結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2000−31164(T2000−31164/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第2355783号商標(以下、「本件商標」という。)は、「アドミラル」の片仮名文字と「ADMIRAL」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり、昭和63年3月3日に登録出願、商品及び役務の区分を第23類とし、願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成3年11月29日に設定登録、その後、平成13年7月17日に商標権存続期間の更新登録を経て、指定商品並びに商品の区分については、第14類「時計,時計の部品及び附属品」とする書換登録が、平成14年1月16日になされているものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べている。
請求人が調査したところ、本件商標は日本国内でその指定商品について、商標権者によって継続して3年以上使用された事実がない。また、本件商標の登録原簿には、専用使用権又は通常使用権の設定の記録はなく、他に商標権者の許諾を得て使用している者も見出せなかった。したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(1)乙第1号証は、1992年度用の輸入時計総合カタログであり、審判請求登録前3年以内の使用を立証するものではない。
(2)乙第2号証は、本件審判請求登録後の平成12年12月11日現在の在庫を証明するものであり、審判請求登録前の在庫を証明するものとは認められない。すなわち、同号証の写真に現れている腕時計が、本件審判請求登録前3年以内における在庫品であることを確認するに足る事実は立証されていない。
(3)乙第3号証は、雑誌「NUMBER/ナンバー」の抜粋記事であり、本件審判請求登録前3年以内に本件商標が腕時計に使用されていたことを証明するものではない。また、本件商標の「Admiral」は15年を振り返る記事の中で紹介されているのみであるから、同記事は販売を目的とした広告と認めることはできない。
(4)乙第4号証は、コルム社のカタログであるが、コルム社が本件登録商標の商標権者、専用使用権者、または通常使用権者のいずれかに該当することは証明されていない。しかも、同号証には使用時期についても記載されていない。
(5)乙第5号証の1(乙第5号証の2)は、コルム社の商品輸出インボイスであるが、コルム社が本件商標の商標権者、専用使用権者、または通常使用権者のいずれかに該当することは証明されていない。しかも、同インボイスの発行は1996年であるから、本件審判請求登録前3年以内の使用を証明するものではない。
被請求人は、「本件審判の請求は、成り立たない。審判費用は、請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証を提出している。
そして、「審判事件答弁書(3)」を提出し、審判手続において、主要事実・間接事実や直接証拠・間接証拠に関する「民事訴訟法」の諸規定は準用ないし類推されて適用されるから、本件審判事件にも適用され、商標法第50条第2項に規定される「審判請求の登録前3年以内に使用されていた」との主要事実は、この主要事実を直接に証明する直接証拠を提出して立証してもよいし、この主要事実を推認する間接事実を主張し、当該間接事実を証明する間接証拠を提出して立証しても差し支えないものであると指摘し、要旨次のように間接事実・主要事実の立証・推認ができると述べている。
1.乙第1号証及び乙第2号証から、次の間接事実が立証できる。
(イ)1992年の時点で、商標権者である日本タイマート株式会社は、本件商標(または、これと「社会通念上同一と認められる商標」、以下同じ)を商品「腕時計」について使用し、販売していた(乙第1号証)。
(ロ)2000年12月11日の時点で、商標権者である日本タイマート株式会社は、ベルトが革製か金属製かの差はあるものの、乙第1号証の6番の「腕時計」と同じ「腕時計」を、その商品在庫として現に所有している(乙第2号証)。
上記の間接事実(イ)と間接事実(ロ)からは、「1992年から2000年12月11日までの間、日本タイマート株式会社は、継続して本件商標を付した商品『腕時計』を販売し続けてきた」との事実が推認され、この期間には問題となっている「審判請求の登録前3年以内」を含むから、「審判請求の登録前3年以内に使用されていた」との主要事実が推認される。
2.乙第5号証の1、乙第5号証の2及び乙第6号証から、次の間接事実が立証できる。
(ハ)日本タイマート株式会社の輸入事務代行会社であるM.B.KATO LTD.は、1996年11月29日付のインボイスに記載された82個の「ADMIRAL」ブランドの「腕時計」(製造番号は「413298」及び「413342〜413422」)を輸入した(乙第5号証の1及び乙第5号証の2)。
そして、M.B.KATOLTD.が日本タイマート株式会社の輸入事務代行会社であり、日本タイマート株式会社が当時コルム リー バンワール エ コンパニー エス アーの「腕時計」の日本における総輸入販売代理店であることは容易に判明される。
上記の間接事実(イ)、間接事実(ロ)及び間接事実(ハ)から、「1992年から2000年12月11日までの間、日本タイマート株式会社は、継続して本件商標を付した商品『腕時計』を販売し続けてきた」との事実が推認される。
3.乙第1号証、乙第2号証及び乙第4号証から、次の間接事実が立証できる。
(ニ)「ADMIRAL」ブランドの「腕時計」の価格は、商品在庫整理価格の乙第2号証のものであってすら66万円もし、通常の販売価格のもので最も安いものでも78万円、最も高いものでは450万円(乙第4号証)もしており、高価な高級腕時計である。
上記の間接事実(ハ)及び間接事実(ニ)並びに「このような高価な腕時計が飛ぶように売れることはない」との経験則から、前記した82個もの「ADMIRAL」ブランドの「腕時計」は、日本タイマート株式会社によって1997年〜1998年に(あるいは1999年にも)販売された、との事実が推認され、「審判請求の登録前3年以内に使用されていた」との主要事実が推認される。
4.乙第4号証から、次の間接事実が立証できる。
(ホ)乙第4号証のカタログの写真中裏側が写っているものの製造番号は「420520」である。
上記の間接事実(ハ)及び間接事実(ホ)(1996年晩秋の製造の「ADMIRAL」ブランドの腕時計は「413・・・」の製造番号)から、このカタログは1998年に日本で頒布されたものであり、「ADMI RAL」ブランドの腕時計は1998年に日本で販売されていた、との事実が推認される。
5.乙第2号証の腕時計の輸入時期について、次の間接事実が立証できる。
(ヘ)乙第2号証の在庫証明書に写っている「アドミラル」腕時計の製造番号は「443514」である。
上記の間接事実(ハ)、間接事実(ホ)及び間接事実(ヘ)(1996年晩秋の製造にかかる「ADM IRAL」ブランドの腕時計は「413・・・」の製造番号)並びに「代理店契約が存続するか終了するかという際には、問題が決着するまで商品の新規仕入れは中止するのが常識であること」及び「被請求人の企業グループの再編成に伴い、日本タイマート株式会社が総輸入販売代理店を続けるかどうかの問題は2000年6月から話合われていること」から、乙第2号証の腕時計の輸入時期は、早くとも「1998年以降」、遅くとも「2000年5月以前」であり、輸入につき「審判請求の登録前3年以内に使用されていた」に該当するとの事実が推認される。
また、輸入後、少なくとも2000年12月11日までの間は継続して販売に供されていたのであり、この点でも「審判請求の登録前3年以内に使用されていた」に該当する事実が推認される。
6.乙第6号証から、次の事実が立証できる。
乙第6号証は、本件商標の譲渡証書であり、日本タイマート株式会社の代表取締役社長が「加藤幸輝」であるから、乙第5号証の1に記載されたM.B.KATO LTD.が日本タイマート株式会社の輸入事務代行会社と認められることを立証する。
本件商標は、審判に継続中の平成13年1月16日付けで日本タイマート株式会社からモントル コルム ソシエテ アノニムへ譲渡による移転登録がなされ、被請求人については、現商標権者が承継したものである。
そして、被請求人が本件商標の使用の事実を立証するものとして提出した乙第1号証ないし乙第6号証によれば、以下の事実のみが認められる。
1.乙第1号証は、1992年版の輸入時計総合カタログであり、これは審判の請求の登録前3年以内の登録商標の使用を立証するものではない。
2.乙第2号証は、本件審判の請求の日(平成12年10月3日)の後である平成12年12月11日現在の在庫を証明するものであり、その請求の登録前3年以内の登録商標の使用を立証するものではない。
なお、乙第1号証が1992年版の輸入時計総合カタログであって、乙第2号証が現在の在庫を証明するものであったとしても、これより「1992年から2000年12月11日までの間、日本タイマート株式会社が、継続して本件商標を付した商品『腕時計』を販売し続けてきた」とするには、その間の登録商標の使用を立証するものが他になく、これを是認することはできない。
3.乙第3号証は、雑誌(「NUMBER/ナンバー」の1998年7月号と被請求人は述べている。)の抜粋記事であり、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標が腕時計に使用されていたことを証明するものではない。
また、同記事は、本件商標「Admiral」についてはコルム「アドミラルズ・カップ・ウォッチ」の15年を振り返る記事の中で紹介されているのみであるから、販売を目的とした広告と認めることはできない。
4.乙第4号証は、コルム社の「腕時計」についてのカタログと認められるが、使用時期が不明である。
5.乙第5号証の1及び乙第5号証の2は、M.B.KATO LTD.が、1996年11月29日付のインボイスに記載された82個の「ADMIRAL」ブランドの「腕時計」(本体製造番号413298〜413422の間のもの)を輸入した事実が認められるところ、その輸入時に同社の住所が当時の日本タイマート株式会社の住所「東京都千代田区神田松永町18番地」と同一であったとしても、同社が商標権者、使用権者のいずれに該当するか明らかでなく、本件審判の請求の登録前3年以内の登録商標の使用を立証するものではない。
6.乙第6号証は、本件商標の譲渡証書であるが、これをもってM.B.KATO LTD.が、日本タイマート株式会社の輸入事務代行会社とは認められない。
そうとすれば、答弁の全趣旨及び乙各号証を総合的に判断しても、本件商標を本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、使用権者のいずれによっても、請求に係る指定商品について使用していたものと認めることはできない。
したがって、本件商標の登録は、商標法50条の規定により取り消しを免れない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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