Trademark Appeal Case
タワーメンテナンスの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第6283号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「タワーメンテナンス」の片仮名文字を横書きしてなり、第37類「鋼構造物の修理又は保守,鋼構造物工事,塗装工事,金属表面防錆処理工事」を指定役務として、平成8年6月21日に登録出願され、その後、指定役務については、同10年1月13日付け手続補正書により「鋼構造物の修理又は保守」に補正されたものである。
2 原審における拒絶の理由
原査定において、「本願商標は、『塔、やぐら』等を意味する『タワー』の文字に『整備、保全、営繕』等を意味する『メンテナンス』の文字を一連に『タワーメンテナンス』と書してなるものであるから、これをその指定役務『鋼構造物の修理又は保守』に使用しても、『塔の修繕(メンテナンス)』程の意味合いを看取するに止まり、単に役務の質(内容)を表したにすぎず、自他役務を区別する標識としての識別力を具有しない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。なお、出願人は、本件商標は商標法第3条第2項により他社の同内容の役務と自他役務を区別する標識としての識別力を具有している旨述べているが、添付された証拠資料では商標法第3条第2項の適用を受けるについての証拠が不十分であるので上記の認定を覆すことはできない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、前記のとおり、「タワーメンテナンス」の文字を書してなるところ、その構成中、前半の「タワー」の文字は、「塔」等の意味を有する語として、後半の「メンテナンス」の文字は、「維持、管理、保守」等の意味を有する語として一般に親しまれて使用されているものである。
そして、「メンテナンス」の文字は、「ビルメンテナンス」、「プログラムメンテナンス」、「設備メンテナンス」等の複合語あるいは熟語を構成するものとして一般に親しまれているものである。
そうとすれば、本願商標は、上記の意味を有する「タワー」の文字と「メンテナンス」の文字とを結合したものと容易に認識、理解されるものであり、全体として「塔の維持、管理、保守」の意味合いを容易に看取させるものである。
してみれば、本願商標をその指定役務「鋼構造物の修理又は保守」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「塔状鋼構造物の維持、管理、保守」を内容とする役務の提供を表示したものと理解するにとどまり、単に役務の質(内容)を表示するにすぎず、自他役務の識別標識としての機能を有するものとは認識しないものとみるのが相当である。
請求人は、「本願商標は、商標法第3条第2項に該当し、登録すべきものである。」旨主張している。そして、この主張の根拠を概要次のように述べ、証拠方法として、「当社の事業所・客先・事業内容を示したパンフレット」(以下「甲第1号証」という。)、「当社の経歴書」(以下「甲第2号証」という。)、「鋼構造物の腐食診断・処置『タワーメンテナンス』のガイドライン」(以下「甲第3号証」という。)、「塔状鋼構造物の腐食診断・処置実績表」(以下「甲第4号証」という。)、「需要者(客先)に提出した『タワーメンテナンス』業務に関わる報告書」(以下「甲第5号証」という。)及び「『タワーメンテナンス』業務に関わる研究論文」(以下「甲第6号証」という。)を提出している。
(1)甲第1号証及び同第3号証に記すように「タワーメンテナンス」という語は、当社固有の呼称として、鋼構造物である鉄塔の修理又は保守の役務に対して用いている。
(2)「タワーメンテナンス」の言葉で、鋼構造物である鉄塔の修理又は保守する役務及び研究を平成3年から始め、平成6年度から一部地域で営業展開して、平成8年度から全国で本格的な役務を営業展開している(甲第2号証)。
(3)当社の需要者には、各電力会社、各無線通信事業会社など、主に鉄塔の施工・維持主が多く、これらには「タワーメンテナンス」の役務及び技術を平成6年度より宣伝活動を行っており、「タワーメンテナンス」の役務及び技術は、需要者に認識され必要視されている(甲第2号証、同第5号証)。したがって、当社の「タワーメンテナンス」は、商標法第3条第2項により、他社の同内容の役務と自他役務を区別する標識としての識別力を具有している。
そこで、以下、請求人の前記主張について検討すると、請求人が提出した甲各号証によれば、請求人が「タワーメンテナンス」の語を使用していることは認められる。しかしながら、前記の各号証によっては、請求人が、「タワーメンテナンス」という言葉を自己の行う役務(サービス)と他人のそれとを識別するための商標として使用した事実は認められない。前記の甲第1号証には「信頼のトータルサポート体制」の表題のもと「鉄塔の安全性を保つタワーメンテナンス、鉄塔の性能を向上させる鉄塔付属品・関連設備の開発、鉄塔建設に関する技術的支援を行う海外技術コンサルティング。日本電炉は鉄塔に関するトータルなサポートを行っている。」、同じく同第2号証には「営業品目」(2頁)の表題のもと「工事 ・送電用鉄塔かさ上げ工事 ・鉄塔他各種構造物の工事 ・タワーメンテナンス」などと記載されており、「タワーメンテナンス」の語が他の工事等の内容を表す名称と同様に使用されており、該語が商標として請求人が使用していることをうかがわせるものではない。さらに、同じく同第6号証は、日本建築学会の構造工学論文集VOL.44B(1998年3月)中の「画像解析による溶融亜鉛めっき鋼材表面の劣化度評価」をタイトルとする論文であるが、「タワーメンテナンス」という語が自他役務を識別するための商標と認識されて使用されているものではないことは、その文中において「特に鋼管鉄塔の場合、外部腐食が発生するとともに、内部腐食の発生も予想される。このため、そこでタワーメンテナンスを行う場合に、定期的にこのような腐食状況を鉄塔現場で調査し、・・・」、「これを受けて本研究では、屋外環境で長期間使用される溶融亜鉛めっき鉄塔を主に対象とし、タワーメンテナンスの自動化について考える。」などと記載されていることより首肯しうるところである。
以上見てくると、請求人の提出に係る上記証拠によっては、本願商標が特定の者により長年その業務に係る役務について使用された結果、それがその役務と結びついて自他役務を識別する標識と認識されるものとなっているとは言い難く、商標法第3条第2項に該当すると認めることはできないものである。
したがって、本願商標を商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定は、妥当なものであり、これを取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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