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Trademark Appeal Case

「Relax」の識別力と類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第35205号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4213954号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4213954号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、平成3年2月19日に登録出願、第4類「化粧せっけん及びその他のせっけん類、芳香油、香水、化粧水、ひげそり用クリーム、水分補給用化粧品、体臭防止用化粧品(スプレー及びスティック)ボディローション、ヘアーローション及びその他の化粧品、歯みがき、その他本類に属する商品」を指定商品として、同10年11月20日に設定登録されたものである。

第2 請求人の引用商標

請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第619256号商標(以下「引用商標A」という。)は、「リラツクス」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和37年3月27日に登録出願、第4類「化粧品、その他本類に属する商品」を指定商品として、同38年6月28日に設定登録、その後、3回に亘り商標権存続期間の更新登録がなされ現に有効に存続しているものである。同じく、登録第1373986号商標(以下「引用商標B」という。)は、別掲(2)に示すとおり、楕円形の中に花模様の図形を描いた下部に、「RELAX」の欧文字と「リラックス」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、昭和50年6月24日に登録出願、第4類「化粧品、その他本類に属する商品」を指定商品として、同54年2月27日に設定登録、その後、2回に亘り商標権存続期間の更新登録がなされ現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び同第2号証(枝番を含む。)を提出した。

1.本件商標は、出願の日前の登録に係る請求人所有の引用商標A及び引用商標Bと類似し、かつ、指定商品においても抵触するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当し、その登録は無効とされるべきものである。

2.本件商標と引用商標A及び引用商標Bの類否について

本件商標の構成は、別掲(1)に示すとおりであり、上段に表わされた「Davidoff」の語と下段に表わされた「Relax」の二つの語は、ともに要部として認識されるから、下段に表わされた「Relax」の語は、本件商標の要部である。

一方、引用商標Aは、「リラックス」の片仮名文字よりなるものであるから、本件商標とは、称呼及び観念において同一である。

また、引用商標Bは、図形の下方に表示されている「RELAX」「リラックス」の語がともに要部であるから、同様に本件商標と称呼及び観念において同一である。

したがって、本件商標は、引用商標A及び引用商標Bと互いに類似するものというべく、指定商品においても抵触する。

3.答弁に対する弁駁

(1)被請求人の主張は、「Relax」「リラックス」の語について、化粧品や香料等の関係ではその効果や効能等を表記するために頻繁に使用されている記述的な語であるから識別力を有しない、ということが前提となっている。しかしながら、この語が化粧品や香料等の関係で、その効果や効能等を表記するために頻繁に使用されているという事実は無い。

広辞苑によると、「効果」は「(ア)ある行為によって得られた期待どおりの良い結果、ききめ。(イ)演劇等で,その場に相応しい状況を人為的に作ること。」と、「効能」については「ある結果をもたらす働き。」と、それぞれ記載されている。

ところで、化粧とは「(ア)紅・白粉などをつけて顔をよそおい、飾ること。(イ)美しく見えるよう表面を磨いたり飾ったりすること。」であり、化粧品とは「化粧に用いる品」をいうのであるから、化粧品を使用した場合の効果・効能とは、化粧を施した箇所が美しくなるということである。決して、リラックス(くつろぐこと。身体や精神の緊張を緩めること。)は、化粧品を使用した場合の効果・効能ではないから、被請求人の主張は、その前提において、すでに誤っている。

(2)被請求人は、本件商標が、一旦、拒絶査定となった後に不服の審判手続において登録すべき旨の審決がなされたこと、及び、本件登録無効審判もこの拒絶査定不服審判と同一審級であることを考慮するならば、「Relax」の部分は要部とはならないと判断されると主張しているが、そもそも,登録無効審判手続は、審査あるいは審判手続を経て発生した権利についての有効性を争う手続であるから、権利発生の手続段階でなされた審査官・審判官の判断の違法性を争う手続ということもできる。したがって、その手続における審判官の判断をもって、自からの主張の正当性の根拠とすることは、意味の無いことである。

また、乙第9号証及び同第10号証記載の商標は「Relax」「リラックス」の語から成るものではなく、乙第11号証記載の商標は、法制・法域の異なる国における登録例であって、いずれも、本件とは全く関わりの無いことである。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第11号証を提出した。

1.請求人の主張は、引用商標Aの「リラックス」及び引用商標Bの図形下方に表記された「RELAX/リラックス」の語が、化粧品や香料等の指定商品との関係において識別力を有することを前提としている。しかしながら、この「Relax」(「リラックス」及び「RELAX/リラックス」)の語は、現在の取引実状下では、化粧品や香料等との関係では、その効果や効能等を表記するために頻繁に使用される記述的な語となっており、既に自他商品識別力を発揮し得ないものとなっている。このことは、本件商標の登録の経緯、及び外国に於ける登録状況を参照すれば明らかである。

2.本件商標の登録の経緯

本件商標は、審査において本件審判請求の引例と同じ引用商標Bを引用されて拒絶されたので、査定不服審判を請求したものである。

被請求人は、審判請求において、この「Relax(リラックス)」の語が、化粧品や香料等との関係において、効能・用途を記述あるいは説明する用語として頻繁に使用され、自他商品識別力を有しないことを証明しており、更に本件商標と引用商標Bとは、その要部において非類似である旨を主張した。また、「RELAX」の語を構成中に含んでいるにも拘わらず2つの商標「RELAXEST/リラクゼスト」及び「RELAXAGE/リラクサージュ」が登録されている事実から、「RELAX」の語は、化粧品等との関係においては、既に自他商品識別力が無くなっている事実を主張した。

その結果、本件商標は、原査定を取り消し、登録をすべきとの審決により登録を受けたものである。

以上の事実よりみて、「Relax(リラックス)」の語が、化粧品等との関係において自他商品識別力を有するか否かについては、既に、拒絶査定不服審判に於いてなされており、当該審判では、本件商標が登録されている事実からも明らかなように、「Relax(リラックス)」は識別力を発揮し得ないと判断されている。

そして、本件無効審判もこの拒絶査定不服審判と同一審級であることを考

慮すれば、当然、査定不服審判と同じように、本件商標中、「Relax」は要部とならないと判断されるべきであり、この部分が今般の引用商標A及び引用商標Bと共通したとしても、商標の識別性は共通せず、両者は非類似と判断されるべきである。

以上のとおり、本件商標はこれまでの経緯からも明らかなように、既に「Relax」が自他商品識別力を有しないと判断されているものであり、請求人が主張するように「Relax」の部分が要部となることはない。本件商標は、「Relax」を除いた「Davidoff」の部分によって識別されるものであり、その結果、本件商標が引用商標A及び引用商標Bと類似することはないものである。

3.外国における登録状況

乙第11号証は、カナダ国で取得した本件商標と同じ商標「Davidoff/Relax」(登録第452996号・以下、「引用商標C」という。)であり、指定商品は本件商標と同じく「化粧品」に属するものである。

そして、引用商標Cは、「この権利は、Davidoffの語を独占的に使用するものであり、その他の部分については権利を放棄する」ものとなっている。このような権利不要求は、「Relax」の部分が記述的、つまり識別力を発揮し得ない部分であると看取されることによるものである。このような判断は、カナダ国以外の国に於いてもなされており、やはり「Relax」の部分は記述的なものと判断されている。

その結果、本件商標と引用商標A及び引用商標Bとは非類似であり、請求人主張の理由により無効とされることはないものである。

4.まとめ

以上述べたとおり、本件商標中、「Relax」の語は記述的であって自他商品識別力を発揮できない部分であることから、この部分が本件商標の要部となることはあり得ない。

よって、本件商標は、引用商標A及び引用商標Bに類似するものではなく、その登録は商標法第4条第1項第11号に違反するものではない。

第5 当審の判断

本件商標は、別掲(1)に示すとおり、上段にやや図案化され、下部にアンダーラインを施した、「Davidoff」の欧文字と、下段にやや図案化された「Relax」の欧文字とをそれぞれ筆記体で二段に横書きした構成よりなるところ、上段の「Davidoff」の文字は、特定の観念を生じさせるものでなく、下段の「Relax」の文字は、「・・をゆるめる、和らげる、(人・心などを)くつろがせる、やすませる」等の意味を有する英語を表したものといえるが、両文字を結合させた全体からは特定の意味合いを表したものとは認められないから、「Davidoff」と「Relax」の各文字は、これを常に一体のものとして把握し称呼、観念しなければならないとする格別の事由を見出し得ないものである。

そして、本件商標を外観において観察しても、「Davidoff」の文字の下部にアンダーラインが施されていること、「Davidoff」の文字に比して「Relax」の文字の方が太い書体で書されていること、「Davidoff」と「Relax」の文字は上下二段に書されていること等を併せ考慮すれば、本件商標に接する取引者、需要者をして「Davidoff」と「Relax」の文字は、それぞれ独立して看取され得るものであり、各々の文字部分が自他商品の識別標識として機能し得るものと判断するのが相当である。

そうとすれば、本件商標は、構成文字全体に相応して「ダビドフリラックス」の一連の称呼を生ずるとともに、「ダビドフ」及び「リラックス」の称呼をも生ずるものというべきである。

被請求人は、「Relax」の語は記述的であって自他商品の識別力を発揮できないものであると主張し、甲第6号証に添付する参考資料1ないし5を提出しているが、これらの資料には「リラックスした気分で」「リラックスすることも・・・」「・・・肌はリラックスして。・・・」「・・・リラックス感が楽しめます。」「・・・全身リラックス&フレッシュ。」「・・・全身リラックス」の如く商品の広告宣伝の用語の一として使用されているのであり、本件商標のように特定の意味合いを表したものとは認められない構成よりなる場合における「Relax」の文字が直ちに「化粧品や香料等」の商品の品質、効能等を表示する語として普通に使用されていると取引者、需要者に理解されるとは認め難いというのが相当である。

また、被請求人は、諸外国における登録例等について述べ、諸外国においても「Relax」の文字は、自他商品の識別力のない文字として扱われていると主張しているが、諸外国と我が国の商標保護に関する法制は自ずと異なるものがあり、被請求人の述べる権利不要求制度は我が国では採用していないところであるから、この点に関する被請求人の主張は認め難い。

他方、引用商標Aは前記構成よりなるものであるから、構成文字に相応して「リラツクス」の称呼を生ずること明らかであり、また、引用商標Bは別掲(2)に示すとおりの構成よりなるものであるから、構成中の「RELAX」及び「リラックス」の文字部分に相応して「リラツクス」の称呼を生ずるものと認められる。

してみれば、本件商標と引用商標A及び引用商標Bとは、前記の称呼において類似するものであり、外観や観念を離れて例えば、電話等口頭による取引が普通に行われている取引社会の実情よりすると、その外観及び観念の点について考慮したとしても、称呼において類似する商標といわざるを得ず、かつ、両商標の指定商品は同一又は類似のものと認められる。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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