結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2001−30692(T2001−30692/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第2448522号商標(以下「本件商標」という。)は、「株式会社プライム」の文字と「PRIME Corp.」の欧文字を二段に書してなり、昭和62年5月18日登録出願、第10類「理化学機械器具、光学機械器具、写真機械器具、映画機械器具、測定機械器具、医療機械器具、これらの部品および附属品、写真材料」を指定商品として、平成4年8月31日に設定登録されたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べている。
(1)請求人において調査したところでは、過去3年以上にわたって被請求人が、本件商標をその指定商品のうち「医療機械器具、これの部品および附属品」について、使用したとする事実は見当たらない。また、被請求人が本件商標について専用使用権または通常使用権を設定または許諾したとする事実も見当たらない(甲第1号証)。しかして、本件商標については、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者または通常使用権者のいずれもが、その指定商品のうち「医療機械器具、これの部品および附属品」について使用していないと判断される。
(2)被請求人が、本件商標を使用していると主張する使用商品「磁気カードリーダー」について
(ア)使用商品「磁気カードリーダー」は、カードに磁気で記録されているデータを読み取ることによってデータを入力するための機器であって、データ入力を必要とする種々の機器類へのデータ入力に広く一般に使用されているものである。ところで、例えば、モーターは、動力源を必要とする極めて広範な機器類に使用されているものであって、これら機器類にとって必要欠くべからざる部品ではあるが、モーターは、これが使用されている当該機器の概念に属するものとはされておらず、このことは内燃機関とこれが使用されている自動車、航空機との関係、機械要素とこれを使用している各種機器類との関係、さらには、半導体素子とこれを使用している各種の機器類との関係等においても同様である。以上のような事実に照らすと、広範な機器類との関係において用いられる汎用性のある機器は、これと関連して使用される機器類の概念には属さず、その機器の本質的な要素によってその属する概念が決されるべきである。
(イ)このような商品の所属に関する見解は、現行商品区分における所属商品の決定についても同様である。これを使用商品「磁気カードリーダー」についてみると、使用商品「磁気カードリーダー」は、医療や診断に直接用いられるものではなく、広範な機器類との関係において用いられる機器であって、電子の作用を応用していることをその機能の本質的な要素としているものであるから、これが医療機械器具に関連して使用されることはあっても、なお、電子の作用を応用していることをその機能の本質的な要素とする機器である「電子応用機械器具及びその部品及び附属品」に含まれるものとみるのが相当である。
なお、被請求人が答弁書において証拠として挙げている乙第5号証は、使用商品「磁気カードリーダー」である「磁気カードリーダー MR−200J」のパンフレットであるところ、このパンフレットにおいても、特定の用途(医療機械器具等)に使用される旨の記載は一切ない。これは、カードに記憶されるデータが、例えば、警察庁において使用する場合であれば犯罪に関連する人のデータ、病院で使用する場合であれば患者に関するデータとなるだけで、「磁気カードリーダー」は、その記録されたデータの種類とは無関係に、カードに記録されているデータを単に読み取るだけの汎用性のある機器であることからすれば、パンフレットに特定の用途に使用される旨の記載をしないのは当然のことである。
(ウ)そうすると、使用商品「磁気カードリーダー」は、本件審判の請求に係る指定商品である「医療機械器具」あるいは「これの部品および附属品」にも含まれていないものといわざるを得ない。
してみれば、使用商品「磁気カードリーダー」について、いかなる商標が何時、誰によって、何処で使用されたか否かの判断に及ぶまでもなく、本件商標は、請求に係る指定商品のいずれについても使用されていないものといわざるを得ない。
(エ)以上のように、本件商標は、請求に係る指定商品のいずれについても使用されていないから、これのみをもって被請求人の主張は成り立たないというべきであり、念のために申し述べると、本件商標は、この使用商品「磁気カードリーダー」にさえ使用されていないといわざるを得ない。
乙第8号証は、被請求人のいう「LOGIQシリーズ専用付属品IDカードリーダーシステム用カードリーダー MR−200J」なる商品の写真(五葉)であるところ(以下この五葉を貼付順に写真(1)〜(5)という。)、その裏面の上部には「PRIME」及び「株式会社プライム」の文字を表示した(被請求人のいう)アルミの銘板が貼付され(以下「上部表示」という。)、同じ面の下部にも「PRIME CORPORATION」「MADE IN JAPAN」「CARD REDER MR−200J」「DC 5/5V 250mA」及び「No 200677」の文字を表示した隅丸の長方形の(被請求人のいう)アルミ銘板が貼付されている(以下「下部表示」という。)。しかるところ、商品の出所表示をどのように表示しようと、それは商品を取り扱う者の自由な意図に任されているとはいえ、商品の同じ面、それも裏面にそれぞれいずれも商品の出所表示としては十分といえる上部表示と下部表示を重複して貼付することは、商品の出所表示の方法としては不自然であるばかりでなく、それぞれの貼付態様をみても、上部表示の輪郭には、この線に沿って切り取ったのではないかとしかみられない線の痕跡が残っており(写真4)、また、下部表示にもその輪郭(隅丸の長方形)の背後に、四隅が直角の長方形の痕跡が明瞭に残っている(写真5)。もっとも、写真(4)における線の痕跡は、被請求人のいうアルミの銘板の厚みが影となって生ずる場合もあるが、その場合の影は、光の当たっている方向と逆の方向の線として表れるところ、写真(4)における線の痕跡は、四の辺に等しく残っている。したがって、写真(4)における線の痕跡は、銘板の厚みによって生じたものではないといわざるを得ない。
以上の事実に照らすと、上部表示は、本来何の表示もなかった部位に後から貼付されたものと、また、下部表示は既に表示されていた何らかの表示を剥がして、新たに貼付したものとみざるを得ない。しかして、かかる行為が実際に行われたとしても、これが本件審判の請求の登録前3年以内に行われていたことを示す証拠はなく、また、かかる行為を執らなければならなかったことを正当付ける証拠もない。したがって、乙第8号証は、真正に成立しているものとは認められない。してみれば、乙第8号証は、上部表示と下部表示(これらさえ本件商標の社会通念上同一といえる範囲のものとはいえないが)の使用商品「磁気カードリーダー」についての使用を立証するものということはできない。しかして、使用商品「磁気カードリーダー」についての上部表示と下部表示の直接的な使用を立証しようとする乙第8号証が上記のとおりのものであってみれば、乙第8号証における磁気カードリーダーについての(株)浅沼商会(東京都千代田区平河町2−3−7在、以下「浅沼商会」という。)のパンフレットであるとする(乙第3号証)、同じくこれの使用状態を示す写真であるとする(乙第4号証)、同じくこれの(株)プライムのパンフレットであるとする(乙第5号証)、同じくこれの取引書類であるとする(乙第6号証、同第7号証)も、使用商品「磁気カードリーダー」についての上部表示及び下部表示の使用を立証するものということはできない。他に、使用商品「磁気カードリーダー」についての上部表示と下部表示の使用の事実を認めるに足りる証拠の提出はない。
(オ)以上によると、本件商標は、本件審判に請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、請求に係る指定商品のいずれについても使用されていなかったものといわざるを得ない。
請求人は、本件審判請求は、その理由がないので棄却する、審判費用は、請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第8号証を提出している。
(1)被請求人は、磁気カードリーダー、磁気カードエンコーダー、磁気カード分析装置の専門メーカーであり、特許庁で平成11年末までオンライン出願用IDカードの作成に用いられていた磁気カードエンコーダーや、警察庁でクレジットカードやキャッシュカードの偽造防止対策に用いられている最新の磁気カード分析装置は、いずれも被請求人の製品である。そして、昨今は、コンピューターシステム化された医療用のハイテク機器に、その医療用機器で診察、診断、治療等を行う患者のIDカードに記録された個人情報を入力するIDカードリーダーシステムの端末機として、被請求人の製品である磁気カードリーダーが用いられている。その一例として、ジーイー横河メディカルシステム株式会社(東京都日野市旭が丘4−7−127在、以下「GE横河メディカル」という。)が日本国内で販売する米国GE社製の超音波診断装置「LOGIQ 500 PRO series」、「LOGIQ 400 PRO Series」は、そのカタログ(乙第1号証及び乙第2号証)に「DIGITAL ULTRASOUND SYSTEM」と記載されているとおり、コンピューターシステム化された超音波診断装置である。このLOGIQシリーズの超音波診断装置に患者の個人情報を入力する該装置の専用附属品として、浅沼商会が「LOGIQ 用IDカードリーダーシステム」を販売している(乙第3号証)。乙第4号証の写真は、LOGIQ シリーズの超音波診断装置(右側)に、その専用附属品である「LOGIQ用IDカードリーダーシステム」のカードリーダー用パソコンと磁気カードリーダーが接続された使用状態を示すものである。そして、その「LOGIQ用IDカードリーダーシステム」の磁気カードリーダーとして、被請求人の製品である「磁気カードリーダー MR−200J」(乙第5号)が採用されている。すなわち、被請求人の製品である「磁気カードリーダー MR−200J」は、米国GE社製・超音波診断装置(医療用機械器具)の専用附属品として販売されている。
(2)以下、その販売の事実を詳細に立証する。
(ア)まず、浅沼商会の「LOGIQ用IDカードリーダーシステム」のパンフレット(乙第3号証)における「カードリーダーシステム1式」の写真中に在るのが、被請求人のパンフレット(乙第5号証)に掲載された「磁気カードリーダー MR−200J」であり、この「MR−200J」型の磁気カードリーダーが「LOGIQ用IDカードリーダーシステム」のシステム構成機器として販売されていることは、被請求人が浅沼商会からMR−200Jを受注した事実を示す浅沼商会の2001年2月27日付注文書(乙第6号証)と、浅沼商会が「MR−200J」を含む LOGIQ500シリーズ用IDカードリーダーシステムをGE横河メディカルに納入した事実を示す浅沼商会の2001年2月28日付納品伝票(乙第7号証)とにより明かである。
(イ)また、磁気カードリーダー MR−200Jが、「LOGIQ用IDカードリーダーシステム」の構成機器として販売された日、つまり、超音波診断装置の附属品として販売された日は、乙第7号証のとおり、2001年2月28日である。
(ウ)そして、その磁気カードリーダー MR−200Jには、乙第8号証の実物写真のとおり、機体の裏面に銘板(ネームプレート)用の凹みが形成され、その凹みに「PRIME」及び「株式会社プライム」の文字を印刷したアルミ銘板が貼付されている。このアルミ銘板に印刷された「株式会社プライム」の文字は、被請求人の、本件商標における「株式会社プライム」の文字と実質的に同一である。したがって、本件商標は、超音波診断装置の附属品として販売される磁気カードリーダー MR−200Jに使用されているといえる。
(エ)そして、その磁気カードリーダー MR−200Jが超音波診断装置の附属品として販売された日は、例えば乙第7号証のとおり、2001年2月28日であるから、本件商標は、本件取消審判の請求前3年以内に医療用機械器具の附属品について使用されている。
したがって、本件取消審判の請求には理由がないので、その請求は棄却されるべきである。
(1)被請求人は、本件商標の使用に係る商品として、「磁気カードリーダー」を挙げ、その上で、これが超音波診断装置(乙第1号証)の患者の個人情報を入力するための該装置の専用附属品であると主張する。これに対し、請求人は該磁気カードリーダーは、磁気で記録されているデータを入力するために用いられる機器で、種々の機器に用いられる汎用性のある機器であるから、その機器の本質的な要素によって、その属する概念が決定されるべきで、医療用機器に用いられるとしても、電子の作用を応用しているから、電応用機械器具の範疇に属する機器であると主張するので、この点につき判断する。
(2)被請求人提出の乙各号証をみると、以下の事実を認めることができる。
(ア)乙第1号証及び同第2号証は、GE横河メディカルの販売にかかる超音波診断装置の商品カタログと認められ、該装置の商品番号を「LOGIQ 500 PRO Series」及び「LOGIQ 400 PRO Series」とするものである。
(イ)乙第3号証は、前記超音波診断装置に情報を入力するために、磁気カードリーダーを用いることを説明している商品カタログであり、浅沼商会の販売にかかるものである。
(ウ)乙第4号証は、前記超音波診断装置と磁気カードリーダーを撮影した写真であるが、撮影者、撮影年月日等の記載はないものである。
(エ)乙第5号証は、被請求人の販売にかかる磁気カードリーダーの商品カタログであり、その商品番号を「MR−200J」とするもので、商品カタログの裏に本件商標と同一の綴りよりなる「株式会社 プライム」が表示されているものである。
(オ)乙第6号証(注文書)及び同第7号証(納品伝票)は、浅沼商会が、乙第5号証の磁気カードリーダーを被請求人に注文し、GE横河メディカルに販売しているもので、販売時期は、2001年2月27日である。
(カ)乙第8号証は、前記乙第5号証の磁気カードリーダーを撮影した写真であり、該機器の裏に本件商標と同一の綴りよりなる「株式会社 プライム」が表示されている。また、撮影者、撮影年月日等の記載はないものである。
(3)前記(2)で認定した事実によれば、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に、使用に係る商品「磁気カードリーダー」に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していることは認められる。
しかしながら、使用しているとする商品「磁気カードリーダー」は、請求人が主張するように、超音波診断装置の専用部品であることは、提出にかかる乙各号証からは窺うことができない。
すなわち、「磁気カードリーダー」は、磁気カードに記録されたデータ(カードの磁気部分に書かれたデータ)をヘッドで読みとり(スライド式と挿入式がある。)、デジタル信号に変換し、電子計算機に転送(インターフェイスは、パラレル、USB、SCSIのタイプがある。)するための装置と認められる。そして、その用途として種々の機械と接続し、データを読みとるために使用されている(例えば、公衆電話、銀行のCD/ATM(現金自動支払機/現金自動預け払い機)等。)。
また、特許庁編「商品区分解説」(昭和55年4月7日改訂版 社団法人発明協会発行47頁)によれば、商品区分第11類の「電子応用機械器具」は、「電子の作用を応用したもので、その機械器具の機能の本質的な要素になっているものだけが含まれる。」と解され、また、同第10類の「医療用機械器具」は、「医院又は病院で専ら使用される機械器具がこの概念に属する。電子応用のものは、原則としてこの概念から除かれ、第11類電子応用機械器具に属するものであるが、医療機械器具のみは電子応用のものであっても、これに含まれる(例えば、「医療用X線装置」)」と解されているところである。
そうすると、磁気カードリーダーは、読みとったデータをデジタル信号に変換し、転送するという電子の作用がその機械器具にとって本質的な役割を果たすものであるから、電子応用機械器具の範疇に属する商品と認められるものである。
被請求人は、該磁気カードリーダーは、乙第3号証及び同第4号証に示すように、超音波診断装置に使用する機器であるから、医療用機械器具の範疇に属する商品と述べているが、該事実から直ちに超音波診断装置の専用部品であるということもできない。
確かに、磁気カードリーダーが、被請求人の主張するように、超音波診断装置の情報入力用のために使用されることはあるとしても、磁気カードリーダーは前記したとおりであって、必ずしも超音波診断装置のみに使用されるものではなく、他の機械器具に汎用して使用される商品と判断するのが相当である。また、超音波診断装置の専用部品と認めるに足りる証拠は見当たらないこと前記したとおりであるから、医療用機械器具の範疇に属する部品、附属品ということができない。
(4)してみれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品について使用していたものと認めることはできない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、請求に係る指定商品中「医療用機械器具、これの部品および附属品」についてその登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
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