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Trademark Appeal Case

周知地名の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2000−35223(T2000−35223/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第2709957商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1に示すとおりの構成よりなり、平成2年8月30日に登録出願、第24類「英国製の運動具、その他本類に属する英国製の商品」を指定商品として、平成7年9月29日に設定登録されたものである。

2 引用各商標

請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第2072504号商標は、「Golf Links of」、「ST.ANDREWS」及び「SCOTLAND」の各欧文字をそれぞれ上・中・下の三段に横書きしてなり、昭和57年5月31日に登録出願、第24類「おもちゃ、人形、娯楽用具、運動具、釣り具、楽器、演奏補助品、蓄音機、レコード」を指定商品として、昭和63年8月29日に設定登録、平成10年5月19日に商標権存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。

同じく、登録第2243333号商標は、別掲2に示したとおりの構成よりなり、昭和59年8月29日に登録出願、第24類「おもちゃ、人形、娯楽用具、運動具、つり具、楽器、演奏補助品、蓄音機(電気蓄音機を除く)レコード、これらの部品および附属品」を指定商品として、平成2年7月30日に設定登録、平成12年5月30日に商標権存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。

同じく、登録第2538903号商標は、「STANDREWS」の欧文字を横書きしてなり、平成3年4月4日に登録出願、第24類「おもちゃ、人形、娯楽用具、運動具、つり具、楽器、演奏補助品、蓄音機(電気蓄音機を除く)レコード、これらの部品および附属品」を指定商品として、平成5年5月31日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

同じく、登録第2020457号商標は、「ST.ANDREWSLINKS」の欧文字を横書きしてなり、昭和57年7月9日に登録出願、第24類「おもちゃ、人形、娯楽用具、運動具、つり具、楽器、演奏補助品、蓄音機、レコード」を指定商品として、同63年1月26日に設定登録、その後、該商標権は、存続期間満了により、平成10年9月30日に権利抹消の登録がされているものである。

同じく、登録第2101848号商標は、「スタンドリュース」の片仮名文字及び「STANDREWS」の欧文字を上下二段に横書きしてなり、昭和61年8月28日に登録出願、第24類「おもちゃ、人形、娯楽用品、運動具、つり具、楽器、演奏補助品、蓄音機(電気蓄音機を除く)レコード、これらの部品および附属品」を指定商品として、同63年12月19日に設定登録、その後、該商標権は、存続期間満了により、平成11年9月1日に権利抹消の登録がされているものである。

3 請求人の主張

請求人は、本件商標を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第23号証を提出している。

(1)本件商標は「ゴルフクラブ」を主体とした絵柄の上に、世界のゴルフの発祥の地「ST.ANDREWS」と、絵柄の下に「SCOTLAND」「St.Andrews Golf Company(UK)Ltd.」の文字を組み合わせた商標である。それらの全てを総合的に考えれば、350年前、世界のゴルフ発祥の地、スコットランドの「ST.ANDREWS」ゴルフ場と何らかの関係があるような印象を受けるものである。

(2)世界的に有名なゴルフ場「ST.ANDREWS」は現在スコットランド政府の管轄する特殊法人として、政府国会から選出した議員を中心に町の有力者や住民によって構成される「ST.ANDREWS LINKS TRUST」(セント・アンドリュースゴルフ場管理運営委員会、以下「トラスト」という。)によって管理・運営されており、パブリック・コースとして「セントアンドリュース」の町民に親しまれ、また町の唯一の観光資源でもある。「ゴルフ生誕の地」「ゴルフの聖地」として世界的に有名なスコットランドの「セントアンドリュース」の町は、ゴルフに関する長い歴史を持っている(甲第1号証)。

「セントアンドリュース」のゴルフコースを管理・運営するのは、当初から町の有力者達であった。「パブリック」なコースとして市民の代表によって運営するという考え方は今も変わらない。

1894年になって始めて、スコットランドで「セントアンドリュース・リンクス法」が作られた。同法は何度も改定され、最終的に1974年の「リンクス法」がスコットランドで国会の承認を得て制定された時に「トラスト」が設立された(これらの法律はイギリス連合王国全体でも有効)。この法律によって「トラスト」はセントアンドリュースのゴルフコースの管理・運営に責任を持つものとされた(甲第2号証)。

「トラスト」自身は営利団体ではなく、スコットランドで「慈善団体」として登録されていて、ボランティアでゴルフコースの管理・運営のために活動している。そのため「ST.ANDREWS」とそのゴルフコースに関連する名称、商標を所有することを唯一認められている。

イギリスでの商標登録については、トラストが公益団体であるため、子会社のような形で営利法人の「セントアンドリュース・リンクス・リミテッド」を作り、その会社の名義でイギリスで商標を所有している(甲第3号証及び甲第4号証)。

以上のように、セントアンドリュースの「トラスト」とは、町の長い歴史を受け継いだ権威のある公的な組織であり、スコットランドの公益団体として「ST.ANDREWS」のゴルフコースに関する商標を唯一所有することを認められた、世界に対してセントアンドリュースの町そのものを代表する団体であるといえる。

よって「ST.ANDREWS」の地名は、ゴルフ発祥の地として日本国内でも大変有名であり、またその名前を上記「トラスト」が管理していることも周知となっている。

(3)本件商標は、上記「トラスト」の国内代理人が所有する引用各商標と類似する。よって、本件商標は登録すべきものではない。

(4)ST.ANDREWSの名前自体、さしたる産業のない町の名前で、唯一「ゴルフ場の存在」で全世界に知られているため、「ST.ANDREWS」の名前はそのゴルフ場を運営する「トラスト」に所属するものといわれている。特許庁の見解も従来から同様の主張で統一されている。以上の趣旨から、甲第6号証ないし甲第22号証に示す登録商標、出願商標が異議申立、取消審判、無効審判、自主取下等によって商標権抹消となっている。

(5)本件商標と類似する被請求人の登録第4219254号商標に対して異議が申し立てられ、登録が取り消されている(甲第23号証)。

(6)よって、被請求人は上記「トラスト」とは無関係であるため、本件商標も上記の例と同様に登録無効とされるべきである。

4 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判請求は却下されるべきであると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証を提出している。

本件商標に係る商標権については、過去に無効審判の請求(平成8年審判第1117号)があった結果、成り立たないとの審決があり(乙第1号証)、すでに確定している。

その請求の要旨は、「St.Andrews」の名を冠するゴルフ場は「ST.ANDREWS GOLF LINKS TRUST」により管理されていて、被請求人はその「トラスト」より許諾を得ていないというにある。

さらに、その各提出証拠についても、従来の特許庁の判断例と、セントアンドリュースのゴルフ場の著名性を示すもののみである。

また、被請求人の登録第4219254号についての異議決定(甲第23号証)については、目下東京高等裁判所に審決取消を求めて控訴中である。 その他、すべての理由については前記審決(平成8年審判第1117号)における請求の趣旨と同様のものであり、商標法第56条において準用する特許法第167条の規定(審決の効果)により、本件請求は却下されるべきものである。

5 当審の判断

(1)本件審判において、被請求人は、本件審判の請求は商標法第56条において準用する特許法第167条の規定により却下されるべきであると主張しているので、この点について検討するに、本件審判は、請求人の挙示する平成8年審判第1117号審判事件とは、提出証拠においてその大多数は別個のものであり、また、その主張の全趣旨よりして、同一の事実に基づくものと判断することはできないから、本請求を上記法条の規定に該当するものとして、商標法第56条において準用する特許法第135の規定により、却下すべきものとすることはできない。

(2)請求人は、本件審判請求書の請求の理由において、本件商標の無効理由の根拠というべき該当条項の記載を怠ったものであるが、その主張の全趣旨よりして、商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第10号、同第11号及び同第15号の各法条の規定に基づくものとみて差し支えなく、実質的に審理を行い得るものと判断し、以下、その主張の当否について検討する。

本件商標は、別掲1に示すとおり、2本のゴルフクラブを「X」字状に交差させ、同図左右にそれぞれ草花と思しき小図形及び欧紋章にみられる獅子の小図形を、また、同図下部に球状の小図形をそれぞれ配し、これら図形を上・下部からそれぞれ円形に囲むように「St.ANDREWS」及び「SCOTLAND」の各文字を円弧状に表し、さらに、これら文字・図形の下部に「St.Andrews Golf company」、「(UK)Ltd.」の各文字を二段書きに表したものである。

しかして、構成中の「St.ANDREWS」と「SCOTLAND」の両文字部分は、我が国でもゴルフの発祥の地として知られている「スコットランドのセントアンドリュース」の地名を表したものと容易に看取されるものであり、また、下方に二段に表された「St.Andrews Golf company(UK)Ltd.」の文字部分は、被請求人(会社)名称と符合する文字構成であるから、これら文字・図形を組み合わせてなる構成の全体からは、被請求人会社に係る固有の記章(標章)の如く認識し把握されるものといえる。

ところで、請求人の提出に係る証拠によれば、1894年に制定された「セントアンドリュース・リンクス法」は数次に亘る改正を経た後、1974年改正により「セントアンドリュース・リンクス・トラスト」(St.Andrews Links Trust)が設立され、同トラストが「セントアンドリュース・リンクス(ゴルフ場)」(St.Andrews Links )の管理・運営権を保有(占有)する者であることが認められる(甲第1号証及び甲第2号証)。

しかしながら、それら提出証拠によっては、「St.ANDREWS」の文字(標章)が「セントアンドリュース・リンクス・トラスト」の運営・管理に係る「セントアンドリュース・リンクス(ゴルフ場)」の名称又はその略称であるとする点を認めるに足りる証拠はなく、また、「St.ANDREWS」の名称(標章)の所有が同トラストのみに帰属するものとする証拠も見出せない。さらに、「St.ANDREWS」が「セントアンドリュース・リンクス・トラスト」の著名な略称であるとする点を認めるに十分な証拠もない。

そして、本件商標にあって、「St.ANDREWS」(又は「St.Andrews」)の各文字部分は、「SCOTLAND」の文字と相俟ってその地名を表し又は全体として被請求人会社に係る固有の記章(標章)の如く認識し把握されるものであること前記のとおりであって、これら各文字部分を単独で分離・抽出し、該部分のみをもって取引に当たるとする合理的理由はなく、ほかに、これを認めるに足りる証拠はない。

そうとすれば、本件商標は、他人の名称又はその著名な略称を含むものとはいい難く、また、構成中の「St.ANDREWS」の文字部分をもって取引に資されるものということはできないから、この文字部分を捉えて引用各商標と類似する旨述べる請求人の主張は採用に由ないものであり、さらに、本件商標をその指定商品に使用した場合、需要者をして請求人又は請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ぜしめるおそれはないといわなければならない。

また、本件商標は前記のように把握・認識されるとみるのが相当であるから、その構成自体において公序良俗に反するおそれはなく、また、請求人主張のセントアンドリュース・リンクス・トラストに係る事業体の意義、性格及び歴史等を考慮するとしても、なお、本件商標を使用することにより社会公共の利益又は社会の一般的道徳観念に反するというような事由はないといわなければならない。

請求人は、異議申立て、取消審判、無効審判、自主取下等によって関連商標権が登録抹消となっているとして当該事例を挙げているが(甲第6号証ないし甲第22号証)、これら事例は、本件商標とは商標の具体的構成、当事者その他の点において事情を異にするものであって、本件事案を同列に論ずることは適切でないから、前記認定を覆すことはできない。

(3)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第10号、同第11号及び同第15号のいずれの法条の規定にも違反して登録されたものではないから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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