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Trademark Appeal Case

不使用取消の請求範囲

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2000−31150(T2000−31150/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第2044097号商標の指定商品中「靴くぎ、靴びょう、靴保護金具、靴はとめ、靴ひも代用金具、げた金具、洋傘金具」については、その登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第2044097号商標(以下「本件商標」という。)は、「JAPANESQUE」及び「ジャパネスク」の文字を二段に横書きしてなり、第22類「はき物(運動用特殊ぐつを除く)かさ、つえ、これらの部品及び付属品」を指定商品として、昭和63年4月26日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第8号証(枝番を含む。)を提出した。

(1)本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る商品についての登録商標の使用をしていないものであるから、商標法第50条の規定によりその登録は取り消されるべきである。

(2)被請求人は、本件審判の請求の趣旨において「及びその類似商品」を取り消すとの記載がないことの一点を以って、本件審判の請求却下を求め或いは本件審判請求は成り立たないと主張するが、かかる答弁理由は、本件商標の使用事実の立証を回避するための詭弁にすぎず、立証義務の不履行というより、立証の権利を自ら放棄したとしか考えられない。

確かに本件商標は、日本分類による「全部(一切)指定の」商標登録であり、旧別表の表示による商品の範囲と類似群を有している登録商標である(乙第1号証) 。

しかし、請求人が取消を求めているのは、その一切の商品ではない。「靴くぎ、靴びょう、靴保護金具、靴はとめ、靴ひも代用金具、げた金具、洋傘金具」である。

その所以は、請求人の出願した「商願2000一107828」(甲第1号証)の指定商品中、「カーテン金具,金属代用のプラスチック製締め金具,くぎ・くさび・ナット・ねじくぎ・びょう・ボルト・リベット及びキャスター(金属製のものを除く。),座金及びワッシャ−(金属製・ゴム製又はバルカンファイバ−製のものを除く。),錠(電気式又は金属製のものを除く。)」が、〔改訂第8版〕「商品及び役務の区分」に基づく類似商品・役務審査基準(甲第2号証) に記載のとおり、第18類の「洋傘金具」、第25類の「靴くぎ,靴びょう,靴保護金具」、「げた金具」及び「靴はとめ,靴ひも代用金具」と備考類似の関係にあるために、これらの商品が取り消されることで請求人が本件審判請求の利益を得ることができるからである。

不使用による商標登録の一部取消審判における過去の審決例をみても、当該登録商標の指定商品中に取消請求に係る指定商品と類似関係にある商品が存在する場合、その審判の「請求の趣旨」に「及びその類似商品」との記載がないからといって、請求却下などとは審決されていない(甲第3ないし第8号証)。

被請求人の答弁理由は到底成り立つものではなく、しかも、本件商標が本件審判請求予告登録前3年内に使用されたことの証明がなされていないから、本件商標は請求の趣旨のとおり取消を免れることはできない。

3 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判の請求を却下する、審判費用は請求人の負担とする、との審決、又は本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1及び第2号証を提出した。。

請求人は、本件審判の「請求の趣旨の記載」において決定的な誤りを犯している。

本来、不使用取消審判は、権利の上に眠る不使用商標の整理を図り、後願の商標採択予定者に商標採択の道を開くことにある。

そのためには、既登録商標の指定商品の類似群に属する商品を一括し、漏れなく表示した「請求の趣旨」によって特定し、審判請求がなされなければならないことは明らかである。

本件商標は、日本分類による「全部(一切)指定の」商標登録であり、旧別表の表示による商品の範囲と類似群を有している登録商標である(乙第1号証)。

しかるに、本件審判の請求の趣旨は、指定商品中の「靴くぎ、靴びょう、靴保護金具、靴はとめ、靴ひも代用金具、げた金具、洋傘金具」のみを指定した請求の趣旨となっており、「及びその類似商品」を取り消す、との記載はない。22A02の類似群には、「靴用バックル,靴用ファスナー,靴用ホック」が含まれており、これらは「靴くぎ、靴びょう、靴保護金具、靴はとめ、靴ひも代用金具、げた金具」とは類似商品であると思料される(乙第2号証)。

同様に22B01の類似群には、「和傘金具」(和傘の軸にあって傘の開きを固定する金具)が含まれており、「洋傘金具」とは類似商品であると思料される(乙第2号証)。

そうとすれば、請求の趣旨に「及びその類似商品」との記載を漏らしてなされた審判請求は、その目的を達することができないばかりか、請求の趣旨の補正もできず、結局、審判請求の目的を達することができない一部不使用取消の審判であることになる。

請求人は、多数の審決例を掲げ、請求の趣旨の記載の正当性を主張しているが、これらの審決例はすべて「被請求人側が応答していない」事案であり、法律解釈が争点とされなかった事例であって、本件には妥当しないものであり、牽強付会のなにものでもない。

よって、答弁の趣旨のとおりの審決を求める次第である。

4 当審の判断

商標制度は、商標に化体された商標権者の業務上の信用を保護することを目的とするところ、この信用は、商標の使用をする者により商品や役務に一定の商標が継続的に使用されることにより形成されるものである。しかし、不使用商標は、このような業務上の信用が形成されていないから、本来商標制度をもって保護するに値しないものである。

商標法第50条による商標登録の取消審判(以下「不使用取消審判」という。)制度は、このような観点に沿って設けられているものであり、一定期間登録商標の使用をしない場合には保護すべき信用が発生しないか、あるいは発生した信用も消滅してその保護の対象がなくなると考え、他方、そのような不使用の登録商標に対して排他独占的な権利を与えておくのは国民一般の利益を不当に侵害し、かつ、その登録商標の存在により権利者以外の商標使用希望者の商標の選択の余地を狭めることとなるから、請求をまってこのような商標登録を取り消そうとするものである。

ところで、被請求人は、本来、不使用取消審判は権利の上に眠る不使用商標の整理を図り、後願の商標採択予定者に商標採択の道を開くことにあるから、その「請求の趣旨」には、当該登録商標の指定商品の類似群に属する商品を一括し、漏れなく表示しなければならない旨主張する。

確かに、指定商品が複数ある場合にその中に類似商品と非類似商品があるときは、類似商品群を単位としてその取消を求めるのが普通である。類似範囲については、他人は商標登録を受けることもできないし(商標法第4条第1項第11号)、また、他人の使用は侵害とみなされ(同法第37条)、第三者は使用できないからである。しかし、このことが直ちに類似商品は一体としてでなければ請求できないとする根拠にはなり得ない。商標法第50条第1項は、「各指定商品又は指定役務についての登録商標の使用をしていないとき」と規定し、指定商品(指定役務)が複数ある場合には、使用していない指定商品(指定役務)ごとにこの取消審判の請求ができることとしている。そして、この「各指定商品又は指定役務」の単位は、当該商標登録の指定商品の範囲内で、審判を請求する者が自由に決めることができ、例えば、類似群に属する商品全部にするのも、その中の一部商品にするのもいずれも可能であって、商標法上これを制限する規定はない。それに上述の不使用取消審判制度の趣旨に照らせば、類似商品だからといって、一定期間登録商標の使用をしていない指定商品にまでその商標登録を存置しなければならない合理的な理由に乏しいし、実際、類似商品についての他人の商標登録を取り消すことにより、自己の使用しようとする商標について商標登録を受けることができる場合もある。また、不使用取消審判制度の存置理由を商標登録を受ける障害となっている他人の商標登録を取り消すことのみに限るべき合理的根拠も見出し難い。したがって、類似範囲内の商品についての取消を求める請求だからという理由だけで、その請求を排斥し、その登録の取消を免れることにはならないと解するを相当とし、この点について述べる被請求人の前記主張は妥当でなく、採用の限りでない。

そして、不使用取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品について当該商標を使用していることを証明し、または使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消を免れない。

しかるところ、本件審判の請求に対し、被請求人は、前記3の答弁をするのみで、請求に係る指定商品について、本件商標を使用していることを何ら答弁、立証するところがない。

してみれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、被請求人により本件審判の請求に係る商品「靴くぎ、靴びょう、靴保護金具、靴はとめ、靴ひも代用金具、げた金具、洋傘金具」について、使用されていたものとは認められず、かつ、使用をしていないことについて正当な理由があったものとも認められない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、指定商品中の「結論掲記の指定商品」についての登録を取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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