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Trademark Appeal Case

周知商標の類否判断

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2001−35181(T2001−35181/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4166880号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

1.本件商標

本件登録第4166880号商標(以下「本件商標」という。)は、平成9年3月21日に登録出願され、「スネークアイ」の文字と「SNAKE EYES」の文字を2段に横書きしてなり、第25類「被服」を指定商品として、平成10年7月17日に設定登録されたものである。

2.請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第83号証を提出している。

(1)無効理由

本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同法第4条第1項第10号、同法第4条第1項第15号及び同法第4条第1項第19号に該当するものであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録は無効とされるべきものである。

(2)商標法第4条第1項第10号、同法第15号に該当する理由

請求人は、商標法第4条第1項第10号および同法第15号の根拠となる商標として引用商標1ないし引用商標3を引用する。引用商標1は、「SNAKE EYES」の欧文字よりなる商標であり、引用商標2は、甲第3号証に示した別掲のとおりの「SNAKE」と「EYES」の欧文字の間に、SNAKE EYESが意味する「蛇の目」をあらわす図形(以下「蛇の目の図形」という。)が配された商標である。引用商標3は、「スネークアイ」の片仮名よりなる商標である。(以下まとめて「引用商標」という。)

これらの引用商標は、本件商標の出願以前、すなわち、平成9年(1997年)3月21日以前から、米国のゴルフ‐テック ホルディング、インコーポレイテッド(営業名「Snake Eyes Golf Clubs, Inc.」)(以下「ゴルフテック社」という。)によって「ゴルフ用具」及び「ゴルフウエア」等の関連商品に使用されてきた商標である。

そして、請求人であるゴルフスミス・インターナショナル・インコーポレイテッド(以下「ゴルフスミス社」という。)は、甲第5号証として提出した売却及び引渡書に示すように、ゴルフテック社のすべての商標に関する権利を同社から承継した者である。

(2−1)引用商標の周知・著名性について

引用商標は、ゴルフウエア、ゴルフ用具などについて使用されてきた商標であり、本件商標出願時すでに日本及び海外で広く知られるものとなっていた。以下に、その事実を証する証拠資料を示す。

引用商標1ないし引用商標3を含むゴルフテック社所有の商標に係る商品に関しては同社のアジアにおける販売被許諾者である米国パラワン・パールズ・インコーポレイテッド(営業名「Suntrex corporation」)(以下「パラワン社」という。)を通じて、ゴルフ用品については近代ゴルフ株式会社が我が国における製造・販売許諾を受け、本件商標出願以前より製造・販売を開始していた。

このことを示す証拠として、パラワン社と近代ゴルフ株式会社との間で平成8年10月に締結された使用料契約書写し(甲第6号証)を提出する。

従って、引用商標に係るゴルフ用品及びその関連商品が本件出願前に我国において製造販売されていたことは明らかである。このゴルフ関連商品の中には本件商標の指定商品「衣服」に含まれるゴルフウエアが含まれいる。

さらに、甲第7号証として提出した、パラワン社社長からゴルフテック社の関連会社であるスネーク・アイズ・アパレル・グループ(Snake Eyes Apparel Group)に宛てた1996年(平成8年)10月17日付け書簡では、引用商標に係るアジアの被許諾者であるパラワン社が、日本については、SNAKE EYESゴルフ衣料品及び商品を有名貿易会社であるオザワ・グループに販売することが述べられている。このことからも、本件商標出願前に、引用商標に係る衣料品も、我が国に流通していたことが伺われる。

この、スネーク・アイズ・アパレル・グループは、本件商標出願前より、米国、ハワイ、カナダ及び南アメリカで引用商標に係る衣料品の製造・販売をしており、かかる事実は、同社とパラワン社の製造誓約書ドラフト写し(甲第8号証)により明らかである。

このように、ゴルフ衣料品を含むゴルフ関連商品の我が国での販売を開始した直後、引用商標に係るゴルフ関連商品は、その品質の良さから、我が国で広く知れ渡る商品となり、引用商標1ないし引用商標3は、広く需要者の間に認識される商標となった。

上記のことを示す具体的証拠として、甲第9号証ないし甲第24号証があり、また、本件商標の出願日より前に、英国において引用商標1と同一の商標が登録されており、さらに、本国米国においては引用商標2と同一の商標が登録されている。

以上に述べた事実から、ゴルフテック社が本国米国や日本を含めた世界各国を市場とした商品戦略を行い、商品の品質の高さから高いブランド評価を得て、本件商標の出願時には既に、引用商標が、日本及び海外において広く知られていたことは明白である。

(2−2)本件商標と引用商標の対比

(a)商標について

本件商標は、引用商標1と同一の英文字「SNAKE EYES」の上段に片仮名文字で「スネークアイ」が配列された二段書の文字列から構成されている。また本件商標の英文字部分は引用商標2の文字部分とも同一であり、従って、本件商標の下段からは引用商標と同一の称呼「スネークアイズ」が生じる。

また、本件商標の上段の片仮名文字部分は、引用商標3と同一の文字からなるから、引用商標と同一の「スネークアイ」の称呼が生じるものである。

よって、本件商標と引用商標は同一又は類似の商標である。

(b)商品について

本件商標の指定商品は「被服」であり、一方、引用商標が使用される商品は、ゴルフクラブやキャディーバッグ等のゴルフ用品及びゴルフ帽子やゴルフシャツ等のゴルフ用衣料品等である。

特許庁の類似商品・役務審査基準(甲第76号証)によれば、本件の指定商品中の「被服」は、引用商標が使用されてきたゴルフ帽子やゴルフシャツと同一または類似の商品である。

以上のとおり、ア)本件商標と引用商標は同一または類似の商標であり、イ)引用商標は本件商標出願時にはすでに日本及び米国で広く知られた商標であって、ハ)本件商標の指定商品と引用商標が使用されている商品とは同一又は類似する商品といえるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものであり、その登録を無効にすべきものである。

さらに、上記のとおり、引用商標がゴルフテック社又はその承継人である請求人(ゴルフスミス社)の商標として需要者に広く知られた商標であることから、本件商標をその指定商品に使用した場合には、ゴルフテック社又は請求人のいずれかの者と何らかの関連を有する者の製造販売に係る商品であるかの如く商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものである。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであり、その登録を無効にすべきものである。

(3)商標法第4条第1項第19号に該当する理由

本件商標を商標法第4条第1項第19号に関する商標審査基準に照らして検討すると、引用商標が米国内で極めて高い人気と信頼を誇るゴルフ関連用品のブランドであることは前記(2)で述べたとおりである。よって、引用商標が上記商標審査基準3.でいう、「外国における需要者に広く認識されている商標」に該当することは明らかである。

また、本件商標の商標権者である株式会社レインボーは、引用商標の所有者ゴルフテック社からアジアにおける販売被許諾者であるパラワン社を通じて、我が国における製造・販売許諾を受けている。これを示す資料として甲第78号証を提出する。

また、本件商標出願後の日付(1998年1月21日)の書簡である甲第79号証には、株式会社レインボーがパラワン社を通じて、販売権を要求していることが記載されている。このことからも、本件商標が不正の目的をもって使用するものであることは明らかである。

さらに、本件商標権者の株式会社レインボーは、甲第80号証に示すように本件商標出願後にさらに、引用商標2と全く同一の商標について商標登録出願をしている。

この商標登録出願は、本件商標出願のわずか4ヶ月後の平成9年7月25日に出願されており、甲第80号証に示すように、商標の態様は蛇の目の図形に「SNAKE」と「EYES」の文字という引用商標2と全く同一の商標が全く同じ配置で表されている。

この蛇の目の図形と「SNAKE」と「EYES」の文字を含む商標は、ゴルフテック社が独自に創作し、前記(2)で述べたように米国及び日本において使用され広く認識されるに至ったものあり、かかる図形を、しかも、ゴルフテック社の被許諾者との製造販売契約まで交わした本件商標権者(株式会社レインボー社)が、その契約後に偶然にもそっくりの図形をデザインし商標登録出願までしたとは到底考えられるものではない。

以上のとおり、被請求人(本件出願人)は、請求人の世界的に周知な引用商標を勝手に我が国において出願していることは明らかであり、本件商標についてもそのような不正な目的をもって出願されたことは明白である。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は無効にされるべきものである。

(4)商標法第4条第1項第7号に該当する理由

前述したように、被請求人(商標権者)は、パラワン社との製造販売契約を締結した直後に本件商標を出願しており、請求人の周知商標である引用商標を不正な目的をもって我が国に出願したことは明らかである。

また、引用商標は、世界的に高い人気と信用を得ている周知商標であることは前述のとおりであり、かかる、世界的な周知商標を自らが独占せんがためになんら権限のない者が勝手に我が国において出願・登録する行為は国際信義上好ましくないものである。

以上、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に反するものであり、その登録は無効にされるべきものである。

(5)むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第15号及び同第19号に該当するにもかかわらず登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号により無効にすべきものである。

3.被請求人の答弁

被請求人は、何ら答弁していない。

4.当審の判断

本件商標は、「スネークアイ」の片仮名文字と「SNAKE EYES」の欧文字よりなるところ、本件審判請求人 ゴルフスミス・インターナショナル・インコーポレイテッドの提出に係る甲第5号証ないし甲第83号証によれば、ゴルフ‐テック ホールディング、インコーポレイテツド(営業名「Snake Eyes Golf C1ubs、lnc.」、以下、「ゴルフテック社」という。)は、引用商標1、引用商標2及び引用商標3の構成よりなる商標(以下、これらの商標を一括して「引用商標」という。)を「ゴルフ用具」の商標として、1993年から米国等で使用し、人気を博していたものであること、特に、引用商標2については、1995年4月18日に米国で商標登録(登録第1889946号)を受けており、又、我が国にも平成6年12月20日に商標登録出願(平成6年商標登録願第127816号)をしていたことが認められる。そして、我が国においては、近代ゴルフ株式会社を通じて引用商標の付されたゴルフ用具の製造・販売を行い、各種新聞、雑誌にも頻繁に掲載されていたことを認めることができる。 以上の事実によれば、引用商標は、ゴルフテック社の業務に係る「ゴルフ用具」の商標として、本件商標の出願時においては既に、我が国における取引者・需要者の間においても広く知られていたものと認めることができる。

しかして、本件商標は、特徴のある図形(と欧文字よりなる)商標として広く知られゴルフクラブに付して使用されてきた引用商標2をはじめ引用商標1(欧文字)及び引用商標3(片仮名文字)と同一の綴り字からなるものであり、当然に、これら引用商標より生ずる「スネークアイ」又は「スネークアイズ」の称呼とその称呼を同じくするものであって、しかも、本件商標の指定商品である「被服」と「ゴルフ用具」とは、ファッション感覚が要求される、トータルコーディネートの対象となることの多い商品であり、互いに密接な関連性を有する商品といえるものである。

してみれば、被請求人(商標権者)が本件商標をその指定商品について使用するときは、これに接する取引者・需要者をして、ゴルフテック社等の使用に係る周知・著名な商標を想起させ、該商品がゴルフテック社等あるいは同人らと何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。

また、甲第78号証(販売許諾契約書)によれば、商標権者は、ゴルフテック社のアジアにおける販売被許諾者である米国パラワン・パールズ・インコーポレイテツド(営業名「Suntre× Corporation」)との間で、1次契約期間を1997年4月11日より1999年10月11日迄とする引用商標を使用した衣料品の我国における製造・販売許諾契約を締結していた事実を認めることができる。

そうとすれば、被請求人(商標権者)は、本件商標がゴルフテック社等の業務に係る商品を表示するものとして、取引者・需要者の間に広く認識されている引用商標と同一又は類似の商標であることを承知のうえで、当該商標が「被服」等について未だ登録されていないことを奇貨として、不正の利益を得る等の目的のもとに出願し、権利を取得したものといわざるを得ない。

5.むすび

したがって、本件商標は、他の請求人の主張について判断するまでもなく、商標法第4条第1項第15号及び同第19号に違反して登録されたものというべきであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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