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Trademark Appeal Case

商標使用の有無と商品区分

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2000−31018(T2000−31018/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4051070号商標の商標登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4051070号商標(以下「本件商標」という。)は、「デジタルフォーム」の文字よりなり、第9類「電子応用機械器具及びその部品、電気通信機械器具」を指定商品として、平成9年8月29日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第4号証を提出した。

(1)請求の理由

本件商標は、その指定商品について継続して3年以上日本国内において使用されておらず、商標原簿にも専用使用権者、通常使用権者の設定登録がないものであるから、商標法第50条第1項の規定に基づき、その登録は取り消されるべきものである。

(2)弁駁

本件商標は、次のような理由で、指定商品について使用されていないというべきである。

(イ)指定商品について使用されていない。

被請求人は、本件商標は、その指定商品のうちのCD−ROM及びそのパッケージに使用されたと主張する。しかし、乙第1号証A−1及びA−2として提出された写真に表された商品は「電子応用機械器具」に属するCD−ROMではないので、指定商品への使用がないというべきである。

ここに提示されたCD−ROM(以下「本件商品」という。)は、様々な帳票のフォーム(様式)を記憶させたものであり、必要に応じてフォームをプリントアウトして使用するものであることが伺われる。してみると、本件商品はデジタル化した帳票であるから、現在の第9類「電子ブック」(類似群26A01、26D01:甲第3号証)或いは「電子帳票」として、未だ明確な決定はないが、類似群25B01に分類されるべきものである。したがって、「電子応用機械器具(類似群11C01)或いは電気通信機械器具(類似群lIB01)」とは別異の商品であるといわなければならない。

したがって、本件商標は指定商品について使用されていない。

(ロ)商標としての使用がない。

万一、本件商品が指定商品に含まれるとしても、乙第1号証として提出された証拠において、本件商標は商標として使用されていない。

即ち、本件商品は、様々な帳票のフォーム(様式)をCD−ROMに記憶させたものであり、必要に応じてフォームをプリントアウトして使用するものであることが伺われる。ここで使用されている「デジタルフォーム集」の語は「デジタルフォーム」と「集」を結合して「デジタル化されたフォーム(様式)集」を意味するもので、商品の内容を説明したものであり、本件商品を他の商品と識別するために使用する商標として使用されていないことは明らかである。自他商品を識別するために本件商品に付された商標は「HISAGO」「PLATZ」「BNN」であって、その余の表示はすべて商品の内容、使用方法等を記述した言葉にすぎない。

資料Bの納品書を見ても、納品内容の欄に「HISAGO デジタルフォーム集」と記載されている。ここにおいて使用されている商標は「HISAGO」であって、「デジタルフォーム集」ではないことに疑いがない。

甲第4号証として提出するのは、技術評論社発行「2000−01 パソコン用語事典」からの写しである。第578頁には「デジタルブック」が挙げられている。デジタル化された本が「デジタルブック」と呼ばれるのと同様に、デジタル化された帳票のフォーム集は「デジタルフォーム集」と呼ばれるのが自然である。したがって、これらの商品に関して「デジタルフォーム集」なる語は、商品の内容を記述する言葉であって、商標として機能しないものである。

以上の次第であって、被請求人提出の証拠によっては、本件商標が指定商品について使用されているとはいい得ない。

3 被請求人の主張

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、請求の理由及び弁駁に対する各答弁を次のように述べ、証拠方法として乙第1及び第2号証を提出した。

(1)請求の理由に対する答弁

本件商標権者は、本件商標の指定商品である「電子応用機械器具及びその部品、電子通信機械器具」に属するCD−ROM及びそのパッケージに付して製造されたものを、審判請求の登録の日(平成12年9月19日)前の3年以内である1998年7月31日に、販売元となる株式会社ビー・エヌ・エヌを通じて納品している事実がある(乙第1号証)。

以上のとおり、本件商標は本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者によってその請求に係る指定商品について使用された事実があるから、商標法第50条の規定により登録を取り消されるべきものでない。

(2)弁駁に対する答弁

(イ)指定商品についての使用について

被請求人が本件商標を使用している本件商品は、単に文字・画像情報をコンピュータにより読み取り可能なデータとして記録したものではなく、カレンダー、顧客管理台帳、見積書、社内届出書等のビジネス上必要な帳票類を印刷するための印刷プログラムを記録した記録媒体である。これを、コンピュータにセットすると印刷プログラムが起動し、印刷したい書類の選択、印字位置調節、印刷枚数等の設定操作を行うと、選択した書類がコンピュータに接続したプリンタから出力されるのである。このプログラムの使い方を示したマニュアルが本件商品に添付されているので、これを提出する(乙第2号証)。

このように本件商品は「絵はがき,楽譜、歌集、カタログ、カレンダー、雑誌、時刻表、書籍......」等の印刷物と同列に扱われる類似群26A01,26D01の「電子出版物」とは相違し、電子計算機用プログラムが記録された記録媒体(類似群11C01)であるので、本件商標は指定商品について使用されているものである。

(ロ)商標としての使用について

請求人は「デジタルフォーム」は「デジタル化されたフォーム(様式)」を意味するから、本件商標に付された「HISAGO デジタルフォーム集」なる使用態様における「デジタルフォーム」は商標としての使用ではなく、商標的使用と認められるのは「HISAGO」、「PLAZ」及び「BNN」のみであると主張している。

しかしながら、「デジタルフォーム」は商標権者の造語であり、これが一般に「デジタル化された様式」を意味すると解さねばならない証拠は全くない。

「デジタル」の語は「ある量またはデータを、有限桁の数字列(例えば2進数)として表現すること。」(広辞苑第5版)とあり、それが結合した言葉として「デジタルカメラ」、「デジタル計算機」、「デジタル信号」、「デジタル通信」及び「デジタル時計」が掲げられているにすぎない。また、「フォーム」は、「【form】1)形。形態。形式。型。2)姿勢。容姿。『投球の−』 3)〔哲〕形相けいそう。」(同書)とあるだけで、「帳票の様式」を示すことが一般的であるとは認められない。「フォーム」の語には、「フォームラバー」や「ウレタンフォーム」に見られるような「泡【foam】」の意味があることも、多くの日本人が理解しており、「デジタルフォーム」が「デジタル化された帳票の様式」であることが需要者に一般的であるとは認められない。現に、請求人が甲第4号証として提出した「最新パソコン用語辞典」にも「デジタルフォーム」の言葉は全く掲載されておらず、かえってこれが一般的な言葉ではないことを示している。

また、請求人は、被請求人が「デジタルフォーム」と「集」とを結合して使用していることをもって、それが商標として機能していないと述べている。しかしながら、既に述べたように「デジタルフォーム」自体が造語であって自他商品識別力を発揮しうるものであるから、これに「集」の文字を付しても、「デジタルフォーム」の部分が画然と区別されて商標的機能を発揮できることはいうまでもない。

さらに、請求人は、「本件商品に付された商標は『HISAGO』『PLATZ』『BNN』で、その余の表示は全て商品の内容、使用方法等を記述した言葉にすぎない」と断じているが、理由がない。確かに、『HISAGO』は被請求人であるヒサゴ株式会社のハウスマークであり、『PLATZ』は同社のソフトウエア製品に付されているシリーズ名を表す商標であり、『BNN』は本件商品の販売会社である株式会社ビー・エヌ・エヌの商標であるが、だからといって、その余の表示が商標ではないとするのは、いささか強引である。「デジタルフォーム」もやはり、ヒサゴ株式会社が販売するCD−ROMに記録された帳票印刷用プログラムという個別商品について使用する商標であり、このように一つの商品にハウスマーク、シリーズ名、個別商品の商標と階層的に商標を使用する形態は何ら特殊なことではない。

4 当審の判断

本件商標は、その構成前記したとおり「デジタルフォーム」の文字よりなるものである。

一方、被請求人が本件商標の使用事実を示すものとして提出した乙第1号証は商品「帳票印刷用プログラムを記録したCD−ROM」の写真であり、同第2号証は該CD−ROMに添付のマニュアル(取扱説明書)と認め得るところ、この乙第1及び第2号証には、それぞれ「デジタルフォーム」の文字を見ることができるが、そのいずれも末尾に「集」の文字を付加し、同じ書体、同じ大きさ、等間隔に「デジタルフォーム集」と表示してなるものである。

そこで、この現実に使用されている「デジタルフォーム集」なる表示(以下「使用表示」という。)が本件商標の使用に当たるかどうかについて判断する。

被請求人は、「デジタルフォーム」自体が造語であって自他商品識別力を発揮しうるものであるから、これに「集」の文字を付しても、「デジタルフォーム」の部分が画然と区別されて商標的機能を発揮できる旨主張する。

しかし、本件商標と使用表示とがその構成において共通する「デジタルフォーム」の文字は、確かに、これのみでは直ちに特定の意味合いの語句として一般に親しまれているとまではいい得ないものの、該文字が「デジタル」と「フォーム」の2語をその構成要素とし、これを結合してなるもの(連語)と容易に認識し得ることは、両語とも良く知られるカタカナ語であって、前者は「情報の信号を符号化したもの」について、例えば「デジタルカメラ」「デジタル写真」「デジタル放送」「デジタルテレビ」「デジタルマップ」の如き用例で電子機器、電子情報関連の用語に多用されていること、後者も「形式、型、姿勢」等を意味する日常用いられる語であるといえることから明らかである。

そうすると、このような2語を結合してなると認識される「デジタルフォーム」の文字からは、必ずしも親しまれた観念とはいえないまでも、両語の意味を結びつけて、例えば「デジタル化したフォーム(形式)」ほどの意味合いがもとより看取されるところであって、これに「集めること、集めたもの」を意味する「集」の文字を付した使用表示からは、さらに進んで、全体として「デジタル化した各種のフォーム(形式)を集めたもの」の如き一連の意味合いがごく自然に生ずるというを相当とし、被請求人の述べる「デジタルフォーム」の言葉が本件商品関連の辞書類に掲載されていないことや、「フォーム」の語について「帳票の様式」を示すことが一般的であるとは認められない等の事情も前記認定を妨げる理由にはならない。

そして、乙第1及び第2号証における現実の使用態様をみても、その使用に係る商品は各種帳票の汎用フォームをプリントアウトできるようプログラム化したCD−ROMと認められるものであって、使用表示はその商品の内容を表す題号としての使用か、もしくは、その構成文字全体をもって前記一連の意味合いを表現する記述的商標(商品の特性を記述する商標)と理解されるとみるのが相当であり、したがって、構成中の「デジタルフォーム」の文字部分のみが独立して商標として認識されるとはみられないところである。

そうとすれば、商品「帳票印刷用プログラムを記録したCD−ROM」についてのこのような使用態様をもってしては、「デジタルフォーム」の文字のみからなる本件商標の使用であるとは認めることができない。

してみれば、乙第1及び第2号証によっては、商品「帳票印刷用プログラムを記録したCD−ROM」について、本件商標を使用していたとは認められないというべきである。そして、他に本件商標をその指定商品について使用していると認めるに足りる証拠はない。

したがって、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内において、指定商品についての本件商標の使用を証明していないものであり、また、使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていないものである。

以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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