Trademark Appeal Case
役務の質表示の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2000−20015(T2000−20015/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
この出願に係る商標(以下「本願商標」という。)は、「コンプライアンスオフィサー認定試験」の文字を横書きしてなり、第41類に属する願書記載のとおりの役務を指定して、平成11年5月31日に登録出願、その後、指定役務については、平成12年9月19日付の手続補正書により、「金融業務関連の通信教育,金融業務関連の検定試験,金融業務関連の研修会の企画・運営又は開催,技芸・スポーツ又は知識の教授」とする補正がされたものである。
2 原査定における拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『(証券業者・金融期間内の)特別監査責任者(「compliance officer」)の資格を認定する試験』の意味合いを認識させるところの『コンプライアンスオフィサー認定試験』の文字を書してなるものであるから、これを本願指定役務に使用するときは、上記内容に照応する通信教育・検定試験・研修会などと認識され、単に、役務の質・内容を表示するものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、「コンプライアンスオフィサー認定試験」の文字よりなるところ、構成中冒頭の「コンプライアンス」、中段の「オフィサー」及び後半の「認定試験」の各文字部分は、「(命令・申し出・要求などに)従うこと、服従、遵守(compliance)」、「士官、将校、(法)の執行吏(officer)」及び「ある事実や資格の有無、事柄の当否などを判断して決定する試験」の意味合いを容易に理解させるものである。ところで、「コンプライアンス」の語は、近時の企業経営或いは事業運営においては、「法令等遵守」の意味合いで普通に用いられる経営用語であることは、例えば、以下の当該インターネットのホームページ情報よりその状況を伺い得るところである。
(イ)「ビジネスの社会では、企業活動が、法令や社会規範に適合しているという意味で使用され、健全な企業活動を行う上でコンプライアンスは大変重要な意味を持っています。」(http://www.e-somu.com/qa/backno/2002/01/08.html)
(ロ)「コンプライアンスとは、法令はじめ金庫内の諸規定さらには社会規範、社会通念、倫理を含むあらゆるルールを遵守することです。当金庫では、より高いレベルのコンプライアンス態勢を実現させるため、コンプライアンス基本方針、行動基準を理事会において制定し、さらには具体的な実践計画に基づき、コンプライアンス・マニュアルの制定、諸規定の整備、各種研修など、職員の指導教育に取り組んでおります。(中略)当金庫は、信用金庫の社会的責任と公共的使命を常に自覚し、コンプライアンスを経営の最重要課題の一つとして位置づけ、健全経営に徹していく方針です。」(http://www.tomashin.co.jp/compraience.htm)
また、「コンプライアンス」の文字と「オフィサー」の文字とを連結した「コンプライアンスオフィサー」(compliance officer)の文字(語)は、社内規定・法律に従って職務遂行をしているかを、チェックする専門職制」(「現代用語の基礎知識」2001年版、1449頁)を意味し、例えば、金融・証券業界等の分野においては、不正行為の監視、経営の透明性、企業の信用等を念頭にした制度として理解されるものであること、また、これが当業界においてすでに取り入れられ、かつ、当該専門職制又はその制度を指称するものとして一般に通用している状況があることは、以下の一般新聞の掲載記事及び当該関連業界に関わるインターネットホームページ情報により、これを認めることができる。
(a)三井物産は、(中略)各商社は法令順守(コンプライアンス)に力を入れている。住友商事は、昨年11月にコンプライアンス委員会をつくった。(中略)三菱商事も、社内の8部門でコンプライアンスオフィサーを選び、全社を統括する責任者の副社長とともに、社内で不正行為がないか監視したり、不正行為が起きた際の対応に当たったりすることにしている。物産もコンプライアンス委を設けているが、機能しなかったようだ。(2001.06.05 朝日新聞 東京朝刊 11頁)
(b)一般的に米国型の特色と思われているのは、より弾力的な雇用・給与体系や、社外重役・執行役員・外部監査・コンプライアンスオフィサー制度等に見られる経営の透明性や説明責任の重視、株主の資産価値上昇を第一に考える経営方針などである。(1999.08.30 読売新聞 東京朝刊 1頁)
(c)大和証券の原良也新社長は、(中略)総務管理室には、専任の役員、室長に、弁護士などによる「コンプライアンスオフィサー」(法令順守要員)を加え、違法取引に対するチェックを強化するとともに、捜査当局への連絡などを徹底し、総会屋、暴力団などとの関係を断絶する。(1997.10.01 読売新聞 東京朝刊 13頁)
(d)西京信用金庫では、金融検定協会で最も難関とされている金融法務の上級試験『シニア・コンプライアンス・オフィサー』の資格取得者が141名に上っています(平成13年6月29日現在、全金融機関中35位、全国信用金庫中13位)。当金庫では、シニア・コンプライアンス・オフィサーの資格取得者を営業店ならびに本部の各部に平均して3名配置し、日々の営業活動に必要な金融法務を職場に浸透させるように努めております。(http://www.shinkin.co.jp/saikyo/houreizyunsyutaisei.htm)
(e)《基礎実務試験、預金中級・融資中級試験、上級実務試験、シニアコンプライアンスオ フィサー》と任意検定試験《アシスタントファイナンシャルアドバイザー、法務・税務3級等》があります。(http://www.shinkin.co.jp/kiryu/saiyo/kenshu.htm)
(f)本検定試験は、全銀協をはじめ各協会の法令遵守申合せのルールならびに金融庁から公表された金融検査マニュアルに則り、コンプライアンス・オフィサーや同担当者として必要な法令等の知識や法的判断能力の有無を判定するものであり、(中略)また生命保険会社職員向けのICOと併せて、合計4コースを用意しています。(http://www.bsig.ne.jp/kinken/cp_o_exam.html)
(g)コンプライアンス・オフィサー(銀行コース)試験問題集 重点整理と実践演習 2001年度版 著者: 出版社:金融財政事情研究会。 本書は、「コンプライアンス・オフィサー(銀行コース)」の受験生の学習の利便を図るためにまとめた問題解説集。(http://shopping.yahoo.co.jp/shop?d=jbid=30817768)
(h)ACO(アシスタント・コンプライアンス・オフィサー)検定試験模擬問題集 金融検定協会認定 2001版 / 石井真司/監修 。(http://shopping.yahoo.co.jp/shop?d=jb=30881357)
以上によれば、「コンプライアンスオフィサー認定試験」の文字よりなる本願商標からは、全体として「法令等遵守監視員(専門職制)の資格認定試験」の意味合いを容易に感得・理解し得るものであり、また、特に昨今の金融、証券業界においては、これら職制を不正行為の監視、経営の透明性、信用維持等の要請から事業経営又は企業活動上の枢要な部分と位置づけ、活用している状況が顕著であり、かつ、同職制に従事する担当者(人材)を育成・養成の目的から、業界内の任意の団体等により、その資格認定・試験を行っているのが実情である。
そうとすれば、本願商標をその指定役務である「金融業務関連の通信教育,金融業務関連の検定試験,金融業務関連の研修会の企画・運営又は開催,技芸・スポーツ又は知識の教授」について使用した場合、これに接する需要者、取引者は、前記事情よりして、全体として、社会的に重視されている資格認定試験の一種としての「法令等遵守監視員(専門職制)の資格認定試験」又はその関連業務に関わること、即ち、当該資格認定に関わる役務の質(内容)を端的に表示したものと理解するに止まり、これをもって自他役務の識別標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。また、これを前記資格認定に関わる役務以外の役務について使用したときは、役務の質(内容)について、誤認を生じさせるおそれがあるといわなければならない。
請求人は、「本願商標は、出願人が創造した造語であり、当該役務の質・内容を表示するものではない」旨主張しているが、前記金融業務に関わる経営事情並びに人材要請事情等よりして、本願商標は当該役務の質(内容)を表示するとした前記認定を相当とするから、その主張は採用することができない。
〈結論〉
以上のとおり、本願商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものといわざるを得ないから、これと同旨の理由をもって本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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