sokuhyo

Trademark Appeal Case

デュポン商標の混同判断

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年異議第91444号
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4290571号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4290571号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に示す構成よりなり、平成10年2月25日登録出願、第32類「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料」及び第33類「洋酒,果実酒」を指定商品として、平成11年7月2日に設定登録がなされたものである。

第2 登録異議の申立ての理由

1.本件商標は、その構成中の図形部分は、特定の称呼を生じないのに対して、文字部分の「Dupont」からは、「デュポン」の称呼が生ずる。

2.商標法第4条第1項第15号について

(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下aないしzに示すとおりである。

a.登録第171307号商標;大正13年3月14日に登録出願され、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、大正14年5月12日に設定登録された。

b.登録第414880号商標;昭和26年2月19日に登録出願され、第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和27年8月19日に設定登録された。

c.登録第532154号商標;昭和33年5月21日に登録出願され、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和34年1月20日に設定登録された。

d.登録第532249号商標;昭和33年5月21日に登録出願され、第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和34年1月26日に設定登録された。

e.登録第642311号商標;昭和37年5月9日に登録出願され、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和39年4月27日に設定登録された。

f.登録第792164号商標;昭和40年5月14日に登録出願され、第34類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和43年9月3日に設定登録された。

g.登録第1624369号商標;昭和55年2月8日に登録出願され、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和58年10月27日に設定登録された。

h.登録第1678956号商標;昭和55年2月7日に登録出願され、第19類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和59年4月20日に設定登録された。

i.登録第1844660号商標;昭和56年7月1日に登録出願され、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和61年2月28日に設定登録された。

j.登録第1847540号商標;昭和57年1月11日に登録出願され、第10類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和61年3月26日に設定登録された。

k.登録第1952573号商標;昭和59年6月18日に登録出願され、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和62年5月29日に設定登録された。

l.登録第1988598号商標;昭和59年6月18日に登録出願され、第19類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和62年10月27日に設定登録された。

m.登録第1998106号商標;昭和59年7月13日に登録出願され、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和62年11月20日に設定登録された。

n.登録第1998107号商標;昭和59年7月13日に登録出願され、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和62年11月20日に設定登録された。

o.登録第2363624号商標;昭和62年9月8日に登録出願され、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成3年12月25日に設定登録された。

p.登録第2595942号商標;平成3年7月1日に登録出願され、第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成5年11月30日に設定登録された。

q.登録第2691105号商標;昭和59年6月18日に登録出願され、第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成6年8月31日に設定登録された。

r.登録第2709262号商標;平成3年9月19日に登録出願され、第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成7年8月31日に設定登録された。

s.登録第3125750号商標;平成4年7月16日に登録出願され、第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成8年3月29日に設定登録された。

t.登録第4009198号商標;平成7年12月19日に登録出願され、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成9年6月6日に設定登録された。

u.登録第4117292号商標;平成6年10月24日に登録出願され、第40類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、平成10年2月20日に設定登録された。

v.登録第4213592号商標;平成4年9月30日に登録出願され、第40類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、平成10年11月20日に設定登録された。

w.登録第4213593号商標;平成4年9月30日に登録出願され、第40類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、平成10年11月20日に設定登録された。

x.登録第4271019号商標;平成5年6月30日に登録出願され、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成11年5月14日に設定登録された。

y.登録第4293029号商標;平成9年5月23日に登録出願され、第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、平成11年7月9日に設定登録された。

z.登録第4293030号商標;平成9年5月23日に登録出願され、第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、平成11年7月9日に設定登録された。(以下、これらを合わせて「引用商標」という。)

そして、上記引用商標中、aないしf、i、j、p、rないしt、wは、別掲(2)に示す構成よりなり、同じくg、hは、別掲(3)に示す構成よりなるものであり、そのほかの商標は、その構成中に「DU PONT」の文字若しくは「デュポン」の文字を有するものである。

(2)本件商標は、著名な引用商標と「デュポン」の称呼及び「DU PONT」、「DuPont」、「デュポン」の観念を同一にするものである。

また、申立人は、エレクトロニクス関連商品、医療関連商品、医薬品、農業用製品、自動車関連商品、合成繊維及びその製品、写真製版・印刷及び工業感光材料製品、合成樹脂及びその製品、化成品、合成ゴム及び有機ゴム薬品、石油添加剤関連製品等を製造し、その需要者は多岐にわたる。特に、申立人商標である「テフロン」は、申立人のフッ素樹脂加工及びそのフッ素樹脂加工品であるフライパン等に広く使用され、デュポン社の「テフロン」として著名である。また、申立人は、不織布の製造では、世界2位の売り上げがあるほか、申立人及びその関連会社は、食品産業にも進出しており、その実績は多岐の分野にわたっているところから、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品・指定役務の需要者とは大きく重なることが多いことは明らかである。

したがって、本件商標をその指定商品に使用した場合、その商品が申立人又は申立人に関連のある者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

3.商標法第4条第1項第7号について

本件商標の使用は、引用商標の著名性にただ乗りして不当に利益を得るとともに、引用商標の識別力を希釈化する行為であって、公序良俗に反するから、本件商標は、同法第4条第1項第7号に該当する。

4.商標法第4条第1項第8号について

本件商標は、申立人及びその関連会社の著名な略称を、それらの許可なく使用するものであるから、同法第4条第1項第8号に該当する。

5.以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号、同第7号及び同第8号に該当するものであるから、その登録は取り消されるべきである。

第3 本件商標に対する取消理由の要旨

申立人は、米国最大の総合化学メーカーであり、合成繊維等の製造・販売で世界的に著名な会社である。そして、申立人提出の甲各号証によれば、申立人の引用商標1乃至26(甲第2号証)に示されている「DU PONT」の文字は、申立人の使用する商標として、我が国において著名な商標となっている事実が認められる。

してみれば、申立人の著名な引用商標をその一部に有する本件商標をその指定商品について使用するときは、該商品が恰も申立人若しくは申立人と何らかの関係を有する者の製造・販売に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるものとみるのが相当であるから、本件商標は商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

第4 商標権者の意見の要旨

上記第3の取消理由に対して、商標権者は、つぎのように意見を述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第24号証を提出した。

1.取消理由中、前段部分の「申立人は、・・・申立人の引用商標1乃至26(甲第2号証)に示されている『DU PONT』の文字は、申立人の使用する商標として、我が国において著名な商標となっている事実が認められる。」は認め、その余(後段部分)は否認する。

2.(1)引用商標には、欧文字「DU」と欧文字「PONT」間を1文字程度空け、当該文字を若干装飾しこれを楕円形の紬線で囲んだ態様の「文字」、欧文字「DU」と欧文字「PONT」間を1文字程度空けた態様の「文字」及び欧文字「DUPONT」を一連一体とする態様の「文字」が存し、いずれの文字も活字体で書されている。この中の何れが著名であると判断しているのかは、取消理由から判断できない。

(2)本件商標は、紋章を上段に装飾された文字を下段にする上下2段に構成されている。このうち、下段の文字は、筆記体で書され、「D」を大文字、「upont」を小文字とする態様となっている。

(3)そこで、引用商標の中で著名性を獲得している商標が、上記に示した3態様の何れかであるとして、これを本件商標と比較する。引用商標の3態様は、何れも活字体で書されているのに対し、本件商標を構成する「文字」は、筆記体で書されているので両者の文字は一致しない。

したがって、決定の「申立人の著名な商標をその一部に有する本件商標」との事実認定は明らかに誤っている。

3.決定は、「本件商標をその指定商品について使用するときは、該商品が恰も申立人若しくは申立人と何らかの関係を有する者の製造・販売に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるものとみるのが相当である。」と認定している。しかし、この認定は、上述したとおり、本件商標の一部に著名な引用商標が含まれているとの誤った事実認識を前提とする判断であり、事実認定の基礎を欠くものであるので誤っている。

4.たとえ申立人の著名な引用商標が本件商標の一部に含まれていたとしても、業務主体を彼此混同することはない。理由は、以下の通りある。

(1)引用商標の著名性は、合成繊維等を中心とする総合化学の原材料の取引分野でのみ獲得されており、当該分野の原材料の製造者、販売者、購入者等にのみ広く知られているに過ぎない。しかし、それ以外の分野においては、引用商標が知られているという事実は認められない。甲第3号証及び甲第4号証によって証明されているのは、あくまで申立人が合成繊維等の原材料の製造・販売を世界的規模で行っているという事実のみである。

(2)本件商標を指定商品「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料」又は「洋酒,果実酒」に使用した場合、該商品が恰も申立人若しくは申立人と何らかの関係を有する者の製造・販売に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるかの点についてであるが、引用商標の使用商品「合成繊維等」と本件商標の指定商品「清涼飲料水」等とは商品の用途、性質、販売系列、流通市場を異にしていることから、本件指定商品の需要者をして申立人と組織的・経済的に何らの関係があると判断することはあり得ない。

確かに、申立人が理由補充書で述べたように、本件商標の指定商品は、「清涼飲料」等であり広く一般の消費者が購入する商品であるから、その需要者には著名な引用商標の需要者も勿論含まれる。しかしながら、引用商標の使用商品の需要者を除いた一般の消費者は、引用商標の存在を知る機会が事実上あり得ないので、そもそも申立人の業務に係る商品との混同を生じることはない。また、引用商標を使用している商品の需要者の認識についてであるが、甲第3号証及び甲第4号証に示された証拠によれば申立人の業務は繊維等の総合化学品の原材料又は「大豆たん白」という食品の原材料のみに限定されている。申立人のこのような事業展開の現況に鑑みれば、引用商標の付された商品の需要者は、申立人が「清涼飲料水」等の一般消費者の口に直接入る製品について事業展開するとの認識を持つことは考えられない。

(3)係る商標権者の主張は、本件商標の指定商品と同様にその需要者が一般の消費者である「万年筆」、「ライター」、「時計」、「さいふ」、「眼鏡」等を指定商品とし、著名な引用商標「Du PONT」の文字を含む多くの商標が登録されかつ、無効審判も請求されずに現在も有効に存続している事実からも十分に支持されるものである(乙第1号証ないし乙第24号証)。

5.上述のとおりであるので決定の「申立人の著名な引用商標をその一部に有する本件商標をその指定商品について使用するときは、該商品が恰も申立人若しくは申立人と何らかの関係を有する者の製造・販売に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるものとみるのが相当である。」との認定は誤りである。

そして、これに続く「したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。」との結論部も正しいものではない。

第5 当審の判断

1.本件商標は、別掲(1)に示すとおり、図形と文字との組み合わせよりなるものであるところ、図形部分と文字部分とは、観念及び称呼上常に一体のものとして把握しなければならない格別の理由は見当たらない。そして、該文字部分は、「Dupont」の欧文字を筆記体で書してなるものである。

2.申立人は、米国最大の総合化学メーカーであり、合成繊維等の製造・販売で世界的に著名な会社であり、引用商標1ないし26(甲第2号証)に示されている「DU PONT」の文字は、申立人の使用する商標として、我が国において著名な商標となっていることは、商標権者も認めるところである。

ところで、本件商標は、その指定商品を「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料」及び「洋酒,果実酒」とするものであるところ、近時、栄養のバランスやビタミン、カルシウム、食物繊維等の補給などを売りものにした、いわゆる健康志向食品が市場に多数出回っている実情にあるところ、このことは飲料の分野にあっても例外ではない。

一方、甲第3号証の1及び2によれば、申立人の関連会社は、「大豆たん白」を製造、販売していること、該「大豆たん白」は、健康食品、製菓、製パン、飲料等に利用され得る商品であり、特に、中性の高たん白飲料、カルシウム強化飲料、栄養バランス飲料等に利用される大豆たん白が存在することが認められる。

3.前記2.で認定した「DU PONT」商標の我が国における著名性、飲料等の分野における取引の実情及び申立人の関連会社が本件商標の指定商品の分野と関連する商品を取り扱っている事実等を総合勘案すれば、申立人の著名な商標「DU PONT」と同一の綴り文字よりなり、かつ、同一の称呼を生ずる「Dupont」の文字をその構成中に有する本件商標は、これをその指定商品について使用するときは、該商品があたかも申立人若しくはその関連会社等、申立人と何らかの関係を有する者の製造・販売に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生じさせるおそれがあるものとみるのが相当である。

4.(1)商標権者は、「引用商標には、3態様あり、いずれも活字体で書されているのに対し、本件商標中の『Dupont』は、筆記体で書されているものであるから、決定の『申立人の著名な商標をその一部に有する本件商標』との事実認定は明らかに誤っている。」旨主張するが、本件商標中の「Dupont」と引用商標中の「DU PONT」とは、筆記体と活字体の差などの相違点があるとしても、前記認定のとおり、同一の綴り文字よりなり、かつ、同一の称呼を生ずるものであるから、その差異は、本件商標が著名商標を含むものであるとする前記認定を左右するものではない。

(2)商標権者は、乙第1号証ないし乙第24号証を提出し、「『万年筆』、『ライター』、『時計』等を指定商品とし、著名な引用商標『Du PONT』の文字を含む多くの商標が登録され、かつ、無効審判も請求されずに現在も有効に存続している事実からも、本件指定商品の需要者をして申立人と組織的・経済的に何らの関係があると判断することはあり得ない。」旨主張するが、問題は、本件商標が、その商標登録出願の時点において既に、「他人の業務に係る商品又は役務と出所の混同を生ずるおそれがある商標」であって、その状態がその登録査定時点においても継続されていたかであり、本件商標は、前記認定のとおり、これをその指定商品について使用するときは、該商品があたかも申立人若しくは申立人と何らかの関係を有する者の製造・販売に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるものとみるのが相当であるであるから、商標権者の上記主張は採用できない。

5.以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。