結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2001−35053(T2001−35053/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
1.本件商標
本件登録第4277680号商標(以下、「本件商標」という。)は、商標の構成を「SHOCK FREEZER」の欧文字と「ショック フリーザー」の片仮名文字とを上下二段に横書きしてなり、指定商品を第11類「冷凍機械器具」として、平成10年3月9日に登録出願、平成11年5月28日に設定登録されたものである。
2.請求人の主張
請求人は、本件商標の登録は、これを無効とするとの審決を求めると申し立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第8号証(枝番を含む)を提出している。
(1)本件商標を無効とすべき理由
「ショックフリーザー」の語は、甲第1号証ないし同第4号証に記述されているとおり、急速冷凍により食品を一気に凍結する冷凍機械器具について一般に慣用されているものであることは明らかである。
したがって、本件商標は、冷凍機械器具について慣用されている呼称であり、商標法第3条の規定により商標登録を受けることができないものであるから、同法第46条第1項第1号に該当し、無効とされるべきである。
(2)被請求人の答弁に対する弁駁
(ア)利害関係の主張について
請求人と被請求人は、急速冷凍庫等、食品機械の製造等を業とする同業者である。また、被請求人の登録商標である本件商標の指定商品は第11類「冷凍機械器具」であるところ、請求人はその冷凍機械器具の製造販売業者であり、請求人が利害関係を有することは明らかである。
また、請求人は、被請求人より、内容証明郵便をもって正式に権利侵害の警告を受けたものであって、この意味でも請求人において利害関係が存することは明らかである。
(イ)請求人提出に係る甲第1号証ないし同第4号証についての補足説明
甲第1号証は、協同組合全日本洋菓子工業会より発行されている月刊誌「世界の菓子PCG」であり、同誌は昭和44年(1969年)11月の創刊以来、約32年間発行されている。発行部数は平成13年6月現在、月刊約8000〜1万部、年間約9万6000〜14万4000部となっている(「電話聴取書」甲第7号証の1)。奥書を同電話聴取書の添付資料として提出する。
甲第2号証は、社団法人日本洋菓子協会連合会より発行されている月刊誌「GATEAUX(ガトー)」であり、同誌は昭和27年(1952年)6月の創刊以来、約49年間発行されている。発行部数は平成13年6月現在、月刊約1万2000部、年間約14万4000部となっている(「電話聴取書」甲第7号証の2)。奥書を同電話聴取書の添付資料として提出する。
甲第3号証は、請求人会社の関連会社(甲第5号証)である株式会社大和田製作所のPRパンフレットである。審判請求書記載のとおり、昭和55年(1980年)頃に同社で作成し、営業用として配布していたものである。
甲第4号証は、株式会社製菓実験社より発行されている月刊誌「製菓製パン」であり、同誌は大正14年(1925年)1月15日の創刊以来、約76年間発行されている。発行部数は平成13年6月現在、月刊約4万部、年間約48万部となっている(「電話聴取書」甲第7号証の3)。
なお、甲第8号証「冷凍食品製造ハンドブック」(534〜537頁)において執筆しているのは、被請求人の社長であった古林康男氏である。その中で「また、従来の機種では、ショックフリーザーにかける場合、商品温度を常温まで下げておかないと...(535頁9行目)」とか、「従来のショックフリーザーに比べて床面積が小さく、連続凍結が可能である(537頁末行)。」などの記載がみられるが、これらは明らかに「ショックフリーザー」が一般名称ないしは慣用商標として使用されていることを前提にした記載であることを併せて指摘しておく。
3.被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由要旨を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第12号証を提出している。
(1)請求人の利害関係について
請求人は、本件商標の無効を請求しているが、具体的にどのような利益があるのか疑問であるから、これを釈明されたい。
請求人には、本件無効審判の請求をする利益が無い。このような場合は「利益なければ訴権なし」という民事訴訟法上の原則が働き、請求人適格を欠くものである。
(2)慣用商標か否か
請求人は、「ショック フリーザー」は慣用されているから、商標法第3条の規定により本件商標は無効であると主張している。
(ア)甲第1号証について
甲第1号証は、「ショック フリーザー」が慣用されていたということまではいえない。けだし、被請求人はすでに平成5年(1993年)頃には「ショック フリーザー」を使用しており、著名であったことから、善意の紹介記事ないしは少数の会社の善意の使用があったに過ぎない。この事実は、甲第1号証が発行された後、平成6年10月5日に被請求人は「SHOCK/ショック」を商願平6−100748号として出願し、登録商標第3299077号(乙第7号証)として登録されていることからも明らかである。
(イ)甲第2号証について
甲第2号証には、発行日が記載されていないから、公知の刊行物か否かが不明である。万一、1995年5月1日に発行されたとしても、「ショック フリーザー」が慣用されていたということまではいえない。けだし、被請求人はすでに平成5年(1993年)頃には「ショック フリーザー」を使用しており、著名であったことから、善意の紹介記事ないしは少数の会社の善意の使用があったに過ぎない。この事実は、上記の出願(商願平6−100748号)が登録商標第3299077号(乙第7号証)として登録されていることからも明らかである。
(ウ)甲第3号証について
甲第3号証には、発行日が記載されていないし、発行証明書も添付されていないから、公知の刊行物か否かが不明である。請求人が審判請求書に記載しているように、万一、1980年頃に発行されたとしても、「ショックフリーザー」が慣用されていたということまではいえない。けだし、甲第3号証6頁上段の表には「メルヘンショックフリーザー」という一連の名称が記載されている。「メルヘンショックフリーザー」と「ショック フリーザー」が非類似であることは、明らかである。
(エ)甲第4号証について
甲第4号証には、発行日が記載されていないし、発行証明書も添付されていないから、公知の刊行物か否かが不明である。請求人が審判請求書に記載し、また、甲第4号証表紙に記載しているように、万一、2000年8月号であるならば、本件商標登録の出願日(平成10年(1998年)3月9日)より後の刊行物であるから、慣用されていたという証拠にはならない。
(3)まとめ
以上、請求人には利害関係が無く、請求人適格を欠くこと、及び「SHOCK FREEZER/ショック フリーザー」が慣用されているという事実はないから、本件請求は棄却(却下)されるべきである。
4.当審の判断
(1)利害関係について
被請求人は、請求人には利害関係が無く、請求人適格を欠く旨主張するので、この点について判断するに、請求人主張の全趣旨によれば、請求人は、自らが急速冷凍庫等の食品機械器具メーカーであって、その取扱いに係る商品(急速冷凍庫)に関して使用する「ショックフリーザー」標章の存在、及びこれに対する被請求人からの請求人宛の通知書を理由として本件審判請求を行うものであり、また、それら標章と本件商標との関係をみるに、その標章の構成、指定商品その他の点よりみて、請求人は本件審判を請求するにつき具体的かつ直接的な利害を有する者と認められる。してみれば、本件審判の請求は、請求人により法律上の正当な利益に基づき適法にされたものというべきであって、これを不適法なものとして却下することはできない。
(2)無効事由の存否について
本件商標は、商標の構成を「SHOCK FREEZER」の欧文字と「ショック フリーザー」の片仮名文字とを併記し、指定商品を「冷凍機械器具」とすることは前記したとおりであるところ、請求人は、商標法第3条第1項の規定により本件商標は商標登録を受けることができない旨述べているので、その当否について判断する。
(ア)請求人の提出に係る証拠(甲各号証)についてみるに、甲第1号証は、「世界の菓子 PCG 」とする月刊誌(1994年5月1日 共同組合全日本洋菓子工業会発行)であって、その本文特集記事中で「ショックフリーザー」の文字が、例えば、「ショックフリーザーという名称で知られている急速冷凍・冷凍庫。・・・」「急速冷凍庫(ショックフリーザー)」との記述があり、また、同誌広告頁において「優れたショックフリーザーの第一条件です。・・・コマ社のショックフリーザー80/20システムは、・・・」「エンジェルのショックフリーザー・・・エンジェル急速凍結・保存ユニットはフランス『エンジェル社』の最新技術を駆使したショックフリーザーです。・・・」(コマジャパン株式会社)との掲載が認められる。
甲第2号証は、「GATEAUX」とする月刊誌(1995年5月1日 社団法人日本洋菓子協会連合会発行)であって、その記事中に「・・・シュー生地は絞ってショック・フリーザーにかける。・・・」「・・・ショック・フリーザーは短時間で製品の中心温度が−20度C以下になる。・・・」との記述があり、また、同誌広告頁において「イベックス ショック・フリーザー システム ・・・日本に初めてイベックスを紹介して20数年、ショック・フリーザーの原点、それがIWEX・・・TOP OF SHOCKFREEZERそれはイベックス!!」(大和貿易株式会社)等との掲載が認められる。
甲第4号証は、右隅の資料請求券にある「〈製菓製パン〉2000−8」の表示から、「製菓製パン」とする月刊誌の2000年8月号の広告欄と推認できるものであって、その広告頁において「・・・エンジェルのショックフリーザー・・・」(株式会社エンジェル・ジャパン)との掲載が認められる。
(イ)そして、上記の甲各号証の月刊誌は、その題号及び発行者からみて菓子業界の専門誌といえるものであって、その購読者は食品機械器具の需要者である菓子業者及びその関連機械器具製造メーカーの多数に及ぶものとみるべきであるから、上記専門誌の掲載事実はこの種業界に関係する者に十分認識されているものみて差し支えないものというべきであり、かつ、甲第1号証及び同第2号証は、本件商標の商標法第3条第1項の規定に該当するか否かの判断時期である査定時(平成11年4月20日)以前の発行であると認められるものである。
したがって、「ショックフリーザー」の文字が、本件商標の指定商品を取り扱う業界において本件商標の登録査定時には、既に「急速冷凍庫」を指称する語として普通に使用されていたものといわざるを得ない。
してみれば、「ショック フリーザー」の文字とその上段に欧文字表記と容易に理解される「SHOCK FREEZER」の文字とを併記してなる本件商標をその指定商品(冷凍機械器具)に使用する場合、これに接する取引者・需要者をして一機種名(普通名称)を表したものと理解し把握されるに止まり、自他商品の識別標識として機能するものといえないというのが相当である。
そうすると、本件商標は、商標法第3条第1項第1号に違反して登録されたというべきものである。
(ウ)なお、平成13年6月25日付弁駁書で請求人の提出に係る「冷凍食品製造ハンドブック」(平成6年10月30日 株式会社光琳発行)において、本件商標権者(共有者)である「株式会社共栄電熱」の社長とする者の執筆箇所において、「ショックフリーザー」の文字を「(1)本機の名称 ショックフリーザー」の項目をもって、「エレベーター式全自動ショックフリーザー」なる機械を図面付での紹介(共栄電熱(株)提供)があり、また、本文解説記事中において「従来の機種では、ショックフリーザーにかける場合・・・」「このほかショックフリーザーの独自の冷気の伝え方を採用したタイプ・・・」等との記述が認められるところ、これら「ショックフリーザー」の文字自体の使用は商標本来の機能である出所識別標識としての使用とするのは困難であって、むしろ、冷凍機械器具の一機種名を表したものとみるのが自然である。その他、被請求人が述べるところの「すでに平成5年(1993年)頃には『ショック フリーザー』を使用しており、著名であった」旨の事実についてはこれを証する書面の提出もなく、また、平成6年10月5日に「SHOCK/ショック」(商願平6−100748号)とする商標を登録出願し、これが登録商標として登録されたとする被請求人の主張をもっては、前記認定を左右するに足りない。
(エ)以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第1号に違反して登録されたものであって、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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