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Trademark Appeal Case

商標使用の有無

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2000−31255(T2000−31255/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1.本件商標

本件登録第4028770号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に示すとおり、「ECOME」の文字を書してなり、第37類「建築一式工事,建具工事」を指定役務として平成6年5月9日登録出願、同9年7月18日に設定登録されたものである。

2.請求人の主張

請求人は、本件商標の登録を取消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第4号証を提出した。

(1)本件商標は、本件審判請求の登録日前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、その指定役務「建築一式工事,建具工事」について使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。

(2)甲第3号証(平成12年8月14日に請求人が照会した被請求人のインターネットのホームページ(写))について

(ア)上記甲第3号証には、「ECOM」の表記はあるものの、本件商標「ECOME」の表記は一切ないから、不使用に該当する。

(イ)被請求人は、乙第1号証ないし同第3号証によって、同人が本件商標の使用事実を立証し得たこと及び甲第3号証(被請求人のインターネットのホームページ)の表記には錯誤があったことを平成13年1月10日付答弁書において述べている。

しかしながら、被請求人提出のこれらの証拠では、本件商標の使用事実は何ら立証されておらず、却って、不使用であることが明らかである。

そもそも、登録商標は、商標法の規定により、取消審判請求の登録日前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、当該取消請求に係る指定役務について、当該登録商標の態様を変えることなく継続使用している事実を証明しない限り、その登録の取り消しは免れないものである。

(ウ)乙第1号証(被請求人提出のパンフレット)について

(a)被請求人提出の乙第1号証には、「ECOME」標章が存することは首肯し得る。

当該標章が前記パンフレットの表紙及び中頁(表紙より第10頁及び同11頁)の数カ所に記載されていることは認められるものの、その表紙におけるスーパーZ302工法の家“ECOME”という記載からすると、該パンフレットは、該“ECOME”の説明というよりも、むしろ、それ全体でスーパーZ302工法の説明をしているものであり、その点よりして、該パンフレットは技術説明書の体をなしている。

すなわち、該パンフレットは、スーパーZ302工法と称する特殊建築技法を縷々説明したものであり、該技法の特徴は、基礎ベースの設置後、中央に鉄骨ラーメンのコア柱を建て、該コア柱に接合して柱・梁の軸組施工をなし、さらに、木質パネルをもって間仕切りや床の小屋組を完成させ、次いで、外壁や屋根を仕上げるものであるし、そのほかに、集成材や特殊金具の使用も特徴としている。

したがって、当該パンフレット中の「ECOME」は、鉄骨ラーメンのコア柱を持つ木質住宅であること明らかである。

(b)こうした前提のもとに、乙第1号証(前記パンフレット)の内容を検討すると、先ず、当該パンフレットが、いつ発行されたか(発行時期)を特定する表示がないこと及び該パンフレットの裏表紙における郵便番号が古い表記法をもって記載されていること、これらのことからして、前記パンフレットは、かなり古いものである蓋然性が高いので、これによっては、使用の事実が立証され得ない。

(c)次に、前記パンフレットの表紙に記載の「ECOME」という欧文字の上部には、「エコム」という(片仮名文字の)ルビが附されているが、これらの文字同士には何の関連もないので、「ECOME」が「エコム」と称呼されることや「エコム」が「ECOME」と表記されることには、何ら必然性あるいは合理的根拠が存在しない。

したがって、これらは、コジツケでなされた誘導的かつ恣意的表記法である(例、「犬」を「猫」、「黒」を「白」と表記するのと同じ)。

(d)これについて、請求人は、本件と何の関係もない一般人10人に(アンケート)調査したところ、「ECOME」を「エコメ」と称呼した者が5名、「イーコム」と称呼した者が2名、その他「イーカム」又は「イコム」と称呼した者が各1名であったのに対し、「ECOME」を「エコム」と称呼した者は、僅かに1名であった。因みに、「ECOM」に対しては、ほとんどの者(10人中9名)が、「エコム」と称呼した。

なお、前記ルビ表記について一言触れると、当該表記は極めて不自然であり、後から記入された蓋然性が高い。

(エ)乙第2号証(乙第1号証のパンフレットを印刷した会社による証明)について

乙第2号証の証明者は、印刷業者の西沢印刷株式会社(代表者:西沢広実)であり、当該乙第2号証(証明書)は、その証明者が単に一枚の乙第1号証(パンフレット)の表紙のコピーに「平成9年11月27日に、このパンフレット500部を印刷した事に相違ありません」と手書きしたにすぎないものであるから、前記証明者が真実乙第1号証のパンフレットを確認したうえで証明したものかどうか判然とせず、さらに、それ自体極めて漠然とした証明内容であるものといわざるを得ない。

さらに、当該乙第2号証における西沢印刷株式会社の社判・社印が真正であるとしても、当該社判・社印(を押してある乙第1号証のパンフレットのコピー)は信憑性に乏しく、しかも、当該社判・社印とその上に存する手書きの文章とには、双方の関連性について疑う余地がある(すなわち、印が押された後に、前記文章が手書きされたともいえる)ので、結局、乙第2号証は殆ど証明の体をなしていない。

(オ)乙第3号証(被請求人に宛てた西沢印刷株式会社の請求書(写))について

乙第3号証は、被請求人に宛てた前記印刷会社の請求書(写)であるが、そこには単にパンフレット(他に単価380円、500部との記載がある)という記載のみが存するものの、他に対象を特定する表示はなく、これが乙第1号証(パンフレット)を指すものであるかは判然とせず、立証の根拠となり得ていない。

以上をもって明らかなとおり、被請求人提出の乙第1号証ないし同第3号証は、それぞれ単独の場合は言うに及ばす、それらを総合した場合でも、商標法所定の期間内における本件商標の使用事実を立証し得ていない。

仮に、このような証拠をもって本件商標の使用の事実を証明し得たとするならば、立証責任を被請求人に転換した現行商標法第50条の趣旨に悖(もと)る。

蓋し、たかだかこの3年間における本件商標の使用の事実を立証するのであるから、被請求人は、もっと明確な証拠を提出できないわけがなく、このような証拠では商標権者の義務を果たしたとはいえない。

(カ)請求人は、先に甲第3号証(平成12年8月14日に請求人が照会した被請求人のインターネットのホームページ(写))を提出し、それに表示されている標章(「ECOM」)が本件商標(「ECOME」)と相違していることをもって、被請求人による本件商標の不使用の事実を証明したが、さらに、その後、請求人が調査したところ、被請求人は、依然として前記標章を掲載したホームページを継続使用していることが甲第4号証(平成13年3月5日に請求人が照会した被請求人のホームページ(写))によって判明した。

被請求人の当該ホ−ムページには、誰でも被請求人の名称から広くアクセスできるものであり、該ホ−ムページが一般需要者の認識を得るものである関係上、(使用している文字の相違)は、単なる凡ミスで片付けられる筋合いのものではない。

よって、本件商標「ECOME」と使用に係る標章「ECOM」とは、その形態上(構成文字)の同一性を逸脱しており、本件商標の不使用の事実は免れない。

以上のとおり、被請求人提出の乙第1号証ないし同第3号証では、本件商標の使用事実は何ら立証されず、しかも、その不使用の事実も明らかであるから、本件商標の登録は取り消しを免れない。

3.被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、要旨次のように述べるとともに、乙第1号証ないし同第6号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)被請求人は、本件商標「ECOME」(エコム)を10年前から現在に至るまで継続して同一のカタログ(注:請求人は、「パンフレット」と称するが、被請求人は、専ら「カタログ」と称しているので、以下「カタログ」と表示する。)に使用している。

すなわち、被請求人は、乙第1号証のカタログを平成9年に追加印刷してから、現在に至るまで使用し顧客に配布している。

(2)請求人提出の甲第3号証(平成12年8月14日に請求人が照会した被請求人のインターネットのホームページ(写))について

請求人提出の甲第3号証は、請求人が平成12年8月14日に照会した被請求人のインターネットにおけるホームページであるが、これは、昔、被請求人が初めて作ったホームページであり、制作を外部に依頼した時の単なる凡ミスである。

現在、被請求人は、新しいホームページ(URL:http://www.ddn.ne.jp/swhl)を使用している。

(3)請求人提出の甲第4号証(平成13年3月5日に請求人が照会した被請求人のインターネットのホームページ(写))について

請求人提出の甲第4号証は、請求人が平成13年3月5日に照会した被請求人の前記ホームページ(甲第3号証と同様に、URL:http://www.icon.pref.nagano.jp/usr/ask/swh/indexswh.htmlを照会したもの)であるが、これは以前に、長野市商工会議所が主催したホームページの勉強会の時のものである。

現在の被請求人のホームページは、上記(2)に示すとおりであって、これは平成12年6月に開設したものである。

(4)被請求人は、主として家のシステム開発をしている会社で、「地球と共存できる家」を目指しており、エコロジーホームという意味合いから、その取り扱う家の全てに「ECOME」という表示を付している。

また、Z302工法について、被請求人は特約店制度を設けており、長野県内では、数十社が加盟している。各特約店は、現在、「スーパーZ302工法の家“ECOME”のごあんない」というカタログを使用している。

(5)本件商標「ECOME」の使用について

被請求人は、乙第1号証(「スーパーZ302工法の家“ECOME”のごあんない」)のカタログを多数のユーザーに配布し、エコロジーホームの意味合いを含め、その取り扱いに係る役務の理解を浸透させるよう営業活動を続けてきている。

該カタログの受け渡しの事実及び時期は、乙第6号証において証明しているとおりであり、被請求人が該カタログを配布したことは明らかである。

4.当審の判断

(1)本件商標は、別掲(1)に示すとおり、「ECOME」の文字を書してなり、第37類「建築一式工事,建具工事」を指定役務とすること前記のとおりである。

(2)請求人は、本件審判請求の登録日前3年以内に日本国内において、被請求人が本件商標をその指定役務について使用したことを全否定しているので、以下、被請求人提出の各証拠について詳細に検討する。

(ア)乙第1号証について

(a)乙第1号証は、「スーパーZ302工法の家“エコム ECOME”のごあんない」と題する被請求人取り扱いの役務カタログであって、その表紙の下の欄には、本件商標と社会通念上同一と認められる「ECOME」の文字を含む「スーパーZ302工法の家“ECOME”は・・・の住宅です」という記載が存する。

(b)また、上記カタログの10頁及び11頁には、本件商標と社会通念上同一と認められる「ECOME」の文字を含む「ECOME/type−E」、同A、同C、同F、同N及び同Lの各種タイプの住宅の写真が掲載されており、当該写真の右横には、「スーパーZ302工法の特性を生かした・・・」という特定の工法についての記載も見受けられる。

(c)さらに、上記カタログの14頁及び15頁には、「建築施工の手順」、「完成までの流れ」、「スーパーZ302工法の4大工程ポイント」という記載及び建築工事の諸工程図が掲載されている。

(d)なおかつ、当該カタログの裏表紙には、被請求人(「スーパーウッドホーム株式会社」)の取り扱うカタログであることを示す「スーパーウッドホーム(株)」の文字及びその住所(「長野市広田7番地」注:商標登録原簿上の住所と同じ)等の記載が存する。

(イ)乙第2号証について

乙第2号証は、乙第1号証のカタログの表紙部分のみのコピーであるところ、その中央よりやや下付近には、「平成9年11月27日に、このパンフレット(すなわち、カタログ)500部を印刷した事に相違ありません。」という「西沢印刷株式会社、代表取締役 西沢広実」の手書きの文章が記載されているほか、「長野市七瀬中町1048番地、西沢印刷株式会社、代表取締役 西沢広実 電話(代表)(226)6071番」というゴム印が押されていることが認められる。

(ウ)乙第3号証について

乙第3号証は、被請求人に宛てた上記印刷会社による平成9年11月27日付請求書(写)であって、それには、請求年月日:平成9年11月27日、月日:11月27日、品名:パンフレット、数量:500、1部380円、金額:190,000円、消費税:9,500円、合計金額199,500円等の諸項目の記載が見受けられる。

(エ)乙第5号証の1及び同2並びに乙第6号証について

乙第5号証の1及び同2は、被請求人の特約店名簿であり、また、乙第6号証は、乙第1号証のカタログの頒布を受けた顧客20名による証明書である。

以上の(ア)ないし(エ)の各点及び被請求人による答弁の全趣旨を総合勘案すると、被請求人は、同人の開発に係るスーパーZ302工法の特性を生かした「建築一式工事」をはじめとする本件取消請求に係る指定役務の施工について使用許諾を多数の特約店に与えていること、そして、当該特約店と前記工法の施工を受けようとする多数の顧客に頒布するために、本件商標と社会通念上同一と認められる「ECOME」の文字を含んでいる乙第1号証のカタログの印刷納品を前記印刷会社から受けていたこと、さらに、それらを乙第5号証の1及び同2並びに乙第6号証の特約店及び顧客に対して、本件審判請求の登録日前3年以内に日本国内において、頒布していたものと認められる。

請求人は、この旨述べる被請求人の答弁に対し、弁駁していない。

(3)結語

以上のとおり、被請求人は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「ECOME」を取消請求に係る指定商品「建築一式工事」等について、本件審判請求の登録日前3年以内に日本国内において使用していたことを主張・立証し得たものというべきである。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第2項の規定により、これを取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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