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Trademark Appeal Case

不使用取消の正当理由

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2001−30671(T2001−30671/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4058700号商標の「菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと」については、その登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4058700号商標(以下、「本件商標」という。)は、後掲のとおりの構成よりなり、平成7年11月16日に登録出願、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,サンドイッチ,すし,ピザ,べんとう,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,酒かす」を指定商品として、平成9年6月18日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張

1 請求の趣旨

結論同旨の審決を求める。

2 請求の理由

被請求人は、本件商標の商標権者であって、当該商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが第30類「菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと」については、継続して3年以上、上記商標の使用をしていないので本件審判を請求するに及んだと述べ、その証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。

3 弁駁

本件答弁書の答弁の主旨に「商標法第50条の2に定められている」という記載があるが、同法第50条の2なる条文は認められないから上記答弁の主旨は不当である。たとえ答弁の趣旨であるとしても同様である。また、上記答弁の主旨に「登録商標を使用していないことについての正当な理由」という記載があるが、如何なる商品又は役務について使用していないものか不明である。

(1)答弁の理由(1)について、

母堂久保田力ズさんが平成9年10月6日、78才で死亡された旨の記載は認める。しかし死亡の日から本件審判請求の平成13年6月18日まで2年8月12日経過し、その間本件請求に係る指定商品について本件商標を使用する期間は充分存在した。しかし、その間本件請求に係る指定商品の使用は立証されていないし、不使用の理由について述べられているが、不使用についての正当な理由とは認められない。

(2)答弁の理由(2)について、

本件請求に係る被請求人久保田滋氏と有限会社ビッグバン(以下、「ビッグバン」という。)とは法律上別人格であり、当該有限会社は「食品の商品開発、キャンペーン企画、プロデュース、広告制作」を業務とする会社で菓子及びパンの製造・販売を業とする会社ではないことは、被請求人主張のとおりである。また、「当該商標を使用していない期間は1年に満たない。」と主張されているが、如何なる商品に使用されていたかは定かでないし、「使用していないことについて正当な理由」があるとの答弁の主旨と矛盾する主張である。

(3)請求人の見解

(a)被請求人は、答弁の主旨において「登録商標を使用していないことについての正当な理由」があると述べているにも拘わらず、その立証が全くなされていない。

(b)被請求人久保田滋氏とは別人格であるビッグバンの売上高証明及び有限会社アンパサンドの領収書(平成13年6月10日付け)を資料B及びCとして提出しているが資料Bでは如何なる商標及び商品の売上高証明か全く不明であり、資料Cではデザイン料¥105,000は如何なる商品についてのデザイン料なのか全く不明であり、かつ領収書の日付け(平成13年6月10日)が本件審判請求日の平成13年6月18日前3ケ月以内であるから商標法第50条第3項の規定により、商標の使用に該当しない。

第3 被請求人の答弁

1 答弁の趣旨

被請求人は、商標法第50条の2に定められている「登録商標を使用していないことについての正当な理由」があるため、請求には理由がない。したがって審判費用は請求人の負担とする、と主張し、証拠方法として、添付資料Aないし同Cを提出し、その理由を以下のとおり述べた。

2 答弁の理由

(1)商標権者である久保田滋の母久保田カズは平成9年1月より体調不良を訴え、同年10月末期癌宣告を受け、翌平成10年4月、ホスピスケアのため入院。同年10月6日、78歳で死亡した(添付資料A)。大阪に居住する唯一の肉親である久保田滋は入院中の介護、身の回りの世話はもとより、体調不良を訴えた平成9年1月から死亡後の不動産の整理などに2年余を母親の介護に重点を置くこととなり、経営するビッグバンが通常営業できなくなり、開店休業状態を余儀なくされた(添付資料B=半年から1年先の営業を行うため、経営悪化の影響は遅れて現れている)。取消の請求のあった平成13年6月18日は、母親の死亡した日から起算しても2年8カ月と12日であり、商標法第50条に規定する3年に満たない。したがって請求の理由はない。

(2)ビッグバンは食品の商品開発、キャンペーン企画、プロデュース、広告制作を通常業務とした取締役社長久保田滋一人の会社である。日常的な営業活動がともなわなければ受注を確保することは難しい。そのため、新規の営業活動にあたる「3.14=π(パイ)の日」の商品開発、営業を休まざるを得なかった。休業届けを出して正式に休業しなかったのは、最低限の生活費を稼ぐこともさることながら、通年流れている仕事がわずかながらあり、休業することにより迷惑をかけ、業界全体に悪印象を残すためやむを得ざる措置であった、この半休業状態、通常営業の回復の期間(平成12年9月まで)を勘案するなら、当該商標を使用していない期間は1年に満たない。

(3)本件商標「3.14=π(パイ)の日」は、第30類の商品、とくにパイ菓子についての販売キャンペーンを行う際に、商品に付随して使用することを目的としたものである。

現在、商標権者は使用を開始していないが、通常使用権を求める洋菓子店が多く、通常使用権の交渉を行っている最中である。すでに4月に商品に付随して使用するためのデザインも発注済みである(添付資料C)。3月14日の使用に対して交渉時期が早いのは、多くの店が参加するマスコミを動員したキャンペーンとなるからである。

(4)審判請求についての意見

請求人は、当該商標について使用の意図があるからこそ、無為に登録したままになっている本件商標が業務の侵害にあたるとして、請求を起こしたものと考えられる。しかし、請求人から商標権者への専用使用権もしくは通常使用権の許諾の問い合わせは一切なく、業務を侵害した事実はない。当該商標は世間に広く認知されることにより営業効果が上がるのであり、むしろ通常使用権を広く開放しようとしているのである。請求人のような使用希望者がいるということは、当該商標が将来確実に使用される可能性に対する保証でもある。仮に、当審判において、当該商標の取消しが認められた場合、請求人の既存商標へのフリーライドを認めることになると考える。また、現在交渉を進めている多くの関係者に多大の迷惑をかけることになる。3.14ということから、1年のうち3月1日〜14日のわずか2週間程度しか使用できない商標である。通年使用可能の商標と同様の不使用期間を当てはめられるのは大変厳しく感じる。使用の時期が限定される商標ということをご勘案いただき、一律に論じないことをご検討いただきたい。たとえば、オリンピックの年にしか使えないような商標があった場合、必ず3年間の不使用期間が生じる。この場合論理的に商標権の許諾と取消しが同居してしまい、矛盾するとの疑問が生じる。このような場合に、広く不使用期間の延長が認められるようにしてはいかがかと愚考し、使用期間限定の商標を持つものの一人として切に願う。

第4 当審の判断

(1)被請求人が本件商標の使用について提出した添付資料によれば、以下の事実のみが認められる。

添付資料Aは、被請求人の母親とみられる「久保田カズ」氏の平成13年8月7日付け大阪府立病院医師による「死亡診断書」である。添付資料Bは、被請求人の経営するビッグバンの平成9年10月1日から同12年9月30日までの同13年7月31日付の菊池会計事務所税理士よりの売上高の証明書である。添付資料Cは、請求外「有限会社アンパサンド」より、被請求人宛の平成13年6月10日付デザイン料に係る領収書である。

(2)ところで、商標法第50条の商標登録の取消審判にあっては、その登録商標の使用をしていないことについて正当な理由がある場合を除いて、その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れないとされている。

(3)そこで、被請求人は、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由がある旨述べているので、この点について先ず判断する。

被請求人が述べるところは、母親の病気療養に伴い、介護負担が増大し、そのために、被請求人の経営するビッグバンの通常営業ができなくなり、実質的に休業状態になっていたというにある。

しかしながら、同法第50条第2項ただし書き中の「登録商標の使用をしていないことについての正当な理由」とは、法律に定められた他の理由により実質的に使用できない場合、天災等の不可抗力により営業することができなくなった場合等、自己の責に帰すことのできない理由で使用できなかった場合をいうのであって、上記理由までをも含むものと解することはできないというべきである。

してみれば、被請求人は、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があるものということはできない。

(4)次に、請求人の提出に係る各資料を徴するに、各資料は、(1)のとおりであるから、その請求に係る指定商品のいずれかについて、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標の使用をしたことを証明しているものということはできない。

(5)なお、被請求人は、平成13年12月10日付け上申書をもって、本件商標を付した「名刺」を提出しているが、名刺は、本来、人の名を表彰するにすぎないばかりでなく、これにより、取り扱う商品を特定できないものであるから、商標の使用であるということができず、また、平成14年1月24日付け及び同年3月18日付け上申書をもって、本件商標がマスコミ紙面に取り上げられたと述べているが、同様に商標の使用であるということができないから、これらの主張は、採用することができない。

(6)したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、請求に係る商品「菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと」について、その登録を取り消すべきである。

よって、結論のとおり審決する。

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