結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成11年審判第35302号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第3369665号商標(以下、「本件商標」という。)は、「PRO‐LEX」の文字を横書きしてなり、第14類「時計」を指定商品として、平成6年11月24日に登録出願、同10年6月5日に設定登録されたものである。
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第125919号商標(以下、「引用商標」という。)は、「ROLEX」の文字を横書きしてなり、第21類「時計類及其附属品」を指定商品として、大正9年12月29日に登録出願、同10年2月25日に設定登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。
1.本件商標と引用商標との類否を検討するに、本件商標は、「PRO」と「LEX」を短いハイフンを以て結合してなるとしても、これより「プロレックス」の称呼が生じ、その称呼は必ずしも「プロ」と「レックス」の二音節風に明確に発音されるとは限らない。商標におけるハイフンは前後の文字を分断する場合と結合する場合とがあり、特に前者の場合前後の文字に関連性がないとそれぞれ独立した要部として認識されるが、後者の場合は一体性が強くなり、本件商標における「PRO」と「LEX」の結合は、構成上短いハイフンで結ばれているからといっても、これより常に「プロ」と「レックス」の間で一呼吸入れて発音されるとは限らず、これを一連に称呼しても何ら不自然性は感じられない。
そこで「プロレックス」の称呼であるが、一般に促音、長音を伴う音はアクセントが置かれるため、「レ」が強くなり、「ロ」は弱く、「プ」はより弱く発音され、「プロレックス」と「ロレックス」の区別はつかない。
以上のとおり、本件商標は称呼上、引用商標に類似し、請求人の商品との間において出所の混同を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第11号、又は、同第15号に該当するにもかかわらず登録されたものである。
2.答弁に対する弁駁
被請求人は、本件商標と引用商標を形式的に比較検討することに終始しており、請求人が提示した取引の実情を無視したもので受け入れ難いものである。
一般に商標が未使用で著名なものでなければ、称呼・外観・観念の比較において判断されることに問題はないが、両商標は実際に使用されており、特に引用商標は国内のみならず国際的に著名性を獲得しているブランドであり、被請求人が請求人の製造に係る時計の並行輸入業者であるという事実は出所の混同を争う点で無視できない。
まず、語頭音が商標全体の称呼を識別するのに重要な要素を占めるのは事実であるが、本件の場合、そのこと以上に被請求人が請求人の商品に限りなく近づけることにより、いかにも請求人と業務上何らかの関係があるかのごとくみせかけ、請求人の真正商品をフリーライドしようとしている意図は明白である。
本件商標が「PROFESSIONAL」の「PRO」と「ROLEX」を巧妙に組み合わせたもの、即ち商標選択の前提にまず「ROLEX」が念頭にあり、「PRO」と「LEX」をハイフンで結ぶことにより「ROLEX」を分断し、あたかも「ROLEX」とは直接関係のないかのように思わせる作為、又この程度の小細工で「ROLEX」と非類似とされれば請求人の永年の企業努力は水泡に帰すといわざるを得ない。
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証を提出した。
1.商標法第4条第1項第11号について
本件商標及び引用商標はその構成から、前者が「プロレックス」、後者が「ロレックス」の称呼を生ずるものであることは明らかである。
しかして、「プロレックス」と「ロレックス」の称呼は、「ロレックス」の音を共通にするものであるが、前者の語頭音「プ」の有無の差異を有しているところ、この差異音は、称呼を識別するうえで極めて重要な要素を占める語頭に存するうえに「プ」の音それ自体も聴えの弱い音ではなく、明確に響く破裂音であるから、「プロレックス」と称呼した際に、「プ」が聴く者の印象に残らないというようなことは考えられないことであり、この「プ」の有無の差異が両称呼に及ぼす影響は、極めて大きいものである。
加えて、「プロレックス」は、「レ」が促音を伴っているものであることから、自ずとこの「レ」にアクセントを置いて発音されること、本件商標の構成がハイフンを介して「PRO」と「LEX」に分離して表されているうえに、「PRO」は「PROFESSIONAL」の略語として今や日本語と同様といえる程度に親しまれているものであるのに対して、「LEX」は一見直ちに特定の意味を看取させないものであることから、両者間に一体不可分性がないことと相俟って、これが二音節で発音されるか否かはともかく、少なくとも「プロ」に続いて感覚的にあたかも一拍を置いた感じで「レックス」と称呼され聴取されるものである。
これに対して後者は、第二音の「レ」にアクセントを置いて、一気一息に称呼されるものとみるのが自然であるから、両者間には語調上の差異もあり、この語調上の差異が共に簡潔といえる両称呼に及ぼす影響も決して小さくない。
また、引用商標は、「ROLEX」の文字を一連不可分に表した構成のものであるのに対して、本件商標は、引用商標には存しない「P」の文字を語頭とする「PRO」の文字と「LEX」の文字をハイフォンを介して表しているものであるから、外観上も両者は、紛らわしいものとはいえない。
さらに、本件商標は、特定の観念を看取させないものであるから、両商標の観念についての類否判断はすべくもない。
以上により、本件商標は、引用商標とその外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛らわしいものといえない。
2.商標法第4条第1項第15号について
商標が、周知著名な商標と非類似のものであるからといって、これをもって直ちに商標が商標法第4条第1項第15号に該当しないことを被請求人も否定しない。
しかしながら、商標が周知著名な商標と非類似のものでありながら、なお、これを商標法第4条第1項第15号に該当するものであるとするには、商標が少なくともその構成中に周知著名な商標を構成している文字を有していて、かつ、その文字が全体から分離、独立して看者の注意をひくといった特段の事情が求められるというべきである。
これを本件商標についてみると、本件商標の構成は前記したとおりであるところ、独立して看者の注意をひく前半部の「PRO」の文字は、「LEX」の文字と何等の関連性はなく、「Professional」の略語として広く一般に親しまれているから、「PRO」における「RO」の文字は、この「PRO」という語の全体に埋没融合するといわざるを得ず、この「RO」が、全体から分離独立して看者の注意をひくというようなことはあり得ないとみるのが自然である。
してみれば、この「RO」の文字が、ハイフンを介して分離して表されている「LEX」の文字と一体となって、「ROLEX」を看取させるというようなことはない。
そうすると、引用商標が例え請求人の業務に関わる商品「時計」を表す著名な商標であったとしても、本件商標は、これを含む商標とはいえない。
してみれば、被請求人が本件商標をその指定商品について使用しても、取引者、需要者がこれを請求人あるいは同人と何らかの関係を有する者の業務に係るものではないかと、その出所について混同するおそれはない。
1.商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標は、「PRO‐LEX」の文字に相応し、「プロレックス」の称呼を生じ、他方、引用商標は、「ROLEX」の文字に相応し、「ロレックス」の称呼を生ずること明らかであるから、先ず上記両称呼についてその類否を検討する。
上記両称呼は、引用商標の称呼の全体に相当する「ロレックス」の音を共通にし、本件商標の称呼が上記共通部分の前に語頭音として「プ」の音を有する点においてのみ相違するものである。そして、本件商標の称呼及び引用商標の称呼とも、促音を伴う「レ」の音の位置にアクセントがあって、それぞれの構成音のうちで当該「レ」の音が最も強く発音されることは明らかであるところ、本件商標の称呼のうち上記共通部分(「ロレックス」の部分)は、促音を含めて5音から成るにすぎないこともあって、上記「レ」の音が最も強く発音されることにより、引用商標の称呼全体と単に音を共通にするだけでなく、称呼する際の語感、語調においても引用商標の称呼全体と極めて近似するものになるものと認められる。本件商標の称呼は、上記共通部分の前に語頭音として「プ」の音を有しており、また、「プ」の音が破裂音であり、一般には、語頭音は称呼の識別上重要な要素を占めるものとされ、また、破裂音は明確に響く音である。しかしながら、本件商標の称呼にあっては、上記のとおりアクセントのある「レ」の音と比較して、「プ」の音の識別性が勝るものとは認められず、また、上記共通部分が促音を含め5音から成ることを考慮すれば、本件商標の上記共通部分が、引用商標の称呼全体と、単に音を共通にするだけでなく、称呼する際の語感、語調においても極めて近似するとの印象を与えることは明らかであり、この点は、上記共通部分の前に語頭音として「プ」の1音があるからといって、さほど減殺されるものということはできない。
したがって、本件商標の称呼は、全体として、引用商標の称呼と相紛らわしく、互いに聴き誤るおそれがあるものというべきである。
被請求人は、本件商標の構成がハイフンを介して「PRO」の文字部分と「LEX」の文字部分とに分離して表され、かつ、「PRO」の語が「PROFESSIONAL」の略語として親しまれているのに対し、「LEX」の語が特定の意味を直ちに看取させるものではなく、両者間に一体不可分性がないことから、本件商標は、「プロ」の部分に続き、感覚的に一拍を置いて「レックス」と称呼され聴取されると主張する。しかしながら、仮に、被請求人主張のとおり、本件商標の外観及び観念において「PRO」の文字部分と「LEX」の文字部分とに一体不可分性がないとしても、これを称呼する場合に、わずか2音の「プロ」の音の次に一拍置いて「レックス」の音を称呼するものとは直ちに認め難く、まして、称呼する際に、そのように一拍置いたように聴取されるものとは到底認め難い。したがって、被請求人の上記主張は採用することができない。
(2)他方、本件商標と引用商標とは、外観上は区別することがさほど困難ではなく、外観において類似するとまでいうことはできない。また、本件商標の少なくとも「LEX」の文字部分及び引用商標はそれぞれ造語であることが認められるから、両商標の観念は比較すべくもない。
(3)次に、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品をみるに、両者の指定商品は同一若しくは類似するものである。
(4)更に、取引状況について検討するに、引用商標が、本件商標の出願以前から現在に至るまで、請求人商品を表示するものとして我が国の取引者、需要者に著名であり、引用商標と本件商標の各指定商品が同一であることからすれば、取引の実際において、本件商標を称呼した場合に、取引者、需要者が馴染みのある引用商標の称呼と聴き誤り、相紛れるおそれのあることは明らかである。
(5)以上によれば、本件商標と引用商標とは、外観において類似するとはいえず、また、観念は対比することができないものの、称呼において類似するものであり、かつ、引用商標が著名であることを考慮して全体的に考察すれば、本件商標は引用商標に類似する商標であると認められる。
2.したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、その余の点につき判断するまでもなく、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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