Trademark Appeal Case
品質表示の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第11722号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別紙に表示したとおりの構成よりなり、第11類「加熱器、調理台、流し台、家庭用電熱用品類」を指定商品として、平成7年2月23日に登録出願されたものである。
2 原査定の理由
原査定は、『本願商標は、指定商品中の「電気がま」との関係において、「丸いお釜」を認識させる「まる釜」の文字と「誘導加熱(induction heating)」の略として「IHジャー炊飯器」に使用されている「IH」の文字を一連に書してなるものであるから、これを前記商品に使用するときは全体として「丸いお釜のIH機能を有する電気がま」であるという単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記商品以外の家庭用電熱用品類に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。』旨認定して、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、その構成別紙に表示したとおり、「まる釜IH」の文字を表現したといえる程度の態様で表してなるものと認められる。
ところで、本願指定商品に含まれている「電気炊飯器」の各社のカタログをみるに、例えば、「’96春夏号サンヨー商品カタログ(1996年2月1日現在三洋電機株式会社発行)」の「ジャー炊飯器」の88・89頁には「チタンコート5層丸釜」、「自動圧力IH炊飯」、「IH」及び「●IHインバータ加熱●ニューロ&ファジー炊飯」との記載、「National/Panasonicセールスマン専用カタログ’96夏号(1996年5月1日現在松下電器産業株式会社発行)」の「IHジャー炊飯器」の項目を設けた209頁には「■IHジャー炊飯器(シングルIH)」との記載が認められる。
また、一般の日刊新聞掲載記事をみるに、「1992年6月29日付日経産業新聞」の9頁には、「象印、火力1300ワットに高めたIH炊飯ジャー発売。」との見出しのもと「象印マホービンは九月一日、磁力線で内釜を発熱させる電磁加熱方式(IH)を利用した炊飯ジャー....発売する。」との記載、「1993年9月11日付日経流通新聞」の7頁には、「炊飯器−楽に火加減を制御、電磁加熱、炊きむら少なく(売れ筋)」との見出しのもと「....新米のシーズンに入って各社とも人気のIH(電磁加熱)式を中心に、新製品を相次ぎ投入している。....IH式全盛のなか、シャープは九月上旬、“平成のかまど”シリーズ二種を売り出した。このうち上位機種の『KS−XE18』(一・八リットル、三万円)は消費電力千三百ワットの高火力。内なべを球状にして加熱面積を従来の二倍に広げ、『IH式に近い効果が期待できる』」との記載、「1994年8月19日付日経産業新聞」の9頁には、「東芝、IH炊飯ジャー3機種−釜改良、炊きムラ抑える。」との見出しのもと「東芝は鍛造製法により内釜(がま)の厚さや形状を大幅に改良して、炊きムラを抑えたIH(電磁加熱)ジャー炊飯器の新製品三機種を九月一日から順次売り出す。....内釜の底部は五ミリと従来の二・五倍、傾斜部の角度も六十度と丸みを帯びた形状になっている。」との記載が認められる。
以上のことよりすれば、本願商標の構成中「IH」の文字は、電磁加熱(induction heater)方式の商品であることを表示したものと理解させるものであって、また、同構成中「まる釜」の文字は、IH(電磁加熱)式炊飯器においては、各社が炊きムラを少なくするために釜の改良を行っており、特に内釜の底を丸みを帯びた形状(球状)にし、加熱面積を広げたものが販売されていることが認められ、「丸釜」の文字が使用されている事実よりすれば、該文字は、内釜の形状を表示したものといわざるを得ない。
そうとすれば、本願商標を構成する「まる釜IH」の文字からは、「丸みを帯びた形状(球状)の内釜及びIH(電磁加熱)式」であることを容易に認識するというのが相当であるから、かかる本願商標を本願指定商品中「IH式炊飯器」に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、上記の事実よりして、該商品の品質(機能、構造、形状)を表示したものと理解するに止まり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものといわなければならない。また、これを前記機能、構造、形状を有しない商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものと認められる。
なお、請求人は、「まる釜」の商標は、1994年9月より継続して使用し、その間莫大な費用を投入して広告宣伝した結果、需要者の間において広く認識されるに至った旨主張し、証拠として甲第1号証ないし同第19号証を提出している。しかしながら、同証拠によっては、本願に係る指定商品の全部について証明されていないばかりでなく、本願商標中の「まる釜」の文字のみについての証明であって、かつ、その文字の態様も異にしているものであり、「まる釜IH」の文字それ自体が単独に当該商品の出所を示す識別標識として機能しているとの点を客観的に証明していないものであるから、請求人の主張は採用できない。
したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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