結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2000−35680(T2000−35680/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第2091367商標(以下「本件商標」という。)は、「ブローニング」の文字を横書きしてなり、昭和54年6月27日登録出願、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉及びその模造品、造花、化粧用具」を指定商品として、昭和63年11月30日に設定登録、現に有効に存続しているものである。
請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第7号証(枝番を含む。)を提出した。
「BROWNING」は請求人の業務に係る銃砲類を表示する商標として、またその商号の略称として、従来より世界的に著名なものである。わが国においても大正時代より現在に至るまで継続して輸入販売が行われており、本件商標の登録出願以前に該商品の取引者、需要者の間に広く認識されていた(甲第1号証ないし同第6号証)。
請求人商標は、主として銃砲に使用されてきたが、それのみならず、これを収容するバッグ、ケースをはじめナイフその他のハンティング用品、ゴルフクラブ、テニスラケット、アーチェリー、釣り竿、サーフィンなど、請求人が製造販売するスポーツ各種商品に広範に使用されている(甲第3号証、同第4号証等)。特にゴルフクラブのアイアンが高く評価されている(甲第2号証の6)
現在請求人及びその関連会社は、銃砲その他のハンティング商品、バッグ、袋物等に関し高知県南国市在「株式会社ミロク製作所」、東京都中央区在「ニッサンミロク株式会社」、ナイフその他の刃物、利器等に関し岐阜県関市在「三星刃物株式会社」に商標「BROWNING」の使用を許諾しており、「ブローニング」の商標を付した上記商品はこれ等のライセンシーにより日本国内において広く輸入販売されている。
商標「BROWNING」が請求人の製造販売する鉄砲等を表示するものとして、また商号の略称としてて世界的に極めて著名であって、取引者、需要者のみならず一般世人に広く認識され強く印象付けられていること、上記の如く多種類の商品に関し多角経営を行っていること、さらに、わが国内のライセンス状況を考慮すれば、商標「BROWNING」の片仮名表示に相当する本件商標「ブローニング」を被請求人がその指定商品に使用するときは、取引者及び需要者、さらには一般世人はその商品が請求人の商品或いはそのライセンスに基づく商品であるかの如き商品の出所混同や品質誤認(あたかも請求人やそのライセンシーの商品であるかの如く)を生ずることは必至である。また、被請求人による本件商標の登録やその商標の使用は請求人の著名商標のフリーライドであり、請求人の商標を希釈し、その価値を損なうものである。
被請求人は、本件商標の出願の拒絶査定不服審判請求書において、「『ブローニング』は一般の日本人にとって自動拳銃の種類を示す言葉としては知られていても・・・」と記載しているように、本件商標が請求人の商標と同一のものであり、その商標の著名性について十分な認識を有している。これは本件商標の登録が他人の周知著名な商標に意図的にフリーライドするものであることを裏付けている。
既に、請求人が商品を製造販売していない第23類の「BROWNING」商標の第三者の出願は請求人の登録異議申立により拒絶されている(甲第5号証の1)。これに比較して第21類の場合は、請求人、その関連会社及びそれらのライセンシーがその指定商品中バック、袋物等に現に「BROWNING」の商標を使用しているのであり、出所混同や品質誤認の危険及びフリーライドによる損害のおそれはより大きく深刻なものである。
本件商標の登録に対する先の登録無効審判事件(平成4年審判第2964号)の審決(以下「先行ブローニング審決」という。)において、請求人の引用商標が銃砲について著名性を認められている。
「BROWNING」商標は事業の創設者の氏姓に由来するが、本件商標の登録出願時の通常の英語発音からすれば「ブラウニング」がより一般的な発音であるところ(日本人がよく知っている茶色を意味する英語「BROWN」(ブラウン)に「ING」を結合したものだからである)、大正時代、我が国の当時の旧式な英語発音にしたがって、より簡単明瞭な「ブローニング」が本件商標の片仮名表示として特に採択され、爾後その表示で使用され定着してきたものである。この結果、この特殊な片仮名表示はそれ自体で請求人の商標の日本語表示(商標)としての独自性を確立しているのである。
こうした観点からすると、本件商標は単に氏姓である英語「BROWNING」の一般的音訳ではなく、請求人の独自性ある日本語商標そのものということになる。引用の各種国内辞典の記載はこれを裏付けるものであり、「ブローニング」はイコール請求人の銃砲の商標及び商号(の略称)として特定されているのである。
なお、被請求人は本件商標のほかにも、請求人の商標として著名な鹿の角の図形商標を登録出願している(甲第5号証の2)。この図形商標は特徴的な図形であるから、全く偶然に被請求人が該図形商標を採択したとは考えられない。この件からも明らかなように、被請求人は請求人の商標に格別な関心を有し、意図的にそれ等の出願及び登録をしているものである。請求人の著名商標と認識した上で、無断で出願・登録する行為は不正な意図以外の何ものでもない。
被請求人は個人であり、本人自ら本件商標を使用して事業に従事しているわけではないことは明らかである(実際にかかる事業を行えば、即、不正競争防止法の規制の対象になるのででき得ないのである)。しかるに、請求人が被請求人に本件商標の譲渡を要求したところ、実質的に高額な対価を要求している(甲第7号証の2)。これは被請求人の不正な取り引きの意図を表明している。
したがって、本件商標登録は商標法第4条第1項第7号、同第16号及び同第19号、さらには商標法第1条(法目的)の規定に違反しているといわざるを得ず、商標法第46条第1項の規定により無効とされるべきである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第6号証を提出した。
(1)請求人は、「BROWNING」の片仮名表示に相当する「ブローニング」を被請求人がその指定商品に使用するときは、取引者・需要者等をして、その商品があたかも請求人やそのライセンシーの商品であるかの如く出所混同や品質誤認を生ずると主張する。
しかし、請求人も述べているとおり、両者間に出所混同のおそれがないことは先行ブローニング審決においても既に明らかとなっていることであり、また、わが国における銃刀法等の制限を考慮すれば、取引系統が全く異なる銃器類の商品と鞄類・袋物の商品とでは品質誤認が生ずるおそれはないと解するのが自然である。
請求人は、本件商標は、単に氏姓である英語「BROWNING」の一般的音訳ではなく、請求人の独自性ある日本語商標そのものであり、請求人の鉄砲等の商標・商号の略称として特定されていると主張する。
しかし、英語「BROWNING」が請求人の造語ではなく人名であること、及び「ブローニング」の文字よりなる本件商標が、請求人の商号の著名な略称でないこと先行ブローニング審決において明確に指摘されている事実である(乙第1号証)。
また、本件商標は、その審査段階において「アメリカ合衆国モンタナ州西部の観光地である「BROWNING」の音書きと認められる・・・」との拒絶理由による拒絶査定に対する審判を経て登録されたという経緯も存している(乙第2号証)。
よって、これらの事情を考慮すれば、本件商標「ブローニング」と請求人商標がイコールでないことは明確であり、また、両者間に出所混同が生じないのと同様に、品質誤認の生ずるおそれがないことも明らかである。
(2)請求人は、甲第7号証の2(書簡)の内容等を根拠に、被請求人は不正な取り引きの意図を有すると主張する。
しかし、請求人も認めているとおり、該書簡の交渉は請求人から持ち掛けてきたものであり、もともと被請求人は本件商標を譲渡する意思はなかったが、被請求人は、これ以上係争を続けることを好まず、既に生じた費用(ラベル・パッケージの費用だけでなく、出願時・拒絶査定に対する審判請求時・登録時・無効審判係属時・更新時の各費用の合計)に見合う額ならば、譲渡に応じてもよいと述べたにすぎないものである。
しかるに、請求人は実費にも満たない額を提示しておきながら、被請求人の応答を「高額な対価を要求」と主張しているのである。
なお、請求人は、被請求人が個人であることを根拠に本件商標を使用していないと主張しているが、被請求人はかばん類の製造・販売を主たる業務とする「株式会社セイバン」の代表取締役である。
以上、これらの事情を勘案すれば、被請求人が「不正の目的」、即ち、高額で権利を買い取らせる、或いは国内代理店契約を強制したりする等の目的で本件商標を出願・登録したのでないことは明らかである。
よって、仮に引用商標が銃器類について著名であったとしても、「不正の目的」の要件を具備しない本件商標は、当然に商標法第4条第1項第19号の規定に該当するものではない。
(3)上記の各理由により、本件商標はいずれの指定商品に使用しても商品の品質について誤認を生ずるおそれがなく、また、本件商標の登録は不正の目的をもってされたものではない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第16号及び同第19号の規定に該当せず、商標法第46条第1項の無効理由を有しないものである。
本件商標の構成は「ブローニング」の文字よりなるところ、株式会社岩波書店発行「広辞苑第2版」、株式会社講談社発行「国語辞典」等の各種辞書類(甲第2号証の1ないし6)その他、請求人の提出に係る証拠によれば、「Browning」の文字からなる商標(以下「引用商標」という。)は、請求人が商品「鉄砲」に使用し、本件商標の登録出願前より、わが国において取引者、需要者の間に広く認識されており、その認識は今日においても継続しているものと認められる。しかしながら、これらの証拠では、商品「鉄砲」以外の商品についての著名性は認め難いものであり、また、請求人の商号の略称「Browning」が著名であることを認めるに足りる証拠はない。
以上認定した事実を前提として、本件商標が請求人の主張する法条に違反して登録されたものであるか否かについて検討する。
(1)本件商標の文字構成よりすると、その構成自体が矯激、卑猥、差別的な文字又は図形からなるものでなく、また、本件商標を指定商品について使用することが社会公共の利益・一般道徳観念に反するものでなく、さらに、他の法律によってその使用が禁止されているもの、特定の国若しくはその国民を侮辱するもの又は一般に国際信義に反するものとすべき事実は認められないものである。
そして、引用商標が商品「鉄砲」について著名であるが、その余の商品については著名性が認められないこと上記のとおりであり、加えて、商品「鉄砲」については、わが国においては法律によりその所持、輸入、譲り渡し、譲り受け等について制限が加えられ、また、需要者もごく一部の特定の愛好者に限られることを考慮すれば、本件商標の指定商品である第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉及びその模造品、造花、化粧用具」と商品「鉄砲」とは、その用途、製造部門、販売部門、取引経路、需要者層等を大きく異にするものといわなければならない。
以上からすると、わが国における請求人の述べる商品についてのライセンス契約による引用商標の使用事情を考慮しても、本件商標がその指定商品に使用された場合、これに接する取引者、需要者がこれより引用商標を直ちに連想、想起するとは判断できないから、本件商標は、請求人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれはないものといわなければならない。
そうすると、本件商標は、その指定商品に使用された場合であっても、特定の観念を有しない一種の造語よりなると認識されるにとどまるものというべきであるから、この観点からみても、公の秩序又は善良の風俗を害する商標といえないことは明らかである。
してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第7号の規定に違反して登録されたものとは認められない。
(2)本件商標は、その指定商品に使用された場合、特定の観念を有しない一種の造語よりなるものと認識されること前記のとおりであって、その構成中には、その指定商品の品質等を認識させる文字、図形等は包含されていない。したがって、本件商標は、商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標とはいえず、商標法第4条第1項第16号の規定に違反して登録されたものではない。
(3)本件商標及び引用商標は、それぞれの文字に相応していずれも「ブローニング」の称呼を生ずるものであり、両商標は称呼において類似するものと認められる。
しかしながら、前記のとおり、本件商標をその指定商品に使用しても、請求人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがないことからすると、被請求人は、請求人に損害を加える目的その他不正の目的をもって本件商標を使用するとは認められず、被請求人の提出に係る証拠を検討しても、被請求人が本件商標を不正の目的をもって使用をするものとの点を客観的に認め得る証拠はない。
被請求人は、請求人の商標として著名な鹿の角の図形商標と同一の商標について登録出願した経緯があり、本件商標を無断で出願、登録する行為は不正な意図以外の何ものでもない旨述べる。
しかしながら、本件商標は、ありふれた書体をもって片仮名文字で表されており、引用商標の文字に表された固有の特徴に酷似するなどの特徴を有するものではない。また、外国人の姓の「Blowning」が「ブラウニング」、「ブローニング」のいずれをもって表記されるにせよ、本件商標は姓の「Blowning」に由来するものとみた場合、その文字構成において何ら不自然なものではない。
してみれば、請求人に係る固有の特徴を有する鹿の角の図形商標を被請求人が登録出願した経緯を考慮しても、本件商標と該鹿の角の図形商標とは、その採択、登録出願或いはこれを使用することに関しては、それぞれ個々別々のものといわざるを得ないから、被請求人が本件商標を不正の目的をもって使用をするものとは判断することができない。
してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第19号の規定に違反して登録されたものではない。
(4)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第16号及び同第19号のいずれの規定にも違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定によりその登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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