結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2001−35335(T2001−35335/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4292571号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成10年3月16日に登録出願、商標の構成を「ワールドローム」の文字(標準文字)とし、指定商品を第9類「理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,眼鏡,加工ガラス(建築用のものを除く。),救命用具,電気通信機械器具,レコード,メトロノーム,電子応用機械器具及びその部品,オゾン発生器,電解槽,ロケット,遊園地用機械器具,スロットマシン,運動技能訓練用シミュレーター,乗物運転技能訓練用シミュレーター,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,鉄道用信号機,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,事故防護用手袋,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,消防艇,消防車,自動車用シガーライター,保安用ヘルメット,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,磁心,抵抗線,電極,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,ガソリンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,計算尺,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,潜水用機械器具,アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,家庭用テレビゲームおもちゃ,検卵器,電動式扉自動開閉装置」として、平成11年7月9日に設定の登録がされたものである。
請求人が本件商標の登録無効を述べる理由に引用する登録第1576656号商標(以下、「引用A商標」という。)は、昭和54年8月31日に登録出願、商標の構成を後掲(1)に示すとおり、「ローム」、「Rohm」の各文字とし、指定商品を第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」として、昭和58年3月28日に設定の登録がされ、その後、平成5年4月27日に商標権存続期間の更新登録がされているものである。
同じく、請求人が引用する商標(以下、「引用B商標」という。)は、商標の構成を後掲(2)に示すとおり、「ROHM」(構成各文字は肉太にかつやや変形させて特徴的に表現されている。)の欧文字とするものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第16号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)無効理由について
本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第11号及び同第15号の各規定に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項により、無効とされるべきである。
(2)引用B商標及び「ローム」標章の著名性について
(a)引用B商標及び請求人名称の使用
請求人は、1981年(昭和56年)に「株式会社東洋家具製作所」から「ローム株式会社」に商号変更した東京証券取引市場第1部上場の電子部品メーカーである。そして、引用B商標は、請求人の代表的出所標識として、1979年(昭和54年)以来、20年以上の長きにわたり、継続して「半導体素子・集積回路等の電子部品」に使用されている(甲第3号証、甲第4号証)。以下、引用B商標及び請求人名称の「ローム」なる略称の著名性について立証する。
(b)宣伝広告費
例えば、平成9年4月から平成12年3月の期間における引用B商標を使用した「半導体素子・集積回路等の電子部品」(以下、「ROHM商品」という。)の宣伝広告費は、甲第5号証の1ないし同3のとおりである。
(c)テレビコマーシャルの放映
遅くとも1998年(平成10年)4月以降、現在に至るまで、ROHM商品のテレビコマーシャルが全国的に放映されている(甲第6号証の1ないし同8)。このテレビコマーシャルは、朝、昼、夕方、夜間のいずれの時間帯にも繰返し放映されており、引用B商標のみならず、「ローム」なる請求人名称の略称がその画面に表れている。かかるテレビコマーシャルを通じて、請求人が電子部品メーカーであり、「ローム」と指称されていること及び引用B商標が請求人の代表的出所標識として「電子部品」に使用されていることが、「電子部品」の取引者・需要者に限らず、広く一般視聴者の間で認識されていることが容易に推認される。
(d)新聞広告の実施
請求人は、遅くとも昭和55年4月から現在に至るまで、甲第7号証の1ないし同7に例示するようなROHM商品の広告を「朝日新聞」、「日本経済新聞」等の全国紙や「京都新聞」等の地方紙の紙上で繰返し行っている。
(e)ROHM商品の売上高
ROHM商品の1979年から1999年に至るまでの売上高の推移は、請求人会社概要の表に示すとおりである(甲第3号証)。この表より明らかなように、引用B商標の使用開始時(1979年)に約200億円であったROHM商品の売上高は、順調に右肩上がりに推移し、本件商標の出願(平成10年3月16日)がなされた1997年度には2,700億円を超え、さらに、本件商標の登録査定(平成11年5月13日)がなされた1999年度には、3,000億円を超えている。
(f)ROHM商品の市場におけるシェア
請求人は、わが国で広く知られている京セラ、TDK、アルプス電気、村田製作所等に並ぶ、わが国の代表的な電子部品メーカーである。このことは、平成11年及び同12年に、ROHM商品のシェアが電子部品市場で第5位、半導体市場で第7位であることを示す甲第9号証の1ないし同5の新聞記事から明らかである。
(g)引用B商標及び「ローム」に化体する高いグッドウィル
日本経済新聞社が、平成11年11月及び平成12年11月に国内有力企業約250社を対象に行なったアンケート調査の結果「企業ブランドスコア・ランキング」によれば、請求人会社は、製品の品質、技術開発力、信用度等の総合評価で第37位(平成11年)、第34位(平成12年)に位置している(甲第10号証の1及び2)。この事実は、請求人会社が少なくとも「電子部品」の分野において高いグッドウィルを有していることを示しているに他ならない。そして、上記で述べたとおり、引用B商標は20年以上の長きにわたり、請求人の代表的出所表示として使用されているから、請求人に係る高いグッドウィルが引用B商標に化体していることは明らかである。
(h)請求人の海外拠点
請求人会社概要(甲第3号証)に示されているとおり、請求人は、米国、ヨーロッパ、アジアに各1ヶ所ずつ開発拠点をも有し、製造拠点を米国に1ヶ所、アジアに8ヶ所を有している。加えて、請求人は、米国、ドイツ、イギリス、フランス、シンガポール、台湾、マレーシア、韓国、フィリピン、中国、タイに合計17ヶ所の営業拠点を有し、世界規模で「電子部品」についての営業活動を行ない、ROHM商品は、世界各国に販売されている。
(i)外国における商標登録
引用B商標若しくはこれと実質的に同一の商標は、オーストリア、ドイツ等の諸外国において商標登録されている(甲第11号証の1ないし同43)。
かかる諸外国での商標登録の事実と上記(h)「請求人の海外拠点」で述べた事実とを合わせ考えれば、請求人は、世界規模で「電子部品」の販売活動を行なっている世界の電子部品メーカー「ローム」としてわが国の需要者・取引者の間で認識されていることが容易に窺える。
(j)小括
以上より、本件商標の出願日(平成10年3月16日)前より、その登録査定時(平成11年5月13日)は言うまでもなく現在に至るまで、引用B商標及び請求人名称の「ローム」なる略称が「半導体素子・集積回路等の電子部品」について著名であることは明らかである。
(3)商標法第4条第1項第8号について
上記で詳述、立証したとおり、請求人は世界的にきわめて著名な電子部品メーカーであり、「ローム」なる文字は、請求人の著名な略称である。
一方、請求人の「ローム」なる略称の世界的な著名性に鑑みれば、「世界」を意味する外来語「ワールド」(甲第12号証〜甲第14号証)と「ローム」なる文字を結合してなる本件商標に接する需要者等は、本件商標より容易に世界的に事業活動を展開する請求人会社を想起、連想し、「世界のローム」なる観念を容易に看取する。したがって、本件商標は、請求人の名称の世界的に著名な略称を含むものである。
(4)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、「世界」を意味する外来語「ワールド」と、本件商標の出願日(平成10年3月16日)前から登録査定時(平成11年5月13日)は言うまでもなく現在に至るまで世界的にきわめて著名な請求人の略称である「ローム」とを結合させてなる。よって、本件商標は「世界のローム」なる観念を生じ、看者をして世界的に事業活動を展開している著名な請求人会社を容易に連想、想起させる。
したがって、本件商標がその指定商品に使用された場合には、あたかも請求人の業務に係る商品であると誤認したり、あるいは、請求人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同するおそれがある。
(5)商標法第4条第1項第11号について
引用A商標の構成中、「Rohm」なる欧文字は、請求人が20年以上の長きにわたり使用している引用B商標と社会通念上同一であり、引用A商標の「ローム」なる片仮名は、当該欧文字部分の表音語であると同時に請求人名称の著名な略称を表すものである。
一方、本件商標は、「世界」を意味する外来語「ワールド」と、引用A商標の上段に書されている請求人名称の世界的にきわめて著名な略称「ローム」とを結合させてなるものである。そして、本件商標は、「世界のローム」なる観念を生じ、世界的に事業活動を展開している請求人会社を指称するに止まる。また、本件商標と引用A商標の指定商品は一部において同一又は類似である。
そして、本件商標は、「指定商品又は指定役務について需要者の間に広く認識された他人の登録商標と他の文字又は図形等とを結合した商標」といえるから、引用A商標と類似のものとすべきである。
被請求人は、何ら答弁するところがない。
本件商標は、商標の構成を「ワールドローム」とし、第9類所属の各商品を指定商品とするものであること前記のとおりである。
請求人は、商標法第4条第1項第8号、同第11号及び同第15号該当を理由に本件商標の無効を述べ、甲各号証を提出している。そこで、まず、同法第4条第1項第8号の点について、以下、検討する。
(1)請求人会社並びに同人に係る「ローム」標章について
甲第3号証(2000年10月制作とする請求人に係る「会社概要」)及び甲第4号証(2000年6月制作「記載内容は1996年10月31日現在のもの」とする同「会社案内」)によれば、請求人「ローム株式会社」(ROHM CO., LTD)は、1981年(昭和56年)にその前身会社である「株式会社東洋家具製作所」から現会社に商号変更し、1989年に東京証券取引市場第1部に上場された電子部品メーカーであり、国内の全域レベルに亘ってその営業・開発・製造・物流拠点を置き、かつ、東南アジア各国・米国・欧州各地にもその営業・開発・製造の拠点を持ち、1998年度(平成10年度)の売上高はすでに2.663億円(単独決算)を超える実績を示し、従業員数は2000年度で2.500人以上とこの種電子部品メーカーでは国内有数の規模を保有する企業と認められる。
そして、現商号に変更した当時から現在に至るまでの間、一貫して、その製造・販売に係る半導体、集積回路その他の電子部品について使用し、すでに著名性を獲得し得たものというべき「ROHM」(ローム)の欧文字よりなる商標(構成各文字は肉太にかつやや変形させて特徴的に表現されている。)(引用B商標)の印象と相俟って、その呼称名であり、かつ、会社名称の略称である「ローム」の標章は、請求人事業に係る業務全体を表象するいわば代表的出所標識として、前記同様に永続使用されていることが認められる。
また、甲第5号証の1(1998年9月18日発行の日経広告研究所編集「有力企業の広告宣伝費」)によれば、平成9年度の請求人会社に係る広告宣伝費は23億6千万円と相当程度の広告活動を行っていたことを窺わせる。
さらに、甲第7号証の1ないし同5(平成6年11月13日、同7年9月23日、同8年5月25日、同9年3月29日及び同10年1月24日発行「朝日新聞」の広告記事)によれば、請求人に係る会社名称、引用B商標及び当該広告文の掲載と共に「半導体メーカー・ローム」、「ローム生産品目」の如く、「ローム」の標章が屡々広告掲載されていたことが認められる。
以上によれば、請求人の提出に係る上記証拠並びにその主張の全趣旨とも併せ考慮するに、「ローム」の文字(標章)は、本件商標の登録出願時(平成10年3月16日)を含むその登録査定時(平成11年5月13日)前において、すでに、請求人の会社名称の略称として半導体等の電子部品業界を中心に我が国産業界において広く知られていたものと判断するのが相当である。
(2)本件商標について
本件商標は、前記のとおり「ワールドローム」の文字よりなるところ、構成中、前半の「ワールド」の文字部分は、「世界」(World)を意味する平易な外来語であるのに対し、同後半の「ローム」の文字部分は、前記認定の特定人に係る会社名称(著名な略称)ないしはその事業関連業務を想起させる場合を除いては、直ちに特定・固有の意味合いを看取し得ないものとみるのが相当であるから、本件商標はこれら両文字の結合よりなるものと容易に認識し把握されるとみるのが相当であって、ほかに、これら文字を常に一体不可分のものとして認識し、把握しなければならないような特段の理由は見出せない。
進んで、本件商標の指定商品である第9類所属の各商品は、いずれも産業上の利用に供される商品であって、前記請求人に係る取り扱い商品とは直接・間接に関連性を有するものといえるから、本件商標に接する取引者、需要者は前記各事情よりして、構成中の「ローム」の文字部分より容易に前記認定の請求人に係る業務ないしはその名称の著名な略称を想起するとみるのが相当である。
(3)結論
以上のとおり、「ローム」の文字(標章)は、本件商標の登録出願前すでに我が国産業界において広く知られた請求人会社名称の著名な略称と認め得るものであり、かつ、本件商標は、その構成中にこの標章を含むものといわなければならない。
被請求人は、請求人の述べる前記各主張に対して答弁していない。
そうすると、本件商標は、他人の名称の著名な略称を含むものであり、かつ、その登録に関し、当該他人の承諾を得た事実も見出せないから、結局、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものといわざるを得ない。
してみれば、本件商標の登録は、商標法第46条第1項により、これを無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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