結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2000−30346(T2000−30346/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第1608760号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、昭和47年7月21日に登録出願、第17類「被服、その他本類に属する商品」を指定商品として、同58年8月30日に設定登録、その後、平成5年10月28日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
請求人は、本件商標の指定商品中「被服」についての登録を取り消す、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第7号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品中「被服」について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていない。よって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定に基づき取り消されるべきである。
(2)被請求人の答弁に対する弁駁
(a)乙第1号証ないし乙第3号証について
乙第1号証は、その撮影日である平成12年7月24日の時点で、この写真に写っているTシャツ、織ネーム及びタグが存在することを示しているにすぎず、本件商標を「被服」について本件審判の請求前3年以内に使用していた事実を何ら証明するものではない。
そもそも、これらの織ネーム及びタグは、見るからに、粗末かつ不自然なものであり、当該Tシャツが、これらの織ネーム及び夕グを付けて実際に販売されていたかどうかは極めて疑わしい。
特に、右胸の部分に欧文字で「JIMMY’S」と横書きされた紙製シールのようなものが貼付されているのが見てとれるが、登録商標と同一の欧文字のみが印刷された紙を右胸に貼り付けるなどということは、通常行われることではない。
また、乙第2号証の織ネームは、シャツ部分と素材の質感が異なるし、下着に付けるものとしては大きすぎる。さらに、乙第3号証のタグは、ジーンズ生地を長方形に乱暴に裁断し、その四辺を縫い、その上に紙製のシールを貼っただけの粗末なものである。
さらに、右胸の紙製シール、襟首の織ネーム及びタグに表された各商標に統一感がないのも極めて不自然である。また、織ネームにはサイズ表示がなく、タグには通常記載されるはずの品質表示や洗濯表示もない。
以上述べた状況を考察するに、これらの各号証は、被請求人若しくは通常使用権者が本件審判の請求前3年以内に本件商標を使用していた事実を裏付ける客観的な証拠とはなり得ない。
(b)乙第4号証ないし乙第9号証及び乙第10号証について
以下に述べるように、乙第4号証ないし乙第10号証に掲げられた書類は、商標法第2条第3項第7号にいう『取引書類』には該当せず、また、同各号証によっては、被請求人が本件審判請求前3年以内に日本国内において本件商標を「被服」に使用したことは、客観的に何ら証明されていないというべきである。
イ.ディオファクトリーの法人格
被請求人は、答弁書において「ディオファクトリー社」と記載しているが、乙第4号証ないし乙第10号証には、単に「ディオファクトリー」とのみ記載されており、ディオファクトリーなるものが株式会社なのか、有限会社なのか明らかでない。したがって、ディオファクトリーが取引主体たり得る資格を有しているのか、甚だ疑問である。
ロ.商標法第2条にいう「商標」の「使用」
乙第3号証のタグには、被請求人が経営する店の商号「(株)ジミーズ」とともに、《職人小畑のこだわり》という文言が入っており、この「小畑」とは、乙第10号証の証明書を発行したディオファクトリーの小畑節郎氏であると推測できる。であるとすれば「小畑」氏は、「(株)ジミーズ」の手足となって働く一機関、すなわち同一主体に帰属する者ともいえる存在であり、商標権者若しくは使用権者と対等な立場で独立して取引を行う者ということはできない。
被請求人は、株式会社ジミーズが、ディオファクトリーに上記Tシャツを発注し、ディオファクトリーがこれを納入した一連の流れを『取引』と呼んでいるが、この流れは、商標法第2条にいう「商標」の「使用」には該当しないというべきである。
乙第4号証ないし乙第9号証について精査すると、同各号証に掲げられた書類の重要事項は、すべて手書きで記入されており、商品番号と商品及び単価の関係は、平成10年10月16日(乙第4号証)から平成11年4月5日(乙第8号証)まで据え置かれていた各商品の単価が、平成12年3月1日の時点で突然下がっている。また、被請求人は「NO.1212」のみが「Tシャツ」の品番で、「NO.1213」及び「NO.1215」は「ポロシャツ」の品番である旨主張しているが、乙第4号証ないし乙第9号証において、商品名はすべて「オリジナルT」「オリジナルTシャツ」と記載されており、「NO.1213」及び「NO.1215」が「ポロシャツ」の品番であることは立証できていない。そもそも、Tシャツよりもポロシャツの方が単価が安いというのも不自然である。
さらに、乙第10号証に添付された別紙3ないし同10は乙第4号証ないし乙第9号証とそれぞれ符合するが、乙号証として提出されていない別紙5及び同9には、「NO.1215」の商品が、「ポロシャツ」ではなく「JIMMY’STシャツ」であるとはっきりと記されている。このように、被請求人の答弁は、全体を通して信憑性に欠け、不自然であり、疑義を持たざるを得ない。
さらに、乙第10号証の証明書も被請求人が用意した書面に、取引者の印を押させるだけの形式になっており、このような種類の証拠は、被請求人がその仲間ともいえる者の協力を得て、容易に作成することができるものであり、客観性を欠き、証拠価値が乏しい。
(c)乙第12号証ないし乙第19号証について
乙第12号証ないし乙第18号証は、その撮影日である平成13年8月22日及び同13年9月2日の時点で、これらの写真に写っている店が存在することを示しているにすぎず、本件商標を「被服」について、本件審判の請求前3年以内に使用していた事実を何ら証明するものではない。また、被請求人は、乙第13号証を平成13年9月2日に撮影したと主張するが、同写真の左下には「83.7.7」と判読できる数字が並んでいる。また、乙第19号証の証明書も、被請求人自らが所属する商店街の組合理事長に依頼し、作成されたものであって、かような証拠は、客観性を欠き、証拠価値が乏しい。
(d)以上のとおり、被請求人によって提出された上記乙各号証によっては、本件商標の使用事実は何ら証明されていないから、本件商標は「被服」につき取り消されるべきである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第19号証を提出した。
(1)被請求人は、本件審判請求登録前3年以内に日本国内において本件商標を指定商品中「被服」について使用している。
(2)すなわち、被請求人は、「株式会社ジミーズ」の経営者であり、同社において、「Tシャツ」「ポロシャツ」等の被服の販売に関する業務を行っており、本件商標につき、株式会社ジミーズに通常使用権を許諾しているものである。
(3)乙第1号証は、株式会社ジミーズが販売している商標「ジミーズ」「JIMMY’S」を付した商品「Tシャツ」を示す写真であり、乙第2号証は、上記商品「Tシャツ」に付されている織ネームである。上記第1号証及び第2号証に示す商標「ジミーズ」は、本件商標と同一の商標であることが判る。乙第3号証は、株式会社ジミーズが上記商品「Tシャツ」を店頭で販売する際にその商品に付けているタグである。この夕グ中には、本件商標と同一の商標「ジミーズ」並びに「JIMMY’S」、品番「NO.1212」、価格「1,980円」等が表示されている。
株式会社ジミーズは、品番に基づいて商品の発注・納品・販売管理を行っており、品番「NO.1212」の商品は、本件商標と同一の商標「ジミーズ」が付された「Tシャツ」であることを意味する。
(4)乙第4号証ないし同第9号証は、株式会社ジミーズが被服製造業者であるディオファクトリー社に本件商標と同一の商標「ジミーズ」並びに「JIMMY’S 」を付した商品「Tシャツ」を発注し、ディオファクトリー社から上記商品の納入と共に株式会社ジミーズ宛てに発行された請求書及び領収証である。
乙第4号証は、ディオファクトリー社が株式会社ジミーズより品番「NO.1212」に係る商品19枚と品番「NO.1213」に係る商品1枚を平成10年10月16日納期で発注書に基づき発注を受けて、本件商標と同一の商標「ジミーズ」を付した上記商品を同日付で株式会社ジミーズに納入すると共に株式会社ジミーズ宛てに発行した請求書及び平成10年10月17日付けで上記請求書の請求金額を受け取った際に発行した領収証である。
同様に、乙第5号証ないし同第9号証は、ディオファクトリー社が株式会社ジミーズより品番「NO.1212」の発注を受けて納入した際の平成10年12月17日及び同10年12月18日付け、同11年1月22日及び同11年1月23日付け、同11年3月 3日付け、同11年4月 5日及び同11年4月 6日付け、同12年3月1日付けの請求書及び領収証である。
乙第4号証ないし同第9号証に示す各取引書類中の品番「NO.1212」は、本件商標と同一の商標「ジミーズ」が付された商品「Tシャツ」を意味するものであるから、商標「ジミーズ」を付した商品「Tシャツ」が実際に取引きされていることを証する。
(5)乙第10号証は、ディオファクトリー社が、商標「JIMMY’S」「ジミーズ」を付した商品「Tシャツ」「ポロシャツ」を平成10年10月頃より製造し、上記商品を株式会社ジミーズに納入した際に、株式会社ジミーズ宛てに請求書及び領収書を発行したことを証明したものである。
(6)以上のとおり、乙第1号証ないし乙第10号証によれば、株式会社ジミーズにより本件商標と同一の商標「ジミーズ」が付された商品「Tシャツ」が少なくとも平成10年10月16日以降平成12年3月1日までの間取引に供され、適法に使用されていた事実が明らかである。
また、商品「Tシャツ」は旧第17類「被服」に含まれる商品である。
さらに、株式会社ジミーズは、被請求人が本件商標の使用を許諾した通常使用権者である。
このように、商標権者たる被請求人の通常使用許諾者である株式会社ジミーズが本件商標を指定商品「被服」について、本件審判請求予告登録日前3年の間適法に使用していることが明らかであり、商標法第50条第2項の規定より、当該指定商品に係る本件商標の取消しを免れるものである。
本件商標は、別掲に示すとおり、「ジミーズ」の片仮名文字を濁点の部分は白抜きの星形、それ以外の部分は肉太の黒塗りに表してなるところ、被請求人は、これをその指定商品中の「ティーシャツ」に使用しているとして乙各号証を提出しているので、以下、検討する。
(1)商品「ティーシャツ」の写真(乙第1号証)には、本件商標とほぼ同じ書体の「ジミーズ」の文字、被請求人が通常使用権を許諾しているとする株式会社ジミーズの名称を表したものと理解し得る「(株)ジミーズ」の文字及びティーシャツの品番を表したものと認められる「NOー1212」の各文字を表示したタグ(乙第3号証)が付されている。
(2)平成10年10月16日付けの請求書及び同10年10月17日付けの領収書(乙第4号証)、平成10年12月17日付けの請求書及び同10年12月18日付けの領収書(乙第5号証)ほかの請求書及び領収書(乙第6号証ないし同第9号証)には、取引先の名称を表したものと理解し得る「デイオフアクトリー」の文字、取引数量、取引金額等とともに「JIMMY’S T」「NO1212」の文字及び「ジミーズオリジナルTシャツ」または「オリジナルTシャツ」の各文字が記載されている。そして、それら記載文字のうちの「JIMMY’S」の文字部分、「NO1212」及び「ジミーズ」の文字部分は(1)のタグ(乙第3号証)の表示と符合することが確認できる。
(3)被請求人の居住地である大阪市「生野銀座商店街」の証明書(乙第19号証)において、本件商標の通常使用権者である株式会社ジミーズが、1972年から現在に至るまで、「ジミーズ」及び「JIMMY’S」の名の下に、その店舗においてティーシャツ、ジーパン等の被服を販売している旨を「生野銀座商店街振興組合」がその理事長名により証明している。
そして、上記商品「ティーシャツ」の写真(乙第1号証)、請求書と領収書(乙第4号証ないし同第9号証)及び「生野銀座商店街振興組合」による証明書(乙第19号証)を総合すれば、本件商標の通常使用権者である株式会社ジミーズが、本件審判請求の予告登録日の1年7月程前から2月程前にかけて製造されたティーシャツに、本件商標と同じ綴りの「ジミーズ」の文字よりなる商標を付して、同人所有の店舗において販売したものと認めることができる。
そうとすれば、本件商標と社会通念上同一と認め得る商標が、その指定商品中の「被服」に含まれる「ティーシャツ」について、通常使用権者により、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において使用されたものということができる。
してみれば、本件商標の登録は、その取消請求に係る商品「被服」について、商標法第50条の規定によりこれを取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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