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Trademark Appeal Case

著名商標の混同と無効

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第35025号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第3068114号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第3068114号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示したとおりの構成よりなり、商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第1項の規定により使用に基づく特例の適用の主張をし、平成4年4月24日に登録出願、第36類「資金の貸付け」を指定役務として、同7年8月31日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第3号証(枝番を含む。)を提出した。

1 無効の原因

本件商標中の「ワールド」の表示は、請求人たる株式会社ワールドを表示する標章として、本件商標の出願前から著名である。したがって、本件商標を指定役務について使用したときは、役務の出所について混同を生じさせるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項15号に該当する。

また、商標権者たる「株式会社ワールドファイナンス」は、裁判所の判決により本件商標の表示をすることを禁止されている。商標権者が本件商標の表示をすることを禁止する旨の判決は、最高裁判所でも支持され、平成9年6月10日に確定している。したがって、本件商標は、少なくとも平成9年6月10日には商標法第4条第1項第7号に該当するものである。

2 請求人は、昭和34年1月から、「ワールド」の商標を使用し、テレビ、ラジオ、雑誌等の媒体を通じて「ワールド」の商標を普及させてきた。

これに対して商標権者は、昭和51年7月から「ローンズワールド」を商標として使用していたが、平成元年の初め頃に、商標を突然「ワールド」及び「世界のワールド」に変更した。

商標権者が使用する商標「世界のワールド」は、請求人が長年使用してきた商標と類似するものであり、混同を生じるおそれがある。そこで請求人は、平成元年に、商標「世界のワールド」の使用禁止を求める旨の訴えを東京地方裁判所に提起した。

裁判では、商標「ワールド」が請求人の著名商標であるか否かという点と、商標権者の本件商標を使用する行為が、請求人の活動と混同を生じるか否かの点で争われた。

その結果、請求人の主張が認められ、被請求人たる「株式会社ワールドファイナンス」は、本件商標の表示を使用してはならない旨の判決がなされた(甲第1号証の1)。本件商標は、判決で使用が禁止された(一)から(七)の態様の内、第五の態様そのものである(甲第1号証の2)。

また同判決の中で、商標「ワールド」が請求人の営業表示として遅くとも昭和57年末には全国的に周知となっていたと認定した。さらに平成元年頃

までには周知性の程度はさらに高まっていると判断した。そして商標権者が使用する本件商標は、請求人が長年使用してきた商標と類似するものであり、混同を生じるおそれがあると断定した。

被請求人は、上記した東京地方裁判所の判決を不服として、東京高等裁判所に控訴したが、控訴審の判決は、添付の甲第2号証のとおりであり、請求人が全面勝訴した。

また被請求人は、さらに最高裁判所に上告したが、最高裁判所においても請求人が全面勝訴した(甲第3号証)。

すなわち、最高裁判所においても、「昭和57年末には、商標『ワールド』が請求人の営業表示として周知、著名であり、商標『世界のワールド』は、請求人が長年使用してきた商標『ワールド』と類似するものであって、商標『世界のワールド』を『資金の貸付け」の役務に使用したときは、役務の出所について混同を生じさせるおそれがある」ことが是認された。

そして、商標権者が本件商標を使用することは、不正競争行為であり、商標権者は本件商標を使用をしてはならない旨の判決が確定した。

以上の裁判から明らかなように、本件商標の出願時(平成4年4月24日)、商標「ワールド」は請求人を表示する著名商標であり、商標権者が「資金の貸付け」に本件商標を使用すれば、当社の活動と混同を生じるおそれがあった。そして本件商標の出願時には、請求人と、本件商標を使用する商標権者の間で混同が生じており、裁判所はその事実を認めている。この事実認定は、事実審の終審たる高等裁判所で認定されたものであり、最高裁判所においても肯定され、如何に反論しても覆るものではない。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項15号に該当する。

また商標権者は、裁判所から本件商標の使用を禁止されている。したがって、商標権者が本件商標を使用することは、最高裁判所の司法判断に反する行為であり、少なくとも最高裁判所の判決があった時点で本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、何ら答弁していない。

第4 当審の判断

本件審判における請求人の主張及び本件商標に関し、平成8年法律第68号による改正前の商標法による登録異議申立て(出願人が被請求人、登録異議申立人が請求人)における請求人の主張及び書証を総合すると、請求人は、昭和34年1月に創業した衣服等のアパレルメーカーであり、ラジオ、新聞、雑誌等の広告媒体を通じて、宣伝広告を行った結果、「WORLD」の商標(以下「請求人使用商標」という。)は、本件商標の出願前、既に需要者の間に広く認識されるに至っているものということができる。

一方、本件商標は、別掲に示したとおり、黒塗りの長方形内に白抜きで「世界のワールド」の文字を書してなるところ、その構成文字中の「世界の」の部分は、その後に続く「ワールド」の語を修飾する関係にあることは明らかであるから、本件商標がその指定役務に使用された場合、「世界の」の部分は、世界的に知られたという修飾語として付されていると理解されるにすぎず、本件商標における識別力を有する部分は、後半の「ワールド」の部分にあるものと一般に認識されるということができる。

そうすると、本件商標は、単に「ワールド」の称呼及び「世界」の観念をも生ずるというのが相当である。

そして、請求人使用商標は、「WORLD」の文字に相応して、「ワールド」の称呼及び「世界」の観念を生ずるものである。

してみれば、本件商標と請求人使用商標とは、「ワールド」の称呼及び「世界」の観念を共通にする類似の商標と認められる。

また、本件商標の指定役務「資金の貸付け」、いわゆる金融に関連する業務と請求人使用商標が使用されている各種衣料品を取り扱う業務は、営業分野の相違等があるが、本件商標と請求人使用商標との類似性を考慮すれば、請求人と被請求人の間に親会社と子会社の関係あるいは系列関係にある等の広義の混同が生じ得ることを否定することができないというべきである。

そうとすれば、本件商標は、その指定役務について使用した場合、請求人の業務に係る商品と出所の混同を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。

そして、このことは、最高裁判所平成10年(ヒ)第85号判決(平成12年7月11日判決言渡)において、「商標法第四条一項一五号にいう『他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標』には、当該商標をその指定商品又は指定役務(以下『指定商品等』という。)に使用したときに、当該商品等が他人の商品又は役務(以下『商品等』という。)に係るものであると誤信されるおそれがある商標のみならず、当該商品等が右他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると誤信されるおそれ(以下『広義の混同を生ずるおそれ』という。)がある商標を含むものと解するのが相当である。けだし、同号の規定は、周知表示又は著名表示へのただ乗り(いわゆるフリーライド)及び当該表示の希釈化(いわゆるダイリューション)を防止し、商標の自他識別機能を保護することによって、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、需要者の利益を保護することを目的とするものであるところ、その趣旨からすれば、企業経営の多角化、同一の表示による商品化事業を通して結束する企業グループの形成、有名ブランドの成立等、企業や市場の変化に応じて、周知又は著名な商品等の表示を使用する者の正当な利益を保護するためには、広義の混同を生ずるおそれがある商標をも商標登録を受けることができないものとすべきであるからである。」旨の判示、及び請求人と被請求人との間で争われた、平成元年(ワ)第17170号判決(表示使用禁止等請求事件;甲第1号証の1)において、東京地方裁判所は、「原告営業表示(『ワールド』、『WORLD』)は、遅くとも昭和57年末(年間売上高が1000億円を越えた)には全国的に周知となっており、平成元年頃までにはその認識の程度は更に高まっていた。・・・原告と被告との間に親会社子会社の関係や系列関係があるのではないかとの誤認を生じさせるという意味での混同のおそれがあると認めるのが相当である。」旨判示し、この判決は、東京高等裁判所(平成5年(ネ)第854号表示使用禁止等請求事件;甲第2号証)及び最高裁判所(平成7年(オ)第1105号;甲第3号証)でも支持されたことにより、裏付けられるところである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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