Trademark Appeal Case
技法名称の記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年審判第18367号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲に示すとおりの構成よりなり、第41類「工芸・手芸・絵画・彫刻の教授,その他の技芸・スポーツ又は知識の教授,美術品・工芸品の展示」を指定役務として、平成8年2月21日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、下薬を塗った家具・小物等の木地にアクリル絵の具で草花等の絵を描き、ニスで仕上げる北オランダ地方に伝わる民芸絵画を意味する『Assendelft』(ウエディング・テキスト体で表されているものであって、普通に用いられる方法の域を脱しない。)と『アッセンデルフト』の文字を上下二段に書してなるものであるから、これをその指定役務中、上記工芸の教授に使用するときは、単に提供する役務の質(内容)を表示するにすぎない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」として、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、別掲のとおり、ウエディング・テキスト体で書された「Assendelft」の文字及びその読みを表記したと認められる「アッセンデルフト」の文字からなるものである。そして、それぞれの文字は、普通に用いられる方法の域を脱しない範囲で表示されたものであると認められる。
請求人は、「本願商標は、審査官の指摘するような絵画技法を意味するものではなく、しかも、本願商標がその指定役務に関する取引市場等において役務の質(内容)を表示するものとして取引上使用された事実、用例等は全くないことなどから、自他役務の識別標識としての機能を有し、また、役務の質(内容)の誤認を生じさせるおそれはないものである。」旨主張し、証拠方法として甲第1号証ないし同第14号証を提出している。
そこで、審判請求人が提出した甲各号証を総合すると、「アッセンデルフト」の由来等に関しては、「アッセンデルフトの歴史は、オランダが各国との貿易で一番華やかなりし頃最も盛んに描かれた。17世紀のアッセンデルフトの絵付けは、キャンバスから家具の上へと代えただけで、油絵の具で描かれ、絵画同様その美しさや質の点でも大変完成度の高いものであった。現在、アッセンデルフトの町は、静かな住宅街が続くだけで工芸品の影も形も見つからない。今世紀に入り、アクリル絵の具が開発されたことによって、それまでの油絵の具にとって変わり、フォークアートは手軽で身近なものとなった。ジャック・ザウデマ氏は、アクリル絵の具の特性を生かし、独自の技法でアッセンデルフトを再生させた。審判請求人である桂田氏は、1967年から1982年、オランダに滞在中、ザウデマ氏に師事し、アッセンデルフトを習得した。その後、桂田氏なりにイメージ化した花を加え、さまざまなパターンを創り、デザインし、桂田氏独自のアッセンデルフトを成長させて行くこととなった。1983年、『アッセンデルフトフォークアートスタジオ』設立、各地に教室を開設し指導等を行っている。」ことが記載されており、「アッセンデルフト」という言葉は、オランダの地名以外としては、請求人が日本国内において使用することによって知られるようになった言葉であることがうかがえる。しかしながら、前記の各号証によっては、請求人が「アッセンデルフト」という言葉を自己の行う役務(サービス)と他人のそれとを識別するための商標として使用した事実は認められない。前記の甲第2号証ないし同第4号証及び同第7号証ないし同第12号証には、「アッセンデルフト」という文字が文章中などに記載されているが、「家具などへの絵付け」の一技法の名称として使用されているものであり、商標として請求人が使用していることをうかがわせるものはない。
また、「アッセンデルフト」の文字が「家具などへの絵付けの一技法」の意味合いを指す語として一般に使用されていることは、例えば、1997年10月17日付け朝日新聞(大阪夕刊、3頁)に「トールペイント 実用品、かわいく塗って(人気生態学)」の見出しのもと「木や布、ガラス、タイルなど様々な素材にアクリル絵の具を使って花や動物などを描いた『トールペイント』を家庭や町中で目にする機会が増えた。・・・<トールペイントの地域ごとの特徴>●デコラティブペインティング 米国。あまり技法にこだわらず、自由なスタイルで描く。カントリー調も。 ●アッセンデルフト 北オランダ。花や葉を一筆で素早く描くのが特色。 ●ローズマリング ・・・」、1994年11月4日付け毎日新聞(地方版/京都、26頁)に「オランダの首都・アムステルダム市の北約二十キロにあるザーンシュタット市アッセンデルフトに十七世紀から伝わる独特の絵付け技法を用いた陶器や家具などの作品展『オランダフォークアート・アッセンデルフト展』が北区小山の関西電力上営業所内アミュージアムで開かれている。」、1999年7月9日付け毎日新聞(地方版/福岡)に「家具や陶器、金属、ガラスなどに独特の絵を描きつける『オランダアッセンデルフトペインティング教室展』が中央区大名2の福岡中央銀行本店アトリウムで開かれている。」、1999年9月17日付け毎日新聞(地方版/福岡)に「生涯学習の場として毎日新聞社が開設した毎日文化センター福岡(中央区天神1の16の1、毎日福岡会館5階)は、開設30周年を記念して『講師・会員の大作品展』を開催します。・・・展示内容 生け花、絵画、書道、手工芸品など約40講座 ・・・大人のクレパス画、籐工芸、木彫り、・・・、コンスターチフラワー、アッセンデルフトペインティング、和裁、欧風刺しゅう、写経、趣味の表装、漢字日常など」、1998年9月5日付け日本経済新聞(朝刊、34頁)に「トールペイント、塗り絵感覚で生活彩る−−愛好家の世界団体も(サイドミラー)」の見出しのもと「トールペイントの源流は欧州各地に残っている。バラを描くローズマリングはノルウェーの技法。オランダにはヒンダローペン、アッセンデルフトという手法があり、ロシアのジョストボーは鮮やかな色彩が特徴。」などと掲載されていることより首肯しうるところである。
前記した実情よりすれば、本願商標をその指定役務について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「家具などへの絵付けの一技法であるアッセンデルフト」を内容とする役務の提供を表示したものと理解するにとどまり、自他役務を識別する標識たる商標とは認識し得ないものとみるのが相当である。
そうとすれば、本願商標は、これをその指定役務中、上記意味合いのアッセンデルフトに関する役務の提供について使用しても、単に役務の質(内容)を表示するにすぎず、前記役務以外の役務に使用した場合は、役務の質についての誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本願商標を商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとした原査定は妥当なものであって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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