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Trademark Appeal Case

周知商標の類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2000−35430(T2000−35430/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4345137号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

1.本件商標

本件登録第4345137号商標(以下「本件商標」という。)は、平成11年2月17日に登録出願され、「LUCEY LOVE」の文字と「ルーシーラブ」の文字を二段に横書きしてなり、第25類「被服,仮装用衣服,運動用特殊衣服」を指定商品として、平成11年12月17日に設定登録されたものである。

2.請求人の主張

請求人は、結論と同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第18号証(枝番を含む。)を提出した。

本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同第15号、同第19号及び同第7号の規定に違反してされたものであって、商標法第46条第1項の規定により無効とされるべきである。

(1)商標法第4条第1項第10号について

本件商標は、欧文字の「LUCEY LOVE」及び片仮名の「ルーシーラブ」を二段書きしてなる商標である。

一方、請求人は、欧文字の「LUCY LOVE」からなる商標(以下「引用商標」という。)を「女性用被服」に使用している。そして、両商標は「ルーシーラブ」の称呼を共通にし、欧文字では「E」の文字の有無のみが相違する、かれこれ類似する商標である。

請求人である米国人、ホーリー・シャープ(Holly Sharp)は、米国カリフォルニアのサーファーブランドのデザイナーであり、引用商標「LUCY LOVE」の正当な権利者である。甲第2号証は引用商標の使用態様を示すものである。請求人は、引用商標について1999年6月22日に出願(商願平11−54947号)したところ、同年2月17日に出願された本件商標を引用商標とする拒絶理由通知を受けた(甲第3号証)。

本件商標に係る商品は、わが国では未だ販売されていないが、ハワイにおいて日本人旅行者、特に若い女性に広く知られているものである(甲第4号証)。甲第4号証は、ハワイへ旅行するいわゆるOLがよく買っていくものの商品リストであるが、「LUCY LOVE」のTシャツも挙げられている。この分析にもあるように、ハワイへ旅行する若い女性が何を買うかということは、東京で流行するものを予測するのに重要な情報源となっている。

請求人が米国カリフォルニア州ロングビーチで1999年2月8日に開催したトレードショーに出品した際には(甲第5号証)、多くの日本人業者が請求人の商品に興味を示している。本件商標は、その直後の同年2月17日に出願されている。

甲第6号証は、1999年9月9日から11日に行われたトレードショーのパンフレットであり、引用商標の広告が掲載されている。

甲第7号証は、米国及びカナダで頒布されている女性誌に掲載されている引用商標に係る商品を示す。

甲第8号証は、カリフオルニア州ロングビーチで発行されているサーフィング等の専門誌であるが、引用商標の広告が掲載されており、モデルが日本語の文字をあしらったTシャツを着ている。

甲第9号証は、わが国の雑誌「Fine(ファイン)」に掲載されている「LUCY LOVE(ルーシーラブ)」のブランド紹介記事である。

甲第10号証及び甲第11号証は、引用商標に係る商品の販売状況を示す書類である。

甲第10号証は、ニューヨークのdELiA‘sという販売店に1998年12月23日に264,00ドルを売り上げていること、甲第11号証は、この店の他、多くの顧客(CUSTOMERの欄)に対する1998年11月1日から1999年3月31日にかけての販売額(BOOKEDの欄)を示す。

以上のことから、引用商標が遅くとも本件商標が出願された1999年2月には少なくとも米国カリフォルニア及びハワイではTシャツ等のカジュアルな女性用被服について需要者に広く知られたものであったこと、わが国でもハワイやカリフオルニアへの旅行者を通じて流行のファッションに敏感な若い女性の需要者に周知となっていたことが明らかである。

よって、引用商標と類似の本件商標は、請求人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている商標に類似する商標であって、その商品、すなわち「女性用被服」について使用するものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第15号について

前記のとおり、米国及びわが国の特に女性の需要者に周知の引用商標と類似の本件商標が、女性用被服以外の商品について使用された場合にも、デザイナーズブランドが運動用特殊衣服等についても同一の商標を使用又はライセンスすることは通常行われていることなので、それらの商品についても需要者が請求人の業務に係る商品と出所を混同するおそれがある。

また、日本人である本件商標権者が、請求人の許諾を受けた者のごとく需要者に誤認を生じさせるおそれもある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも該当する。

(3)商標法第4条第1項第19号について

本件商標は、請求人の商品である女性用被服を表示するものとして外国及び日本国内において需要者の間に広く認識されている引用商標と類似の商標である。そこで、日本人である商標権者により本件商標が使用されると、引用商標の出所表示機能を稀釈化し、米国カリフォルニア発祥の該ブランドの名声を毀損させるおそれがあるものである。また、甲第4号証以下により、請求人が引用商標の正当な所有者であることは明らかであるが、引用商標と類似の商標を請求人の同意なく出願し登録した商標権者には、外国の有名ブランドの名声にただ乗りしようとの不正の利益を得る目的が疑われるものである。

よって、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当する。

(4)商標法第4条第1項第7号について

商標権者は、引用商標の正当な所有者である請求人が、わが国において引用商標を未だ登録していないのを奇貨として、本件商標を出願、登録したものと考えられる。外国商標である引用商標をわが国において先取り的に登録したとすると、商標権者の行為は国際信義に反し、国際的な取引秩序を害するものである。

もし、本件商標登録が無効とされない場合には、引用商標の正当権利者である請求人が、わが国において該商標を登録することができず、使用又は使用許諾できなくなるという事態となる。このような事態は当に国際的な取引秩序を乱す結果となるものである。

よって、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当する。

(5)被請求人の答弁に対する弁駁

ア.本件商標は引用商標と無関係に採択されたものではない

被請求人は、本件商標は請求人の商標とは無関係に採択されたものであると主張している。しかしながら、被請求人のこれまでの出願、登録を見ると、その主張は信憑性のないものであることが明らかである。

甲第13号証は、特許庁ホームページで検索した被請求人の出願、登録であるが、この中には、多数の外国商標の先取り出願、登録が含まれている。例えば、登録第4307070号「STiCKMAN(図形)」(甲第14号証)であるが、この登録は平成13年6月18日の異議決定により取り消されている(甲第15号証)。

また、甲第13号証のリスト中の「STiCKGiRL」、「STICKKIDS」等も「STiCKMAN」商標に類似の商標を先取り的に登録したものである。

上記の事実からも、請求人が米国のアパレル業界の特にサーファーブランドに注目していることは明らかであり、よって、本件商標についても、引用商標の存在を知らず、引用商標とは無関係に採択されたとは考えられない。

イ.引用商標の使用態様について

引用商標の使用態様は、横一連に表示する場合には「LUCY LOVE」と表示し、商品に意匠的にあしらう場合及び視覚的な効果を狙った広告にはハート形を4つ組み合わせた図形と一体として使用しているものである(甲第17号証)。いずれも「ルーシーラブ」の称呼を生ずる社会通念上同一の商標である。

ウ.引用商標の使用について

引用商標の使用を示す甲号証中、本件商標出願後に作成された証拠資料については、引用商標が請求人の商標として継続的に使用されていることを示すために提出したものである。また、たとえ作成日付が本件商標出願日より後であっても、十分、出願前の使用を伺わせるものもある。

そして、引用商標が日本国内では使用されていないとしても、甲号証から少なくとも以下の事実は明らかである。

a.引用商標に係る商品が、わが国の若い女性に、2000年1月に時点で広く知られていたこと。

b.引用商標に係る商品が、本件商標出願(1999年2月17日)の直前の1999年2月6日から8日に米国カリフォルニア州ロングビーチで開催されたトレードショーに出展されたこと。

c.請求人が引用商標の米国における使用者であり、正当所有者であること。

d.本件商標出願前に発行されている業界紙において、請求人の引用商標に係るビジネスが注目されていること(特に、甲第12号証の1乃至4)。

上記の事実から、上記「STICKMAN」の件と同様、本件商標にも商標法第4条第1項第19号が適用されるべきものである。

3.被請求人の主張

被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。

(1)商標法第4条第1項第10号について

ア.請求人は、甲第2号証を提出して、引用商標の使用態様であるとしているが、甲第2号証によると、引用商標は「LUCY」と「LOVE」を上下に離して表記し、しかも、その間に4個のハートマークをあしらって使用する態様、あるいは、炎が燃えるハート型の壷の中央部に「LUCY」と「LOVE」とを上下2段に並記してなる態様があり、さらには周囲に星や惑星をちりばめて「LUCY LOVE」と表記してなる態様があるなど、統一のない態様で使用されているもので、とても著名商標としての使用態様であるとはいえない。ましてや、このような、行き当たりばったりの使用態様をしている商標では、需要者に一定のイメージを残すことはできず、一般に周知・著名にはならない。

イ.また請求人は甲第2号証が引用商標の使用態様であるとしているが、甲第2号証は商品について使用されているとはいえず、このような使用によって商標が特定の商品について広く知られるに至ったとはいえない。

また甲第2号証に名刺が差し込まれているとしているが、この名刺は取り外し可能なものであり、甲第2号証に差し込まれている名刺が、本件商標の出願前から取り付けられていたとはいえず、また、この名刺が甲第2号証に本件商標の出願前から取り付けられていたものと同一であるともいえない。

ウ.請求人は、本件商標に係る商品がわが国において未だ販売されていないとしながら、ハワイにおいて日本人旅行者、特に若い女性に広く知られている、として甲第4号証を提示しているが、甲第4号証は、2000年の2月4日に作成されたもので、本件商標を被請求人が出願したより後のものである。

また甲第4号証に添付の「TRENDWATCHER」も2000年2月のものであって、これも本件商標の出願時より後のものである。

しかも、甲第4号証のレターにしても「TRENDWATCHER」にしても、日本人旅行者がいかなる商品を購入したかについての記載はなく、ましてや若い女性が具体的に商品を購入した事実について何ら記載されているものでもない。

したがって、甲第4号証をもって、本件商標を出願した当時、引用商標が日本人に広く知られていたとはいえない。

エ.請求人は、甲第5号証を提示して、1999年2月8日にトレードショーに出品したとしているが、被請求人はこのようなトレードショーについて全く知らない。請求人はまた、多くの日本人業者が請求人の商品に興味を示している、と主張するが、甲第5号証を精査しても、請求人の商品に日本人業者が興味を示したとの記載はない。

また本件商標の出願日が上記ショーのやや後になったのは全くの偶然であり、ショーとの間に何らの関係はない。

以下、甲第6号証及び同第7号証は、本件商標の出願日後のものであり、これをもって引用商標が本件商標の出願当時、日本国内において広く知られていたとはいえない。

甲第8号証も、本件商標の出願日後である2000年になってからの発行に係るものであり、これをもって引用商標が本件商標の出願当時、日本国内において広く知られていたとはいえない。

甲第9号証も、本件商標の出願日後である1999年12月になってからの発行に係るものであり、これをもって引用商標が本件商標の出願当時、日本国内において広く知られていたとはいえない。

甲第10号証によると、取引量はわずかであり、しかも日本におけるものでもないので、これをもって引用商標が本件商標の出願当時、日本国内において広く知られていたとはいえない。

甲第11号証によると、5か月間の請求記録とのことであるが、この種商品の取引量としては極めてわずかであり、この程度の販売量で広く知られるにいたったとはとても考えられない。まして、甲第11号証の取引は日本国内におけるものではなく、あるいは日本の業者を対象とするものでもなく、これによって引用商標が本件商標の出願当時、日本国内において広く知られていたとはいえない。

甲第12号証の1は、「Holly Sharp」について扱っているが、「LUCY LOVE」については、将来のブランドとして使用する可能性について記載されているにすぎない。これによって、引用商標が本件商標の出願当時、日本国内において広く知られていたとはいえない。

甲第12号証の2は、ホリー・シャープによる想像による話あるいは将来の予想を記載したにすぎないもので、引用する商標を付した商品が販売された実績を何ら示すものではない。しかも、日本における使用については全く示されていない。これによって引用商標が本件商標の出願当時、日本国内において広く知られていたとはいえない。

甲第12号証の3及び甲第12号証の4によっても、引用する商標を付した商品が販売された実績を何ら示すものではない。しかも、日本における使用については全く示されていない。これによって引用商標が本件商標の出願当時、日本国内において広く知られていたとはいえない。

甲第12号証の5によれば、引用する商標を付した商品が日本国内において販売されたり輸出されたりしていなかったことが明白である。

このことは、1999年の時点で、さらにその後2、3年後に海外に広げたいとしていることからも明らかである。

甲第12号証の6は、作成日が不明であって本件商標の出願日前のものであるとはいえず、しかも、この証拠をもってしても、日本における使用については全く示されていない。これによって引用商標が本件商標の出願当時、日本国内において広く知られていたとはいえない。

以上のとおり、引用する商標が本件商標の出願日前に日本国内において使用された事実は全くなく、しかも、請求人の引用商標が付された商品が日本人によって購入された事実についても、請求人の推測にすぎず、全く根拠はない。

したがって、引用商標が本件商標の出願時、日本国内において広く知られていたとはいえず、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当するとはいえないものである。

(2)商標法第4条第1項第15号について

請求人の引用商標は、前記(1)の項において検討したとおり、日本国内において全く使用されたことのない商標であり、本件商標を出願した当時、日本においては全く知られていない。

しかも、本件商標を構成する「LUCEY」も「LOVE」も日本においてありふれた単語であって、かつ、何らかの単語に「LOVE」を続けて「〜LOVE」の形にした商標は多く採択されていることから、本件商標に接する需要者は、格別デザイナーブランドであるとして認識することはなく、「〜LOVE」の内の1つである程度に認識するにすぎない。

したがって、本件商標の出願時、本件商標に接する需要者において、請求人の引用商標と出所の混同を生じるおそれはないものである。

よって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものでない。

(3)商標法第4条第1項第19号について

請求人は、被請求人が請求人の名声にただ乗りしようとしているとするが、被請求人は、昔見た映画の記憶をヒントとし、日本において多数採択されている「〜LOVE」の形にして本件商標を採択したにすぎないものであって、本件商標と引用商標とが類似するのは全くの偶然にすぎない。

被請求人に、請求人の名声にただ乗りする目的はなく、不正の利益を得る目的もない。請求人の主張は何ら根拠のないものである。

よって、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当するものでない。

(4)商標法第4条第1項第7号について

請求人は、引用商標が未だ登録されていないことを奇貨として本件商標を出願し登録を受けたと主張するが、全く根拠のない主張である。

被請求人は、前項で述べたとおり、偶然に本件商標を採択したにすぎない。

引用商標は、使用態様も統一されておらず、使用の予定について何回か雑誌に掲載されたにすぎないもので、けっして周知・著名になっていたとはいえず、本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとはいえない。

4.当審の判断

本件商標は、前記したとおり「LUCEY LOVE」の欧文字と「ルーシーラブ」の片仮名文字よりなるものであるから、その構成文字に相応して「ルーシーラブ」の称呼を生ずること明らかなものである。

これに対して、請求人がその業務に係る商品(女性用被服)について使用をする引用商標は、「LUCY LOVE」の欧文字よりなるか、当該欧文字と図形とをもって構成するものであり、その構成文字より「ルーシーラブ」の称呼を生ずるものと認められる。

しかして、請求人より提出された甲第2号証ないし甲第18号証(枝番を含む。)によれば、引用商標は、請求人(ホーリー・シャープ)がデザインしたTシャツをはじめとして女性用被服に使用され、その商品は主にハワイで販売されて、広告宣伝され又は新聞、雑誌等に紹介された結果、本件商標の登録時はもとより出願時において、既に、請求人の業務に係る商品(女性用被服)のリゾートウェアブランドとして、我が国における女性の需要者をはじめとして取引者・需要者の間に広く認識されるに至っていたと認め得るるものである。

そして、本件商標は、前記のとおりであって、引用商標と比較すると、欧文字の綴りの中間において「E」の文字を1文字多くするのみであり、かつ、「ルーシーラブ」の称呼を同一にするものであって、互いに相紛らわしい商標というべきものである。また、本件商標の指定商品と引用商標の使用に係る商品は同一又は類似のものか、またはファッション関連商品として関連性の高い商品というべきものである。

してみれば、本件商標をその指定商品(被服、履物等)に使用した場合には、その取引者・需要者をして請求人の引用商標を容易に想起させるものといわなければならない。

なお、被請求人は、本件商標を構成する「LUCEY」も「LOVE」も日本においてありふれた単語であるから、本件商標に接する需要者は格別デザイナーズブランドであると認識することはない旨主張する。しかし、「LUCEY」がありふれた単語であると認める証左はないばかりか、「LOVE」が我が国において親しまれ使用されている英語の一であるとしても、それ故に本件商標が直ちにデザイナーズブランドとして認識されることはないとまではいえない。

しかして、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者・需要者は、その商品が請求人又は請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について誤認・混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものというべきであるから、請求人の他の主張について判断するまでもなく、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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