Trademark Appeal Case
技術用語の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成7年審判第25315号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「アンサー」の文字と「バック」の文字を中黒点を介して「アンサー・バック」と表示してなり、第9類「電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、平成5年2月26日に登録出願されたものであり、その指定商品については、平成7年6月8日付の手続補正書により「旅行に関する情報の調査、旅行に関する契約、旅行に関する予約状況の調査、旅行に関する予約手続等の旅行産業に使用する電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープ(その説明書を含む。),システムシュミレーションについての電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープ(その説明書を含む。)」に補正されているものである。
2 原査定の理由
原査定は、「この商標登録出願に係る商標は、指定商品『電子計算機』との関係において、『応答信号』あるいは『データ通信においてデータステーション間の接続の確立を完結するために、呼び出し側のデータステーションの呼び出しに対して受信可能かどうかを返答すること』の意味に通じる『Answerback』の文字の発音を中黒点を介して『アンサー・バック』と書してなるから、本願商標を指定商品中の『電子計算機』に使用しても、需要者をして技術用語を表示してなるものと理解させるに止まり、何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であると判断される。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨の理由で本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
コンピューターシステムを利用したデータ通信などにおいて、データ機器間の接続の確立を完結するために、呼び出し元の機器に対して、呼び出しを受けた側の機器が受信可能であることの応答処理を行う旨のことを「answerback、アンサバック」と称していることが認められるものである(「英和コンピュータ用語大辞典第2版」1996年7月22日 日外アソシエーツ株式会社発行)。
また、コンピューターシステムにおいて、これにアクセスしようとしている利用者の身元を、コンピューターシステムからの質問にパスワードを入力するなどして答えることで確認する旨の方法が「アンサバック(answerback)」と称されることが認められるものである(「情報処理用語大事典」平成4年11月25日 株式会社オーム社発行)。
さらに、非常災害情報等の無線システムにおいて、受信機側が、送信機側に情報を受けたことを知らせる信号を発することで、そのシステムが正常に働いたかどうかを確認する旨のシステムが「アンサーバック」と称されていることが認められるものである(日経新聞1985年9月3日地方面東北A版、毎日新聞1988年10月30日東京版朝刊)。
してみると、「アンサバック」「アンサーバック」「answerback」の語は、コンピュータシステムや通信システムにおいて、情報を受けたときに、相手側の機器に応答データを発信することで、相手の確認や情報伝達の確認をすることを指称するための技術用語であることが認められ、また、そのようなシステムを指称する語として実際に使用されているということができるものである。
加えて、「answerback」の英語は、「回答、反応」などの意味を有する語であることが認め得る(「新英和中辞典」1988年 株式会社研究社発行)ことから、その表音である「アンサーバック」の語が一体的に把握・認識されることがあるといい得るものである。
そうとすれば、「アンサー」と「バック」の文字の間に中黒点を介した「アンサー・バック」との構成よりなる本願商標が、全体として把握されるときには、看者をして、「アンサーバック」の語を認識させることは決して少なくないというべきである。
しかも、本願指定商品は、補正されてはいるものの、通信を含めた情報のやりとりを、コンピュータで制御する場合における、当該コンピューターシステムを稼動させるためのプログラムを記憶させた電子回路を含むものであって、コンピュータシステムを使用した情報の交換をコントロールするための商品といえるものである。
してみれば、前記した「answerback」、「アンサバック(この語は『アンサーバック』の語と同義語と判断される。)」という技術用語の存在、「アンサーバック」の語の使用事実からすれば、本願商標をその指定商品に使用するときには、取引者・需要者は、それが、指定商品に関係のある技術用語(コンピュータシステムや通信システムにおいて、相手側の機器に応答データを発信することで、相手の確認や情報伝達の確認をすることを指称する語)が表示されているとの理解をするとみるべきであって、自他商品を識別するための標識を表示したとは認識しないというべきである。
したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標といわなければならない。
なお、請求人は、本願商標に関連する商標が米国では登録されている旨述べ、また、他の審査例を提示し、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当しない旨主張し、さらに、本願商標は、請求人の使用する商標として周知であって、商標法第3条第2項の要件を備えている旨主張して、証拠方法として甲第1号証ないし同第25号証(枝番を含む。)を提出している。
しかしながら、商標の識別性に関する、米国と我が国の商標法上の規定が同じものとはいえないことから、米国の審査例をもって本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当しないとすることはできないものである。
また、提示の審査例は、本願商標と、その構成態様を異にする商標の審査事例であって、これをもって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当しないとの証左ということはできない。
さらに、請求人が、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を備えている旨主張して提出した各甲号証についてみるに、甲第12号証及び同第13号証は、アメリカン航空社の著名性を主張するためのものであり、また、甲第15号証ないし同第25号証は、旅行業を営む者(会社)による証明(なかには証明者の捺印が無いものもある。)であって、これらの各号証をもってしては、本願商標が、その指定商品に関する取引者・需要者の間で何人かの業務に係る商品であることを認識できる状態に至っているとは認め難いものである。
また、甲第14号証(枝番を含む。)についてみるに、本願商標を構成する「アンサー・バック」の語は、「トータル・アクセス」という名称の情報処理機能の一機能を称するものとして使用されているものであって(甲第14号証の1第2葉、同号証の2「基本機能は?」の頁 外)、本願商標が、その指定商品たる「旅行産業に使用する電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク」等に使用されているとの証左は見いだし得ないものである。
したがって、これらの各甲号証をもってしては、本願商標が、その指定商品との関係において、商標法第3条第2項の要件を備えているとするに十分なものということはできないものである。
してみれば、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとした原査定は妥当なものであって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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