ・焼きのり」を除く。),かつお節,寒天,削り節,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのり,加工野菜及び加工果実,卵,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,なめ物,お茶漬けのり,ふりかけ,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆」と引用商標の指定商品旧第32類「食肉,卵,食用水産物,野菜,果実,加工食品(他の類に属するものを除く)」とは、同一又は類似する商品である。

したがって、本件商標は、引用商標と類似する商標であって、その同一又は類似する指定商品に使用するものであるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するにもかかわらず過誤により登録されたものである。

(3)商標法第4条第1項第15号について

トーベ ヤンソン氏の著作に係るキャラクター及びその名称である「ムーミン」が我が国において著名なものであることは上述したとおりであるが、このキャラクターは単にその名称としてのみならず、商品との結びつきにおいても著名なものである。このことは、請求人のキャラクターを使用した多数の商品化権事業に係る商品が存在する事実からも明らかである(甲第8号証)。

これに対し、本件商標は、上述のとおりの構成よりなるものであり、これは請求人の業務に係る著名なキャラクター及びその名称である「ムーミン」を需要者に容易に認識させるものである。

したがって、本件商標を請求人と全く関係の無い被請求人が使用した場合には、請求人と何らかの関係のあるものの業務又は請求人から正規に許諾を得たものの業務と混同を生じさせるおそれがある。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるにもかかわらず、過誤により登録されたものである。

(4)まとめ

以上述べたところから、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第11号若しくは同第15号に該当するにもかかわらず、誤って登録されたものであるから、商標法第46条第1項第1号によりその登録は無効にされるべきものである。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、理由については、近々代理人を選任し、詳細な主張をする予定であると述べているのみであったので、審判長は、平成13年9月4日付で「詳細な答弁をされたい」旨の審尋を発したが、これに対して、被請求人は、相当の期間を経過したにもかかわらず、何らの回答もなさないものである。

第5 当審の判断

(1)甲第3号証ないし甲第5号証及び甲第8号証によれば、トーベ ヤンソン氏の著作に係る「ムーミントロール」をはじめとする、いわゆる「ムーミン」シリーズの書籍は、我が国においても多数翻訳され、出版されたこと、1969年(昭和44年)から1972年(昭和47年)の間、及び1990年(平成2年)から1992年(平成4年)の間の2回にわたり、テレビアニメーション番組「ムーミン」として我が国で放映されたこと、さらに、我が国においては、「ムーミン」童話に登場するキャラクターを使用したカレンダー、手帳、文房具類などの商品化権事業に係る商品が多数販売されている事実が認められる。

上記事情よりすると、「ムーミン」の語は、本件商標の登録出願時には、トーベ ヤンソン氏の著作に係る「ムーミントロール」の略称、ないしテレビアニメーションのキャラクターを表すものとして、需要者の間に広く知られていたものというべきである。

(2)本件商標は、別掲のとおりの構成よりなるものであるところ、その構成中上段に前記著名な「ムーミン」の文字を有してなるものであり、また、図形部分は、「ムーミン」シリーズの登場キャラクターを表してなるものである。加えて下段にトーベ ヤンソン氏の著作に係る書籍名である「ムーミン トロール」、「MUMIN TROLLEET」の文字を有してなるものである。

してみれば、本件商標は、これをその指定商品に使用した場合には、請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とする。

よって、結論のとおり審決する。

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