結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2001−30001(T2001−30001/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第539019号商標(以下「本件商標」という。)は、昭和33年7月28日登録出願、商標の構成を横書きした「ビタラーゼ」の片仮名文字とし、指定商品を第1類「化学品、薬剤及び医療補助品」として、同34年7月15日に設定の登録がされ、該商標権は、同55年2月29日、平成1年9月22日及び同11年7月6日の両3度に亘って、存続期間の更新登録がされているものである。
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、「薬剤」の登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
(1)本件商標の概要については、甲第1号証及び甲第2号証に示すとおりである。
(2)しかしながら、被請求人が過去3年間日本国内において本件商標をその指定商品中、「薬剤」について使用している事実は見当たらない。また、その専用使用権者あるいは通常使用権者も見当たらない。したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきである。
(3)(弁駁)被請求人が使用証拠として提出したもの(乙各号証)は、「食品添加物」に本件商標を使用していることを示しているにすぎず、「薬剤」に本件商標を使用することを何等証明していない。「食品添加物」は化学品に属するものであり、取り消しに係る「薬剤」とは非類似の商品であるから、被請求人の使用証拠をもって、本件商標が取り消しに係る商標について使用されたと証明されるものではない。
乙第1号証中に、「栄養強化剤製剤」というラベル中の記載があるが、栄養強化目的で食品に添加されるものは、食品添加物である。これらが、疾病の診断、治療、予防に使用されるような医療用の薬剤とは非類似の商品であることは明白である。さらに、乙各号証について、具体的に述べる。
(ア)乙第1号証は、本件商標とラベルが包装箱に貼付されていることを示しているに過ぎない。本件商標の取り消しに係る「薬剤」に使用されていることが全く示されていない。これらの証拠は、包装箱にラベルが貼付されている証拠である。また、使用された日付を特定する客観的な証拠が示されていない。
(イ)乙第2号証は、「ビタラーゼ」のラベルが作成されたことを示しているものである。本件商標の取り消しに係る「薬剤」に使用されていることの直接的証拠ではない。また、乙第1号証との関連を確認することができない。
(ウ)乙第3号証は、「食品添加物」に関するものである。本件審判とは無関係の資料である。乙第3号証の2には、商品「食品添加物ナイアシンアミド製剤」の用途について、一般食品の「栄養強化」と記載されている。しかし、ここでいう「栄養強化」とは、栄養分を補充し栄養価を高める程度のものをいうにとどまり、医薬品として取引される程度の用途があるとは到底考えられない。
特許庁商標課編の「『商品及び役務の区分』に基づく類似商品・役務審査基準」によれば、ビタミン剤は薬剤の概念に含まれるとする。しかし、被請求人の商品「食品添加物ナイアシンアミド製剤」には「ナイアシンアミド」がわずかに全体の0.15%の分量を占めるのみであることからも、一般のビタミン剤と比較すれば、その効能は極めて低いものであろうと推測する。
さらには、「薬剤」の概念に含まれるといえるためには、同商品が医薬品として取り引きされるものであることが証明されなければならないが、そのような証明がなされていない以上、同商品は「薬剤」の概念に含まれるものではなく、あくまでも、被請求人自ら認める通り「食品添加物」の概念に含まれるものといわざるをえない。そして、「食品添加物」は通常「化学品」の概念に含まれるものである。
(エ)乙第4号証は、「ビタラーゼ」という商品が取引されていることを示しているかもしれない。しかし、それがどういう商品であるのか不明である。単に「ビタラーゼ」という何等かの商品が取り引きされたことを示すに過ぎない。従って、本件商標の取り消しに係る「薬剤」について、3年以内に使用された証拠として採用され得ない。
仮に、当該証拠中の「ビタラーゼ」が、乙第3号証に示された「食品添加物ナイアシンアミド製剤」であるとしても、ここに表されている取引先の大部分が食品製造業者であることが容易に認められることからも、「ビタラーゼ」なる商品は、食品添加物として取引されることは理解できても、医薬品として取引されるものであることを何等証明するものではない。
(オ)乙第5号証並びに乙第6号証は、「ビタラーゼ」という商品が取引されたことを示しているが、取り引きに係る商品の品質が何なのかを確認することができない。
以上、詳述したように、被請求人の提出に係る乙各号証をもってしては、被請求人が本件審判請求登録前3年以内に本件商標を取消請求に係る商品について使用していたとは認められないから、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録は取り消されるべきである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第7号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)本件商標の概要は、上記1のとおりである。
(2)本件商標は、指定商品中の「薬剤」中に包含される食品添加物、栄養強化剤製剤について、平成11年10月4日より現在に至るまで継続的に使用されている。以下、その事実を述べる。
(3)乙各号証について
(ア)乙第1号証(ラベルが貼付された商品包装箱)
乙第1号証の1は、商標「ビタラーゼ」のラベルが付された商品の包装箱であり、乙第1号証の2は、前記ラベルの不鮮明な所にあたる部分を拡大して撮影したものである。そして、乙第1号証の3がそのラベルの実物である。同ラベルには、その商品名の上部左右に「栄養強化剤製剤」、「食品添加物」の表示がなされている。これらの各号証によって商標権者により該商標ならびに商品が明確に表示されていることがわかる。
(イ)乙第2号証(前記ラベルの納品書、請求書)
乙第2号証の1ないし同4は、被請求人会社が件外有限会社日生双葉マークに乙第1号証の3の商品ラベルの印刷を依頼し、それが被請求人会社川越工場に納品されたときの納品書と請求書である。
乙第2号証の1ないし同2により、平成11年10月2日に本件商標を表示したラベルが500枚、被請求人会社に納品されていることがわかる。
乙第2号証の3ないし同4により、平成12年10月23日にも前記ラベルが500枚、被請求人会社に納品されていることがわかる。
(ウ)乙第3号証(製造元の製品規格ならびに保健所提出書類)
乙第3号証の1は、本件商標を表示した商品の製造元である甲陽化学工業株式会社(以下「製造元会社」という。)が、平成12年9月27日に発行した製品規格である。これには、商品が食品添加物ナイアシンアミド製剤であること、そして、その組成と品質規格が書かれている。
乙第3号証の2は、製造元会社が平成12年6月6日に伊丹保健所に提出した添加物製造品目届(内容変更)であり、伊丹保健所の受領印が押されている。この書面によって、当該商品が食品添加物ナイアシンアミド製剤であることが証明される。
(エ)乙第4号証(商品台帳)
乙第4号証は、1999年10月4日乃至2001年3月9日までに被請求人会社が販売した商品(ビタラーゼ)の商品台帳である。最上段中央に商品台帳の文字があり、その次の行左にはこの商品台帳を預かる被請求人会社川越工場の文字があり、その次の段には、商品名という表示に続いて4桁の数字と本件商標がある。本件商標の前の4桁の数字は、会社内で使用している商品コードであり、それに続くのが商品名、そして次がその規格である。その下の段左にある数字とそれに続く年は年号を現し、99年は西暦1999年を、0年、1年はそれぞれ西暦2000年、2001年を現している。その下の表の左端の月日の欄の4桁の数字は、その年の月日を表す。すなわち、4桁の数字の前半分の2桁が月をあらわし、後ろ半分の2桁が日をあらわす。摘要の欄にある会社名が本件商標を使用した商品の入荷元と出荷先の会社名である。
これにより、前記期間中に本件商標を付した商品が被請求人会社により販売されたことがわかる。
(オ)乙第5号証(商品の発注票並びに製造元の出荷案内書)
乙第5号証の1は、平成12年10月6日に被請求人会社が渡辺ケミカル株式会社を経由して製造元会社に本件商標を使用した栄養強化剤製剤を発注した発注票である。
乙第5証の2は、前記発注票を受信した渡辺ケミカル株式会社が平成12年10月6日に被請求人会社宛に出した返信FAXである。
乙第5号証の3は、製造元会社のビタラーゼ商品の2000年10月12日付被請求人会社宛出荷案内書である。
乙第5号証の4は、製造元会社のビタラーゼ商品の2000年10月13日付被請求人会社宛出荷案内書である。
これにより、製造元会社が本件商標を使用した商品を被請求人会社に直接送ったことがわかる。
(カ)乙第6号証(需要者からの商品発注書)
乙第6号証の1は、2000年10月12日、需要者である株式会社サンスイ埼玉営業所の「ビタラーゼ」発注書である。
乙第6号証の2は、2000年10月16日、需要者である東亜商事株式会社の「ビタラーゼ」の発注書である。
乙第6号証の3は、2000年10月10日、需要者である株式会社外松の「ビタラーゼ」の注文書である。
(キ)乙第7号証(運輸会社の控伝票)
乙第7号証の1は、2000年10月13日に「ビタラーゼ」を株式会社才武給食宛へ出荷したヤマト運輸株式会社の宅急便の控伝票である。
乙第7号証の2は、2000年10月6日にカナカン株式会社総菜金沢営業所宛に「ビタラーゼ」を出荷したヤマト運輸株式会社の宅急便の控伝票である。
乙第7号証の3は、2000年10月11日に千葉県食料株式会社宛に「ビタラーゼ」を出荷した王子運送株式会社の送り状の控伝票である。
乙第7号証の4は、2000年10月6日に株式会社にしむら宛に「ビタラーゼ」を出荷した第一貨物の送り状の控伝票である。
乙第7号証の5は、2000年10月11日に株式会社外松宛に「ビタラーゼ」を出荷した名鉄運輸株式会社の送り状の控伝票である。
以上の乙各号証を総合して観察すれば、本件商標が過去3年間に日本国内において、商品薬剤(食品添加物、栄養強化剤製剤)に使用され、現在に至るまで継続的に該商標が使用されていることが立証される。
したがって、本件取消請求には何らの理由もなく、その請求は「成り立たない」とすべきである。
請求人は、商標法第50条第1項に基づき、本件商標の指定商品中の「薬剤」について、その登録の取り消しを求めたものである。これに対して、被請求人は、本件商標を本件審判の請求前3年以内に日本国内において、薬剤に属する「食品添加物ナイアシンアミド製剤」又は「栄養強化剤製剤」について使用していたと述べ、乙各号証を提出したところ、請求人は、その使用に係る係る商品は薬剤でなく化学品であると述べ、その使用をもってしては、本件商標の取消請求に係る商品についての登録の取り消しを免れない旨反駁している。
そこで、被請求人が本件商標を使用しているとする食品添加物「ナイアシンアミド製剤」又は「栄養強化剤製剤」の所属について、以下、検討する。
(1)本件商標の使用とその使用に係る商品(本件商品)について
乙第3号証(枝番を含む)は、件外製造会社が食品衛生法所定の定めにより、平成12年6月6日兵庫県知事に対して届け出た「添加物(製造・加工)品目届(内容変更)」とみられるところ、同届け出の内容によれば、当該製品は品名(商標)を「ビタラーゼ」とする「食品添加物ナイアシンアミド製剤」(以下「本件商品」という。)であること、その用途は「一般食品の栄養強化」であり、専ら食品素材に一定量添加・混合・溶解して用いること等の記載が認められる。また、乙第1号証(枝番を含む)は、本件商品をダンボール詰めした状態を撮影した写真3葉であって、当該ラベル(製造票)に本件商標「ビタラーゼ」が表示され、本件商品が「栄養強化剤製剤」であり、「食品添加物」であること等の記載が認められる。
因みに、株式会社南山堂発行医学大辞典「ナイアシンアミド」又は「ニコチン酸アミド」の項によれば、「ナイアシンアミド」とは、「ニコチン酸アミド」(nicotinic acid amide)の別名であって、該物質はビタミンB複合体に属する水溶性ビタミンであり、植物にニコチン酸と共存して広く分布し、哺乳動物では肝臓に多いとあり、さらに、ニコチン酸欠乏症の予防と治療に、また、末梢循環障害に用いられる」との解説が認められる。
そして、前記のほか提出された乙各号証(乙第2号証,乙第4号証ないし乙第7号証)は、製品ラベルの納品書・同請求書、被請求人会社川越工場備え付けの商品台帳、被請求人に係る発注書、件外製造会社に係る出荷案内書、第三者会社に係る注文書及び運送会社に係る配送伝票等であって、それらによれば、被請求人は当該書面表示の時期において本件商標の下に本件商品を市場の流通に供していたことが認められる。
以上によれば、被請求人は、本件審判の予告登録前3年以内に日本国内において、件外「甲陽化学工業株式会社」(以下「件外製造会社」という。)の製造に係る「食品添加物ナイアシンアミド製剤」又は「栄養強化剤製剤」に本件商標「ビタラーゼ」を付し、販売していたことが認められる。
(2)本件商品の所属について
次いで、前記認定の本件商品の所属について検討するに、本件商標は、その指定商品を第1類「化学品、薬剤及び医療補助品」とするものであるところ、該商品の区分及びその指定商品は、大正10年12月7日農商務省令第36号による商標法施行規則第15条(昭和32年1月22日通商産業省令第2号により同規則中改正、同年4月1日施行)による商品類別(第1類から第70類までの類別表,以下「旧類別」という。)に基づき、旧類別第1類所属の商品を包括的に指定したものである。
そこで、旧類別をみると、第1類は、「化学品、薬剤及び医療補助品」を類見出しの表示(大概念)とし、これに所属する商品として、「酸類、塩類、亜爾加里、漂白粉、樹脂、膠、燐、酒精、グリセリン(旧字)、規那塩、モルヒネ(旧字)、丁幾剤、シロップ(旧字)、煎剤、水剤、浸剤、丸薬、膏薬、散薬、錠薬、煉薬、生薬、薬油、香精、石灰、硫黄、鉱水、麝香、打粉、食塩、もぐさ(旧字)、黒焼、防腐剤、防臭剤、駆虫剤、包帯(旧字)、緬紗、綿撤糸、脱脂綿、海綿、オブラート、氷嚢、水枕」等が羅列されている以外は、例えば、どの商品が「化学品」に属し、どの商品が「薬剤」に属するのかという中概念別の区分け(境界)はなく、また、中概念自体、必ずしもその内容が明確でないことが判る。
しかして、本件商標に係る指定商品の範囲又は当該商品の概念把握等を検討する場合、その出願時ないし登録時におけるこの種商品の取引事情とも併せ考慮の上、総合判断することが必要と解される。尤も、この種の類別表又は商品の区分表が元々商標出願の便宜上から、予め各商品の所属類を定めておくことを主眼とするものであって、商品相互間の類似・非類似を定めたものでないことは、すでに周知のとおりである。
進んで、検討するに、前記した旧類別の性格及び旧類別第1類の所属商品ないし例示商品よりして、当時、薬剤と考えられていたものには、前記例示商品のほか、各種の動・植物又は鉱物の成分抽出物をも当然に包摂していたであろうこと、また、それら各種のエキス剤、薬油類又は生薬類がそれぞれの薬効・用法の下に服用され、或いは滋養・強壮を目途に各種飲料、食品等に混入・摂取されていたであろうこと、さらに、それら薬効を目途に用いられるいわば飲・食物添加用組成物も他のエキス剤、薬油類又は生薬類等と同様に薬剤の範疇の商品として取り扱われ、流通していた実情にあったということができる。
そうすると、本件商標の指定商品中の「薬剤」には、その当時すでに存在した各種のエキス剤、薬油類、生薬類のほか、前記飲・食物添加用組成物、すなわち、現今においていう滋養・強壮のために予め食品等に混入し摂取される「食品添加物」も含まれると解するのが相当である。したがって、これら飲・食物添加用組成物又は食品添加物が「薬剤」としてではなく、専ら「化学品」として市場の流通に供されていたとする取引事情はなく、また、その証拠も見出せない。
以上によれば、前記(1)において認定した本件商品(「食品添加物ナイアシンアミド製剤」又は「栄養強化剤製剤」)は、本件商標の登録時存在した飲・食物添加用組成物又は食品添加物の一つとみて差し支えないというべきであるから、この点について、本件商品が「薬剤」でなく「化学品」である旨述べる請求人の主張は妥当でなく、その理由をもって本件商標の使用を否定することはできない。その他、請求人の主張を認めるに足りる証拠はない。
(3)結語
以上の(1)(2)に述べたとおり、本件商標は、本件審判の取消請求に係る商品「薬剤」について所定の期間内に使用されていたものというべきである。
したがって、被請求人は、本件審判の請求に対し、所定の事項について主張・立証をなし得たものというべきであるから、本件商標の登録は、その指定商品中の「薬剤」について、商標法第50条第1項により、その登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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