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Trademark Appeal Case

略称の記述性と識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第6470号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、商標の構成を「エンセキカイロ」の片仮名文字とし、指定商品を第11類「かいろ,化学物質を充てんした保温保冷具」として、平成9年9月26日に登録出願されたものである。

指定商品については、本審判請求(平成11年4月17日)と同日付の手続補正書をもって「使いすてカイロ,化学物質を充てんした保温保冷具」と補正されている。

2 原査定の拒絶理由

原審は、「本願商標は、指定商品との関係においては『遠赤外線』を認識させる『エンセキ』の文字と『カイロ』の文字を『エンセキカイロ』と書してなるものであるから、これをその指定商品中『かいろ』について使用するときは、『遠赤外線を使用したかいろ』であることを表示するものと理解されるに止まり、単に商品の品質を表示するにすぎないものとし、これ以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるとして、本願商標を商標法第3条第1項第3号及び同法4条第1項第16号に該当する。」旨の拒絶理由を示した。そして、大旨、「本願商標の構成中『エンセキ』の文字は、特定の意味合いを導きだせるものでない表音文字であり、それに続く『カイロ』の文字が『懐炉』を意味する語であるとしてもこれらの文字を結合してなる本願商標からは、審査官説示の如きに、その指定商品中『かいろ』の品質を表すものでないから、充分自他商品識別の機能を具有し、また、該商品以外の商品に使用してもその商品の品質の誤認も生じるおそれはない。」と述べる出願人の意見に対しても「例えば、『遠赤焙煎、遠赤こたつ』等のように遠赤外線を使用した商品に『遠赤』の文字が使用され、該文字が遠赤外線を表す語として使用されていること、熱すると遠赤外線を大量に放出するセラミックスがあり、暖房器具等に使用されていることからすると、本願商標中『エンセキ』の文字は『遠赤』すなわち『遠赤外線』の意を理解させるものといえる。」旨述べ上記の理由によって、本願を拒絶したものである。

3 審判請求の理由

請求人(出願人)が請求の理由において要旨述べるところは、広辞苑(第五版)をみても、「遠赤外線」を「遠赤」と略称されていることもなく、まして表音文字で「エンセキ」と片仮名で略称している事実は全く見当たらないものである。本願商標は、「エンセキカイロ」と片仮名文字すなわち表音文字であり、該商標中「エンセキ」(えんせき)の音を生じる語では、ちなみに、「円石」「宴席」「筵席」「遠戚」「塩析」「緑石」「縁戚」及び「燕石」等の観念があるものである。

しかして、本願商標「エンセキカイロ」の文字を看るに、原審指摘の「エンセキ」の片仮名文字から殊更「遠赤」を導きだして、更に「遠赤外線」を意味するとしているが、何故に上述の各種のいろいろな意味合いを有するにもかかわらず、また「遠赤外線」を「遠赤」が出てくるのか理解できない。

「遠赤外線」は、〔非金属無機材料を成形・焼成してなるもの〕であるのに対して、本願指定商品は、〔いずれも金属物質を使用しているものである。〕すなわち、「使いすてカイロ」(主たる原材料は、鉄粉に水を加えてその時に腐食(錆びる)するときに生じる熱を利用するものである。)又「化学物質を充てんした保温保冷具」についても、これも主原料は有機物質であることは明らかであって、本願の指定商品中には、始から「遠赤外線」を持ち込む余地がない商品である。

したがって、本願商標は一種の造語として認識され、これを上記指定商品に使用しても、これを一般取引場裡においても、また、この種の業界においても、本願商標を商品の品質を表示するものとして普通に使用されている事実は見当たらない。

してみれば、本願商標は、指定商品の品質を表すものでないし、その商品の誤認もないと思料され、本願商標を本願の指定商品に使用しても自他商品の識別標識としての機能を充分に果たすものであると確信するから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号にも該当しないものである。と主張するものである。

4 当審の判断

(1)本願商標は、その構成前記のとおり「エンセキカイロ」の文字よりなるところ、指定商品との関係からみて、構成後半の「カイロ」の文字部分は、商品「懐炉(かいろ)」を理解し、これに「エンセキ」の文字を冠したものと看取させるものであり、該「エンセキ」の文字は「遠赤外線」の略称「遠赤」の文字を片仮名表記したものと容易に認識できるものというのが商取引の実情に即するといえるものである。

そうすると、本願商標をその指定商品「使いすてカイロ」に使用する場合、これに接する取引者・需要者は、「遠赤外線を応用するかいろ」程度の意味合いを理解し、原材料の一に遠赤外線を放射する物質が含まれている「かいろ」であること、すなわち商品の品質を表示するものと理解するに止まり、商品の識別標識として認識するものといえないというのが相当である。

(2)請求人(出願人)は、「エンセキ」の文字から「遠赤」さらに「遠赤外線」を導き出すことは理解できない旨主張する。

そこで、「エンセキ(遠赤)」の文字(語)について、一般紙又は産業分野の新聞記事をみると、例えば、1988年6月09日付日経流通新聞には、「ドライバーの腰ホンワカ、丸詔(新製品)」とする記事見出しの下、「車のシートで使える遠赤外線カイロ『エンセキカイロ』。・・・」との記述、また、1991年10月03日付毎日新聞東京夕刊には、「どっこい健在、エンセキ〈遠赤外線〉商品 科学的に未解明・・・、だから売れるんです」とする記事見出しの下、「・・・昭和パッケージ工業がエンセキ商品を初めて開発したのは87年。第1号は、セラミックスの粉をポリエチレンの袋の表面に加工処理した『新鮮警備袋』で・・・。・・・ポッカコーポレーションは87年、遠赤外線で焙煎した豆を使った・・・エンセキ缶コヒーはこれで10種類になった・・・。・・・『科学的に未解明であることが、いまだにエンセキ商品を続々と生む背景となっている』と指摘するのは財団法人・遠赤外線産業協会の塩田政利専務理事・・・」との記述がある。

そして、各種企業の製品を紹介する雑誌及びいわゆるインターネットの情報によれば、例えば、「遠赤綿使用の高性能こたつ布団」の紹介記事中で「・・・遠赤外線効果で体を芯からから温めるという、遠赤綿(ポリエステル)を使用する・・・」(サライ1999年第22号)、「第5回遠赤外線で保温」の紹介記事中で「・・・あったか靴下 マソックスは、遠赤効果の高いアクリル素材を使用・・・」(週刊現代平成11年2月27日発行)、「ほっとスパ!とは?」を表題とするインターネット情報(http://www.soilick.com/zabuton/hot_spa.htm)では商品内容を紹介する箇所に「エンセキセラミックス」の文字、「アルキャストの遠赤外線応用製品」を表題とするインターネット情報(http://www5b.biglobe.ne.jp/^chd-8-14/alcast.htm)では商品紹介に「遠赤ECOヘルスパック(カイロ用ベルト)14,000円エンセキセラミックス」の掲載、さらに、「【楽天市場】今!このGOODS!」を表題とするインターネット情報(http://www.rakuten.co.jp/uyeki/422600/434738/)では商品紹介に「★使い捨てカイロ ほっこり『天然系の遠赤外線』」の掲載等がされているところである。

以上によれば、「エンセキ(遠赤)」の文字は、健康グッズを取り扱う業界においては「遠赤外線」、すなわちその効果は科学的に未解明であるとしても、保温性・鮮度保持などの機能、効能等の品質を表すものと容易に理解され、かつ、普通に用いられる文字とみて差し支えないものと認められるものである。

(3)結局、本願商標は、片仮名表記とはいえ、「遠赤外線」の略称である「遠赤」の文字を片仮名表記したものと容易に理解させる「エンセキ」の文字と、商品名を表した「カイロ」の文字とを結合し「エンセキカイロ」と表記してなるものであって、これより全体として「遠赤外線を応用するかいろ」の意味合いを認識するにすぎないものであるから、本願商標をその指定商品中の「使いすてカイロ,化学物質を充てんした保温具」に使用するときは、前記事情よりして商品の機能、効能(品質)を端的に表現したものと理解させるに止まり、これをもって商品の出所識別の標識とは認識し得ないものといわなければならない。 また、これを遠赤外線を応用しない商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。

してみれば、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものというべきであって、これと同趣旨の理由をもって本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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