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Trademark Appeal Case

品質表示の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第35753号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第3369804号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第3369804号商標(以下、「本件商標」という。)は、「ハイテクローリー」の片仮名文字を書してなり、平成5年11月5日に登録出願、第12類「自動車並びにその部品及び附属品」を指定商品として、同10年7月10日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証(枝番を含む)を提出した。

(1)請求の理由

(イ)請求人は、本件商標の「ハイテクローリー」の語が、自動車並びにその部品及び付属品を取扱う業界、特に(タンク)ローリーを取り扱う業界において、「ハイテク」な「ローリー」、言い替えれば「高度な技術を用いたローリー」という意味合いを認識しないとは到底考えられず、本件商標を自動車並びにその部品及び附属品に使用しても、単にその商品の品質等を普通に用いられる方法で表示しているに過ぎず、また、ローリー以外の自動車並びにその部品及び附属品に使用した場合に商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、本件商標は無効にされるものと考える。

(ロ)我が国において、本件商標「ハイテクローリー」の「ハイテク」という語は、ハイテクノロジーの略語であり、「高度な技術」や「先端技術」を意味する語として用いられ、また昨今では「ハイテク機器」、「ハイテク産業」、「ハイテク汚染」、「ハイテク企業」、「ハイテク株」等と「高度な技術を用いた・・・」や「高度な技術による・・・」の意味合いを持つ形容詞としても一般的に用いられている。このことを示すものとして「三省堂国語辞典」(甲第1号証)や、「小学館大辞泉」(甲第2号証)に同意が記載されている。また、現代人の常識・知識として必要な用語を集めている自由国民社が発行した1997年版「現代用語の基礎知識」(甲第3号証)には、「ハイテク」及び「ハイテク・・・」の語が多数記載されており、このことを鑑みれば「ハイテク」の語が日本語として熟していることが十分伺える。

次に、本件商標「ハイテクローリー」の「ローリー」という語は、「タンクローリー」を意味する語として一般に用いられている。このことを示すものとして1992年発行の「三省堂国語辞典」(甲第1号証)に同意が記載されており「ローリー」の語が本件商標の出願前より用いられ、普通名称となっている。また、「タンクローリー」を意味する語の普通名称として用いられている例として、後述の甲第5号証ないし甲第8号証にも「ローリー」の語が用いられている。そして、上記事実を踏まえ、出願人も本件商標の平成9年4月1日付商標登録異議答弁書(甲第4号証)において、「ローリーという言葉がタンクローリーや貨物自動車あるいはトラック等を意味する点については認める。」と記載している。

このように「ローリー」の語が「タンクローリー」を意味することは「ローリー」に関する業界では周知の事実である。

したがって、本件商標「ハイテクローリー」の語は、「ハイテク」と「ローリー」の二つの語を組合わせた「高度な技術を用いたローリー」を表わしている語と認識されることは明らかであり、単にその商品の品質等を普通に用いられる方法で表示しているに過ぎないものである。

(ハ)上述のように「ハイテクローリー」の文字が商品の品質等、すなわち「高度技術を用いたタンクローリー」の意味を表示するものとして普通に使用されていることは、次に述べる事実からも明らかである。

一例として、平成8年4月10日付「日刊工業新聞」(甲第5号証の1、甲第5号証の2)において、「ジャパンエナジーは、物流合理化、効率化の一環として、機能性と安全性を向上させたハイテクタンクローリーを開発した。」との内容が掲載されており、この見出しとして新聞社は「ハイテクローリー開発」と記載している。また、平成7年9月1日付「日刊燃料油脂新聞」(甲第6号証)(ローリーのユーザーである燃料業界の業界紙)にも通産省の記事として「ハイテクローリー」の語が記載されている。さらに、平成7年3月及び平成8年3月に(財)石油産業活性化センター(通産産業大臣の諮問機関である石油審議会石油部会小委員会が石油産業の活性化を担う組織として設立を望み、石油産業会を中心に昭和61年5月に設立された組織)がとりまとめた油槽所共同化等に関する調査報告書(甲第7号証、甲第8号証)において、油種のコンタミ防止や過剰注入防止等の機能を高度な技術で向上させたハイテクシステムを要するローリーを「ハイテクローリー」と記載している。このように、高度な技術を用いたローリーを普通に表示すると「ハイテクローリー」となってしまい、「自動車並びにその部品及び附属品」、特にローリーや貨物自動車あるいはトラックに関する商品において、「ハイテクローリー」の語を表示することは、その商品の品質等を単に示すことに他ならない。

(ニ)以上のように、本件商標の指定商品がローリーを含み、我が国のハイテク産業の一躍を担う自動車業界に関するものであることに鑑みれば、本件商標「ハイテクローリー」の語は、何等の意味合いをも表現することのない一体不可分の造語として認識して把握されるものとは到底言えず、「高度な科学技術を用いたローリー」を表わしている語と認識されることは明らかであり、単に,その商品の品質等を普通に用いられる方法で表示しているに過ぎないものである。

また、ローリー以外の自動車、例えば乗用車に本件商標を用いた場合、需要者は石油などを運ぶローリーと間違える可能性があり、商品の品質の誤認を生じさせるものである。

よって、本件商標「ハイテクローリー」を「自動車並びにその部品及び附属品」に使用しても、これに接する取引者・需要者は、単に商品の品質等を表示した語と認識するに止まり、さらに、ローリー以外の商品に使用した場合には商品の品質の誤認を生ずるおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号並びに同法第4条第1項第16号に該当し、商標登録を受けることのできないものであるから、本件商標は商標法第46条第1項の規定に該当し、無効とされて然るべきである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。

(1)請求人は、「ローリー」=「タンクローリー」の意味であると主張し、このことを示すものとして1992年発行の「三省堂国語辞典」(甲第1号証)や甲第5号証ないし甲第8号証を提示する。

しかし、本件商標の「指定商品を取り扱う業界」とは、自動車並びにその部品及び附属品を取り扱う業界であり、燃料を扱う業界ではない。甲第5号証ないし甲第8号証はいずれも燃料を扱う業界の内容を示すものである。

まず、自動車業界の正式な言葉の理解として、「ローリー」=「タンクローリ」の意味でないことを、乙第1号証ないし乙第3号証により証明する。

乙第1号証は、株式会社山海堂発行の「自動車用語辞典」であるが、この乙第1号証では、タンクローリとローリは明らかに別の用語として説明されている。すなわち、乙第1号証でローリは貨物自動車、モーター・ローリを示すものとされ、タンク・ローリはその一例に過ぎない。〔米〕ではトラックという、とある。また、乙第1号証でタンク・ローリはタンク車:油槽(そう)車:水槽車,=タンク・カーとあり、これを単なるローリと省略することは記されていない。

乙第2号証は「自動車の事典」、乙第3号証は「自動車の最新技術事典」であるが、これらにはいずれもローリなる記載の説明はなく、「ローリー」が「タンクローリー」の意味であることの記載もない。請求人が提示する甲第1号証の「三省堂国語辞典」においても、ローリーの言葉に「←タンクローリー。」と記載されているのは、乙第1号証のように単に一例を示したものに他ならず、請求人が主張するような「ローリー」が「タンクローリー」を意味する語として記載されたものではない。

(2)本件商標「ハイテクローリー」の「ハイテク」という語は、ハイテクノロジーの略語であり、「高度な技術」や「先端技術」を意味する語として用いられる。ただし、「ハイテク○○○○」と「ハイテク」が形容詞的に用いられる場合には、その後の言葉は正確な名詞であることが要求され、請求人の主張するように高度技術を用いたタンクローリーの意味を表示する言葉としては、「ハイテクタンクローリー」である。

ハイテクの後に付く言葉が、単にローリーではなく、タンクローリーであれば、確かに、甲第5号証の1、甲第5号証の2において記載された物流合理化、効率化の一環として、機能性と安全性を向上させたハイテクタンクローリーを意味し、また、甲第6号証の通産省の記事や甲第7号証、甲第8号証において、油種のコンタミ防止や過剰注入防止等の機能を高度な技術で向上させたハイテクシステムを要するローリーを意味するものと言える。

しかし、先に述べたように、「ローリー」の語が「タンクローリー」を意味することが業界で周知の事実ではなく、本件商標「ハイテクローリー」に接する取引者・需要者は、むしろ、本件商標から、何等の意味合いも表現することのない一体不可分の造語として認識し把握するとみるのが相当である。

(3)なお、「ハイテク」に何かを付加した商標の登録例は乙第4号証に示すように多々ある。この乙第4号証を見ても判るように、「ハイテク」の後の言葉が特定の語、例えば前記のごとく「タンクローリー」という高度な科学技術を用いたこととの関連性の強い具体性を帯びた言葉でなければ、単にその商品の品質等を普通に用いられる方法で表示しているに過ぎないものに該当しないとして登録が認められてしかるべきである。

(4)以上述べた理由により、本件商標「ハイテクローリー」は商標法第3条第1項第3号並びに同法第4条第1項第16項に該当するものでない。

4 当審の判断

近年、世界各国では、半導体、集積回路、エレクトロニクス等、「高度(先端的)な技術」を「ハイテクノロジー(HIGH−TECHNOLOGY)」と称しているが、我が国では、これを「ハイテク(HI−TECH)」と略して使用されているところである。

しかして、請求人の提出している甲第1号証(1992年4月1日.「国語辞典」三省堂発行)、甲第2号証(1995年12月1日.「大辞泉」小学館発行)及び甲第3号証(1997年1月1日.「現代用語の基礎知識」自由国民社発行)によれば、「ハイテク(HI−TECH)」は、「ハイテクノロジー(HIGH−TECHNOLOGY)」を指称する略語として記載されているのが認められる。次に、甲第1号証(1992年4月1日.「国語辞典」三省堂発行)によれば、「ローリー」は、「タンクローリー」を意味する略語として記載されているのが認められる。甲第4号証(平成9年4月1日付商標登録異議答弁書)によれば、被請求人(出願人)は「ローリー」という語が「タンクローリーや貨物自動車あるいはトラック等を意味する点については認める」と記載している。甲第5号証の1(1996年4月10日.日刊工業新聞)によれば、「・・・機能性と安全性を向上させたハイテクタンクローリーを開発した。」の記事が掲載され、この見出しとして「ハイテクローリー開発」と記載されている。甲第6号証(1995年9月1日.日刊燃料油脂新聞)によれば、「物流効率化投資を支援」の見出しのもと、通産省に関する記事が掲載されているが、その中で「ハイテクローリー」の語が記載されている。甲第7号証(平成7年3月)及び甲第8号証(平成8年3月)の「油槽所共同化等に関する調査報告書」(財団法人石油産業活性化センター発行)によれば、石油、ガソリン等を輸送手段としての「タンクローリー」を「ローリー」とも略称して記載されている。

また、「ハイテクローリー」は、コンピュータ等ハイテク技術によって、出荷予約データとの連携、コンタミ防止、オーバーフロー防止機能(標準装備)等が採り入られて開発されていることが認められる(甲第8号証)。

以上、前記の甲各号証を総合して判断するに、本件商標は、「先端技術,高度な技術」等の意味を有する「ハイテクノロジー(HIGH−TECHNOLOGY)」の略語である「ハイテク」の文字と、「タンクローリー」を意味する略語である「ローリー」の両語を「ハイテクローリー」と結合させて表示したものと認められるものであるから、これを、その指定商品中の「タンクローリー(ローリー)」に使用するときは、該商品が「ハイテク(先端技術又は高度な技術)を各所に採り入れたタンクローリー(ローリー)」であることを容易に理解・認識させるものである。

してみれば、本件商標は、前記の「タンクローリー(ローリー)」に使用するときは、商品の品質(機構)を表示したものと認識されるにすぎず、また、これを前記商品以外の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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