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Trademark Appeal Case

通常使用権者の使用の有効性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2001−30656(T2001−30656/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第2696496号商標(以下、「本件商標」という。)は、「LIPS」の欧文字を横書きしてなり、平成元年12月27日に登録出願、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、同6年9月30日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張

1 請求の趣旨

本件商標の指定商品中「セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着及びこれに類似する商品」について登録を取消す。審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求める。

2 請求の理由

本件商標は、継続して三年以上日本国内において、商標権者又は使用権者のいずれもが、その上記指定商品中「セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着及びこれに類似する商品」について使用した事実が全く存在しない。従って、商標法第50条第1項の規定により、その登録中上記指定商品「セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着及びこれに類似する商品」の部分については、その登録は取消されるべきである。

3 弁駁

(1)被請求人は、審判事件答弁書において、「本件商標は、本件商標の通常使用権者である株式会社ルシアン(以下、「ルシアン」という。)が、少なくとも平成13年4月〜7月に商品「下着」について使用している」と主張し、使用の証拠方法として、乙第1号証〜乙第9号証を提出している。

(2)しかしながら、商標法第50条第2項において「前項の審判(商標登録の取消の審判)があった場合においては、...商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが...登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、...商標登録の取消を免れない。...」と規定しているところ、被請求人は、本件商標の通常使用権者による使用を証明していない。以下に具体的に述べる理由により、被請求人提出の乙第1号証〜乙第9号証は、本件商標使用の疎明資料ではあっても、本件商標の通常使用権者による使用の事実を積極的に証明するものではない。よって、本件商標の一部取消は免れない。

(3)被請求人は、ルシアンが本件商標の通常使用権者であると主張し、その証拠方法として、乙第1号証の「商標使用許諾契約書」を提出している。

しかしながら、乙第1号証の「商標使用許諾契約書」は、単なる私人間の債権契約書にすぎず、商標登録原簿にも通常使用権の登載はなく、当事者間においてのみ有効で、特許庁や第3者に対抗できるものではない。

また、乙第1号証の「商標使用許諾契約書」に捺印の被請求人「蝶理株式会社」の代表印には「工業所有権専用」とあり、通常このような代表印を本件「商標使用許諾契約書」のような債権契約書に捺印することは考えられないのみならず、この「商標使用許諾契約書」には、当然規定されるべき対価についての条項もなく、第2条のような製造条項もあり、本件請求人は、乙第1号証の証拠能力(成立)を否認する。乙第1号証の「商標使用許諾契約書」の契約日は、平成13年3月30日と記載されてはいるが、本件審判請求書の送達後に、被請求人の特許関係の担当者が取引業者の協力を得て作成したものと推定され、この推定を否定する根拠もなく、乙第1号証は、証拠能力又は証拠価値のないものである。

よって、ルシアンが本件商標の通常使用権者であるとの証明はなされておらず、それを前提とする被請求人の、本件商標の通常使用権者による使用の主張は、認められない。

(4)被請求人は、乙第2号証の1〜5の証明書を提出し、これに基づいて、ルシアンが、本件商標「LIPS」を付した「ブラジャーおよびショーツ」を、「株式会社ルシアンプランニング」、「LIPS舟橋店」、「LIPSお台場店」、「LIPS横浜店」、及び「LIPS柏店」に販売した旨主張している。しかしながら、上述したように、ルシアンが本件商標の通常使用権者であるとの証明はなされておらず、被請求人主張の上記販売が本件商標に基づく使用を立証するものとは言えない。

しかも、乙第2号証の1〜5の証明書は、いずれも、同一のワープロ書き書類に各証明者が署名捺印したと見られる、私人による同一内容の証明書であって、いわゆる私人による自己証明に類し、証拠価値の乏しいものである。また、各証明書に添付の写真のタグには、赤インクで「LIPS」と印字されているが、登録商標の表示も全くなく、本件商標権の通常使用権に基づく使用とは、到底認められない。

被請求人は、乙第2号証の1〜5の証拠能力を否認する。

(5)乙第3号証の1〜4には、「LIPS オダイバ」などの店名と見られる表示があるのみで、本件商標の表示はなく、証拠価値のなきものである。

(6)乙第4号証は、商品用の紙袋であるが、指定商品との関係において本件商標の表示はなく、証拠価値のなきものである。

(7)乙第5号証及び乙第6号証には、店名表示はあるが、指定商品との関係において本件商標の表示はなく、証拠価値のなきものである。

(8)乙第7号証の記事中には、表題として「SPAブランド『リップス』とあり、記事本文中に「ルシアンプランニング(東京本社)は、ランジェリーを中心に構成するSPA(製造小売業)型ブランド『リップス』の商品発表会をおこなった。」と記載されている。しかしながら、記事中の「ルシアンプランニング(東京本社)」が、本件商標権の通常使用権者である旨の証明はなく、乙第7号証の使用が、本件商標の通常使用権に基づく使用である旨の証拠はない。よって、乙第7号証は、証拠価値のなきものである。

被請求人が、本件商標権の通常使用権者であると主張する「ルシアン」と「ルシアンプランニング(東京本社)」とは、法人名に共通性はあるものの、法人としては、全く別法人であって、「ルシアン」による使用と同一視することはできない。

(9)乙第8号証及び同第9号証は、いずれも、本件審判請求日より後に発行された雑誌であって、証拠価値がない。また、乙第8号証及び同第9号証の記事中には、「リップス/ルシアンプランニング」との記載はあるが、上述したように、「ルシアンプランニング」が、本件商標権の通常使用権者である旨の証明はなく、乙第8号証及び同第9号証の使用が、本件商標の通常使用権に基づく使用である旨の証拠はない。よって、乙第8号証及び同第9号証は、証拠価値のなきものである。

(10)以上説明したように、「本件商標を本件商標の通常使用権者であるルシアンが、少なくとも平成13年4月〜7月に商品「下着」について使用している」との被請求人の主張は、証拠がなく証明されていない。乙第1号証〜同第9号証は、いずれも、証拠能力又は証拠価値がない。

第3 被請求人の答弁

1 答弁の趣旨

結論同旨の審決を求める。

2 答弁の理由

被請求人は、その理由を以下のように述べ、その証拠方法として乙第1号証ないし同第9号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)審判請求人は、平成13年6月13日付審判請求書の「5.請求の理由」第(2)項において、「本件商標は、継続して三年以上日本国内において、商標権者又は使用権者のいずれもが、その上記指定商品中「セーター類 ワイシャツ類 寝巻き類 下着及びこれに類似する商品」について使用した事実が全く存在しない。」と主張しているが、これは誤りである。というのは、本件商標の通常使用権者である京都市中京区烏丸通六角下ル七観音町634番地 ルシアンが、添付の乙第1号証〜乙第9号証より明らかなように、少なくとも、平成13年4月〜7月に本件商標を下着について使用しているからである。

以下、これについて、詳述する。

(2)添付の乙第1号証に示すように、ルシアンは、本件商標の通常使用権者である。

(3)乙第2号証の1〜5より明らかなように、本件審判の請求の登録前3年以内である平成13年5月において、ルシアンは、本件商標を付したブラジャー,ショーツを関連会社である株式会社ルシアンプランニング及び株式会社ルシアンプランニングの船橋LIPS店,リップスお台場店,リップス横浜店,リップス柏高島屋TX店に卸売し、上記各店は、それらのブラジャー,ショーツを店頭で一般消費者に販売している。

乙第3号証の1〜4は、上記卸売の際、作成された仕入伝票の写しである。また、乙第4号証は、上記各店で用いられている、一般消費者に商品を持ち帰ってもらうための包装用袋を示す写真である。

(4)次に、乙第5号証は、インターネット上で公開されている前記各店の状況を示す記事の写しである。また、乙第6号証は、LIPS各店の様子を示す写真である。これらの店においては、「LIPS」を付したブラジャーやショーツなどの商品を通常使用権者であるルシアンから仕入れて大々的に販売しているのである。

(5)また、乙第7号証及び同第8号証は、前記株式会社ルシアンプランニングが本件商標を付したブラジャーやショーツを販売していることを示す月刊誌「マリリンタイムス」の平成13年4月1日号及び雑誌「THE BODY」Vol.3 0(20 01年6月25日発行)の要部写しである。

(6)さらに、乙第9号証は、前記ルシアンが本件商標を付したブラジャーやショーツを販売していることを示す雑誌、「With」2 0 01年7月号(平成13年7月1日発行)の要部写しである。

(7)以上により、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標の通常使用権者がその請求に係る指定商品について本件商標を使用していることは明らかである。

第4 当審の判断

1 被請求人の提出に係る乙各号証を検討するに、次の事実が認められる。

(1)乙第1号証は、商標権者である被請求人とルシアンとの間で平成13年3月30日に交わされた本件商標の使用許諾契約書写しである。

(2)乙第2号証の1は、本件商標を付した下着「ブラジャー」及び「ショーツ」を平成13年5月にルシアンより仕入れたとする平成13年8月7日付け株式会社ルシアンプランニングの証明書である。

(3)乙第2号証の2は、本件商標を付した下着「ブラジャー」及び「ショーツ」を平成13年5月にルシアンより仕入れたとする平成13年8月8日付けLiPS船橋店岸本恵子の証明書である。

(4)乙第2号証の3は、本件商標を付した下着「ブラジャー」及び「ショーツ」を平成13年5月にルシアンより仕入れたとする平成13年8月6日付けLiPSお台場店店長常盤ひろみの証明書である。

(5)乙第2号証の4は、本件商標を付した下着「ブラジャー」及び「ショーツ」を平成13年5月にルシアンより仕入れたとする平成13年8月7日付けリップス横浜店佐々木こづえの証明書である。

(6)乙第2号証の5は、本件商標を付した下着「ブラジャー」及び「ショーツ」を平成13年5月にルシアンより仕入れたとする平成13年8月8日付けリップス柏高島屋TX店店長阿蘇奈美の証明書である。

(7)乙第3号証の1ないし3は、ルシアンからLiPSお台場店へ下着「ブラジャー」及び「ショーツ」を平成13年5月23日及び6月13日に仕入れられたとする伝票写しである。

(8)乙第3号証の4は、ルシアンからLiPS船橋店へ何物かが平成13年5月28日に仕入れられたとする伝票写しである。

(9)乙第4号証は、本件商標と類似する標章が付された紙製包装袋の写真である。

(10)乙第5号証は、インターネット上で公開されている記事の写しである。

(11)乙第6号証は、LIPS各店を示す写真であり、同第7号証ないし9号証は、雑誌の掲載記事の写しである。

2 以上の事実を総合すれば、少なくとも、本件審判請求の登録前3年以内に該当する平成13年5月23日に、本件商標の通常使用権者であるルシアンによって、その取消に係る指定商品中の下着「ブラジャー、ショーツ」について、本件商標が使用されたものである(乙第2号証の3、同第3号証の1及び2)と認められ、これに反する事実はない。

したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、請求に係る商品について、その登録を取り消すべきでない。

よって、結論のとおり審決する。

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